2002年3月4日文教委員会(補正予算の質疑)議事録
●情報教育アドバイザー制度の拡充・定着を求める
〇曽根委員 初めに、補正予算にかかわって、今回二億二千万円余ですけれども、その半分以上を占めている情報教育アドバイザーという事業があります。これについて簡潔にお聞きしたいと思います。この情報教育アドバイザー事業の開始はいつからで、どのような内容のもので、いわゆる緊急雇用対策で位置づけられたのはなぜか、その点についてお聞きします。
〇斎藤指導部長 まず、開始年度でございますけれども、平成十一年度から開始しておりまして、平成十一年、十二年、十三年と、三カ年続いております。
内容でございますけれども、主な内容としまして、教員研修にかかわる、例えばワープロソフト表計算等のアプリケーションの操作技術でございます。それから教材作成の補助、それから授業の補助、これもパソコン教室等における授業の事前準備あるいは授業中の機器のトラブルへの対応等がございます。こういった内容で行っております。
これが行われました理由、経緯でございますけれども、国事業として最初、厳しい雇用、失業情勢を踏まえまして、雇用、就業機会の創出を図ることを目的としまして、緊急地域雇用特別基金事業を受けまして、東京都教育委員会が具体的な事業内容、規模等を検討し、実施しているものでございます。
特に、都立学校におきます情報教育の推進につきましては、極めて重要な課題でございまして、平成十五年度から高校において、あるいは高等部において、新教育課程が実施されまして、そこでは、新教科情報や、あるいは総合的な学習の時間が導入されるなど、教員自身の情報活用能力を高めることが課題でございました。そういったこともございまして、情報教育アドバイザー事業を実施したものでございます。
〇曽根委員 これをお聞きしたのは、かつてパソコンが学校に導入されて、最初のころは一クラス二十台程度、二人に一台という感じで、どの小中学校でも導入していたと思うんですが、今どの学校に行っても、四十台ぐらいあるわけです。つまり、一人一台ずつ使わせて授業をやる。そうすると、担任の先生一人だとてんてこ舞いになるらしいんですね。勝手にいろいろ動き回る、子どもたちの方が使えますから。
それで、やっぱり複数で担当するとか、もしくはパソコン関係の専門的な人が一緒に授業をやったり、もしくは準備の過程で相当綿密に準備しないと、きちんとしたIT教育の効果が上がらないというふうな声が現場から相当上がって、私にも聞こえているんですよ。
したがって、私は、情報教育にパソコンを活用し−−IT技術が進んでいる以上は避けて通れない課題だと思いますから、そういう意味では、緊急雇用の特別基金ではなくて、もっと本格的に情報教育のための専門家を教育分野で育てる必要があると思います。
その点で、これは単年度ごとに切れていく事業ですね。これは今年度の補正ですが、来年度以降についてはどういう見通しになっているんでしょうか。
〇斎藤指導部長 国におきましては、来年度もこの事業を継続するということでございまして、都教育委員会におきましても、これまでの事業の成果が非常に上がっていることもございまして、事業内容などをさらに工夫して実施していきたいと考えております。
〇曽根委員 先生が大変助かっているのは確かだと思います。ただ、ここで要望にとどめておきたいんですけれども、一つは、これは人材派遣会社に人を出してもらっているわけですね。したがって、一つの学校でも、前回の事業がついたときの人と次に来る人とは全く別の人が来る。それで、今パソコンの使い方も微妙に違うんですね、だんだん進歩しているんでしょうけれども。そうすると、一つの学校でIT教育を進めるために、最初に来た人と次の人と、もう何回目か、三回目ぐらいになるんでしょうか、それぞれ微妙に違っていて、一貫性が必ずしも十分じゃない。
