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2002年11月29日文教委員会
都民からの請願陳情質疑と女性財団廃止問題

**生活文化局**
●千代田学園問題で都の責任を質す

○曽根委員 今、服部副委員長の方からかなり綿密な質問があって、大半はダブっておりますので、その点は省略いたします。
 私も、何よりも、今通っている生徒さん、学生さん、また、その家族の立場にたって、これからもし転学という風な事態になった場合には、改めての入学金の負担とかそういうことがないように、今まで払った授業料、学費がムダにならないように最大限努力をしていただくようお願いしておきたいと思うのです。
 私、ちょっと二点だけお聞きしておきたいのは、一つは、現在の理事者が、最近名前が変わったようですけれども、父母に対する態度が非常に不誠実であるということを都としても指導する機会はなかったのだろうか、この点です。
 ことしの春に、一部授業を縮小したり、ビルのことについての届けの変更があった際に、都はこれを承認しているわけですね。
 その後、破綻が明瞭になって新聞報道もされたわけですが、この(陳情の)一項目であるように、都の指導もあって、10月28日に保護す兄対する説明会が行われています。その際、この記録を見ますと、学園の説明として、今までは学納金は振り込まれたものは保管してあるというふうにしてあったのが、現金は既に使ってなくなっているというようなことが説明であった。すると、今までの説明というのは虚偽であったということになるわけで、これは重大な事実だと思います。この点については、都は事前にこのことを知っていたのか、知っていたとするならば、いつ知ったのかをお聞かせいただきたいと思います。

○中澤私学部長 保護者説明会がありまして、当日、職員が傍聴をしておりました。そこで、後期授業料の一部が既に使われているとの学園側の説明があったことは伺っておりますが、そのときに知ったということでございます。

○曽根委員 確かに、民事再生手続きに入るか、または始まった段階から、この財政の管理その他は監督人の方に移行するかもしれませんが、少なくとも春の段階、それから民事再生の手続きに入る前の段階では、東京都には、定期的な学園からの報告、特に重要な理事会からの報告があったと思うんですね。その中には、既に学園の経理状態が悪化して、父母に説明していることとは違う事態が進行していることが都にとって分かっていた段階があったんじゃないかと思うんですが、そういうことはなかったんでしょうか。

○中澤私学部長 千代田学園の経営の問題につきましては、先ほど来委員からご指摘がありますように、十四年度に入りましてからは、毎週の定期報告を義務付け、報告を強化してまいりました。7月頃から、給料の遅配など資金状態の悪化が懸念をされていることになりまして、しかし、法人側は、債権化脳という説明を私どもにしてまいりました。ただ、都は裏づけとなる資料の提出を求めたものの、またそのほか、補助事業の現地調査等も行って来ましたが、補助金の適正執行は確認できたものの、法人収入の前坊を把握するということには至りませんでした。そういう状況の中で保護者についての不安等の話がでてきた、そこで私どもとしては、学園に対して、保護者に対して、あるいは、正とに対してきちっと説明するようにということを文書でもって流したところでございます。

○曽根委員 いつの段階で破綻が明瞭になり、そして、民事再生手続きに入っていますけれども、もっと前に別の、より何といいますか健全な解決の道があったんじゃないかという問題は、既に学園の職員の方々などから告発もされて警察も動き出しているというふうに聞いていますので、この中で明らかにされていくと思いますけれども、少なくとも、都が努力をすれば知りえた実態を、ちょっと手をださないで傍観していた問題があるとすればこれは重大なので、その点は、改めて今後もただしていきたいというふうに思います。
 実際のところ、新聞報道されるまでは、内部情報に付いても本当に正確なところがわからなかったという今のお話ですが、そういう点でいうと、今後については絶対に後手に回ってはならないと思うんです。この点は服部副委員長から詳しくご質問がありましたので省略しますが、少なくとも、万が一民事再生手続き、これは私は率直に言って、理事者側の態度や内実から見て難しいとおもうのですけれども、それが破綻した状況、民事再生手続きがもうできないということが明らかになった段階で速やかに何らかの対策を都が主導して行う必要があると思いますが、この点を改めて聞いておきたいと思います。

○中澤私学部長 破綻に至った場合、その後は、債権者等のお話もございますけれども、改めて事態の推移を明確に把握をし、十分把握をし、生徒が授業継続できるように準備を進めていきたい、こういうふうに思っております。

○曽根委員 この問題は早晩結論が出るわけで、年内から年明けにかけて、私たち議会としても、請願陳情を受けた以上は、できるだけ最大限この問題の解決に、我々、できるところで対応していきたいというふうに思っておりますし、ぜひ、この委員会の場も含めて、今後の対応を都にもお願いし、また私たちも、父母の方々、学生の方々の立場、身分が守られるように努力していきたいと申し上げて、質問を終わります。

**教育庁**

●ソフトボール専用グランド整備を要望する請願について
(大田区のソフトボール関係者からの請願で、なぜか紹介議員は自民党の山崎貴明議員のみ。もちろん共産党にも要請があれば紹介議員になっていたのですが・・。)

○曽根委員一言だけ意見を述べさせていただきます。
 これは、大田区の方からの請願で、紹介議員の方のお名前を見ると、湾岸地域を想定して、湾岸部、いろいろな空き地があります、都有地がありますので、そこにつくってほしいということかなというふうに思うんですが。
  一つは、我々、臨海開発地域も含めて、駐車場などに利用されているけれども、スポーツの施設をつくれば非常に有効な場所がかなり臨海部にあるということで、先日出たホッケーの専用グラウンド、あれは駒沢という指定がありましたけれども、スポーツ施設がまだまだ足りない東京で、この地域にぜひ専用の競技場をつくるという請願については、これはぜひ積極的に検討していただきたいというのが一つです。

