2002年9月27日 都議会文教委員会
「都立高校改革推進計画」に対する曽根議員の質疑
○曽根委員 それでは、先日ご報告いただいた都立高校改革推進計画について質問したいんですけれども、私も改めて資料に当たつてみて、今度の計画がいかに膨大な内容の変更を伴うものかということで、いささか唖然とした覚えがあります。 東京都は、六月二十七日、ちょうど二定の直後でしたが、推進計画の体系図で見ますと、五の第二項にある都立高校の適正な規模と配置の部分について学校名を、及びエンカレッジスクールその他について、若干の方針を発表したわけですけれども、それに含まれない、かなりもろもろの計画がこの推進計画には含まれていて、もちろんこの中には学校の教員体制としての主幹制度の導入とか、受験制度の変更とか、都立高校の特色化、経営に対する新たな方針など、かなり多岐にわたる、いわば都立高校全体の大幅なあり方の変更ということを内容とする計画が含まれているわけであります。
そのほとんどは、私が知る限り、九月十三日以前には公式には出ていなかったもので、これをきょう審議するんですけれども、十月に決定するというのが、都民との関係でいっても、これだけのものをきちんととらえて、意見や要望が多くの都民から出てくるというゆとりとしては、極めて短いといわざるを得ないなという印象で準備をしてまいりました。
まず、大枠から見て、今度の計画は二〇一一年、平成二十三年春が終了時点ということらしいですが、全日制でいえば十年余の間に二百八校から二十八校減らす。夜間定時制が百一校あつたものを半減させるということで、将来は全定併置校は解消する、全部なくすという方向も出されました。この中で、初めに学区の全廃の間題について、少し聞きたいと思うんです。
私、ずっと追いかけているんですけど、来年春の受験生は、今までの都立の高校受験で、最も厳しい難関になるだろうと思うんです。別に高校のレべルが上がったとか下がったとかいうことじやないんですが、今までとさま変わりしてしまいます。
一つは、内申書の内容が、国全体で大幅に変更し、東京都も変更に従うということで、絶対評価ということになりました。もう一つは学区廃止で、東京じゅうのどこからでも、どの都立高校を受けても構わないということになりました。
もう一つは、私、非常に重大視しているんですが、自己PRカードを提出することになりました。
この自己PRカードというのは、全ての高校が受けたい受験生に対して、その学校が求める生徒像というのを既に発表しているわけですが、受験する子どもが、その求める生徒像というのをよく見て、自分で自分の評価をし、生徒会活動や部活動や学校の勉強でどういうふうに頑張ったのかというのを、自己PRの文章を書いて、受ける学校に提出するというものです。自己推薦文というのは今までもありました。しかし、今度はそれに点数がつくわけですね。百点以上の採点をしなさいということで、見るところ、百五十点の満点をつけている高校もありました。したがって、点数化されるわけですね。標準的な配点でいえば、内申書五百点、学カテスト五科目で五百点、それにプラス百点ないしは百五十点の全体の点数で受験を争うということになります。
私、ただでさえ十五歳で自己評価し、自己PRすることがなかなか大変だろうなと思われるのに、それを書かされて、そして、それをその子を全く知らない高校側が採点するということは、いかに主観に流れやすいか、危険なことかというふうに思うんです。
しかし、その百点なり、百五十点の点数によって合否のラインが分かれることは大いにあり得るわけで、これは大変な作業だなと。受ける側も学校側も大変だというふうに思います。それで、この自己PRカードについては、第二回定例会の後に文書質問させていただき、あんまりいい答弁はいただけませんでした。
学区の廃止というのも、全都の東京じゅうの受験生と受けようとする学校で争わなきやならないという、これからどの程度の倍率がそれぞれの学校で出てくるか、全く読めなくなったという状況になります。しかも、これが最後は単独選抜ですから、一発勝負で、一次試験を受けてだめだったら、あとは二次試
験はごく限られた学校しか受けられない。それでもだめなら三次。もうほとんどあとがない。
一次でだめだと、ほとんど都立で自分の希望にかなうところは残っていないという状況ですから、まさに一発勝負で受けなきやならない。
このことが、来年春受けようとする受験生にとってこれが選択の幅を広げるとかいうことになるのか。 こういうところに行きたいと思った生徒が、本当にこう頑張れば行けるんだというふうに、そういう受け
がいのある受験になるのかという点で甚だ疑問なんですが、この点をお聞きしたいんです。
○比留間学務部長 今、学区の廃止についてのご質問をいただきましたけれども、学区の廃止につきましては本会議でご答弁をしたとおりでございますけれども、生徒の主体的な学校選択、さらには都立高校の活性化を図る、こういう目的を持って実施するもので、本年度から実施いたします入学選抜からこの内容で改正をいたします。
特に、生徒が主体的に学校を選択できるということにつきましては、十分学校の内容を理解した上で、自分に合った学校を選べるように、先ほど本校が期待する生徒の姿というようなお話もありまし
たけれども、そういう内容の改正もあわせまして、制度全般の改正について、受験生、中学三年生に十分に周知していきたいというふうに考えております。
○曽根委員 受験生に十分周知すれば、これまでの受験に比べて受けやすい制度になるんでしょうか。率直な話を聞きたいと思います。
○比留間学務部長 これまでの受験と比較してというお話でございましたけれども、生徒の学校選択の幅を広げるということで、この趣旨では、従来からも他学区限度枠の設定ということで、学区にとらわれないで受験できるような、そういう制度の改正も順次進めてきておりまして、これについては受験する生徒の皆さんから好評であるというふうに考えております。倍率につきましても他学区限度枠、現在、最大限五〇%まで拡大してございますけれども、この学校で極端に高倍率、こういったような学校は出ていないというふう
に考えてございます。