それから、教育で使うということについて十分わかって、たけている人と、そうでもない人もいるということで、私は、さっき平成十五年ということは再来年度には高校でも本格的に始まる、それに向けてということですから、少なくともあと数年は、この分野での、いわば力を蓄えていくために必要な仕事だと思うんです。ですから、緊急雇用からもう少し格上げして、一貫性を持った人を育てながら、各学校に配置できるような制度、仕組みをぜひ考えてもらいたいということと、それから、一つの学校についていえば、先ほどいったように、一貫性を持たせるような統一的なマニュアルとか、もしくは人の配置での配慮とか、そういうことを強く要望しておきたいと思います。
●多摩図書館の図書除籍処分を止めよと迫る
次に、先ほど質問もありましたが、図書館に関連して、図書館資料の再活用及び移送等の費用、合計しますと、約千四百万円ですけれども、これが計上されています。これに関連してお聞きしたいんですけれども、まず、この予算で出てきている千四百万円弱の費用以外にも、今回図書を十万冊、九万九千ですか、処分するためのさまざまな費用がかかったと思うんです。
特に、これは臨時雇用の特別基金ですから、一般職員の人件費は入っていないと思うんです。一般職員は、一般業務の中で、その片手間に図書の整理を、十万冊分リストをつくったり、やった部分もあるでしょうから、そこはなかなか見えにくいんですけれども、残業や休日出勤もあったというふうに思うんです。特に前回の委員会で、二月末という答弁があって、ちゃんと二月二十八日に、私たちのところにプレス発表の資料が来ました。突貫作業でやったというふうに担当の方はおっしゃっていました。そういった部分も含めた図書の再活用及び移送にかかわる全体の費用はどのくらいになっているんでしょうか。
〇嶋津生涯学習部長 図書の再活用業務に関する補正予算以外の費用でございますが、まず超過勤務につきましては、この作業に入りました十月以降、トータルで百十二万円でございます。それから、休日出勤についてのお尋ねですが、休日出勤はございません。もっとも週休日の振りかえ等はやってございますが、休日出勤はございません。
〇曽根委員 そうすると、再活用及び移送の費用は、千四百万円に今いわれた百十二万円を足した額ですべてであると見ていいんですか。
〇嶋津生涯学習部長 基本的にはそのように考えてございます。
〇曽根委員 私の実感では、もっと大変な作業がやられたというふうに聞いているんですが、とりあえず答弁があったので、それは確認しておきます。
それから、処分されるリストも確定したようですので、九万九千冊余の東京都が手放す図書の購入時の価格はすべてわかると思うんですが、総計でどれぐらいになるんですか。
〇嶋津生涯学習部長 購入価格でございますけれども、十万冊でございますものですから、すべてをまだ確定しているわけでございません。ただ、今ほぼ一割ぐらいを作業として進めてございまして、それを見る限り、平均単価が二千円余でございます。したがって、十万冊掛ける二千円余で、大体二億円ぐらいと想定してございます。
〇曽根委員 これは少なくとも、東京都の財産として購入したものを、恐らく無償で各区市町村に譲り渡すわけですから、購入時の金額の総計ぐらいはきちんと押さえておく必要があると思うので、それは今回推計だそうですから、正確なところを次回の機会にまた質問するかもしれませんので、資料をお願いしておきます。
二億円余の東京都の財産を市町村に譲り渡す、二十三万ぐらいの申し込みがあったということで、振り分けも決めたというところまで来ているわけですが、市町村の、受け取る側の図書館の館長さんたちがこのことで非常に苦慮しているという話が伝え聞こえています。もともと、館長会の要望としても、前回も取り上げたので繰り返しませんが、図書の再活用は慎重にという要望も、教育長会に出されていたのは、前回紹介したとおりであります。残念ながら二月いっぱいで、処分先も決めてしまうということになったわけです。
それと、もう一つ、前回も確認しましたが、図書館協議会が、この問題について、きちんとした理解を得られていないという問題、これは前回、部長さんの答弁でもはっきりしました。図書館協議会の役割、私改めて法律など調べてみましたら、公立図書館が法律で定めることができる唯一の図書館の運営に関する協議機関ですね。したがって、法律の趣旨に基づけば、都立図書館のあり方を検討する際には、諮問、答申の制度があるわけですから、当然、図書館協議会の意見を聞くというのが筋だと思うんです。