 それから、ソフトボールという競技については、最近オリンピツクで女子のソフトボールが非常に優勝もしくはそれに近い、大変高い水準のレべルを国際的にも発揮しているということでは、国民的にも関心が高くなっているところであり、東京都が率先してこうした専用球場をつくっていくことには大きな意味があると思いますので、ぜひ趣旨採択をしていただければというふうに思っております。
 以上です。
*(結局、この請願は、自民、公明、民主などにより保留とされてしまいました)

●水元青年の家の存続を求める請願

○曽根委員 水元青年の家の問題と、それから今お話も出ていた江東区夢の島につくっているユース・プラザとの関係について。これは、ちょっと、もとを正せば古い話になりますが、ユース・プラザという青少年の活動の多様性に対応した新しい施設をという構想も生まれてきたと同時に、当初は青年の家はそれとしての役割を持っていると。都内七力所、地域的な役割が非常に重いということで、両方やっていくという構想の期間があって。その後、ユース・プラザに一本化するという話になっていったと思います。
 ユース・プラザについては、PFI方式、その他について、ことし六月の第二回定例会の際に私も質問を行いましたので、この点については省略いたしますが、ここに一本化されていこうとしている水元青年の家。聞くところによれば、来年春の第一回定例会には廃止条例も予定されているかのように聞いておりますので、フレキシプルに議論ができるのは恐らく今回の請願のこの審査が最後の機会かなと、このままいってしまうと、というふうに思いますので、大事な問題なので幾つか聞きたいと思います。
 非常に貴重な役割を果たしていることは、私も聞いておりましたし、また先日、現場にも伺って、確かに石原知事ならずとも、あのシチュエーション、水元公園、自転車をお借りして回ってみたんですが、ちょっとやそっとじゃなかなか回り切れないぐらいの広大な、二十三区の中にこんな公園があったのかというぐらいのすばらしい景観や、それから自然の保全がされているという中にあって、それとの一体で利用できる青年の家の施設。
 当日、行った日は、スポーツ団体がそばの広場でバーベキューか何かやりながら、宿泊はこの青年の家、こういう使い方をしていたんで、そういうふうに利用されているんだなというふうなことを実感しました。
 それで、お聞きしたいのは、やはり区部のユース・プラザに一本化される場合、一番困るのは葛飾区民の利用だと思うんです。日帰り利用団体の中で、葛飾区の区民を代表者とする団体がどれぐらいあるのか、宿泊ではどうか、それぞれちょっとデータをお知らせいただきたい。

〇鈴木生涯学習スポーツ部長 葛飾区内、区外の別を、利用団体者の居住地で区分いたしますと、平成十三年度の利用比率は、日帰り利用では総利用団体数百七十のうち六十三団体が葛飾区内であり、約三七%でございます。なお、日帰り利用は、個々人のそれぞれの居住地を確認できない状況がございますので、人数については不明でございます。
 一方、宿泊利用は、総利用団体数五百二十四のうち七十二団体が 葛飾区内でございまして、約一四%でございます。なお、年間宿泊者は一万九千六百十七名でございますが、葛飾区民の宿泊者は三千百五十四名でございまして、その割合は一六・一%でございます。

 ○曽根委員 宿泊よりは、日帰り利用の団体が非常に便利に利用しているんだと思うんですね。約四割近くの区内団体の利用があると。それで、私も測ってみたんですけれども、この葛飾区の水元周辺から、ここを通って夢の島のユース・プラザまで新たに利用しようと思うと、交通機関を利用しても小一時間かかりますよね。そういう点で、仮に百歩譲って、あの形でユース・プラザをつくるとしても、その水元青年の家のところに何らかの今と同じぐらい利用できる施設が欲しいというのは、切なる願いとしてあるだろうと思います。
 もう一つの面として、利用団体の構成といいますか、やはり青年の家ですから青少年団体が多いんじゃないかと思うんですが、利用団体、これは宿泊団体でいいんですが、宿泊利用団体の構成の内訳はどうなっているんでしょうか。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 主な宿泊利用団体は、大学生のサークルが三〇%、少年少女団体が二九%、社会人団体が二三・五%となってございます。

○曽根委員 学生もしくは少年少女団体で六割を占めている。社会人が二三・五%。この中には、一部障害者の方の団体も入っているんじゃないかなと思うんですが。したがって、経済的には負担能力のなかなか高くない団体の方が、青年の家ということで非常に格安の料金ですから、非常に便利に利用していた。例えば、近くの福祉作業所の合宿だとか子ども会とか、お聞きすると、これぐらい便利な施設はないということで、本当に日常的に、特に春休み、夏休みの時期には、ほとんど施設は満杯という状態で利用されているというふうに聞きました。
 これらの方々が区部ユース・プラザで吸収できるのかと。地理的にももちろんなんですが、料金的にはどうにも難しいと思うんです。例えば、そういう、今まで青年の家を利用してきた方について、また青少年団体についての料金的な減免や、もしくは割引など、ユース・プラザの方で検討されているんでしょうか。

○瀧川参事 お尋ねのユース・プラザで、例えば学校教育活動として利用した場合、減免制度があるか、この点についてお答え申し上げます。
 区部ユース・プラザにつきましては、条例設置の施設ではございません。都が減免や免除の制度を設けることはできません。ただし、事業者からは、各種割引料金を設定するとの提案を受けており、具体的な割引料金の検討に当たりましては、都としても積極的に事業者に働きかけてまいりたいと考えております。

