2002年11月14日文教委員会 生活文化局事務事業質疑 ●私学助成充実を求める 〇曽根委員 私も私学問題について質問をさせていただきます。 〇渡辺委員長 ただいまの件につきましては、理事会で一応検討させていただくということで、承りました。 〇曽根委員 それでは、質問に入らせていただきます。 この例として、給与関係や、また区市町村補助とあわせ、私立学校経常費補助等を例示しているわけです。この財務局のパンフレットの指摘、高どまりを続ける経常的な経費の代表例として私学助成を挙げているということについて、生文局としてどのように受けとめておられますか。 〇中澤私学部長 ご指摘の財務局のパンフレットの記載は、厳しい財政状況のもと、総予算が減少している中で、私立学校経常費補助等の減少割合が少ないという点であろうと考えております。私としては、経常費補助等の公費助成が、公教育の一翼を担っている私立学校の運営のために大変重要な役割を持っていると認識をしております。今後とも、私立学校経常費補助について、補助率二分の一を堅持するほか、適切な補助の実施に努めてまいりたいと考えております。 〇曽根委員 生文局として、経常費補助の二分の一補助の原則を守っていくというのは当然なんですが、この財政パンフレットでは、高どまりを続ける経常的経費がなお多く存在しており、今後の歳出削減の課題となっていると、かなり踏み込んだ、いわば歳出削減の対象としてとらえているという表現も書かれております。さらに依命通達では、重要施策や重点事業は特別扱いはされるものの、それ以外については、局全体で一律一〇%のシーリングを本年同様来年もかけるということが記されておりましたけれども、生文局の来年度予算見積もりでは、これはそういう形になっていない、削減にはなっていないわけで、本当に財務局のこうした財政締めつけといいますか、そういう攻勢に対してきちんと対抗できるだけの根拠を持っておられるのかどうか、この点をお聞きしたいと思います。 〇中澤私学部長 既に先ほども申し上げましたように、経常経費等の公費助成は、公教育の一翼を担っている私立学校の運営の重要性をきちっと理解されてきた部分があるというふうに思っておりますし、また、現在の経常費補助、教育条件の維持向上、保護者の負担軽減、学校経営の健全化、この三つの目的は極めて重要なものであるというふうに思っております。 〇曽根委員 私、公教育の中での私学の役割を、もう少しきちんとわかりやすく押さえていくことは、生文局さんとしても非常に重要ではないかと思いまして、勝手ながら少し調べてみたんです。 もちろんこれは単純な比較はできません。都の予算には都区財調という特別の、他県にはない財政も入っている、一兆円ぐらい。これを除いて厳密な比較は、これは行政の方はいろいろやる方法はあるでしょうけど、私が都区財調を除く大ざっぱな比較をしてみても、東京の教育予算は、都区財調を除いても大体二割。他県は大体平均して三割。この一割程度の違いというのはどこから来るのか。これは、教育庁予算がもちろん入っていますので、さまざまな教育関係の施設や、また人の配置その他、東京都は他県に比べて区市町村にかなり押しつけている面があるなというふうに私は感じているから、それもあるでしょう。しかし、この一割、一般会計でいえば約六千億に及ぶ他県との格差の中には、間違いなく、東京で高校の六割、中学の三割近くを私学に担ってもらっているということによる東京都の公教育負担の軽減がされている分が入っているのは間違いないと思うんですが、私学部長、いかがでしょう。 〇中澤私学部長 ただいまの他県との比較は、私どもは現在しておりませんので、今にわかにお答えするということはちょっとできないと思います。 〇曽根委員 私も、大ざっぱな話をしていてもしようがないので、その逆の面から、つまり、私学に通っている子どもたちが東京で他県よりも多いことははっきりしているわけですから、そういう子どもたちをもし他県並みに公立で受け入れた場合に、どれくらいの違いが出てくるのかという面からいろいろ積算をしてみたんですよ。試算をしてみた。 