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2001年3月15日予算特別委員会質疑
特養ホームの待機者調査を約束、障害児の福祉切捨ての影響

◯曽根委員 私からは、初めに高齢者福祉にかかわりまして、介護保険の問題について幾つか質問いたします。  昨日の我が党の木村委員の質疑で、介護保険における保険料負担や在宅サービスの利用料負担の重さについて、これがサービス利用を抑制する大きな要因になっていることを、実例も示しながら具体的にお聞きしましたが、知事も、人間がつくった制度だから改善すべき課題はあり得る、その中には負担の重さという事実もあるだろうとお答えになりました。そして、もう少し時間を見て、いうべきことは国に要求するし、都でもできることは対処していくという姿勢を示されました。これは大変重要なお答えであり、ぜひ、余り時間をかけずに早急な対策を求めておきたいと思うんです。
 また、先ほど社会福祉法人等への入所者の利用料の、利用費の負担軽減措置について、特別対策、区市町村が対応する場合に都としても対応していくんだというようなお話がありました。これは、区市町村も財政がそんなに楽ではないので、積極的に都として独自の助成制度を行って改善を進めていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  そして、本来、本当に低所得の方の、在宅サービスもそうですが、施設介護も大変厳しい状況ですので、これに対する何らかの援助策をとるよう求めておきたいと思うんです。  それで、私はきょう、介護保険の改善、改革にとって、在宅サービスの利用が伸びない問題とともに、もう一つの大きな懸案であります、施設を初めとした基盤整備のおくれの問題について質問したいと思います。  実は、私の地元北区で、間もなく、民間法人の特養ホームと、都営桐ケ丘団地再生事業の中で、都営住宅建てかえで恐らく初めてだと思いますが、併設の特養ホームがオープンするわけです。これで百五十人の新たな入所ができるということで、地元で待っている人の期待は物すごいものです。最近になって、これから申し込んで入れるだろうかという相談が私にあったんですが、とてもそんな状況じゃない、もう候補者選定が始まっていて、新しい希望者は大変な狭き門だというお話でした。  北区は、都内でも珍しいんですが、特養ホームの申し込みを区が受け付けておりまして、待機者、申込者の数を区がつかんでおります。昨年三月末には、区の押さえでは、特養待機者は二百人ほどだったんですが、その後、介護保険が始まると申し込みが急増しまして、現在六百八十八人だそうです。三倍以上になっております。  最近、朝日新聞でも、この特養など介護保険の問題について記事が載っておりましたが、ここでも分析されておりますように、介護保険調査の中で、施設への依存が強まっているということが指摘をされていますが、北区でもそういうデータが明らかに出ております。  東京都は、こうした現状を東京全体についてきちんと把握すべきだと思いますが、どういうふうに把握しているでしょうか。また、現在の都内の特養の待機者というのは何人となっているでしょうか。

◯前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 お答え申し上げます。  若干留保がつきますが、まず、措置制度のもとでの最後ですが、平成十二年三月末現在の待機者は都内で九千六百六十四人でございました。この後、四月から介護保険制度が実施されましたけれども、これはご案内のとおり、措置から施設との直接契約に変わって、いわゆる待機者の概念がなくなったわけでございます。このため、区市町村は、入所希望者はもちろん、入所者でありましても、介護報酬の請求がないと把握できない仕組みとなっております。一方、もちろん各施設へは個別に申し込みがあるわけでありますが、実際にはほとんどの方が複数の施設へ申し込みをされる、そういった状況で、制度開始当初の若干の事務的な問題もあり、実数の把握はできておりません。
 ただ、都としては、もちろん、広域的に特養等をつくっていくに当たって必要なニーズは、当然把握すべきであると思っておりますので、来年度、広域的観点から、特別養護老人ホームあるいは在宅サービス等についてニーズ調査を行っていく予定でございます。