今まで、図書館協議会で、今回のように、都立図書館全体の基本政策にかかわるような問題について、例えば、都立図書館のあり方、体系の問題、日比谷図書館の今後の問題とか、そういうことについて、当然諮問をしたり、答申を受けたりしたことがあったと思うんですが、いかがでしょうか。
〇嶋津生涯学習部長 図書館協議会の諮問につきましては、あるいは意見具申につきましては、この間幾つかのことをお願いしてまいりました。一番最近では、ご存じのように、二十期が、ITを活用した図書館サービスの向上のあり方についてというところをお願いをいたしました。
それから、十九期では、児童、青少年の読書ということをテーマにいたしまして、児童、青少年に対する図書館のかかわり方をお願いをいたしました。
今回の見直しに関連して申し上げれば、十六期で、都立図書館の資料の保存機能についてということで、保存が目いっぱいになる図書館のあり方として、例えば一点主義をとるべきであるとか、そういったことのご進言をいただいております。
〇曽根委員 つまり、今回あり方検討会を教育庁内部につくって検討するとしても、その中身については、図書館協議会に対して、前回のようにきちんと諮問することは可能だったし、すべきだったと私は思うんです。
それから、もう一つ、昨年十月十九日に最後の協議会を開いて以降、このあり方検討会の最終報告をまとめることしの二月まで、図書館協議会の新しい二十一期がいまだに立ち上がっていないんですけれども、過去の図書館協議会、大体二年任期でやっています。私、十五年ぐらいさかのぼって調べてみたんですが、空白期間が、今五カ月目に入りますけれども、五カ月も続くというのは初めてじゃないんですか。
〇嶋津生涯学習部長 図書館協議会につきましては、大変貴重な存在である、機関であるというぐあいに認識してございまして、今回のあり方検討会につきましても、最初発足する段階で、こういう委員会をこういう趣旨で発足しますということをまずご報告をいたしました。
それから、七月に、たたき台としてつくりました中間のまとめについても、各委員にご送付申し上げておりました。それから、八月九日でございますけれども、図書館協議会に中間のまとめを説明する機会を設けまして、ご議論いただきました。それから、十月十九日でございますけれども、改めて図書館協議会にこの内容をご報告し、いろいろのご意見を伺いました。
それを踏まえまして、二十一期をどうするのかというお話でございますが、二十一期につきましては、ただいま公募委員の手続も終わりまして、ほぼ発足の準備は整いつつございます。ただ、基本的にどんなテーマでやるかにつきましては、ちょうど今、この委員会もそうでございますが、貴重なご意見を議会からも、区市町村からも、いろいろいただいているところでございます。その内容を見きわめまして、一番ふさわしいテーマは何かということを協議会にご案内を申し上げていきたいというふうに思ってございまして、この議会があけます四月早々には、発足に至るように努めてまいりたいと考えてございます。
〇曽根委員 正確にちょっと、事実を答えていただきたいんですが、五カ月も、つまり四月になると六カ月目になるわけですが、六カ月間も空白になるというのは初めてじゃないんですか。
〇嶋津生涯学習部長 今まで三カ月、四カ月という空白のあいたことがございました。五カ月というのは今回が初めてでございますが、先ほど申し上げましたように、まさに今議論が、いろんな形のご意見がございますものですから、様子を見ているということでございます。
〇曽根委員 一番大事なときに図書館協議会を立ち上げないで、様子を見ているという自体が、私異常だと思うんですよ。
それで、その図書館協議会というのは、まさに図書館の問題を考える専門家の集まりですが、これに対して、あり方検討会というのは、教育庁の内部につくられた組織です。このあり方検討会の中には、司書の方はいらっしゃるのですか。