○曽根委員 残念ながら、条例設置の施設ではないので、区部ユース・プラザで、例えば学校教育もしくは社会教育の団体だからということでの、青少年については料金が今二千円ぐらいですか、上限でね。それをさらに下回る料金設定というのは、今のところは検討されていないようです。
 したがって、やはり葛飾区民であったり、もしくは青少年、学生の団体である、今利用している方々が区部ユース・プラザに利用がえをするというふうに当たっては、かなり大きな障害があるというふうに思わざるを得ません。
 そこで、何らかの形で水元青年の家を残せないかと。先ほど、私も聞こうと思っていたのでお答えがあったんですけれども、このまま廃止すれば、土地は建設局の持ち物ですから、更地になってしまう。たとえ古いとはいえ、施設が現にあるにもかかわらず。
 手直しすれば、まだまだ使えるんじゃないかと私は思ったんですが。耐震補強も二階建てですから、それほど高額の耐震補強工事は必要ないと思いますが、そういう建物であるにもかかわらず、取り壊して更地にしてしまうというのは非常にもったいないなと思います。
 その点で、地元の葛飾区との間で、跡地もしくは施設跡の利用をお願いするとか、もしくは何らかの協議をするとかいうようなことは行われているんでしょうか。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 先ほどもご答弁申し上げました通り、水元青年の家の敷地は建設局からの土地使用の許可により使用してございます。基本的には、建物を取り壊し、更地にして、速やかに返還することとなるというのが基本でございます。
 廃止に当たりましては、葛飾区を含む関係機関の意向を再度確認してまいりたいと考えておりますが、既にちょうだいしております葛飾区からのご要望では、都が引き続き運営してほしいというのが趣旨としていただいております。

○曽根委員 担当部長さん、ご存じかどうか。ちょうど昨日、葛飾区の区議会本会議が開かれて、これは私どもの会派じゃないんですけれども、自民党の大森さんという区議会議員が本会議質問の中で、青年の家の都営での存続、そして葛飾区として何らかの都営以外の方法を考えているのかと、PFIとか、という質問をされたようなんですが。
 それに対して、区の担当部長は、この水元青年の家は地元住民の方々が長年運動し、求めてできた経緯があるということと、区だけではなく、区議会も含め、地元の住民の方々を含めて、これは都で残してほしいという決議を何度も上げているということで、この姿勢に変更はないということと。区が引き受けるということについては、施設の老朽化や雨もり、耐震補強がされていないことから、財政的に困難という明確な答弁をされているようなんですが、お聞きになっておりますでしょうか。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 昨日の件につきましては、大変恐縮ですが、私ども、存じ上げておりませんでした。既に過去の話になりますが、平成十四年九月三十日、葛飾区議会から存続を求める意見書が提出されてございます。区は、財政難で、水元青年の家の購入や運営は不可能ということでお話は承っております。

○曽根委員 今のお話と、先ほど区の意向を確認するということと総合してあわせますと、単純に考えると、廃止条例を提案するに当たって、東京都は葛飾区の意向を確認すると。葛飾区は財政難で受けられない。ああ、そうですかということで廃止条例が出る。それが通れば、速やかに取り壊し、返還。
 建設局で、じや、仮にですよ、施設を利用するというようなことがあり得るのかと思ったら、あの公園内には建設局所管の緑の相談所というのがあって、こちらは建物がまだ十年弱の新しい建物なんですが、局の方針により、緑の相談所の機能は閉鎖されて、まだ建物は新しいのにシャットアウトになつているんですよ。かぎがかかつている。中には自動販売機までそのまま置いてあるんだけれども、週に一遍、だれかが来てボランティア的にあけているらしいんですけれども。
 建設局も相当なものですよ。建物、まだ十年たってないぐらいの新しい建物です。そういう建設局に、青年の家が恐らく渡ったら、もう一巻の終わりだろうというふうに思います。
 したがって、この請願は、私はぜひ採択すべきだと思うと同時に、局はこの地元の総意というよりも、だれもが都で何とか残してほしいと求めている声を受けとめて、少なくとも第一回定例会に廃止条例を提案して、それでもってちょんとするようなことは絶対ないように心からお願いしておきたい。
 以上です。

○渡辺委員長 ほかに発言がありますか。

   〔「なし」 と呼ぶ者あり〕

○漢辺委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、保留とすることにご異議ございませんか。

   〔「異議なし」 と呼ぶ者あり〕

○漬辺委員長 異議なしと認めます。よって、請願一四第七三号は保留といたします。

●都立図書館の図書の大量処分に反対する陳情

〇曽根委員 昨年度末に都立多摩図書館から当初の計画で十四万冊、最終的には十万冊弱になったそうですが、複本の図書をダブルで持たないということで、古いものから除籍処分する。これを多摩を中心とした区市町村の公立図書館がそれぞれ受け取るという形で行われてきて、私たちもその際に都立図書舘のキヤパシテイーや、それから図書館の持っている役割からいって、複数本図書を今保存していくことは可能であるし、また都民が複数で利用することも考えれば、一つのタイトルの本を複数持っていることは、決して図書館としてむだなことではないという立場で意見をいわせていただきました。
 その後も、さらに今年度に入って、聞くところによると、また十万冊、もしくはそれ以上の書籍の処分が次々行われているようですが、この間の経過についてお答えいただきたい。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 平成十四年一月に公表されました都立図書館のあり方検討委員会報告に基づきまして、収蔵の効率化を図るため、都立図書館の書庫を一体的に管理するとともに、中央図書館と多摩図書館で重複して所蔵している資料は、原則一点保存とし、重複資料は区市町村立図書館等に提供して有効活用を図っているところでございます。