○曽根委員 私、倍率が上がり下がりという現象に厳しさがあらわれるんじやないと思うんです。一番わかりやすいのは、進学指導重点校になった学校、ですね。今までだつたら、五〇%の地元学区からの生徒しか入れない枠が確実にあった。今度は何もないわけですね。ですから、大学進学を目指したい、明確な目標を持った受験生は、進学指導重点校、そのために重点を置いて教育をするという高校なんですから、先ほどお話があったように、今までなら私立を受けていたけど、受けてみようかという子が出てくるのは当然です。
私たちは、もちろん、この経済状況ですから、どうしても家庭の事情で私立に行けない子もいるという中で、都立校からも有名国立大学を目指し、高い水準の学問を目指すという希望者がいた場合、それはその子のための勉学の条件を保障するということも、都立高校としてあったいいと思います。問題は、それが東京じゅうから殺到するおそれがあるために、地元の生徒が、もうちょっと頑張れば、進学校になっている学校に行けるかもしれないというぎりぎりのところです。そういう子にとっては競争が激化するのは間違いないわけで、あきらめざるを得ない場合が出てくると思うんです。はつきりいって。
ですから、全日制を希望しながら、定時制に回っている子がいるというだけじやなくて、全日制の中にも、あの学校が希望なんだけど、結局、自分の将来を一発勝負にかけるわけにいかないということで、都立のランクを落とし、その結果、今後ごく一部の進学校の勝ち組を除いては、他の高校では心ならずもという入学生が、出てくる可能性が大いにあるわけです。
もう一つ、これは受験に対する考え方の違いもあるでしょうけれども、今、中堅校に特色を持たせ、活性化するというお話がありましたね。
しかし、高校を受験するときに、高校を出た後の自分の大学進学や、もしくは社会に巣立っていくかどうかについて、進路を明確に定めている生徒というのは限られていると私は思うんです。むしろ高校三年間に
いろいろ考えて選んでいきたいという生徒が大半じやないでしょうか。
東京都の資料の中で出ていませんが、いろいろ聞いてみても、高校受験段階で自分の進路はそんなにはっきりしていません。はつきりする年齢でもないと私は思うんです。
受験校の選択としては、例えば身近な学校に行きたいという場合もあるし、どうしても確実に都立に入らなきやならないんだという子もいるだろうし、いろいろです。受験の選び方はいろいろあると思う。
そうであつても、その学校に行ったあとで三年の間に、大学に進みたい、もしくは職業人として頑張りたいとなつたときに、普通科高校であれば、一定の幅を持ってそれを保障するさまざまな道が用意されているというのが今までのあり方でした。
しかし、今度は学校それぞれの特色が明確で、進学かどうか、もしくはどんな特色が自分に向いているかわからないけど、とにかく選ばなきやならない。身近なところに自分に合っていそうなものがなくても、無理やりそこに行かなきやならないということも起きてくる。
だから、それぞれの学校が自主的に努力して特色を持っていくことは悪いことじやないんだけれども、それを東京都側が一生懸命奨励して、特色を持たせれば、人、物、金をちやんと優遇して、つけますよという。
ここまで差をつけてくると、とにかく無理やりでも数値目標を持って、例えば自分のところに中学からの受験生を定数の三倍以上にふやしますとか、現にそういうモデルのケースが書いてありましたけど、大学進学率を何%まで持っていきますよとか、そういう数値目標で一生懸命競わせるようなことをやれば、結局、生徒の側が(「今までやらなかつたからだめなんだ」と呼ぶ者あり)・・・。
今までやらなかったからだめだというご意見もありますが、私は、都民がそういう都立高校の姿を求めているのかというと、大方は違う方向を求めていると思います。
学区の廃止について、たしか昨年の国会で、衆参両院でこれが法律として議決されるときに、附帯決議がついていると思うんですよ。このときに、学区を廃止する際には、高等学校教育を適正に進めるため、受験戦争を激化させたり、学校間格差を助長することがないように努めることというのが衆議院の附帯決議になつているんですが、少なくともこの点は東京都としてもきちんと守るべきことだと思うんですが、いかがですか。
○比留間学務部長 ただいまご指摘のとおり、平成十三年六月十三日に衆議院で、六月二十八日に参議院で法律が可決された際に附帯決議がついてございます。公立高等学校の通学区域に係る規定の削除に関して、受験競争を激化させないように、あるいは学校間格差を助長することがないようにという趣旨でございますが、先ほど申し上げましたとおり、今回の学区の廃止につきましては、目的とするところは、先ほどご答弁申し上げましたけれども、従来のこれまでの取り組みから勘案いたしまして、今回、学区を撤廃いたしまし
ても、倍率を含めて極端な結果にはならないだろう。また、そういう極端な結果にならないように、学校あるいは受験生に対してこの制度の改正について十分に周知徹底を図つてまいりたいというふうに考えております。
それから、学校間格差というお話がございましたけれども、都立高校がそれぞれ学杖の特色を明確にして、それを受験する子どもたちにきちんと説明して、子どもたちが自分に合った学校を選択できる、こういうふうにしていくことは極めて重要なことであるというふうに考えております。
○曽根委員 そうすると、今度の受験制度の改定が、受験競争を激化させたり、学校間格差を助長するようなものではないということでよろしいんですか。
○比留間学務部長 お話のとおりでございます。
○曽根委員 実態としてどういう事態が来年春起きるかについて、もし機会があればまた取り上げることにしたいと思います。少なくとも国会決議は、この規定を削除する際に衆参それぞれ超党派で議決されたものですので、これを厳守するように求めておきたいと思います。
それで、学校の特色化を奨励するやり方として、東京都は、今回、学校の類型をまずつくつた。進学校、それと、普通科高校の多くの高校は中堅校というふうに名づけて、さらに、なかなか学校になじめなかつた子どものための教育課題校というのもつくった。この類型を設定して、それで、中堅校は一番数が多いわけですが、中堅校にそれぞれ特色を持つように、先ほどいったような経営支援という形での指導や財政的な援助もする、優遇もするというやり方をとろうとしている。中堅校の中から、今後さらにそれが分化して、学力の高い子を育てようということで進学校になつていく学校や、それに準ずる水準を目指す学校や、もしくは小中学校で不登校を経験したり、学校になじめなかつた子も受け入れるということで、教育課題校になつていったり、都の類型に沿って分化していく・・そういうことを想定して、こういう分類をつくつたわけでしょうか。