◯曽根委員 東京都が事業支援計画などを見直していく場合についても、全都的に特養がどれほど必要なのかというのはつかまなければなりませんので、調査は必要だし、取り組んでいくというお答えでしたので、ぜひきちんと把握をしてほしいと思うんです。  そして、その結果を、当然ながら今後の施設基盤整備に生かしていかなければなりません。というのは、東京の介護基盤整備状況は全国でも大変低いクラスで、しかも現在、その順位を下げてきているからです。  ちょっとパネルを出させていただきますが、資料もあわせてお配りします。  きのうも同じ資料をお配りしたんですが、最新の厚生省の資料です。保健施設マップという資料では、九九年度版で、年齢人口当たりの施設整備状況において、特養ホーム定員数は四十七都道府県中二十五位なんですけれども、これが二十六位に下がってしまって、デイサービス定員数は二十三位から二十六位、いずれも下がっています。また、施設として重要な老人保健施設の定員数、またショートステイの定員数では、残念ながら最下位の四十七位のままです。  これに対して、知事が昨年末に発表しました福祉改革推進プランの中では、特養ホームなど高齢福祉施設の整備目標が、従来の、昨年つくった事業支援計画と全く数的にも変わっておりません。これでは東京のこの深刻なおくれを取り戻すことはできないわけです。この際ぜひ前倒しして緊急施設整備をやるべきじゃないでしょうか。そして、待機者や必要数のこれから行う調査も踏まえて、新たな整備目標を早急に立てるべきだと思いますが、知事、いかがでしょうか。 〔前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務発言を求む〕

◯曽根委員 知事、ぜひお願いします。

◯松村副委員長 知事に答弁を求めています。

◯曽根委員 知事、ぜひお考えをお願いします。

◯石原知事 必要なもので足りないものは、これは充足していかなきゃならないと思いますが、福祉の問題、特に高齢者の問題については、東京と地方というのは本質的に違う状況があるということも認識しなくちゃいけないと思います。それは、東京はよく東京砂漠といわれますけれども、家の崩壊、それに伴う非常に孤独といいましょうか、つらい状況にあるお年寄りの数が相対的にふえておりまして、そういうことも認識は十分しておりますけれども、それをにわかに施設をたくさんつくるということだけで対応できるものではないし、また、もっと内面的な、心の東京革命ということをそれでいい出しているわけでありますから、そういうものとの兼ね合いの中でそういうものの充実というのを図っていきたいと思うんです。  具体的な計画については、局長の方からお答えします。

◯前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 お答え申し上げます。  先ほどご指摘ありましたが、確かに東京の場合には、全国に比べまして進んでいる分野とおくれている分野がございます。ご指摘ありましたように、老人保健施設であるとかショートステイとかは、かなりおくれた方に確かに属するかと思います。ただ、特養につきましては、順位はともかくとして、全国平均は上回っておりますし、それからホームヘルプ、デイサービス等につきましては、これは全国よりもかなり進んでいるわけでございます。  ただ、私どもはこれでよしとしているわけでは毛頭なくて、先ほどもお話ありましたが、福祉改革推進プラン等に基づきまして、特別養護老人ホームなどの整備をこれからも計画的かつ積極的に行ってまいりますし、今後は、さらにこれらに加えまして、住まいとケアとを新たな観点から組み合わせる、私どもはケアリビングといっておりますが、例えばケアハウスであるとかグループホームであるとか、こういったものも重点的に整備をしていきたい、こう考えております。