 これまでの資料再活用は、平成十四年一月、八月の二回実施し、その結果、対象資料十三万九千四百六十七冊のうち、区市町村立図書館や都立学校等に十一万二千四百四十六冊をご提供申し上げました。
 なお、再活用先未定の資料につきましては、都立図書館で保管し、繰り返し再活用を図っていく予定でございます。
 また、三回目としまして、本年十月から約九万冊の再活用を図る計画のうち、区市町村立図書館の書庫の状況等を勘案し、約四万冊の再活用先を現在調査中でございます。
 また、残りの約五万冊につきましては、区市町村の状況を見ながら再活用を図っていく予定でございます。

○曽根委員 昨年度約十四万冊、そのうち十一万二千余りが既に区市町村立図書館などに行っていると。残ったものは都立図書館で保管していると。
 最初の方針では、関係者への説明の中で、もし引き取り手が見つからない場合は一般の利用者にご自由に持っていってくださいというふうに、よくやられている方法で提供し、それでも引き取り手がない場合は、文字どおり焼却処分と、清掃工場行きというお話もあったので、大変怒りが広がったというふうに聞いております。そういう説明の段階から見れば、三万弱が今まだ都立図書館の中に保管されているという点では、若干前進したのかなと思いますが。
 それから、もう少し聞いておきたいのは、ことし十月に約九万冊の再活用を図る予定で、四万冊を活用先を調査中と、五万冊はとりあえずは置いておくと。この四万と五万を振り分けた基準といいますか。それで、九万冊、再活用を図りたいんだけれども、五万冊が残るというのはなぜなのか、その点について、もう少し中身と、それから理由を詳しく教えてください。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 三回目の本年十月から予定しております九万冊のうちの四万冊の再活用先は、現在調査中でございますが、これは多摩図書館以外の部分の図書でございます。したがって、残りの五万冊でございますが、区市町村の状況ということで、実は私どもも町田市の事例が新聞等に記載されまして、再活用につきまして十分な効果を果たすことについて期待しております。そういう点で、現在の区市町村の状況を見て再活用を図っていくということにしております。

○曽根委員 関係者の方にいろいろと実情をお聞きしたところ、現状では区市町村立図書館も、もちろんそこでも新しい本を、大分減ったとはいっても買い足していかなきやならないと。これは、利用者からのニーズが当然ありますから。その分、古い本についての処分を考えなきやならない。その上に東京都から、あの人たちにいわせると、押しつけられるものがあって、その分の引き取りも考えると、もう満杯と。したがって、九万冊、どうぞといわれても、半分以上は受けられないという実情は、これは東京都も無視できないと思うんですよね。

 それで、東京都の方の書庫はどうかといえば、日比谷を初めとして、かなり図書書庫はまだあいていると。自分のところはあいていながら、区市町村がほとんど満杯なのに、合計すれば二十三万冊の本を区市町村に引き取ってくれ、引き取ってくれといっているけれども、無理だと。こういう実情から保管せざるを得ない。
 考えてみれば、ちょっととんでもない話じゃないかなというふうに思うんですよね。区市町村の方もたまったものじやないと思います。

 それで、一点だけ事実確認をしたいんですが、今保管されている、昨年処分予定だったもののうちの残り三万冊弱、それからことしの九万冊予定のものの五万冊、これは都立図書館の中に保管されているけれども、貸し出し、その他の提供は現在行っているんでしょうか、それとも、もうただ保管されているだけの状態なんでしょうか。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 ご指摘の図書につきましては、除簿をしてございます。したがって都民の利用には提供しないという状況になっております。

○曽根委員 図書館の担当をしている部署として、私はこんな恥ずかしいやり方はないと思うんです。つまり、区市町村に押しつける方針もまた問題ですけれども、引き取り先がないからということで、とりあえず出せないと。出すとすれば、もう清掃工場行きですからね。出せない、しかし、いずれは出したいと思っているんで、都民の利用もさせないと。ただ保管しているだけ。
 この、去年の三万冊弱、ことしの五万冊、合計八万冊弱の本が、事実上、都民利用もできないまま都立図書館の書庫でただ眠った状態と。事実上、図書館の本としては死んだ状態という状況になっているわけで、これが何年続くかわかりません。
 いろいろ今多摩の市町村立図書館の中で、関係者がいろいろなことを今後のこととして話し合っているという事実は私も知っておりますし、それらの集まりにも参加したこともあります。都立図書館がどうしても本を捨てるというんだったら、何とかせにゃならぬと。とにかく焼かせるわけにはいかないということで、多くの善意ある方々が努力をされているようです。

 しかし、それを当てにして、今都立図書館に現にある本を、都民に貸しもしないで八万冊も眠らせておくなんていうことを、どうして東京都の図書館はやるのかという点では、こんなばかな方針は早く撤回すべきだということを申し上げておきたい。
 その趣旨からいって、私は日比谷の、この間ちょっと行ってきましたが、本当にスペースがむだになっているなと思いました。開架図書はごく一部に置いているだけで、あとは雑誌や新聞がちょっと置いているだけで、そういう点では日比谷図書館の、せっかく都心にある図書館の活用も含めて、都立の三館体制をもとに戻して、それぞれ充実を図るというもとの本来の都立図書館のあり方に立ち戻るべきだということを申し上げて、これらの陳情の趣旨は受けとめるべきだということを申し上げて終わります。

○漢辺委員長 ほかにありますか。発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は保留とすることにご異議ございませんか。