これは、担当局である生文局の方でも数字的には出てくると思うので、ぜひ調べていただいて、これがもしちゃんと正確なものが出れば、私学助成一千億ちょっと、高どまりどころか、むしろそれを上回るぐらいの額を、いわば東京都は教育予算の中で負担を、私学の人たちに負っているんだという意味では、私学助成というのは、高どまりどころか、むしろ私学の人たちに還元するさらなる充実が必要じゃないかということになると思うんですが、これは、三宅さん、局長になって初めての場なので、私学助成の充実に向けて、改めて決意をお聞かせいただきたいと思います。 〇三宅生活文化局長 ご指摘のとおり、特に東京におきます私立学校は、江戸時代からの寺子屋の伝統を踏まえて、長い歴史がございます。そういったことを踏まえて、それぞれ私立学校では、独自の校風や教育理念のもとに、さまざまな教育を展開していると理解しております。 〇曽根委員 局長さんの決意をお伺いしましたが、引き続き今の立場で努力をお願いしておきます。 〇中澤私学部長 平成五年度で申し上げますと、私立経常費補助が一人当たり三十三万六千六百三十円でございました。都立が八十五万五千九百六十一円でございまして、その割合は三九・三%。平成六年度で三七・七%、平成七年度で三五・六%、平成八年度で三五・〇%、こういうふうになっております。 〇曽根委員 もともと平成五年の段階でも三九・三%ですから、標準的運営費の半分といっても、実態は四割。要するに標準的運営費そのものが実態の八割をカバーしているに過ぎなかった。しかし、今日は、三五%掛ける二ですから、七割しかカバーしてない。それもだんだん下がってきている。実態から離れてきている、補助の基準になるものが。これはどういう原因が考えられますか。 〇中澤私学部長 約四割から三五%前後、四、五%落ちてきているわけですけれども、その前に、全体としての割合が四割、三五%で少ない、こういうお話がございますけれども、公立にあって私立にない経費、あるいはまた、その逆もありまして、一人当たりの経費が必ずしも二分の一になるということはございません。その辺はご理解いただきたいと思います。 〇曽根委員 かつて八割程度。これは、ほかにも私立、公立の違いを見なければなりませんから、今、部長がおっしゃったように、単純にこれが一〇〇%になるのは、というふうにはいえないでしょうが、それにしても、その後、落ちているということについては、明らかに標準的運営費の算定の仕方がだんだん実態から離れてきていることは間違いないと思うんです。 〇中澤私学部長 経常費補助につきましては先ほど申し上げましたが、教育条件の維持向上、保護者の負担軽減、学校経営の健全化という三つの大きな目標を持って進めてきているところでございます。極めて重要な施策でありまして、今後も、東京都の厳しい財政の状況を踏まえながら、私学振興の観点から適切な予算の確保をしていきたいと思っております。 〇曽根委員 標準的運営費の算定基準について、直接のお答えはなかったんですが、ぜひ算定基準の見直し、改善も含めて、実質的に私学助成が、本当の意味で公立の二分の一に近づくような手だてを打っていただきたいと思います。 〇中澤私学部長 授業料の減免規定を設けている学校でございますけれども、都内私立高等学校二百四十校中、平成十二年度に、補助対象となり得る、家計状況による授業料の減免規定を設けていた学校は六十七校、二八%、平成十三年度は七十四校、三一%でございまして、平成十二年度に、補助対象となり得る、家計急変による規定を設けていた学校は六十校、二五%、十三年度は七十二校、三〇%でございました。 〇曽根委員 まだ三割という段階です。今、生徒の家庭の状況の厳しさに対する学校側の認識、また、学校の伝統やグレードといいますか、そういうものにまだこだわっている風潮があるように聞いております。今までならば、一流企業や一流の金融機関の管理職など、間違いないといわれていた家庭が、今では必ずしも安泰ではないという状況です。そういう点で、これは学校で採用しなければ、その生徒さんは適用できないわけですから、この制度をできるだけ一〇〇%の学校で用意することが可能になるように、PRも必要じゃないかと思いますが、いかがですか。 〇中澤私学部長 授業料減免補助につきましては、各学校が減免規定を整備しまして、学校がそれを積極的に活用して、児童生徒の修学継続に役立ててもらうことが重要であると考えております。理事長・校長会、あるいは説明会を初めとして、これまでも機会あるごとに趣旨を訴えてきたところでございますし、今後とも積極的なPRに努めてまいりたいと考えております。 〇曽根委員 ぜひお願いしたいと思うのです。 ●都の法律相談廃止問題 次に、都民相談の分野について幾つかの問題を取り上げたいんですが、最近、直接都民が相談に出かけたり電話をかけたりして、相談に応じてくれる窓口、都民利用の施設が相次いで閉鎖されたり縮小されています。この文教委員会で扱っている教育庁の方も数多くの施設を廃止しているわけですが、生活文化局でも、今年度になって相次いで、都民相談の場所がなくなったり縮小しました。 〇佐藤広報広聴部長 法律相談でございますが、今年度の法律相談は、従前どおり月曜日から金曜日まで毎日実施しておりますが、担当弁護士の人員を十三年度の八割規模に設定をして実施しているところでございます。十四年度の前半期における相談実績は、三千六百八十七件となっております。その相談内容を見ますと、例年と同様の傾向でございますが、不動産売買契約や賃貸借契約などの住まいの関係、それから財産相続や離婚などの家族関係、さらには、金銭貸借や購入商品の解約などの消費関係の相談事項が上位を占めている、そのような実情でございます。 〇曽根委員 八割の体制にもかかわらず、前半期で既に、昨年のペースからいって、実際には九割ぐらいですか、半期ですから。年末、年度末にかけて相談はふえる傾向にありますので、昨年同様の件数が相談に来る可能性が十分にあると思うんです。実際には弁護士さんの数を減らしているのにもかかわらず、それだけの件数をこなせるというのは、どういう工夫があるんでしょうか。 〇佐藤広報広聴部長 後半期の方が、開設日が日程上多少少なくなりますので、必ずしも、今、委員ご指摘のとおり前年並みという形になるかどうかはわかりませんが、現在、八割の設定の中で、それ以上に実施している実情でございますが、相談内容によりましては短時間で済む案件等がございますので、若干の範囲ならば、現場サイドで弾力的な対応が可能である、こういうところで工夫をしているところでございます。 〇曽根委員 都の相談は、区市町村などと違って平日毎日やっている。大体曜日が限られている区市町村に比べて、休みがとりにくい人や緊急の相談者には非常に助かる制度であります。また、最近、先ほど例のあったように、相続や住宅問題など、法律問題のトラブルはふえてきていまして、我々議員の事務所でもそれぞれやっているわけですけれども、予約がふえております。年間八千件もの相談があって、これを来年はもう完全に廃止する。区市町村で吸収するにしても、今どの区市町村でも、相談の充実は、大体行革のあおりで、むしろ減らす傾向なんですね。一体どこで吸収するのかというふうに思うんですが、都としては、どこかでやってくれるという見通しを持ってやっているんでしょうか。 〇佐藤広報広聴部長 都内での法律相談の実績でございますが、東京都は、今お話しのとおり、年間約八千件を実施してきておりますが、ほかに区市町村の窓口で、全区市で既に窓口を開設し実施してきております。区市で年間約六万件ほど受けております。また、そのほかに、財団法人の法律扶助協会が無料で相談をしておりますのが約三万三千件、さらには弁護士会で、これは若干の料金を払いますが、ここで相談を受けておりますのが約三万八千件というようなことが、法律相談の都内での実績ということで、合計約十三万九千、十四万件近い法律相談を受けているところでございます。 〇曽根委員 有料のものを入れれば確かに十四万件ありますが、自治体でやっているものや法律扶助協会は無料相談ですね。これから見ると、一割近い割合を都が担ってきたわけです。無料相談としては非常に大きな位置を占めているし、ほかの自治体で取ってかわることは難しいと思うんです。どこの自治体も、全体としては今減らす傾向ですから、満杯です。そういう点では、都が直接都民のこうした相談に応じる姿勢をきちっと堅持するということが、都政を進める上でも重要ですし、また、その実態から見ても、これをいきなり切るということになれば、必ず大きな混乱が起きるということを指摘しておきたいと思うんです。再開、今の体制を維持できるよう、再検討を強く求めておきます。 ●消費者相談について もう一つの都民相談窓口である消費者総合センターについてお聞きします。 〇高田消費生活部長 お話がございました、消費生活総合センターに相談電話をせっかくかけても、なかなかかかりにくいというふうなお話でございますけれども、相談処理に当たりましては、内容にもよりますけれども、時間をかけて丁寧な聞き取りや助言に努めていることもございまして、回線がふさがっていて電話がかかりにくいという苦情もいただいている状況は確かにございます。 