○星川参事 中堅校についてでございますが、各学校が主体的に、自立的な改草によって都民に選ばれ、魅力ある高校づくりを目指す必要がございます。このようなことを進めていきたいと考えているところでございます。その中で、すべての都立高校が学校のビジョンとか目標を都民に明確に示し、それぞれの学校がそれぞれの学校の特質に即して、さまざまな工夫、部活動の活性化とか、進学実績の向上、中途退学者の減少等、創意工夫を自立的に進め、教育活動の質の向上を目指したい、そのようなことを考えているところでご
ざいます。
○曽根委員 そうするとやっぱり、名前はともかくとしても東京都が示したタイプの、進学を重視していく高校や、教育課題校のような退学しない対策をやっていく学校や、そういうものも中堅校から出てくるだろうということでよろしいですか。
○星川参事 ただいまご答弁申し上げましたことは、中堅校の中で、それぞれがそれぞれの学校に即して自立的に改革を進めていきたい。そのようなことが都民に選ばれる都立高校づくりに寄与すると考えているところでございます。一方、新しいタイプの学校等、都民のご期待に沿って設置していく必要もございます。
○曽根委員 学校がそれぞれ特色を出していくことについては、ある意味では自由にそれぞれでいいかのようなお話なんだけれども、東京都が示したタイプのモデルというのは、中堅校の検討委員会報告書をもらつたら、資料として載っているんですけれども、学力による分類しか提示してないんですね。上の方に進学校があり、真ん中に中堅校があり、下に教育課題校がある。しかも、ご丁寧に、中堅校は、活気に乏しい学校とか、現状追認的な教員とか、課題の少ない生徒とか、そういう特徴があるので、今後、特色化を進める中で、進学指導を充実すれば進学校になつていきますよと。そうでなければ、現状維持的な対応
だと、下の方に流れて教育課題校になつていくかのような図になつているんです。結局、東京都が示したのは、学力を中心にした、こういった図まで示して、いってみれば、輪切りのランクをつけるという形しか提示してないと思うんです。これでどうして自由にいろいろなクラブとか何とかに行くんですか。大体このランクで自分たちの場所を探さざるを得ないんじやないですか。
○星川参事 都立高校は、それぞれの都立高校が創意工夫を擬らし、互いに切磋琢磨して生徒、保護者に選ばれる学校づくりを進める必要があると考えているところでございます。
そのような中で、先ほどご答弁申し上げましたように、各学校が主体的に、自立的にみずからの学校のビジョンや目的を都民にお示しして、それぞれの学校の特色を出していく。そのような考え方でございます。
○曽根委員 主体的に、自立的にといっても、東京都がこういうモデルを示して、人、物、金で、頑張ればこっちだよとか、頑張らないと下だよと示している以上は、それぞれの学校の校長先生を初めとして汲々とせざるを得ないというのが実態ですよ。その実態については、前回の委員会の中でも、私、ご紹介したので省略しますが。
そういう中で、例えば教育課題校なんかは、午前中、座学中心、午後は体験学習中心だと。いすに座って勉強するのは午前中だけというようなカリキユラムを最初から想定している。
これは、都立高校のあり方として、非常に疑問です。学校として、一定の時期に生徒の実情からそうせざるを得ない場合があるということは否定できませんけれども、最初からそういう学校だと設定して子どもを集める。受験させると。
それで、基本的には、学校のスタイルがそれですから、そこから子どもたちがはい上がるすべはないわけですよ。
しかし、私、後で定時制のところでもいいますけれども、小中学校、ほとんど学校に行けなかつた生徒でも高い学力を四年間の定時制でかち取ることはあるんです。結構あるんですよ。
したがって、子どもの可能性を甘く見ちやいけない。
高校に入るときから枠をはめることが、いかに子どもたちの人生を縛ることになるかということは申し上げておきたいと思います。
都民の意識調査も、今回の計画の一つの根拠となつているんですね。私たちもいただきました。後半には中高一貫校についてや、いろいろな問題について、確かに東京都にとつて新計画の理由となつているような、いろいろな結果も出ているように見えますけれども、私、一番大事なのは最初の方だと思います。
都立高校の現状についてどう思っているか。この質問に対しては、満足と、どちらかといえば満足が七割を占めて、不満、やや不満は一割以下ですから、今までの都立高校のあり方、つまりは普通科を中心として、教育庁にいわせれば、横並びだというかもしれないが、こういった都立高校のあり方への満足度は決して低くない。むしろ高いといえます。
さらに、都立高校の役割で重要なものはという間いに対しては、第一位が社会のルールを守れるようにすること。第二位が基本的な学習の充実なんです。
今後力を入れるべき点はという点でいうと、忍耐力、自立心、協調性などを養い、豊かな人間形成をというのが最高の選択肢になつている。こういう結果を見ると、進学とか、職業とか、特色とか、個性とか、それはもちろん、それぞれの学校の努力は結構だけれども、都民が求めている中心は、一つは基本的な高校生としての学力を身につけさせることと、社会人として巣立っていけるルールを身につけたり、人間形成だということにあることは明瞭だと思うんです。こういう点で、今の東京都の高校改革が、特色化という名のも
とに、私にいわせると、実態は、国会決議に反して、学校間の格差を助長するものに今後なつていく危険性が非常に高いといわざるを得ないと思います。
私は、このまま学校にも競争させるし、生徒にも競争させるとすれば、それによって学校も事実上序列化されていく危険性が高いし、それぞれの学校でステレオタイプの人材養成になつてしまうんじやないかということを危惧せざるを得ないということを申
し上げたいと思います。