   〔「異議なし」 と呼ぶ者あり〕

○涯辺委員長 異議なしと認めます。よって、陳情一四第六一号は保留といたします。

●盲・聾・養護学校の給食調理の民間委託問題についての陳情。

○曽根委員 陳情一四第七〇号、盲・ろう・養護学校の給食、また寄宿舎の賄い調理業務委託について、この陳情者は、養饅学校での給食が始まって六年ぐらいになるそうなんですが、その経過の中で、特に大きな問題となっている異物混入や配膳のおくれなど、こうした事態について、現場では対処し切れない大きな問題があるということで、教育庁に改善を求めているわけです。
 それで、最初にお聞きしておきたいのは、学校給食、なかんずく盲・聾・養護学校での学校給食を民間業者に委託するというのに当たっては、どういう特質を持つべきなのか。その特質に沿って対策を打っておく必要があると思うんですね、ほかの民間の業者への委託事業の中でも。その特徴と対策について、今教育庁として行っていることについて説明をいただきたいと思います。

○比留間学務部長 盲・聾・養護学校の給食調理業務委託では、学校の栄養士が立てた献立に基づく指示書によりまして、受託業者が給食の調理作業を行ってございます。
 調理作業に当たりましては、仕様書の作業基準あるいは文部科学省の学校給食衛生管理の基準、これらに即しまして安全衛生管理に十分配慮することが求められます。
 東京都教育委員会といたしましては、給食調理の委託業務が適切に行われますよう、受託業者の調理従事者を対象に調理実習などの研修会を実施いたしますとともに、衛生講習会も定期的に行っているところでございます。

○曽根委員 私は、この世界、素人なので、素人考えで考えてみても、今お話のあったように、まず給食の場合、栄養士さんが毎日、別別のメニューを立てると。それを指示書で調理士さんたちに渡すと。業務委託ですから、その先は委託を受けた業者の責任となりますね。そういう関係で、毎日メニューが変わっていく、それに対応できる業者であることが必要だ。

 もう一つは、給食ですから、子どもたち、なかんずく障害児ですので、健康、そして安全といいますか、に直結したものであると。しかも、障害児学校、先日、江戸川養護の肢体不自由校に行きましたが、非常に特殊な調理法も含めてやっていますので、そういうことに対応できる必要があると思います。

 それから、私、今お話にはなかったんですが、給食というのは大体、朝かかって、何時から始めたとしても、でき上がりはお昼前にできなきゃだめということを江戸川養護では説明を受けました。十二時前にでき上がらないと、子どもたちの食べる食事の開始時間がおくれますので、大体肢体不自由校でいえば一時間は必要と。少しずつ少しずつ食べさせているんですよね。
 そして、一時半ぐらいに帰りのバスが出る。スクールバスは、大体一時間半から一時間四十五分、長い時間ではそうですので、一時半のバスに間に合わなきやならない。したがって、途中で、これはだめだとなったときのやり直しがほぼ不可能という、これは非常にシビアな条件があるわけです。これも考えなきゃならない大きな条件だと思うんです。
 実際に六年間の中で、異物混入や、それから配膳のおくれがあったと。また、衛生教育の不足、これは具体的にいうと、白衣を着たままトイレに出入りするというような学校給食調理師としてはイロハのイができていないという問題もあったそうなんですが、そういったことがあったというふうに聞いています。
 それで、具体的なデータを聞きたいんですけれども、今調理業務委託が行われている盲・聾・養護学校は何校あって、そのうち、昨年度一年間の間でいいんですが、第一項にあるような異常事態が何校の学校で何回ぐらいどういうことがあったのかということをちょっと聞きたいんです。

○比留間学務部長 平成十三年度の調理業務委託校での異物混入の状況について申し上げますと、髪の毛、ペーパータオルの切れ端、卵の殻、こういったものが給食に混じっていたと、こういうケースが、今、委託校は三十八校ございますが、二十三校で六十三件報告されてございます。また、それ以外に、配膳時間のおくれや、ゆで過ぎ、煮崩れなどの報告もございました。
 異物混入を初めとする、これらの問題につきましては、実は調理業務委託校だけではなくて、直営校でも同様に生じてございます。このため東京都教育委員会といたしましては、直営校を含めて、課題があったケースについては学校全体で改善に取り組むよう指導いたしますとともに、都立学校調理職員や委託業者の調理従事者を対象に研修を定期的に行うなど、調理作業の質の向上に努めているところでございます。

○曽根委員 今最後の方、聞き捨てならないお話があったんで、後でやりますけれども。
 三十八校のうち、昨年一年間だけでも二十三校で異物混入などが起きていると。六十三件ということは、一校平均、混入が起きた学校で平均三回以上。業者によって非常にでこぼこがあるという実情は私も聞いていますので、多いところはもっとかなと思います。起きていないところも、逆にいうと十五校あったんですね。したがって、程度問題というのはそれぞれあるんだと思うんですよ。異物混入に関しては業者の中にも問題を起こしていない学校は、現にあるようですが。
 現在直営でやっている学校でということで、私たまたま江戸川養護にこの間お伺いしたときに、先生方や校長先生に異物混入なんていうようなことはどれぐらいあるんですかねとお聞きしたら、二、三年に一件あるかないかだと。それも髪の毛のようなものがほとんどだというようなお話でした。
 ところが、現場の方の取材をしますと、民間委託業者では、もちろん髪の毛、その他の今お話のもあるんですが、ちょっと考えられない、例えば金だわしの針金の一部とか、それからスポンジたわしのような毛の先だとか。いわば料理をつくった後、なべかまを洗っているときにしか入らないようなものの切れ端が入っていることが、まま見られたというお話がありました。
 これは、それぞれの程度問題がありますから、ここから先はもうだめだとか、ここから先はいいとかいう基準をなかなか引きにくい問題ですが、担当している栄養士さんたちの 話では、初歩的なミスが多過ぎるという苦情をいっておられたわけです。  したがって、異物混入のような間題を起こさないために、せめてここでいうように規模別に分けて、小規模な給食ならば二人以上でいいけれども、二百五十食、三百食、三百食以上となれば、三人、四人、五人と調理師免許を持った人をふやしてほしいという。私は、それは現在直営でやっている学校、もしくは六年前までは全部直営だったんですが、そのころの調理師さんたちの水準に、民間業者になったとしても、ちゃんと合わせるだけの資格者の配置とか、やってほしいという率直な願いだと思うんですよ。
 それで、今民間業者に委託する際の調理師免許取得者の配置の基準は何人なのかということと、現実にまだ直営校はありますが、そこでの調理師免許を持っている人がどれぐらい調理師さんの中にいるのかという現状との関係では、それぞれどうでしょうか。