◯曽根委員 必要で足りないものは充足していきたいというお話ですので、ぜひお願いしたい。  東京において、確かに長期に入所する施設も十分ではない、中位の下の方ですが、特に足りないのは、最下位を担っている、在宅の介護を支える、いわば一定の限られた期間入る老健施設や、それからショートステイなんですね。これは、自宅で過ごしたいと思うお年寄りが、それでもなかなか全部の期間自宅にいることは難しいときに、一時的に預かる施設というのが非常に重要であって、それが一番足りないという東京の現状をぜひ知っていただきたいと思うんです。  それから、これとあわせて、基盤整備の促進のためにも、特別養護老人ホームの運営に対する支援の拡充も重要課題であります。  我が党は、昨年秋、介護保険導入後の都内の特養ホームの実態調査を行いまして、百五十九施設から回答を得ましたが、どこも、介護保険制度による影響に都加算補助廃止の影響が加わって深刻となっていることが明らかとなりました。常勤職員を六五%の施設が減らしており、利用者のサービスとしても、レクリエーションの見直しなどが五六%の施設で行われておりました。お花見だとかバス旅行、夏祭りの中止などがこの一年間相次いで行われたわけです。都加算廃止をめぐる一連の都議会の審議で、都は、入所者のサービスは低下しないと言明してきました。しかし、現時点に立って見れば、サービス低下はないと胸を張っていえる状況ではないと思いますが、いかがでしょうか。

◯前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 今お話がございました特別養護老人ホーム経営支援事業、これは、私ども、介護保険制度の創設に伴いまして、特養の経営につきましても、施設の自主的かつ柔軟な運営、経営者が経営の工夫を加えて、かつ利用者の処遇についても積極的な向上を図っていく、こういうことを可能にするために、こういう移行に当たっての制度を設けた次第でございます。  今お話がございましたが、私どもと特別養護老人ホームの代表者で構成する特別養護老人ホームの経営に関する検討協議会を定期的に開催しておりますけれども、この中で、大半の特別養護老人ホームは、さまざまな見直しを行うとともに、利用者に対するサービスの向上に施設を挙げて取り組んでいるとの報告を受けております。また、都が実施している指導検査におきましても、同様な状況を確認いたしております。

◯曽根委員 前川室長が、今のお答えにもあるように、サービスを行っている施設の本当の生の声といいますか、本音の声を聞けていないんだと思うんです。私たちの調査にも、安上がりにサービスがならざるを得ないという施設側の苦渋の声も聞こえております。  それでお聞きしたいんですけれども、都加算廃止に伴って実施されました特養の経営支援事業は、当初計画では今年度百億円が来年度六十億円となるとされていましたが、それが予算案で七十億円になったという理由はどういうことでしょうか。

◯前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 来年度予算案におきまして、特養の経営支援事業につきまして七十億円といたしましたが、これは、介護保険制度が開始されて二年目であります、この事業の主要な目的の一つである円滑な移行という観点から配慮を加えたこと、それから、これに加えて、都議会、さらには特養ホームの代表者等から、逓減率を緩和してほしいとの要望がございました。こういったことを総合的に判断して七十億円としたものでございます。