私たちは、先日、代表質間で申し上げましたけど、都立高校の改革の大前提というのは、都立高校に入りたいという子を基本的にまず受け入れようという努力が必要だと思うんです。これはもちろん、小中学校からの問題がありますから、単純に都立高校だけの責任の問題じゃないですけれども、しかし、全日制を受けたいという子が、いまだに一次試験で四千人ぐらい、二次試験を受けてもまだ二千人、落ちている。三次過ぎても、最後まで決まらない子が八百人ぐらいでしょうかね、残ってしまう。心ならずも定時制に回つている子も、東京都が認めているとおり、いるという現実を一日も早く改善する必要があると思います。
それで、私、一つだけ聞きたいんですけど、私立高校の入学定員、募集定員に対して、実際には入学者数はかなり少ないと思うんですが、どれぐらい少ないんでしょうか。
○比留間学務部長 大変恐縮でございますが、ただいま数字が手元にございませんので、後ほどご答弁させていただきます。
○曽根委員 こういうことをお聞きするというふうにいっておいたつもりですけれども…
私立高校はたしか五千人ぐらい募集定員より入学生徒数は少ないと思うんです。これは私立の責任ではなくて、経済状況の反映というのが大きいですよ。私立も頑張っているんだけれども、何せ不況ですから、四年前ですか決めた目標、都立が六割、私立が四割というこの枠組みから実態が離れているんですね。
都立しか受けません、私立は受けませんという子が、いろいろお聞きすると、クラスの中で一割ぐらいいるらしいんですね。そういう実態を反映していると思うんです。
私は、すぐにでも改善すべきだと思いますが、少なくとも今度の公私の分担を決める際には、実態に合わせて、全日制に行きたい子は、公立か私立、どちらかに行けるように双方で努力して、実態に合わせるという努力を最大限しなきやならないと思うんですが、いかがでしょうか。
○比留間学務部長 先ほどのご質問からご答弁申し上げますと、平成十四年度の数字でトータルの数字でございますけれども、募集人員が四万五千八百名余、公募による入学者数が約三万九千人でございますので、その差は六千人程度という数値が、これは生活文化局の資料でございますけれども。
それから、就学計画の達成状況についてでございますけれども、結果的に私学側の達成率が低いということがございますので、この辺について、公立の中学三年生の受け入れは公私が分担、協力して担っていくということが大前提でございますので、私立の中高協会に対して、この達成について強く申し入れておりますし、引き続きこれを申し入れていきたいというふうに思っております。
○曽根委員 いつもそれ以上のお答えがないので。しかし、今度は協議の場が問違いなく来るし、私はすぐにでも是正してほしいんだけれども、少なくとも次の協議の場、再来年の春から実施される入学枠の決定のときには、この実態に合わせて双方が努力するように求めておきたいと思います。
もう一つ、私、高校改革というならば、定時制が後から申し上げるように、少人数教育で非常に大きな成果を上げているし、学力も向上しているし、重要な役割を果たしているので、三十人学級、今定時制だけは三十人なんですけれども、全日も含めて三十人、できれば定時制の方は二十人という、つまり、学級定数の改善というのは都立高校にとつても避けて通れない課題だと考えております。
それで、前から明らかにしてきましたが、今度の計画終了時点で、もし全日制高絞、三十人学級を全都で実施ということになつた場合、この計画からいって、何校分を増設する必要があるのかをお答えいただきたい。
○山際都立高校改革推進担当部長 仮に都立の全日制高校をすべて三十人学級というふうにした場合に、改革の最終年度でございます平成二十三年度には千四百五クラスが必要となりまして、現在の計画と比較いたしまして、三百二十五学級、標準規模六学級では約五十四校増設する必要が出てくることになります。
○曽根委員 私は、都立高校が、先ほど申し上げた都民意識調査にもあらわれた都民の要望にこたえるという点では、できるだけ身近な地域にそれぞれの生徒のその時点での希望に沿ったさまざまな高校の受け入れ体制をつくる必要がある。もちろん、進学希望がはつきりしている子はそれにふさわしい体制も必要でしょうが、これからいろいろ考えていこうという子が多い実態の中では、普通科高校の役割は、むしろもっと間口を広げていろいろな子が入れるということにすることが大事だと思います。そういう点でも、入った後の高校生一人一人にきちんと先生が目をかけていける仕組みは定時制の方に非常に魅力があるのかなと思うので、そういうことができるような全日制の仕組みをつくってほしいということで、三十人学級の実現は強く求めておきたいと思います。
●定時制高校の統廃合計画について
それから、後半の三十分では、定時制問題を中心にちょつと聞いていきたいと思うんですが、個別分野の中で、とりわけ今回半分以上の廃止計画が出まして、将来は全廃という方向が打ち出されました、いわゆる夜間定時制高校の計画についてです。
先ほどもお話があつたので、これは省略しますが、かつての集団就職でたくさんの中卒生が上京して、まとまって工場などで働いていた時代は、いわば、その工場は金の卵ともいわれた若い人たちを集めるためには、当然五時で終業して、近くの定時制高校に通わせるというのが一つの大きな条件だつたわけで、労働市場は売り手市場だつたわけです。しかし、今日、全く様相は違うわけですね。先ほど一割を切っているといわれましたが、中卒生で正規の従業員を雇うところはほとんどありません。ですから、働きたくたつてアルバイトしかないという現実がある中での今の夜間定時制の実態だということを踏まえて考える必要があると思います。
同時に、これも先ほど小美濃さんや福島さんからもお話があつたように、小中学校、学校になかなか行けなかった子どもたちの受け皿として、また、身体障害も含めてさまざまなハンディのある子どもたちの受け皿として非常に重要な役割を果たしていると思います。
そういう点で、全定併置校を全部なくすということは、事実上、東京の夜間定時制をほとんど根絶やしにすることになりますので、東泉の高校教育の貴重な財産を投げ捨てるということになるということで、私は、断じて認められないという立湯です。