〇比留間学務部長 現行の都立盲・聾・養護学校の場合、知的発達障害の養護学校でございますが、この給食調理の委託契約におきましては、調理師等の有資格者の配置を調理従事者のうち二名以上ということで実施しておりまして、実際の委託校の実態は一校平均三名の配置ということになってございます。
 現在直営で実施しております養護学校は、養護学校のうち肢体不自由養護学校でございますが、直営の職員につきましては、この都立学校の調理業務に従事する職員の採用に当たりまして、調理師資格というのは要件としてございません。したがいまして、現在の肢体不自由養護学校十四校に六十一人の調理職員がいるわけですが、この職員のうち何人が調理師の資格を取得しているかということについては把握してございません。

○曽根委員 これは、調理師資格を持っているかどうかということで、料理の腕前がどの程度決まるのかということはありますよ。しかし、社会的に見て調理師としての、少なくともイロハがわかっているかどうかという基準というのは、調理師免許の取得以外にないと思うんですね。
 そういう点では、民間業者が入るんであれば、現状の、多くはベテランになりますよね。
 だんだん盲・聾・養護学絞の中で直営が減っているんですから、給食調理に残っている人は、恐らく長年のベテランの方が残っているでしょう。その中での調理師免許を持っている人がどれぐらいいて、少なくともそれぐらいのものは、人数は民間業者に委託するなら確保してほしいよというのは、私はもっともな、最小限の基準の上での要望だと思うんです。
 その現状がわからないと。しかし、業者の方は二名以上でいいと。三名ぐらいいるんですか、実際は。ということだと、私はこの点の要望にどうこたえるかという点では、やはり調査をして、少なくともこれからのことを考える場合、肢体不自由校の計画も出ていますから、いわせていただければ、私は全員調理免許を持っているぐらいの水準でやらないと、大変なことになるなというふうに実感を持っています。したがって、この要望について、ぜひきちんと実現させていただきたいということを申し上げておきます。
 もう一つ、時間のおくれの問題、私、すごく気になるんです。現実に起きていることとして、こういう苦情があったんです。つまり、栄養士さんが見ていて、もう間に合わないというのが明らかになった。十一時ぐらいになっても、まだ下ごしらえの段階にかかっていると。十二時には仕上げて子どもに渡さなきやならないのに、あと一時間で絶対できない。どうしましょうかということで、教育庁の方なんでしょうか、所管のところへ連絡をしたら、その方の場合は、もうあなたが手伝うしかないじやないかっていわれたっていうんです。
 これは、契約事項に私は反している指示だと思うんで、こういう指示が出たとすれば、それ自体問題になりますが、ほかに方法がなかったんじゃないかなというように思うんです。これは、契約上の問題なので、事実としてそういう相談があった場合にどういう指示をしているのか、すべきなのか、ここのところをお聞きしたい。

○比留間学務部長 業務委託の契約でございますので、直接の担当者は学校の栄養士になりますが、直接調理従事者に指示を出すということは、これはできません。したがいまし、先ほど申し上げましたように、指示書で指示を出していくことになりますが、配膳時おくれ、作業のおくれというのは、実はさまざまな原因がございまして、その献立の内容でございますとか、調理の手順とか、それから養護学校の調理室の動線の問題とか、さまざまな問題がございますので、それらについて学校で全体として総合的に取り組むようにということで指導しているところでございます。

○曽根委員 総合的にいろいろな改善を図ってやるのは、大いに結構だと思います。しかし、直営のときには、それで長年やってきた給食が、民間業者になつて不安定だということもあるでしょう。人の入れかわりも激しいようですから。で、間に合いそうもないというときの判断なんですよ。
 現実にそういう相談があった場合に、今までは、それはもう業務委託しているんだから、向こうの責任でちやんとやらせなさいというふうに指示しているんですか、それとも、もう間に合わないんじや、しようがないから、行って手伝いなさいというふうに指示しているんですか。

 ○比留間学務部長 基本的には、先ほどご答弁申し上げましたように、担当である栄養士の方から、その業務責任者に対して指示を出すと、こういう形になります。

 ○曽根委員 私、そういう指示を出したということで理解しますが、そうすると栄養士さんはどうするかと。業者の責任でやらせなさいということになれば、間に合わないわけです。食べられない子が出てくる。その日は、食べないでバスに乗せるということになる。
そうすれば、時間に全く間に合わなかった業者が出た場合は、これはもう不良ですよね、完全に。私、業者取りかえになると思う。
 しかし、そういうことまでして、あえてやるかどうかなんです、栄養士さんが。
 現実には、何としても間に合わせて食べさせなきゃならんということで、栄養士さんは現場に入って一緒に調理をやらざるを得ない。それは、業務委託が何だろうが、栄養士さんの良心ですよ。その日、食べさせないわけにいかないんだから。やり直しがきかないんですよ、給食というのは掃除みたいに。