〇曽根委員 都民が出かけていけば、いろんな窓口や何かにそういう情報が置かれていたり、インターネットを使える人はのぞいてみることができると。一方通行の形ではあるけれども、そういうものはありますというお話はわかりました。 〇高田消費生活部長 確かに、委員、お話がございましたように、さまざまな消費者をめぐる問題が出ておるわけでございますが、消費者問題というのは、とりもなおさず毎日の日々の生活の中で生じてくるものでございます。そういったことでは非常に身近な問題でございまして、まず第一義的には、区市町村の窓口においてこれを受け付けるというのが、行政の中における基本的な役割というふうに私どもは考えてございます。 〇曽根委員 いずれにしても、今、部長さんがお話しのように、悪質なケースや広域にわたるそうしたトラブルがふえているのは事実であって、この分野は、いずれにしても思い切った拡充が必要だという認識では一致していると思うんですね。で、当然、あっせんの権限も持ち、直接、業者と被害者の間に入るということも、今後大規模に出てくる可能性があります。そういう点では、飯田橋に質的にも量的にもスタッフを強化して、どんな問題が起きても対処できるようにという研修や研究を深めていくことは、大変すばらしいことと思うんですが、多摩がその犠牲になっているというのは、同じ都内に住んでいる都民としては、私は、多摩の住民は納得できないと思うんです。そういう点で、飯田橋のスタッフの強化は当然としながらも、多摩の窓口がせっかくまだ残っているんですから、直接相談の窓口を再開していくということも検討すべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。 〇高田消費生活部長 相談業務を飯田橋の消費生活総合センターに集約いたしましたのは、都の相談処理の専門化を進めることによりまして、区市町村への情報発信や専門的助言の提供などを充実し、区市町村への支援につなげていくことをねらいとして始めたものでございます。都は、現行の相談体制を維持しながら、都域全体の相談処理のレベルアップを図っていく考えでございます。 〇曽根委員 最後に意見を申し上げますけれども、今、質的な強化と迅速な対応ができるようにというようなお話は、一方ではやられていると思うんですが、消費者対策の予算として見れば、今はかつての半分ですよ、都の消費者対策予算は。そういう点で、そのしわ寄せは、極端ないい方をすれば、押しなべて多摩の方に集中しているような気がするんですよ。ほかの福祉や保健衛生や教育その他の分野も、やっぱり都の多摩の施設がどんどん削られていく。この生活文化局に関しても、多摩の都民はなぜいつも一人前の都民サービスが受けられないのかという問題は引き続き残るということも指摘しておきたいと思う。改めてまた別の機会にやりたいと思います。 大学管理本部事務事業質疑 〇曽根委員 もう既にお二方質問されておりますので、その流れの中で、できるだけ簡潔にやりたいと思うんです。 〇菊地改革推進担当部長 大学改革の検討状況でございますが、昨年発表いたしました大学改革大綱は、改革の全体像をお示ししたものでございます。現在、四大学と大学管理本部で構成する都立新大学設立準備委員会のもとに、さまざまな分科会を設けまして、教育課程や入学者選抜など、大綱に掲げました基本的な計画の具体化を図るため、専門的な検討を進めています。各大学の教職員に対しましては、その過程や、この準備委員会などの開催の機会ごとに、必要な情報を明らかにしているところでございます。 〇曽根委員 ちょっと確認しておきたいんですけど、今、必要な資料を出していると。さっきは、適切なものをつくると。適切とか必要というのは、大学の管理本部の側で判断してると思うんですけど、じゃ、なぜ全部公開できないんですか。四月まで、検討委員会、小委員会では、出された資料は全部、先生方が学内で公開していたわけですよ。だから、多くの都民の人たちも見ようと思えば見れたわけです。それが今できなくなっちゃってるわけですよ。なぜ隠す必要があるんですか。 