◯曽根委員 今室長がお答えになったように、施設側からは、この百億円を大幅に削られたら大変なことになるという声が上がり、また議会からも声があったということですから、これらをきちんと受けとめて、間に合わせの対策ではなく、都加算の役割も含め、経営支援事業について、このまま三カ年の経過措置で本当になくしていっていいのかということも含めて見直すべきだということを申し上げておきたいと思います。  次に、障害者福祉について伺います。  障害者基本法には、国及び地方公共団体は、重度の障害があり、自立することの困難な障害者について、終生にわたり必要な保護等を行うようにしなければならないと定めています。また、障害者と障害者を扶養する者の経済的負担の軽減を図ることも国と地方自治体に求めております。  にもかかわらず、昨年知事が行った障害者の医療費助成及び重度手当などの見直しは、障害児から高齢障害者まで深刻な影響を及ぼしつつあります。中でも、我が党が昨年の予算議会で、所得制限強化の影響が、とりわけ重度障害児のいる在宅家庭に集中的な被害を及ぼすことを明らかにしました。すなわち、医療費助成と重度手当と児童育成手当が全部対象外になる人が生まれ、その影響額は一人当たり年間百万円にもなるというものです。医療費助成が対象外になることで、一人当たり平均年間十八万円、重度手当がなくなることで七十二万円、児童育成手当で十八万六千円、これで合計で年間百八万六千円もの影響になります。その後一年が経過し、我が党のこうした指摘の正しさが浮き彫りになってきました。  これは昨日付の東京新聞なんですけれども、障害児世帯の医療費助成打ち切りは三割、都の所得制限導入などが影響という記事が出ております。これは、障害者団体の、都内の障害児学校に在籍する児童生徒の保護者に対する、ことし一月に行った調査結果を伝えるものです。私も調査のまとめをいただき、読ませていただきました。きょうの資料の二枚目からも入っておりますので。  回答を寄せた千三百十五世帯のうち、去年の八月まで医療費助成を受けていたのが七百四十世帯、このうち三二%の二百三十六世帯が九月から対象外となり、助成を打ち切られました。児童育成手当を受けていた世帯の三一%、二百六十六世帯が対象外、重度手当は、六百三十七世帯のうち五三%、三百三十六世帯が対象外となり、これは来年度から支給額が削減され、二〇〇三年度に支給が打ち切りとなります。そして、これら三つの制度がすべて対象外になるのが百十二世帯に及びます。以上のような結果が明らかになりました。  一人一人の回答には、今回の見直しによる影響の深刻さや、生活実態の厳しさが綿々とつづられています。幾つかをピックアップしたものがきょうお配りした資料ですが、ごらんのように、医療費助成の対象外となった人たちがこのような声を上げています。  知事にもぜひ見ていただきたいんですが、最初の例1の人は、薬代、診療費、訓練費で七千四百円、それに訪問ケアの費用で六千五百円、合わせて一カ月当たり一万三千九百円の負担増になっています。これは経常的に必要な医療費で、一年に直すと十六万六千八百円の負担増。実際は検査代や入院費用がこれに加えて入ってきます。  次の例2の人は、障害者手帳の認定を受けるまで、本当に医療費には苦しめられ、この子を殺して私もと何度も思った。またあの苦しい日々が始まるのですねと書いています。  私自身、改めて何人もの重度障害のお母さん方に直接お会いし、話を伺いました。重度脳性麻痺で双子で生まれるケースが割合多いんですが、双子の重度脳性麻痺の子どもを育てている方は、医療費助成が外され、脳波や視力、聴力などの定期検査、心理、言語、身体機能の訓練など、これは病気ではないんですが、二人分の医療費として月に二万から三万円がかかるようになった。この数カ月は何とか頑張ってきたけれども、子どもが成人するまで延々と続くと思うと、どこまで耐えられるか気が遠くなる。ましてや、どちらかが入院などとなったら、もう本当にお手上げになる、こう話していました。  私がお会いした方は、実にみんな明るくてたくましくて前向きでした。驚くほどからっとしていました。そうでなきゃやっていけないんですね。皆さん、我が子の命を支えるために必死になってたくましく生きているわけです。そういう人たちがこれほど切ない思いをし、もうもたないかもしれないと悲鳴を上げています。  知事、いかがでしょうか。これらをごらんになってのご感想をお聞きしたいと思います。知事、お願いします。

◯石原知事 自由経済社会でありますから、そういう体制のもたらす結果として、所得の格差を含めて、多くの人たち、個々人の生活の条件というのはさまざま違うということは、私は当然あり得ると思います。  しかし、そういう中で、基本的に公平というものを期してさまざまな行政措置が行われ、そのための制度も構えられているわけでありますけれども、おっしゃるような例もあると思います。ただ、私たちが基本的に木を見て森を見ないような、そういう行政を行うわけにいかない。バーズビューも必要でありますし、インセクトビュー、つまり鳥瞰と虫瞰という、そういう二つの視点をあわせて行って初めて行政は完璧に近いものになっていくと思いますから、もちろんあなたが挙げられた例が現実にあるということも認めますし、承知いたしますけれども、ただ、そういう方々に対する同情というものは、大きな政策というものを基本的に変えるというわけにはなかなかいかない。(「森も木も両方見ろよ」と呼ぶ者あり)ですから、森と木を両方見るような措置というものをこれから講じていきたいと思っております。