〇嶋津生涯学習部長 あり方検討会のメンバーでございますけれども、あり方検討会は、部長級の委員会と課長級で構成いたします幹事会とに分かれてございます。この幹事会の中に、司書の管理職が幹事として入ってございました。
また、この委員会の設置要綱の中に、委員長が必要に応じて委員以外の出席を求めることができるという規定がございまして、これに基づきまして、図書館の司書を、いわばオブザーバーとして適宜、委員会に出席させてきたところでございます。
〇曽根委員 あり方検討会のメンバーは、私たち検討会の報告をもらったときに巻末についていたのですが、どなたが司書の資格を持っているのですか。
〇嶋津生涯学習部長 幹事の一人でございます、中央図書館の情報サービス課長、比嘉という者でございます。
〇曽根委員 これは、括弧内は前任者氏名というふうに書いてあって、比嘉さんはこの幹事会の前任者ということになっているのですが、そこだけ、簡単なことなので、ちょっと確認いたします。
〇嶋津生涯学習部長 人事異動がございました関係上、前任という形になってございます。
〇曽根委員 わかりました。必要に応じて司書の意見を聞くことができるということで、実際には司書の方の具体的な協力は得たのでしょうか。
〇嶋津生涯学習部長 一緒に仕事をしている仲間なものですから、十分意見を聞いてきたものと考えてございます。
〇曽根委員 少なくとも東京都内部で、図書館の仕事に携わっている司書の方が、この問題について、私の知る限り、具体的な協力は一切してないというふうに聞いています。どこか外からの司書さん、だれか専門家をお願いしたのかもしれませんが、少なくとも片方で図書館協議会という、まさに図書館の専門家の集団がありながら、それを、ろくに報告もせず、論議もやらないで、しかも内部で協力−−まあ、司書の方、一人いるようですけれども、やってきたというのは、非常に異常だと思うのです。
それと、一番大事な問題なんですが、今回二十期で、先ほどご報告のあったように、ITを活用した図書館サービスのあり方についてという諮問をして、答申を受けられているわけですよね。ところが、そのITを活用した図書館サービスの前提である東京都の図書館のあり方が、検討会によって大きくさま変わりをすることになった。
それで、議事録を教育庁からいただきましたが、最終日、十月十九日の協議会の議事録では、最後のところで、各委員の方が、タイミングが合わないというか、日比谷図書館のあり方というのはどうなるのだとか、今期は、つまりこの提言をまとめ終わったときにあり方の話が出てきたので大変困っている、そういう話ができなくて非常に残念だとか、むしろそういう状況を踏まえながら、検討会がやられていたという状況を踏まえながら、一緒にいろいろなことを考えられたらもっとよかったのだろうなというふうに思うのですけれども、そういうところは完全に切り離してというか、ずれてやらざるを得なかったというあたりが結果的にはロスだったかみたいな、という意見が、次々と最後のところで出ているのです。
つまり、図書館サービスのあり方を諮問して、お願いして、答申をいただくのと並行して、その前提となる東京都の図書館のあり方そのものを、今後は一定量以上の図書の蔵書をやらないとかいうことを具体的に決めてしまうわけですから、こういう意見が出るのは当然だと思うのですが、そういう点では、この諮問や答申の前提を崩すような結果となったということは、お認めになるでしょうね。
〇嶋津生涯学習部長 私どもは、図書館協議会の意見というのは大変重要なものというように考えてございます。
ちなみに、今お話のございました、ITを活用したサービスの向上でございますけれども、この中に、今後、都立図書館の目指すべき方向ということで、二点、したためてございます。
一つが、都民の高度な調査研究への援助、二つ目に、区市町村図書館への地域情報拠点を支援すること、この二点をポイントにしてございます。
これはまさに、私どもの今回のあり方検討会の報告書の一番の基本をなすものというように考えてございまして、この報告書の趣旨は、そのまま生かされているというふうに考えてございます。