〇菊地改革推進担当部長 先ほど申し上げましたが、現在の検討は、設立準備委員会等の中での分科会の専門的、内部的な検討、かなり技術的なものでございますが、この設立準備委員会を初め、このもとに置かれましたさまざまな分科会等の資料につきましては、可能な限り学内には公開しており、また、大学改革に関する有識者ヒアリング等につきましても、大学の教職員の自由な参加を得ているところでございます。一方、検討が緒についたばかりで、案としても未成熟な資料や、学内に公開することによって、かえって誤解を招くおそれのある資料などにつきましては、むしろ混乱を避けるためにも、会議に参加している教員の了解を得ながら、公開を差し控えていく責任もあると考えております。今後とも、学内に対しましては、可能な限り必要な資料の公開に努めていく考えでございます。 〇曽根委員 私、そういう発想が、最終的にはやっぱり誤解を招くことになると思うんですよ。ですから、今までもやってきて、大きな支障があったのならともかく、私ははっきりいって、そういうふうにオープンに議論しようという努力をしてきた検討小委員会の先生方、今度の設立準備委員会になってからは、そういうことをやる人を排除したんじゃないかと思うんですよ。そうすると、もう、技術的なことだとか、必要ないからとか、これは誤解を招くとかいうことで、管理本部の側がシャットアウトして、要するに情報を隠してしまう。そうすると、都民から見ればますます何をやっているんだろうかということになるんですね。四月までは支障なかったんですから、すべてオープンに、少なくとも当事者の学内についてはちゃんとオープンにして議論してやるべきだということを私は申し上げておきたい。 〇菊地改革推進担当部長 今、議員ご指摘の人員等の関係でございますが、これらは、具体的な検討の前提といたしまして、大学管理本部としての予算や人員を要求していくための案でございまして、今後、議会での予算審議などを経て決定される性質のものであると考えております。また、大綱にも既にお示ししてあるとおり、新大学におきましては、確かに夜間課程及び短期大学課程は置かないこととする一方で、ビジネススクール、法科大学院を初めとした新たな取り組みを考えております。また、新大学の教員定数につきましては、適切なスクラップ・アンド・ビルドと教育研究の維持発展を勘案の上、適切に定めていく必要があると考えております。 〇曽根委員 ちょっと答弁、いろいろ考えていくというのはいいんですけど、それをまとめた形で、例えば予算審議するには、こういうものをつくるので予算を通してくださいという話になるわけですよね。そういった何らかの、今年度いっぱいでまとめたものの結果を、我々に見える形で報告するとか、都民に具体的なものとして出すとか、何か用意があるんですか。 〇菊地改革推進担当部長 これまでも、検討の節目節目におきまして、まとめたものを作成しておりますし、そのような形でまた取り組んでまいりたいと考えております。 〇曽根委員 大学の構想全体については何か出すんですか。 〇菊地改革推進担当部長 昨年出しました改革大綱におきましては、全体の基本的な計画を出してきたところでございますが、さらに具体化したものを作成してまいる考えでございます。 〇曽根委員 いつごろ出すんですか。 〇飯塚管理部長 今の委員のご質問でございますが、予算等につきましては予算審議の中で十分ご議論いただきたいと思っておりますし、また、新しい大学についてまとめましたものについては、できるだけ早く新大学の全体の募集概要のようなものとしてまとめるつもりでおります。なるべく早い段階で年度内にお示ししていきたいと思っております。 〇曽根委員 募集概要なので、十七年度開設だから、十六年度ぐらいになっちゃうかと思ったら、年度内ということで……。 〇飯塚管理部長 今、募集概要と申しましたが、大変失礼いたしました。募集概要となりますとかなり詳細になりますが、入試の概要全体像でございます。例えば、どういう基本的な構成の学部であるとか、何名程度募集するとか、そういう全体の概要でございます。大変失礼いたしました。 〇曽根委員 最初から大学現場の先生方や学生や、そういう方々の声が十分聞かれたという話もなかったし、また、都民共通の財産であるにもかかわらず、インターネットではご意見伺いますと出てるけれども、都民の要望や意見を広く集約していこうというような、例えば調査活動だとかアンケートとかいうことも聞きませんし、いってみれば、具体的なことは、知事や、または少数の諮問委員の方や都庁の方でいろいろとまとめてきた。