◯曽根委員 今、木を見て森を見ないというふうにおっしゃいましたが、私は最初から、都民の全般の福祉について話しているのじゃありません。この対象というのは、もともと重度、それも、重度手当をもらっているような方は一万人という極めて限られた超重度の、それも在宅の障害児のところに削減がねらい撃ちのように来ているわけです。ですからもう、都民全体から見ればわずか千人とか数百人のことなのです。しかしそこに、本当に研ぎ澄まされたやいばのように切り込みが入っているのです、現実に。  私はほかの都民のことをいっているのじゃないのです。そういう少数者の方について、同情とかいいましたけれども、同情ではなくて、これは障害者基本法の中で、重度で自立が困難な障害者は、特に国や自治体が保護等を行わなければならないというふうに法律でも定められている対象なんですね。だからこそ私は少数者の問題を今問題にしているわけなんで、勘違いしないでいただきたい。  こういう方の声に耳をかさないでおいて、それで都民を守るべき行政としての地方自治体が、全体を見て、森を見ればできるなんていうことには絶対になりません。責任を果たしていることにはならないと思うんです。  それで、東京都の問題がほかの県ではどうかということで、私、全国の自治体の調査をしてみました。ごらんいただいてわかるように、これは全国都道府県で、一番左側の項目が所得制限、真ん中は負担額、そして見直しが行われているかどうか、この三つについて調べたところ、所得制限もかなりのところ──黒丸が所得制限のないところです。白三角が一千万円という所得制限です。ですから、十五の府県が所得制限がなく、あと三つの県が一千万円という所得制限です。それから負担額についても、八割が、これは入院、食事代も含めて負担額なしです。見直しも、やっているところはほとんどありません。まして福島県などは拡充を行おうとしています。ですから東京都は、その中で全国的にも最も低いレベルの方に今なってしまっているのです。  ですから、法で定められ、同情ではなくて、自治体としてきちんと位置づけられている重度障害者に対する福祉を、少なくとも全国レベルにまともな形でやってもらいたい。そのためには、削られたマル障をもとへ戻すのが当然だと思うのですが、知事、いかがですか。

◯前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 お答え申し上げます。  事実認識につきまして、私ども正確にしたいと思っておりますので、若干事実認識を述べさせていただきます。  まず、第一点の、アンケートでございますが、これは、拝見いたしましたが、確かに七千世帯を対象に配布されましたけれども、これはけちをつけるわけでは毛頭ありませんが、回収された世帯は、そのうち千三百十五世帯でございます。さらに、内容を拝見すると、この中でアンケートにお答えになっている方というのは、今回の見直しの影響を受けた──私ども見直しは最小にしたのですけれども、それでも見直しを受けた方が多い。都全体で引き続き支給対象となっている方が六割以上おりますけれども、それではなくて、引き続き支給対象となっている方が、このアンケートの中では四割程度にとどまっております。そういう意味で、率直に申し上げて、このアンケートの信頼性というのはいかがかというふうに考えております。それが第一点でございます。  それから、第二点目でございますが、私どもで今回の心身障害者児医療費の助成の見直し、それから重度手当の見直しは確かに行いました。しかし、これにつきましては、影響につきましては、当然のことながら、事前に相当調査をしていたつもりでございます。  例えば手当について申し上げますけれども、重度手当の対象児の中で、今回所得制限を導入したことによって対象外となった障害児は、全体で千三百四十五人でございますけれども、この中で一番障害が重い、これは三号該当というふうに私どもはいっておりますが、この方々の実態を心身障害者センターの調査等で調べてまいりました。そういたしますと、この三号に該当する方は四百九十人でございます。四百九十人の中で六四・五%に当たる三百十六人は、引き続き重度手当を受給できますし、障害者医療費助成を利用することができるわけでございます。  それからさらに、このうち二二・二%に当たる百九人につきましては、世帯収入で換算した場合、おおむね六百四十五万から九百万の年収がある方で、確かに助成と手当の対象からは外れましたが、引き続き国の手当を受給することができるわけでございます。  さらに、四百九十人のうち一三・三%の六十五人は、確かにこれは手当の対象外ともなりましたが、おおむね九百万以上の年収がある方で、従来から所得超過によって心障医療費助成についても対象外となっている方でございます。
 こういう次第で、私どもは今回の見直しにつきましては、十分合理的なものであると。しかも、これに加えて、国の医療保健制度の中におきましても、高額療養費等の制度が設けられておりますし、これによって、低所得者あるいは一般の方につきましては、一定の範囲内で負担が抑えられている。高額療養費につきましても、一般の家庭の場合、仮に年間通して五百万以上の高額医療を受給した場合であっても、おおむね月五万五千円程度の負担にとどまるというデータを手にいたしております。  以上でございます。

