◯曽根委員 私からは、東京構想二〇〇〇について質問をいたします。 二十一世紀を迎えて、都政には取り組むべき課題が山積をしています。そして、新しい世紀は、東京都がまず軍事施設のない、核兵器のない平和な都市に発展すること、また、乳幼児からお年寄りまでだれもが健康に安心して暮らせる政治、そして、自然環境と人間の暮らしがともに成り立つような都市を実現したい、これはだれしも共通の願いだと思います。 しかし、新年になって私があちこち回ってみましても、都民の皆さん共通して、生活も家計も、商売もまだ不況の真っただ中で、今後に明るい見通しなど持てないというふうにいわれました。失業者もふえております。特に高齢者、障害者が、医療費の値上げ、介護保険料の徴収、年金改悪などで、国政にも、東京都政にも根深い不信感を持っているという現実に私たちは直面していると思うんです。 長期構想を策定する場合、こうした都民の暮らしや営業など、生活実態を正確につかんで、それをいかに解決して展望を切り開くのか、これが厳しく問われているのは当然です。そういうときに、東京都の役割、都民の安心できる暮らしや福祉を守る点でますます重要だと思います。 そうした観点から、昨年の九月の中間まとめ、今回の最終報告を見させていただきましたが、これは中間まとめの質疑のときに渡辺副委員長からも指摘しましたけれども、東京構想二〇〇〇には、こうした都民の苦しみ、痛みを受けとめる姿勢が果たしてあるのかと首をかしげざるを得ない点や、また、首都圏規模の都市改造計画などに莫大な費用を計画しているという点では、旧態依然の大型公共事業優先路線に反省がないんじゃないか、また、新たな一極集中さえ招きかねないんじゃないかと懸念を持たざるを得ません。以上の問題意識を持ちながら、質問をしていきたいと思います。 まず、都民の都政に対する最大の願い、要望は何かという点で、この構想を担当しています政策報道室が毎年行っております都民の生活世論調査の最新のデータでは、都政への要望という点で、上位はどういう要望でしょうか。
◯関谷政策報道室計画部長 平成十二年の調査では、都政への要望の上位五位は、一、高齢者、二、医療、衛生、三、ごみ、廃棄物、四、環境、五、消費生活でございます。
◯曽根委員 この上位のトップにあります高齢者対策、それから二位の医療、衛生、この要望というのは、この間何年ぐらい上位を占めているのでしょうか。
◯関谷政策報道室計画部長 高齢者につきましては、平成七年から平成十二年まで、毎年の調査ですべて一位になってございます。また、医療、衛生につきましては、平成八年、九年、十年は二位、平成十一年は三位、それで、先ほど申し上げましたとおり、平成十二年は二位でございます。
◯曽根委員 九五年もしくは九六年以来ずっと、一位は高齢者対策、二位は医療、衛生ということが続いているわけで、これは、たまたま昨年の調査でこうなったのではなく、都民がこの間ずっと、福祉や医療、高齢者対策の充実を都政に最大の要望として求めていることは明らかであります。 しかし、この構想を読んだ限りでは、都民の最大の要望、とりわけ高齢者対策といっても、その中身は、細かい調査で、高齢者福祉の基盤整備だという具体的な要望も報告に書かれてありましたが、そういう拡充の要望にこたえたものになっていないんじゃないかと思うんです。この中には、今後の福祉の方向として、サービスの提供者は、民間企業が大きなサービスを提供し、東京都──むしろ、基礎的な自治体である地方自治体が小さな行政としてわきから支えるというような図まで出ている。東京都が今まで直接担ってきた都民への福祉から、大きく手を引こうとしているんじゃないかという危惧の念を持たざるを得ません。 局にお聞きしますけれども、この東京構想二〇〇〇で、この都民の要望、特に高齢者対策、なかんずく福祉の施設整備などの拡充に正面からこたえるものになっていないと思うんですが、いかがでしょうか。
◯関谷政策報道室計画部長 東京構想の基本目標の一つでございます、都民が安心して生活できる東京をつくっていくためには、福祉の基盤を整備していくことが重要であると認識してございます。 社会経済状況の変化に対応した福祉改革の推進は本構想の特色の一つでもございまして、本構想では、病気や障害などにより支援が必要なときは適切なサービスが利用できるように地域のケアシステムを整備していくことや、利用者が生活実態に即して必要なサービスを選択できる体制を整備していくことなど、さまざまな福祉に関する取り組みを掲げているところでございます。