そういうことで大綱がつくられて、しかし、その後の議論はなかなか表に出せないと。いってみれば、今、そういうやり方のツケが回ってると思うんですよ。はっきりいって、都民から本当に魅力的に見られて期待が集まっているという状況じゃないと思うんですよ。 例えば全寮制の問題だとか、それから、諮問会議でも、聞くところによると、戦前の旧制中学がよかった、ああいうような場にしたいみたいな話が出てみたり、都民が本当に期待して、これはいいことだと求めているものとは違うんじゃないかというようなものが出てきて、それに振り回される。大綱にも全寮制と出てますけど、あれ、どうなるのか。 私は、こういうやり方を本当に改めて、前から繰り返しいってますけれども、例えば都民参加、そういった関係の専門家も参加できる公開のシンポジウムとか、そういったものをやって、いろんな意見を集めるという努力もあってしかるべきだと思うんですよ。検討するというような話だったんですが、いかがですか。 〇菊地改革推進担当部長 大学改革の検討に当たりましては、初期の段階でも、学生の意見を聞く会、また教職員の意見を聞く会等を、十二年、十三年、十四年と回数を重ねております。また、これまでの議会でのご議論はもちろんのこと、都民からのご意見、都政モニターや企業を対象にいたしましたアンケート結果、外部有識者から成る運営諮問会議の意見などを踏まえまして、都立の四大学の教職員等で構成する大学改革推進会議での検討を経て、昨年十一月に大学改革大綱として計画を策定し、公表させていただいたところでございます。 〇曽根委員 何かいろいろ数を並べたんですけれども、大学改革の全体像そのものについての公開的なものは今のところないということなんで、改めて検討を求めておきたいと思うんです。 それで、あともう少し、具体的な問題についても幾つか聞きたいんですが、一つは、先ほども質問がありましたが、国の法人化と違う道を歩もうとしているだけじゃなくて、私が聞きましたところ、五月に出された公立大学の協会、この第三次試案というところでも、また、八月の公立大学協会の申し合わせですか、の中でも、いずれも、公立大学の法人化は国立大学のそれをモデルにするというふうにされていまして、都立のように、法人の中で経営と教育研究の長を分離する方向はとっていないわけです。そういう点では、全国の公立大学協会でさえ、もちろんこれは法人化の推進の立場ですが、経営と教育研究の責任者が分離するのは好ましくない、国の方向で行くべきだとしているときに、法制化との関係でも、東京都が突出して、いわば異質な道を歩むということで、法整備上の問題はないんですか。それから、こういうことをやった場合に、教職員が本当に都立の方に、いわば求めて来るというふうになるんでしょうか。 〇久保調整担当部長 まず、ご指摘の公立大学協会のご意見でございますが、これは委員ご指摘の資料でございます。公立大学等に関する懇談会資料というところでお話を申し上げますと、各公立大学の法人化に当たりましては、国立大学法人をモデルとすることを試行しつつも、その運営組織につきましては全国画一的な制度を義務づけるのではなく、各設置者や公立大学が、それぞれの地域ごとの多様な性格に最もふさわしい運営形態を選択できるメニュー方式を採用すべきであるとしております。 〇曽根委員 そういうふうに、東京都は東京都らしくというのは、いいことをやるときはいいんですよ。しかし、これが本当に教職員の、特にまじめに頑張ろうという人たちを引きつける力になるのかどうかですよ。経営の長と教育研究の長を分離するということは、先生方、研究や教育を担っている方々が、直接はお金を握れないということなんですよね、単純にいえば。それは知事の意向、知事が任命する経営の長によっていわば采配される、それに従わなきゃならないという大きな問題が起きますよ。そういう点では、ほかの大学に比べて都立大が、教育研究者の側から見て魅力的になるかどうかというのは、根本問題としては難しいと思うんです。 〇久保調整担当部長 この非公務員型の採用の問題は、既に大学改革大綱の中で検討する趣旨を示しておりまして、現在、これを受けまして、その詳細を大学教員とともに検討しているところでございます。この非公務員型を採用することにつきましては、何分にも大学教員の方々にとっても経験のないことであり、戸惑いもあるものと思われます。