かつて、九七年の第一次計画をつくる前に長期構想懇談会というのをやりまして、そこで、今回の計画の大枠を決めてきたわけですけれども、その枠組みや当時の教育長の答弁でも、全定併置校の「弊害」というよりは「課題」という形で表現されていて、それは学校の中でのさまざまな調整、努力の中で解決していきたいという答弁がされていましたし、それを解消する一つの方法として、独立校をつくつていく、三部制をつくっていくという話は当時からもありましたが、それでも夜間定時制、「全定併置校を解消することは困難であると考えている」という答弁もありました。したがつて、その困難であつたことが、今や現実にやろうということになつたわけで、随分大きく踏み出したものだなというふうに思います。
それで、最初に夜間定時制の今の役割について数字的なものなんですけれども、生徒数がこの五年間どうなつているか、都立高校全体の中では割合はどうなつたのか、聞きたいと思います。
○山際都立高校改革推進担当部長 都立高校生に占める夜間定時制生徒の割合について、数年というお尋ねでございますが、例えば平成十二年度のケースは、都立高校生全体が十五万四千九百三十九人、これに対して夜間定時制生徒の数字は一万二千四百七十九人ということで、その占める割合が八・〇五、同様の割合は十三年度が八・一五、十四年度が八・二〇。以上でございます。
○曽根委員 都立高校生全体は人口減少がまだ続いていますからかなり減ってきている中で、夜間定時制は、数字の上でもほとんど減っていませんし、この五年間は横ばい状態。割合は当然ふえているということで、長期懇談会の答申を見ますと、今後、少子化などで夜間定時制の生徒が減っていくだろうと予想して、さまざまな対策を考えています。減っていく、だんだん縮小傾向の中で、どういう定時制にしていくかというのを検討してきた。
状況は大きく異なつてきているんですけれども、なぜ、これは割合としてふえているというふうに考えていますか。
○山際都立高校改革推進担当部長 先ほどご答弁申し上げたとおり、平成十二年度が八・〇五、それが八二五、八・三〇ということで、ごく少数の伸び、基本的には変わつていないというふうに考えています。
○曽根委員 それでは、都立高校全体としては減っているわけですが、定時制の生徒数がほとんど減らないで、いわば一定数を維持しているということは、その中で、全体の子どもの数は減っているわけですが、どういう子どもの割合がふえていると考えていますか。
○山際都立高校改革推進担当部長 いろいろな要因があろうかと思いますが、基本的には勤労青少年が減少しているという状況がございます。それに対して、ふえている要素といいますと、例えば、不登校傾向のある生徒、こういうような方々がふえているということも一因ではないかというふうに思います。
○曽根委員 私もそう思うんです。先ほども小美濃さんの話にもそれがありました。今後ふえる−−これは、できれば小中学校できちんと教育が受けられるようになることが望ましいですが、現状ではふえていく可能性があります。そういう中で、夜間定時制を全定を廃止する形で三部制に移行させる。 これは将来的にはすべてそちらに持っていくという方針は、全日制の側からの全定併置の弊害というのはいわれていますが、定時制そのものにとっての未来として、三部制ですべて定時制を受け入れるという定時制のあり方、定時制高校のあり方として、本当に改革になるというふうにいえるんでしょうか。
○山際都立高杖改革推進担当部長 先ほど勤労青少年が減っているということでご同意いただけたと思いますが、夜間定時制については、勤労青少年の受け皿として役割を見ていますが、その役割は、例えば不登校生徒がふえているということで、変化をしておりまして、生徒の多くは、夜間に通う必然性はない、このように考えております。
○曽根委員 勤労青少年というのを、先ほどは東京都の解釈では正規の職員しか統計はとっていないということで、そういう見方を私たちはしていませんので、それは申し上げておきたいと思います。今、アルバイトしかないんですから。同時に、アルバイトで八時間もしくはそれ以上働いている子もたくさんいるわけで、アルバイトを含めて、統計は正式にはないと思いますけど、高校の先生方の組合で調べたところ、六二%という数字もあります。私は、これは非常に正確な数字じゃないかと思うんです。そういう意味では、減っているといっても、六割、もしくはそれ以上の生徒が働いているということは申し上げて
おきたいと思います。
こういう中で、定時制を夜間が基本だつたものをすべて三部制に持っていくときに、先ほどもいろいろ疑問が提示されましたが、私は、三つ問題があると思うんです。
一つは、物理的な条件で三部制には通学できない子が確実に出るという問題です。
これは資料でもいただきましたので、詳しく申し上げる必要はありませんが、この中に移動時間を示していただきました。八ページにありますように、新しく三部制に統合される学校で、私が見るところ、一番時間がかかるのは、小岩高校の定時制から台東商業に統合される生徒たちで、例えば、小岩高校の割合近くにいた生徒は、今までは時間がほとんどかからなかつたものが、最寄り駅の新小岩まで十五分、そこから台東商業の最寄り駅の浅草まで行き、学校まで行くのに三十九分。合計で五十四分の時間がかかる。約一時間ですね。
その次にかかるのが八潮高校から一橋商業。これが約四十五分かかるという点では、例えば五時まで働いていたら到底通えない距離ですし、先ほどいったように、不登校で、ごく身近な高校にしか通えない条件で、今辛うじて通っているという子どもたちの、その後輩の子どもたちは通う条件がなくなるということで、確実にこういう子が出てくるということは間違いありません。
もう一つは、通う条件はあつても、今の定時制のあり方を自分たちは選びたいんだといっている、現に定時制に通っているたくさんの生徒がいるということなんです。これも重要な問題なので、後でいいますが。
さらに、心配なのは、三部制に行こうとしてもはじかれる子どもたちなんですね。これも小美濃さんから質問があつたんですが、私も、桐ケ丘のチヤレンジスクールを落ちて、北区内の王子工業とか、もしくは北豊島とか、定時制に通っている子どもたちの話を聞きました。最初は四倍以上ですよね。最近でも三倍以上。とても容易には受かりません。
三部制が新計画通り十校、仮にそろったとしても、その倍率が本当に一倍に限りなく近いところまで平準化されるだろうか。私はそうは思えないんです。