 ここは、民間に業務委託するかどうかの重大な問題だと思うんです。もし、それで現在不良業者が出ていればあれなんですけれども、聞いたところによると、やや不良はあるけれども、不良業者という不良の判定をせざるを得ない業者というのは去年も含めて出ていないというふうに聞いていますが、いかがですか。

○比留間学務部長 十三年度に、給食調理業務、委託業務に関して業務成績委託評定というのが導入されまして、十三年度は試行、本年度から本格実施ということでございますけれども、十三年度の試行の評価の結果として、やや不良というふうに評価された業者は、三十八校中九校ございました。不良はございません。
 調理業務につきましては、学校が委託業者に綿密な指示をすることが必要な業務でありまして、学校と業者との意思疎通が十分でないと円滑な履行が難しくなります。したがいまして、学校と業者のコミユニケーションがとれていないと学校が実施する評価が低くなるという傾向がございまして、この場合、学校及び業者の双方で改善の努力をしていくということが必要になるというふうに考えてございます。
 東京都教育委員会といたしましては、業者との関係で改善すべき事態が.生じたときには、担当者だけに任せないで、学校全体で取り組むように指導しているところでございまして、その成果もあつて、十四年度、本年度の本格実施の評価では、やや不良は三十二校中二校ということで、評価について安定してきているというふうに考えております。

○曽根委員 さすがに東京都も、研修も始まったようですし、いろんな手を打っていると思うんですけれども、私は、その日その日に食べさせなきやならない、それでちゃんとしたものを出さなきやならないという給食の性格からいって、やっぱり清掃事業などの委託とは全く違う、相当きちんと、ベテランの人や経験を持った人、しかも資格をちゃんと持っている人を配置しなければできない業務だというふうに思うんですね。その点で、昨年九校の不良が出たと。
 これも現場の方にお聞きしたんですけれども、あなたのところは不良ですよ、判定が厳しいですよというふうに業者に指摘をすると、いや、それは東京都の側、学校の側も栄養士さんが契約を超えて、契約の決めを超えて現場に入ってきていると。入ってきているのは契約違反ですね。契約に反することなんですよ。だから、業者の側にもいい分ができる。
 できた給食がまずかったとかよくなかったとかいわれても、栄養士さんも入ってやっているんだから、我々の責任だけじゃないというふうに反論が来る。そうすると、お互いに契約の履行の責任があいまいになって、結局、その業者がだめだ、不適格だという不良の判定が最終的にはできにくい、事実上困難だと思うんです。毎日ちやんと給食を食べさせようと思えば不良にするわけにいかないんですから、業者を。だから、何とか食べさせて、やや不良という段階でとどめざるを得ないという栄養士さんのジレンマですよ、これは。
 はっきりいって、こういうやり方で給食の業務を肢体不自由校まで続けていったら大変なことになると思います。
 この間、江戸川養護、それぞれ養護学校は特徴があると思いますが、大体給食室でつくるのは、あの場合三種類ぐらいでしたでしょうか。三種類ぐらいの同じ材料を使ったメニューが出る。それをさらに各障害児の障害の程度に合わせて、ミルサーという機械だとかフードプロセッサーなんかで細かく砕いたりつぶしたりして、そして大体三十種類ぐらいのメニューが、最終的な子どもさんたちの口に入るまでにできる。
 それは教室で各先生たちがやっているんですが、その前段階をつくるに当たっては、ジヤガイモ一つ煮るにも、栄養士さんが毎日入って、どれぐらいの固さで煮ればいいかというのを調理師さんと毎日現場で、これぐらいでどうかということでやりとりしながらやらないと、教室に持ち込むうやって、現場に栄養士さんが入れない中で、ジヤガイモの煮方のある段階でこれでいいんじやないかとかだめなんじゃないかというのを判断するかといったら、これは実態に全く合わないというふうな気がしてなりません。
 ですから、私、この請願の趣旨をきちんと生かしていただきたいのと同時に、肢体不自由校について検討するに当たっては、今調理しているべテランの調理師さんが少なくとも半年や一年徹底的に教え込めるぐらいの関係をつくらない限り、民間の業者に自動的に移行するなんということは到底無理だというふうに思うんで、これはまた別の機会に議論したいと思うんですが、ぜひこのことを検討していただきたい。
 はっきりいって、契約業務を委託するのに、お互いに違反承知でやらざるを得ないという世界では、これは成り立たないというふうに私は思いますよ。したがって、委託の契約の仕方そのものも根本的に再検討しないと民間に任せられるものじゃないというふうに思います。
 以上で終わります。

●女性財団の廃止についての報告に対する質疑

○曽根委員 女性財団の問題については、昨年十二月にこのあり方を考える会及びその作業部会がつくった寄附行為の改正案が十二月の評議員会で否決をされた、その後に三月十五日の本委員会で私も質問いたしました。その際、私は、自分たちで行く末を考えなさいという知事の答弁、廃止方針を一たんおいてそういう答弁が出たということで、それを切り開かれる可能性があるのかということでお聞きしながら、要するに女性財団を担ってきた女性団体の、先ほどもお話ありましたが、エネルギーや意欲を生かす方向で解決してほしい、それには女性財団を残すことが何よりも必要だというお話をいたしました。
 残念ながら、今回の結論はそれに全く反するものだつたこと、そして、今後のあり方についても幾つか大きな問題を残しているということを指摘せざるを得ません。
 幾つか問題提起をしておきたいと思いますが、まず、前回私が、女性財団を自分たちでいわば行く末を考えるだけの条件があるのかということをお聞きしたときに、三つの答えがありました。                  
 1つは、財団に対する財源措置、これは財団の仕組み上、東京都が設立した財団で、ほかからの寄附などで財源を賄うという寄附行為の改正案については、東京都からの収入以外は不安定な収入というふうにみなされて、都がお金を出さない以上は財団としての財政的な糧道は絶たれている。