◯曽根委員 今のお答えで、最初に福祉の基盤整備は重要だというお答えがありましたけれども、では具体的にどうかということで、例えば、この間の高齢者の介護基盤整備で東京はどういうレベルにあるのかということで、私たち、最新のデータを調べてきました。 ちょっとパネルを使わせていただきますが、一番新しい九九年版という厚生省の発表したデータ、これは実際には九八年度のトータルということになりますが、これでは、その前年に、四十七都道府県の中で残念ながら最下位にあります老人保健施設の定員数、相変わらず最下位を低迷状態のままと。ショートステイの定員数も、四十七位、最下位のまま。中位に位置しておりました特養ホームの定員数は、二十五位から、九八年度は二十六位に下がってしまった。デイサービスの定員数も、中位にあったんですが、二十三位から二十六位に転落という状況で、下位を低迷している分野と、それから、中位にありながら、ずるずる後退をしている、これが介護サービス、特に在宅サービスと施設サービスの中心的な施設基盤整備ですよね。(「こっちにも見せて」と呼ぶ者あり)こういう状態なんですよ。 ですから、今後の将来の計画を立てる場合は、ほかの県だって頑張っているわけですから、その中で、やはり重要だというのであれば、現状をどう打開していくのかということが書かれてしかるべきなんですが、この中には、現状がこういう下位に低迷しているということについての反省もないし、それから、特養ホームなんかの基盤整備の計画を見ても、これは介護保険実施前に決めた支援計画の数のままなんですよね。その数を出ていないわけなんですよ。そういう点では、最大の要望である高齢者の福祉、介護基盤整備の要望にこたえているとはいえないというふうにいわざるを得ないと思います。 もう一つ、私が非常に驚いたといいますか、注目をしましたのは、三カ年推進計画というのが今回、中間まとめに加えて具体的な事業名が出されました。この内訳を見ますと、例えば、今いった高齢者対策の事業について重点事業で挙がっているのは、介護基盤整備と、それから高齢者の福祉医療複合施設整備ぐらいなんですね。つまり、施設整備しか重点事業に入っていないんです。ソフトの事業がない。両方合わせても、事業総額の一一・三%程度です。これにほかの福祉医療関係の事業を全部足しても、この三カ年計画の中では、福祉医療関係は一八%ぐらい。これは、細かい事業の内訳は出ていませんので、大ざっぱにハードとかソフトに分けて私が計算したものなんですが、そういう割合になっています。 これに対して、例えば臨海開発続行、ベイエリア21に拡大するとか、それから幹線道路計画などの大型公共事業は事業費総額の約三〇%を占めておりますし、公共事業全体では、福祉や医療の施設を除いても、約七〇%を占めるんです。 これを図にしてみました。こういうふうになるんですね、三カ年計画を分類しますと。白くなって抜き出しているその他一一%というのが、いわゆるソフトの事業なんです。それ以外の約九割近くが大体ハードの事業で、つまり公共事業です。公共事業の中にも、もちろん我が党は、福祉、教育施設などの建設は当然必要で、もっとふやさなきゃならないと思っています。それから、鉄道の立体交差などの公共事業もあります。しかし、この赤い部分を見ていただきたいんですが、大型公共事業がまだ三割を占めている。ここに非常に押し出されて、全体としてはハード重視の三カ年計画になってしまっているんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
◯関谷政策報道室計画部長 三カ年の推進プランを策定するに当たりましては、厳しい財政状況下においても、東京の再生に真に必要な重点事業に限って事業費を計上したところでございます。都市基盤の整備等につきましては、経済活動の維持向上のみならず、生活環境の改善にも資するものであり、東京を再生していく上で不可欠であるとの認識に立ち、真に必要な事業を選定したところでございます。 事業の選定に当たりましては、都市基盤整備のみならず、福祉、教育なども含めたさまざまな行政分野において、三カ年で重点的に整備すべき事業を絞り込んでお示ししたところでございまして、特にハードを重視して策定したものというふうには受けとめてございません。