なぜかというと、三部制は、定時制に行くような子だけが受験できる学校じゃないからなんですね。当然、今の桐ケ丘高校と同じように、全日制の高校と同時期に横並びで第一次受験があり、150名位合格して、後期は二十名ぐらい、さらにとるわけですけど、ほとんどが第一次の、前期の試験で試験をやりますよ。
ですから、中卒生は誰でも三部制に受けることができるわけで、今、全日制と夜間定時制に行っている生徒の割合を考えれば、九対一ですから、そのまま考えれば、三部制を受ける生徒の九割方は、今までなら全
日制を受けていた子が行く。定時制を受けていた子も受けに行くかもしれないけど、受験生全体の一割程度。
その中でさらに選抜が行われて、入れる可能性がどうなんでしょうか。やっぱり定時制に行かざるを得なかつた子というのは、今の場合、大半が全日制の試験を落ちてから、定時制に回つている子どもたちですから、そういう子どもたちにとつて、一倍をはるかに超える倍率があつたときには、三部制からは完全にはじき出されてしまうんじやないかというおそれがあります。
そういう点で、私は、この三つのハードルがあつて、現に定時制に通っている子どもたちは、自分たちだつたら、行けといわれたつて、三部制には行けない。今の夜間定時制が自分たちの居場所だし、あつちには居場所がないというふうにはつきりいっています。私、定時制の統廃合対象校、十校ぐらい回りました。地元の王子工業や杉並、荻窪、武蔵など十校ぐらい回って、生徒の話を聞いてきたんですね。みんな同じです。例外なく三部制には行けないと。行きたくても行けないし、行く気もないという話をしています。
これだけ非常に一致しているということは、ある意味では異例であるし、今の夜間の定時制のあり方に対して支持をしているということだと思うんです。
東京都は、こういう生徒の声を少なくとも聞いた上で検討しなければならない問題だと思うんですが、聞いて判断したのか。それとも、答申をつくってから、多少は説明を生徒たちに行ったのか、その点をお聞きしたい。
○山際都立高校改革推進担当部長 このたびの新配置計画(案)に基づく策定の過程におきまして、私ども、定時制にかかわる検討委員会を設置して、そこで議論をしてきたところでございます。そのあたりは、生徒たちに直に指導にかかわる教員、教頭、あるいは校長さんにその会に入っていただきまして、そうした現場の声を十分に聞いて、今回の結論を下した、そういうわけでございます。
○曽根委員 それじゃ、十分に聞いているということは、三部制ができても、今の夜間定時制に行っている子たちは行く気がないよということもよく知った上で、あえてこういう方針を出してきたということですか。
○山際都立高校改革推進担当部長 先ほど申し上げましたが、生徒の実態を十分承知している校長あるいは教頭、さらには生徒の親である保護者の方、PTA、東京の定時制のPTAの会長さんにもお話を聞き、論議の参考にさせていただきました。このたびの新配置計画(案)について定時制のPTAの会長さん、あるいは組織として、新配置計画(案)に賛成である、このような返事をいただいております。
○曽根委員 傍聴席の方は何にも声が出せないので、私がかわりにいいますよ。この間、定時制のPTAの会長さんがいらっしゃいました。そこでおっしやったのは、総会のときに、担当課長さんが見えて説明があつたということなんです。それは、発表の前なんですね。ですから、学校名もなければ、考え方が示されただけ。
そこの総会に参加していた、現に統廃合対象となる予定の高校のPTA会長さんの話も聞きましたよ。自分の学校がなくなるというのはわからないわけです。説明は考え方だけですから。だけど、とにかく説明があつた。皆さん、それではよろしくつてシヤンシヤンシヤンつて終わつちやつた。これはそこに参加していたある定時制高校の会長さんの話です。連合会長さんはそういうことはおっしやられませんでした。
私、本当の意味で、定時制の生徒たちの父母であるPTA会長、各学校の会長が、実際には総会でちよつとあいさつを聞いただけ。計画が決まった後は何も説明を受けてないというんですよ、PTAの役員会としては。資料をいただいたのを見ても会長だけでしょう。具体的に名前が出てから説明したのは会長だけですね。会長さんというのは、自分の子どもさんが定時制に通ってはいないというふうな話も聞いています。現に今の父母じゃないわけですね。本当の意味で、生徒たちの実態を知り、声も知ろうとするなら、PTAの会長さん、ご苦労されていると思いますよ。しかし、連合会の会長さんだけに説明したんじゃ、生徒のところには届かないんじやないですか、実際問題として。そういう点では、本当の意味で生徒の声を聞いたんでしょうかね。知っていましたか。三部制なんか行かないよとみんないっているんですよ。本当に知っていましたか。
○山際都立高校改革推進担当部長 今、曽根委員の方で、あたかもすべての生徒が夜間定時制に行く、昼夜間定時制に行きたくないというような趣旨として受けとめましたが、私の聞く中では、昼夜間定時制独立校ができれば、三年でも卒業できる。あるいは、自分で授業時間帯を選ぶことができる。昼間、太陽の明るいところで勉強できるということで、ぜひそこに行きたいというような声も聞いております。
○曽根委員 正確にしておきましょう。私は、十校ぐらいの対象校の生徒会長さんや生徒さんに会って話を聞いた中では、例外なくみんな……。現に定時制に行っている子ですよ。
今の話だとこれから行きたいという話ですからね。これから行きたいという生徒は、もともと定時制に入るか、全日制に入るか決めてない段階の年齢ですから。
私は、今までだったら全日制に行っていたような子どもが、三部制の方が三年もできるし、四年もできる。それから、今の全日制は朝から夕方近くまでびっしり並んでいますけど、自分のペースでやれるという点で、むしろ、全日制に行くような子どもが、逆にもう少し自分のペースでやりたいと思ったときには、三部制は非常にいいんじやないかと思います。
そういう意味では需要はあると思うんですけど、じや、夜間定時制に行かざるを得ない、残念ながら全日制の入試に失敗して回ってきている三分の二の子どもたち、もともと定時制しか入れないので受けている八百人の子どもたち、そういう子どもたちにとつて、三部制は本当に門戸が開かれているのかというと、確実に行けない子が出てくる。行けない子が出てくることがわかつている以上は、その子の対策をどうするかというのは、先ほどもお話がありましたが、打たざるを得ないと思うんですけど、それについては考えないんですか。