〇曽根委員 そういう大まかないい方をしたら、だめなんですよ。例えばこの答申の中では、説明に出てきますけれども、あくまで東京都立図書館の役割というのは、市町村の図書館ではできない高度な情報提供や研究への援助が役割だということを前提として、その後の答申が書かれているのです。
だから、まず第一は高度な情報の提供なんですよ。その次が、コミュニケーション機能の活用だったかな、三番目にやっと、区市町村との関係で、今後は、区市町村との相互検索をIT技術を活用してできる方向が開かれたよというのが、やっと出てくるのです、三番目の最後に。
ところが、今回は、前回も議論はありましたけれども、東京都の図書館の本を市町村の方に譲り渡していくわけですから、むしろ、最後にあったこの市町村との相互検索を充実させることが、非常に重要な今後のあり方として考えなければならぬということは前回議論があって、わざわざこの図の矢印まで変えるということになったのでしょう。明らかに、前提条件があり方検討会によって変わったから、市町村との相互検索、つまり、お互いにやりとりするということを考えないとならないということになったのじゃないですか。
〇嶋津生涯学習部長 先ほど、この報告書、すなわち図書館協議会の出された報告書で、都立図書館の目指すべき方向ということで、二つがございますということは、間違いもなく正面から書いてございます。
もちろんITも重要でして、そのことにつきましては、まさに区市町村に対する都立の図書館のあり方として、高度な本であるとか、高価な本であるとか、そういったものをバックアップすることにつきましては、それもここで触れられていることでもございまして、最終のあり方の検討会の報告書の中にも、区市町村をバックアップする、それから高度な資料は購入して、その支援を続けるといったことについては、きちっと明記をさせていただいたつもりでございます。
〇曽根委員 そういうことが今までどおりの前提でやれるのであれば、何もこの委員の人たちは、自分たちが検討している最後にこんなあり方が出てきているというふうにはいわないですよ。それは、結局、東京都の蔵書能力の限界がもう来てます、これ以上のものは、簡単にいえば、もう保存できませんという方向が出ちゃったので、みんな心配しているわけですよ。
具体的に、都立図書館のいわゆる市町村に対するバックアップ機能、情報提供機能を本当にレベルダウンさせないで済むのかという問題で、前回は、部長さんはダブっている図書は都立図書館全体で一五%しかない、だから、ダブっているものを今回手放しても、協力貸し出しはできるのだ、レベルダウンしないのだというふうにおっしゃいましたが、多摩図書館で図書を再活用ということで、私にいわせれば処分していくわけですから、多摩図書館でダブっている本がどれくらいあって十万冊が消えていくことになるのか、そこが大事なんですよね。多摩図書館では、中央とのダブり本というのは、どれくらいの割合であるのですか。
〇嶋津生涯学習部長 前提といたしまして、多摩図書館でダブっているということは、中央図書館でもダブっているということでございまして、その双方合わせての数字が、この前の一五%でございますが、今回、多摩図書館の所蔵する図書約七十万冊でございますけれども、そのうち、中央と多摩とでダブっているという形で申し上げれば二十九万冊で、全体の約四一%でございます。
〇曽根委員 つまり一五%じゃなくて、問題は、多摩の本の四割がダブっていて、その二十九万冊のうち十万冊を手放すということによる影響が問題だと思うんです。
それで、今まで多摩の市町村から貸し出し要請が来たうち、多摩図書館の蔵書で対応できたものは、どれくらいだったんでしょうか。
〇嶋津生涯学習部長 約六七%でございます。
〇曽根委員 そうしますと、今までは多摩図書館にも、中央とのダブりで本がありましたから、市町村から問い合わせがあって、市町村にない本がこちらに問い合わせが来る、そうすると、そのうち六七%、七割近くは多摩図書館に本があるので即対応できたと、しかし、今度は十万冊を処分、再活用した後は、それが維持できるかどうか、ここが問題だと思うのですよ。