◯曽根委員 私、最初から、アンケートは全員から回答が来たなんていっていませんよ。大体こういうアンケートですから、切られた人が声を上げるのは当たり前じゃないですか。一番深刻な影響を受けている人がやっぱり一番頭にきているわけですから。そうでしょう。そのことについて何を文句をいってるんですか。(「文句じゃないよ、事実関係じゃないか」と呼ぶ者あり)だって、そうじゃないですか。信頼性について問題だというけど、調査の仕方そのものが、声を上げてくださいということで、声を上げる人は、当然切られた人が中心ですよ。それは当たり前じゃないですか。それが千三百十五人もの人が回答を寄せたことの方が重大でしょう。そこを問題にしているんですよ。数は限られていますよ、最初から。重度手当だって、対象は一万人しかいないのですから。その中で子どもさんは三千人ぐらいしかいないのですから。その三千人の中の三割か四割近くが切られるわけですよ。割合として見れば、極めて高い割合で切られるわけですから、こんなことは私は許せません。  それに、国の制度云々、それから、ほかの医療費助成云々とおっしゃいました。それはいろいろな制度がありますよ。例えば難病の医療助成が受けられないか──精神障害者の三十二条で、五%外来負担、これだけでも一割負担よりまだ軽いとか、いろんな形でほかの制度を探しているわけです、皆さん、お母さんは。しかし、もともと重度障害者を中心に、これも重度に限られている医療費助成を、東京都が恐らく全国に先駆けて始めた、そのときの精神は一体どこに行ったのかということをいいたいわけですよ。  それで全国は、東京に倣ってこうやってやって、この苦しい財政状況、不況の中でも、どこもほとんど見直しはやっていないのですよ。愛知県は昨年の春、自己負担導入を決定してしまったのですね、一回。そうしたら、八月の実施になっても、実施できなかったのです、市町村がついてこないから。  それから、暮れの議会になって、我が党はもちろんですけれども、会派を超えて、これはもとへ戻すべきだという声が上がって、知事もついに昨年の十二月に議会で、来年度は一たんもとに戻す、無料に戻すということを表明せざるを得なかったのですよ。これはそういう種類の問題なんです。  知事、それからもう一つ手当の問題を今おっしゃいましたけれども、手当を切られるのはこれからなんですよ。知事、これから切られるんです。百十二世帯が三つの制度を一遍に切られると、平均だけでも年間で百八万円という影響が出るんです。せめてその重度手当については、何とか削減実施を見送りにしてもらって、再検討してもらいたいという声が上がっているのですが、どうでしょうか、知事。

◯石原知事 いろいろな事例があり、いろいろな評価といいましょうか、お考え方があると思いますけれども、いずれにしろ時代というものの変化に応じて福祉というものを改革しようということで、今回の推進プランというものを策定いたしました。でありますから、その意味で、今回の施策の見直しは、あくまでも後退ではなしに、福祉の改革の一環をなすものでありまして、検討することは考えておりません。

◯曽根委員 認められませんけれども、時間が来たので、終わります。(拍手)

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