○山際都立高校改革推進担当部長 先ほど私が、ある校長に聞いて、三部制に行きたいという生徒は、現に定時制で学んでいる生徒ということでございます。
定時制には多様な生徒が学んでいること、それは事実でございます。ただ、夜間定時制は勤労青少年の受け皿として認めますけれども、例えば不登校の子どもたち、こういう子どもたちが夜間に通う必然性はないと、私はそういうふうに話をしておりますし、それで三年で卒業することができる。繰り返しますけど、いつでも自分の都合に合わせた学習の時間をとることができる。そういうような形態、そういうような教育システムを持った弾力的な教育施設、そういうことで、その役割は今後とも大きくなる。全定併置といういろいろな弊害はございますが、我々は、そういう方向を、設置の方向を目指していきたいというふうに考えているところでございます。
三部制について、保護者の方、あるいは生徒の方々が、果たして三部制の学校をつくつたときに入れるのか、そこが不安であるということは、現在の桐ケ丘、あるいは世田谷泉の倍率で、先ほど小美濃委員がおつしやつたようなことはございますが、今回私どもが五校、昼夜間定時制独立校を設置しますが、その受け皿となるのは、夜間定時制の生徒、その数でございます。
○曽根委員 ということは、受け皿としての数を用意しても、受けるのは受験生で、選ぶのは受験生で、全日制に行くような子は受けないでくださいとは絶対できないですよね。都立高校ですから。そういう点だけは申し上げておきたい。
それから、不登校を経験した子どもたちが、夜間に行く必要はないというふうにはっきりおっしやつたので、一例だけ申し上げておきたいんですが、私の地元に王子工業高校があり、定時制があるんですね。ことしの春、たまたまこの計画が出る前なんですけど、卒業式に呼ばれまして、立ち会ったんですけど、八人卒業したうち、全国のPTAの学カコンテストみたいなのがあるんですね。トツプの成績だつた子が卒業したんですよ。答辞を読みましたけどね。その子は、北区のいわゆる不登校のための指導教室、赤羽中学にあるんですが、そこを出て、だから、本来の小中学校をほとんど行ってない子なんですよ。しかし、王子工業の定時制に見事に、自分にぴったり合ったというんでしょうか。全日制の子も滅多にとれない電気資格の試験を合格して、国家資格をとつて、先生にいわせると国立の工業大学とか電機大学に十分に受かる学力があるというふうにいっていました。いや、すごいなと。しかも四年間、皆勤賞ですから、一日も休まなかったらしいんです。定時制の力というのは一体何だろうと、そのとき初めて痛切に思ったんですが、その八人の中で、皆勤賞は彼一人でしたけども、精勤賞で、四年間、二、三日しか休まなかつた子がもう二人いるんですね。
毎年、赤羽中学にある不登校のための教室から先輩が行き、先輩が後輩に、君もおいでよということで、毎年確実に何人かずつ、王子工業の定時制に入る、そういう伝統ができてきている。その中で、全部とはいわないまでも、確実に一定の割合で学力をつけ、本当に社会に出て、立派に通用する、大学に行っても通用する力をつけてきているんです。そういう子が夜間に行く必要がないというけれども、夜間でこそ、それができたんじやないかと思うんです。そのところを掘り下げないで、夜間定時制、全定併置は一切なしでいいということには絶対ならないということを申し上げておきたいと思います。
時間が迫ったので、最後に大島の高校について、どうしてもやっておきたいんです。
大島高校の南分教場なんですけれども、既に地元でも大きな間題になり、町議会からも要請が来ていると思うんです。子どもたちの声もここに載せていただきました。町議会からは、どういうふうな要請が来ているんでしょうか。
○山際都立高校改革推進担当部長 大島南分教場に関する大島町議会の議長さんの方から、分教場廃止の撤回を求める要請が来ております。
○曽根委員 学校のOB会、同窓会の会長さんとPTA会の会長さん、そこの生徒さんにお会いして話を聞いてきたんですが、町中というか、島じゅう挙げての大きな問題になつていると。有権者数の半数以上が今回署名したそうなんです。
どうしてそんなに短期間、数週間で広がったのかというと、島の産業を支えている中核はほとんどが定時制の卒業生で、全日制の高校を出た人は東京の二十三区や多摩の方に行ってしまうけれども、島に残って、島を支えているのは定時制の卒業生だという話でした。
したがって、定時制高校が島の北部の元町だけじやなくて、南部の波浮港や差木地のところにも必要だというのは、町全体の総意なんだということをおっしやつていました。
確かに生徒数は少なくなつていますが、五人とも、入ったときにはこの高校で卒業できると思って入ったので、途中でやめさせられるのは、移らされるのはやっぱり約束違反じゃないかということをいっている。
子どもたちを、生徒たちを甘やかすつもりはないけれども、この願いだけは聞き届けてやりたいんだというのが同窓会長さんのお話でした。
私、ほかの定時制高校の扱いから見ても、極めて異例な間題だと思うんです。そういう点では、この子どもたちがやめる、移れないということが意思表示しているのに対して、盛んに何とか移るようにという説得をしているようなんですけれども、聞くところによると、ほとんど尋問に近い説得工作をやられているというふうにお聞きしたんですが、だれがどのようにやっているんでしょうか。
○山際都立高校改革推進担当部長 大島南分教場に対する大島町民の意識というのは、先ほど曽根委員がおっしやいましたが、必ずしもそうではないのではないかというふうな情報を私は得ています。大島の方も人口は減っているというふうな状況もありまして、平成十七年には小学校を七校から三校に統合し、生徒を移転するというふうな状況がある。そういうことで、都の方針についても理解する、そのような町当局、教育長でございますが、話も聞いておるところでございます。
生徒への接触、説得についてどのように行っているのかというようなお話でございますが、生徒の担任、教頭及び校長が生徒二人一人に説明いたしまして、本校への通学について意向や需要を聞いておるところでございまして、生徒は現在のところ本校へ通う気持ちはないというような発言をしておりますが、今後私どもが直接生徒と話をしまして、元町本校の方に通うために生じる課題の除去に努めていきたいというふうに考えております。