多摩図書館に利用者が来た、市町村の図書館になかったので、ここでないかという問い合わせがあった。そのときに、そこにあれば、それで今までどおりなんだけれども、処分してしまうわけですから、かなりの割合でそこにない、そうすると中央から取り寄せになる、その分、サービスはやはり違ってくるし、レベルダウンになると思うのですが、これがどれくらい維持できるのか、それともどれくらい下がるのかということです。
〇嶋津生涯学習部長 中央の方から持ってくるものでございますけれども、従来も三割、三分の一は中央図書館から持ってまいってきてございます。
今回の改革によりまして、私どもとしては、この辺のサービスは低下させないという方針の中で、中央と多摩の図書館の輸送力の強化を図る、すなわち、搬送車を週二便から四便というぐあいに倍増いたしまして、サービスの低下をもたらさないようにするという努力をしてまいりたいと思ってございます。
〇曽根委員 実際に、今までの実績をよく調べればわかると思うのですが、七割くらいは対応できていたものが、今回十万冊を手放したことによって今後どれくらいまで落ちるのかというのは、まだ検討されていないですか、推測もないですか。
〇嶋津生涯学習部長 詳細な数値は、まだでございます。
〇曽根委員 六七%のレベルを維持することは無理だと思うのですよ。中央から取り寄せるということになれば、少なくとも来たときにはすぐには渡せないですから、早くて翌日、大体二日くらいかかることになるでしょうね。そういうことがある。
もう一つ、私、中央と多摩の図書館の間の車を週二回を四回にするのは結構ですよ、いいことだと思います。しかし問題は、市町村の図書館から問い合わせがあって、中央にもらいに行って、多摩を通じて市町村の図書館に持っていく、このときに、最終的には、市町村の図書館と多摩図書館との間の車の便がどうなるかが問題だと思いますよ。中央と多摩との間は週四回になった、市町村と多摩の図書館との便は、今、週一回と聞いているのですが、これはふやすあれがあるのですか。
〇嶋津生涯学習部長 ご指摘のとおり週一回でございまして、当面、このままの水準でまいりたいというふうに感じてございます。
〇曽根委員 そうすると、市町村の図書館に申し込んだ人は−−これは中央に直接申し込めないそうですね。多摩図書館に一回行って、そこになければ中央に行って、中央から本が来て、多摩図書館から市町村へ来る。そうすると、週一回の便が市町村と多摩の間で変わらないのであれば、幾らその先が週四回になっても、本の来る便は週一回なんですよ。
そういう点では、余り私は、何というか、多摩図書館で即対応できない分だけのサービスダウンは免れないだろうというふうに思うし、今後、もし中央図書館と多摩図書館で置いておく本を、役割分担をはっきりさせるということをやるというならば、この種類の本は中央にあるのか、多摩にあるのかというのが、分けられていれば最初からわかるわけですから、そういう場合には、当然、中央図書館から直接、多摩の市町村の図書館にも車の便を出すというのが、考え方としては筋だと思うのですが、そういう計画というのはないのですか。
〇嶋津生涯学習部長 基本的に、今、多摩の図書館と区市町村との関係は一週間に一度という仕組みを維持せざるを得ないという状況にございます。
しかし、二便から四便にすることによって、幾つかの組み合わせによりますけれども、場合によってはかなり早目に入手できる、サービスを受けることができるという図書館もあり得る、というぐあいに考えてございます。
それから、全体的に中央図書館、多摩図書館、あるいは区市町村の図書館の連携をどうするかにつきましては、今後、各自治体と区市町村との相互連絡ネットワーク等々を積み上げる中で、より合理的な仕組みを構築してまいりたいと考えてございます。
〇曽根委員 余り細かいことは立ち入るとあれなので、これくらいにしておきます。