もちろん賛成する教員の方もいらっしゃいますし、戸惑いを示す方もいらっしゃるということを私どもも承知の上の改革でございます。しかし、先ほど来ご説明してきましたメリットを考えれば、この採用は、国立大学を含めまして、いわば社会と時代の要請であり、今後、詳細な制度設計の段階で教員の方々とも十分に協議をしていくことで理解していただけるものと考えております。 私、やっぱり公立と私立の差は歴然としてあると思うんです。この点はもう少し今後も議論していきますが、そういう点で、私はやっぱり、公立の大学である以上、そこで働く教職員が公務員であるのは当然だという立場に立って、これからも議論していきたいと思います。 〇久保調整担当部長 平成十七年四月に新大学が発足いたしますが、その時点での入学金、授業料等につきましては、今後、都の内部でも検討すべき課題ではございますが、遅くとも、新大学の募集要項を配布する平成十六年四月ごろまでには決定したいというふうに考えております。 〇曽根委員 今まで国の横並びできたわけですよね、かつては独自の基準がありましたけど。今度はそうはいかないで、一定の基準を設ける必要がありますよね。私はこの際提案しておきたいんですけど、やっぱり都民に魅力ある改革、学生、院生、優秀な人材を集めるという点でいえば、極めて単純ですが、わかりやすい方法がある。それは、他の公立よりも学費を下げることなんですよ。そうしたら本当に、例えば院生なんか、どれだけ優秀な人材を集めるかという点は、これは都立大学の先生方も口をそろえていうんですけど、全国から集まりますよ、きちっと低廉な学費で募集をかければ。本当に公立大学としては最も有効なんで、全寮制なんかにする、数百億これにかけるんだったら、こういうやり方でこそ都民に魅力をアピールすべきだと。これは提案をしておきます。 最後にもう一点だけ。ビジネススクール、来春、開くわけですよね。対象として、大学卒で現在働いている人などが通いやすい形を考えていると思うんですが、そういう点でやっぱり都庁を選んだと。これは利便性を重視したということで、コンセプトとしては、実業界にいる、実業で働いている方々が受けられるようなという形を考えたんですか。 〇久保調整担当部長 都立のビジネススクールについてのお尋ねでございますが、このビジネススクールは、これまで研究者養成を目的とした大学院とは若干目的を異にいたしておりまして、いわば高度専門職業人の養成を目的とした大学院として考えているものでございます。また、こういったビジネススクールは、近年、他の大学においても、都心部を中心に開設、または開設を予定しておりまして、ビジネススクールをめぐる競争が今後さらに激化することが予想される状況にある、こういう中での船出でございます。したがいまして、ビジネススクールの立地条件は、その成否のポイントの一つになると考えております。こういった二つの要素を勘案した上で、対象及びキャンパスの場所を決定したものでございまして、その主な対象を、文系、理系にとらわれず、将来のビジネスリーダーを目指すビジネスマンや起業家、いわゆるアントレプレナーを志す方々などの社会人とし、都庁をサテライトキャンパスとして開校することにしたものでございます。 〇曽根委員 横文字いっぱい出たんで笑っちゃったんですけど、結構ですよ、ビジネススクールとしてはそういうコンセプトになるでしょう。現場で働いている人を本当にグレードアップさせたいという点でいえば、都心じゃないと勝負になりません、これは。しかし、一方で、八王子キャンパスでは、夜間の学生の需要が薄れたという理由で、B類が廃止されようとしているわけです。私、はっきりいって、都内で職業人として働きながらも、厳しい条件でも大学に行きたいという若者に、ビジネススクールと同じように利便性を配慮すれば、規模はともかくとしても、夜間の大学も十分に可能だし、需要はあると思うんです。最近、調べてみたら、B類の受験の比率が、かつては一・何倍だったのが、ここ二、三年、四倍以上にはね上がってるわけですよね。入試制度の変更もあるかもしれませんが、A類に極めて近い倍率になっている。これは不況の問題もあると思うんですよ。だから、条件、厳しくなって、昼間は働かざるを得ないんだけれども、大学に帰りたいという人には、国立大学では夜間はほとんどありませんから、公立大学の一つの役割として、受け皿を何らかの形で維持すべきだということを申し上げて、質問を終わります。 |