○曽根委員 これ以上生徒をいじめるのはやめてほしいんですよ。
私、こういうやり方が一番心配なのは、同じようなことが、もし定時制が次々募集停止かかつていって、だんだん人数が減ってきたと。学年が上がつてきて。そういったときに、ほかの二十三区や多摩の高校でもやられるんじやないかということが心配なんですよ。大島で前例をつくるということは、私、本当に東京の高校教育に大きな汚点を残すことになる。これは前例になつてしまいますよ。
やっぱり卒業までは保障するというのが、今までもどんな統廃合の場合でもあったじやないですか。ほかの学校でもやるんじやないですか。
○山際都立高校改革推進担当部長 大島高校の南分教場は、条例あるいは規則に根拠を持たない暫定的な形態である。そして、現在の生徒数が七人でございますが、それでは十分な教育効果が期待できないこと。生徒数が教員数と同じであり、効率的な点も課題がある。
さらに、代替措置として、本校の定時制、これは十名でございますが、定時制がある。このようなことから特例的な取り扱いをしたものでございまして、今後他の定時制で同様の手法をとる予定はございません。
○曽根委員 それが条例上どういう位置づけだとかいうことは、私は、生徒には関係ないと思うんです。今までも募集停止かかつた全日制の高校でも、最後は数人という場合だつてあつたわけですよ。それでも、最後まで、卒業するまでは見送ったわけでしょう。卒業するまでは。大島の場合も、この原則だけは守ってほしい。それを強く申し上げておきたいと思
います。
このほかにも、定時制だけで見ますと、一、二を除いてほとんどの学校の関係者から存続させてほしい、それから、性急に決めないでほしいという要望書や請願書、この議会にも続々と届いています。これが残念ながら十一月未の質疑になつてしまうと思うんですが、少なくとも十月までにこういう声が出ていて、我々、審議もしてないうちに、つまり、都民の声を、我々、きちんと受けとめる暇もなく決められてしまうのは本当に残念だと。
一次、二次もそうでしたけど。トツプダウンはこれぐらいでやめてほしいと。本当に声を聞いてほしいというのは、全日制のPTA連合会からも一年以上の時間をかけてという声も出ています。賛成、反対を問わず、大いに都民の中にある意見だと思うんです。
そういう点で、これはまだ教育委員会にかかつてないわけですから、事務局としての教育庁の側でもう少しさまざまな意見を聞こうという構えがあればできることなので、ぜひこの決断をお願いしたいんですが、いかがでしょうか。
○山際都立高校改革推進担当部長 特に昼夜間定時制独立校の必要性等については、広く学校関係者、あるいは先ほど申し上げたとおり、PTAの方々にもご理解をいただきつつあるのではないかというふうに考えております。個別の改革の対象校の決定につきましても、具体的な校名の公表後三力月程度で計画決定を行っておりまして、今回も十月決定の方針で進めてまいります。
なお、学校関係者等との意見交換については、現在、私どもとして精力的に、積極的に行っているところでございまして、引き続き関係者への説明を、全力を挙げて理解を得ることができるように対応してまいります。
○曽根委員 山際さんがおっしゃった中で、二つどうしても見逃しがたいことがあるんですよ。一つは、PTAの人たちの理解を得つつあるというのは、一体どの学校のことをいっているのか。少なくともこの中にいる多くの方、PTAの会長さんも含めて、守る会をつくったり、先生方と一緒になつたり、個人の方もありますけれども、PTAの役員の方はいっぱい入っていて、理解が進んでいるという状況でない。
ますます反対の声の方が広がつているという状態だと思うんですよ。何か根拠があるなら教えてほしい。
それから、当該校の関係者だけ、今、説明に行っていますけど、ここに入ってくるのは、今、中学生や小学生の子どもたちなんですよ。その親の問題でもあるわけですね。そういう点で、都民的に知らせなきやならない問題なんです。全体の体系が出たのは九月十三日ですよ。六月に出たのは学校名だけですよ。そういう意味では、時間はまだまだ足りないんじやないでしょうか。先ほどの根拠について教えてください。
○山際都立高校改革推進担当部長 繰り返しになりますが、私ども、今回の新配置計画が多くの都民の方々に理解を得られるように、あるいは学校関係者の方々に理解を得られるように精力的に学校を回つて、いろいろと説明したり、意見を聞いたりしているところでございます。その中にはPTA関係者の方々も当然いるわけでございまして、協議の中で、あるいは話の中で、こういう趣旨についても理解できるというような声を聞いているところでございます。
とりあえずそれだけお答えいたします。
○曽根委員 これで終わりますが、やっぱり山際さん、最後におっしやつたように、はつきりとどこの学校のどういう段階で理解を得られて、この学校だけは絶対何が何でも賛成してくれているよというのは、はつきりいって、ないと思うんですよ。必ずどの学校も声が上がつているんですよ。先生から上がつていたり、父母の方や生徒からも。私、行ったところで、うちは学校丸ごと賛成だというのは、定時制に関する限り、一校もありませんでしたよ。このことははつきり申し上げておきます。
これはやり過ぎですよ。全廃方針なんていうのは、本当に夜間定時制の命をつぶすということになりますから。
だから、そういう意味では、今、運動としてはどんどん広がつている、定時制の灯を消すなという運動は今後もますます広がつていくだろうと思うし、その中に定時制に通う子どもたちの声が続々と今出ていっているというふうに思うし、それで定時制の役割や魅力というものが、また、教育的な効果というものも、どんどんこれからはつきりしてくると思います。そういう点に私たちも微力ながら貢献していきたいと思っています。
そこにこれからの東京の高校教育の未来も、その中に含まれていると思うので、今後もこういう議論をしていきたいと思います。
以上です。
○東委員長 この際、議事の都合によりおおむね五分間休憩いたします。
午後三時二十八分休憩
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