それから、これは最後の点で、非常に気になっているのですが、引き取り先を決めて、できるだけ早く発送したいというお話でしたが、行った先の市町村でその本がどう扱われるのかという問題について、基本的にはもう東京都の手は離れるので、責任は持てなくなってしまうのですけれども、それにしても気になるのは、例えばこういう話があります。
町田市では、今後、多摩の市町村で共同で使える方向で、デポジットというのですか、共同の書庫みたいな形で保管して、そういうシステムをつくる、ただし、それには二、三年かかるだろう。したがって、あそこは多摩の五万七千のうち五万冊くらいを町田が受けるらしいのだけれども、五万冊を、いわば多摩の市町村の共同の活用ということで引き受けて、しかし、二、三年はかかる。そうすると、その間、二、三年は行った先の図書が一般の人には利用できない状態に置かれてしまうと思うのですが、そういうことは事実でしょうか。
〇嶋津生涯学習部長 町田の要望でございますけれども、私ども今回の図書の再活用計画につきましては、先ほどお話をしましたように、公表した基準がございます。その中で、多摩の地域を優先するという、まず第一のスタンダードがございます。
それから、町田市からは教育長名で、全本、十万冊をすべて欲しいという強い要望がございました。あわせて、多摩の相互の自治体と連携をとりながら、お互いに利用できる仕組みをつくっていく、そういうコメントもございまして、そのことが、私どもの報告書に書かれてございます自治体間の相互協力ネットワークをつくる、そういう趣旨にも合致しておりますこともこれあって、地方分権の方向を踏まえまして、配布先として町田市に五万冊を提供するものでございます。(曽根委員「二、三年かかるのでしょう」と呼ぶ)新しい仕組みをつくる、そういう意気込みの中で、二、三年が有効に検討される期間というぐあいに考えてございます。
〇曽根委員 これは、あり方として、私は町田市が全多摩の市町村のいわば共同書庫の管理者になって引き受けるというのは、市の財政の問題からいうと、ちょっと首をかしげるところがあるわけです。事務組合が共同でもって財政を出し合うならまだしも、そういう点でいうと、なぜ東京都がそういうことをやれないのかというふうな疑問もあります。
ただ、町田市がそういうことで、十万冊全部受けてでも共同のあり方を検討したいと、それはいい、そういう意味では、その努力は多とすべきだ。しかし、二、三年かかるのだったら、なぜ二、三年図書を送るのを待って、その間、東京都の図書館で活用するということを考えないのですか。なぜ今、三月中に何が何でも送らなければならないのか。そうすると二、三年眠っちゃうわけですから。幾ら何でも二、三年で、五万冊ですか、置き場所がなくなるということはないわけで、その間だけでも、東京都の方で活用する、一般の方が利用できるようにしておくというくらいのことは考えられると思うのですが、いかがですか。
〇嶋津生涯学習部長 そもそも、この図書館のあり方検討委員会のベースになりましたのは、地方分権一括法を含めた地方分権の流れの中で、どれだけ区市町村が主体的に図書館サービス、住民サービスを担っていくかというところに眼目があろうか、というぐあいに思ってございます。
そういう意味では、町田市の強い熱意は、私どもとしては、まさに新しい芽出しとして、大いに期待を申し上げていきたいというぐあいに考えてございます。
〇曽根委員 その活用することに、いろいろと期待を寄せるのは結構なんだけれども、その間、少しでも、行くことがもし決まったとしても、本を活用するくらいのことは、私は東京都として検討するくらいのことがあっていいのじゃないか。
とにかく三月中に、年度末中に本を出してしまいたい、東京都から手放してしまいたいというのが最優先されているからそういうことにならざるを得ないのじゃないか、ということは申し上げておきたいと思います。
私、まだ、実際には作業が、最終段階には来ているものの、各市町村での行き先のリストや、それからどこの市にどれくらいの本が行くのかということについても、最終的な公表がまだされていないようなので、まだまだ私は部分的にでも検討して、活用できるものは手元で活用するという余地がある以上、その努力をすべきだという意見を申し上げて、終わりたいと思います。