 二つ目に、公益法人の事業というのは寄附行為上に明確に規定をされており、ウイメンズプラザの運営を含めてこれをすべて行わなければならない。しかし、既にウイメンズププラザは東京都が引き揚げ直営になっている。したがって、寄附行為に載っている事業を女性財団はできない状態である。こういう事業内容における手続の問題。 そして何よりも、寄附行為を改正するということについては、財団の最大のいわばオーナーである東京都の了解が必要である手続き上の問題。
 三つの点から、女性財団はこのあり方を考える会及び作業部会の方々がどんなにいい案を出しても、糧道も絶たれ、手続上もできない、存続はできないという、事実上そういう状態にあったということがわかりました。

 今後、東京都がさまざまな公益法人を設立したりまたは協力関係を結ぶことがあると思いますが、自分たちで運命を考えなさいといっておきながら、実はもう詰め腹を切るしかない状態になっていたということについて、こういう関係を今後も続けていくとすれば、東京都と都民のさまざまな団体との協力関係はできないということを指摘せざるを得ません。二度とこういう事態がないようにしていただきたいと思います。

 今後の女性施策について、二つだけお聞きしておきます。
 一つは、昨年の三月に女性財団廃止が浮上したときに、これは直営でもできるし、直営だからこそ充実ができる、あらゆる面で東京都は女性施策を前進させるんだ、そのために直営にするんだという話がありました。しかし、どういうわけか、昨年から今年、そしてまたことしから来年にかけて、女性施策全体を見れば、予算もふえていないんじやないかと思うんですが、その点で、本当の意味での充実を図るならば思い切った予算の拡充を図ってしかるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○金子参事 男女平等参画施策に係る平成十四年度の予算額は、約十億二千六百万円でございまして、平成十三年度の予算額約十億三千七百万円と比較いたしますと、約一千百万円、一%でございますが、の減となっております。厳しい財政状況の中で、ウイメンズプラザにおける維持管理経費等について経費節減に努めながらも、配偶者暴力相談支援センターの開設に係る経費を新たに計上するなど、今日の重要課題に積極的に対応した予算であると考えております。
 また、ウイメンズプラザの講座、研修事業でも、限られた財源の中で雇用の場における男女平等参画を進めるため、企業担当者向けの講座の充実を図るとともに、DV相談に対応する福祉の相談員等を対象にした研修を実施するなど、内容をさらに工夫をして充実を図っているところでございます。

○曽根委員 今のお話ですが、昨年からことしの予算編成、また来年もそうですが、東京都は重点事業、重要施策という考え方で、すべての事業を一律にシーリングをかけるのではなく、重要と認めるものは局ごとにシーリングをかけない部分をつくっていいよという方針もとったわけなので、私は当然、この男女平等参画の施策、新しくスタートするDVの相談センターも含めて、これは重点に位置づけ、男女平等の施策全体を重点に位置づけて、シーリングをかけさせないというぐらいの意気込みが局の側にあっていいと思います。
し、来年度についてはぜノひそういう方向で再検討していただきたいと思います。
 もう一つ、この削られた部分の中に、先ほどもお話のあった女性財団の自主研究に対する支援の事業がありました。私は、確かに理念的なことも含めて幅広くやられてきたものがあって、その中から東京都の施策に今生きているわけですけれども、まだまだ新しい課題が山のようにあると思うんですね、女性分野に関しては。したがって、ぜひ今後は、財政状況も見ながら、自主研究事業に対する支援もしくは東京都自身がこれを直接行うということを展開していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○金子参事 女性財団が行ってきましたテーマ研究につきましては、女性問題研究の基本的なあり方の報告書に基づきまして、計画的に実施し、平成十二年度をもって終了したものでございます。
 東京都としては、これまで男女平等参画施策における重要課題など、個別具体的な課題の解決に必要とされる調査研究に取り組んでまいりました。
 具体的には、平成十二年度に、雇用の分野における男女平等参画状況調査、平針十三年度に、先ほど申し上げましたが家庭等における暴力調査の調査研究を行うなど、雇用の場における男女平等参画の促進や、DV防止法の施行に伴う被害者支援のための施策に資する調査を行ってきているところでございます。
 このように、調査研究の成果が行政施策に反映させられるような、行政が本来行うべき調査研究について、今後とも積極的に取り組んでいきたいと考えているところでございます。

○曽根委員 最後に、一言意見を申し上げますが、やっぱりDVの問題、また国の方でいえばストーカー間題など、最も深刻な女性分野での社会間題について窓口を開くのは当然です。しかし、行政の側では、とにかく深刻な事態に対応しなければならないというだけで動いていたのでは、女性問題をめぐる幅広い二十一世紀の課題について取り組むことはできないと思うんです。例えば、人生の中で女性がなぜ結婚や出産を控えるようになつてきたのか、これはもう私たち日本の社会にとつて非常に重大な問題であり、その原因を解明し、解決に当たるという部分も含めて、雇用や労働、家庭、教育、人生のあらゆる場面での女性の選択、人生の選択が日本の社会の今後の未来を決めていくという面が私は大きいと思っています。その点でも、幅広いテーマの研究は今こそ必要ということを指摘して、終わります。

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