◯曽根委員 そういうふうに定めてやっていない、ハード重視と決めてやったわけじゃないといっても、結果としては九割近くが公共事業、ハードになっている。しかし、もちろん、これだからといって、公共事業優先でとんでもないといっているわけじゃないんです。この中には福祉施設もあれば、教育施設もある。それから、緑、公園、それから鉄道立体交差など、必要な事業もありますよ。しかし、問題は、ずばりメスを入れるべきはこの大型公共事業です。中はそんなに数多くないんですよ。臨海開発とか高速道路関連の事業とか、そういうものです。これがいまだに三割の割合を占めているために、公共事業全体が九割近くなっちゃっている。財政が厳しい、厳しいというのであれば、この大型公共事業にずばりメスを入れるべきだというのは、これは別に東京だけじゃなくて、全国で既に大きな国民世論になっているわけです。 なぜかといえば、この十年間、国も、それから東京都も、大型公共事業、物すごい金をつぎ込んできた。十年間やってきましたよ。景気対策だということでやってきたけれども、結局、景気は回復もしないし、大きな借金も抱えてしまった。東京都の場合には、一般会計だけで七兆円以上の借金があるわけです。そのことが財政を極めて困難に陥れているということは、かつて東京都も財政分析でみずから認めているところですから、この時代、二十一世紀の長期構想というからには、臨海開発のように財政的にも破綻している事業や、それから高速道路のように、出さなくてもいい貸付金までどんどん東京都が出してやっている事業については、きっぱりとメスを入れて見直すと。その分を是正して、ソフトの事業にもっと力を入れるということは十分可能だと思いますが、いかがですか。
◯関谷政策報道室計画部長 現在、財政状況が非常に厳しい中で、投資的経費については基本的には抑制方向で、この間東京都は取り組んでいるわけでございまして、今回の推進プランを策定するに当たっても、投資的経費につきましては、十分重点的に選択をした上、真に必要なものについて選び取ったものでございます。幹線道路の整備ですとか臨海部の開発等につきましては、東京が再生していく上で真に必要な事業であろうということで事業化したものでございまして、そのようなご指摘は決して当たらないというふうに考えております。 また、今回の推進プランの中での目的別の事業費を見てまいりますと、従来の実施計画に比べれば、はるかに土木費の占める割合は下がっているわけでございまして、民生費等の割合は高まっております。福祉を軽視しているということは決してないというふうに考えております。
◯曽根委員 前の実施計画に比べて、福祉などがふえているんだというようなお話ですけれども、この重点計画というのは、いってみれば、すべての事業を集めたものじゃなくて、今後伸ばしていく事業について入れたものですよ。青島知事のときのあの生活都市構想の重点計画の中には、介護保険事業に今入っているヘルパー事業なんかは全部入っていたんです。これには入っていないんですよ。あのときの重点計画の中に入っていたヘルパーや何かは介護保険事業に移って、東京都のいわば負担分というのが大きくなっているわけですよね。義務的経費というのが、この施設基盤の整備も含めてその後膨らんでいるわけで、東京都が熱心だから福祉の事業部分が膨らんだわけじゃなくて、国の施設計画に基づいて東京都の出し分を出したということが原因だというふうに思うんです。 それから、幹線道路が必要だということを盛んにおっしゃいましたけれども、その根拠として、例えば都市白書二〇〇〇なんかには、東京の道路率がまだ低いんだというようなことが盛んに書かれていますよ。しかし、こういうものを使って、道路の整備がまだ重点課題だというのは、私は、やっぱり正確なデータに基づく行政を進める必要があると思うんです。 というのは、ここで出されている東京の全体の道路率が七・六%だが、ヨーロッパの各都市は二〇%台だというのは、ベースが違うんですよね。東京の場合は、その道路の面積割ることの東京都の総面積が入っているわけですよ。だから、極端にいえば、硫黄島まで面積に入っているんです。多摩の山林も、全部入っている。しかし、ヨーロッパの各都市の道路率には、既成市街地しか入っていないんです。したがって、分母が違うわけですよね。建設省のデータを使ったようなんですが、建設省と東京都のデータの分母の違いを無視して、こういう表を一つでつくってしまう。これだけでも、倍ぐらい違いますよ、道路率は。 さらに、都心からのどれぐらいの範囲を道路率で見るのかという点でも、ロンドンであれ、パリであれ、ニューヨークであれ、東京であれ、それぞれ都市の大きさは違うわけです。例えば都心からの、今、センター・コア・エリアですか、その範囲ぐらいのところというと大体六キロから七キロ圏で、この範囲で見ますと都心八区ぐらい入るんですが、この都心八区程度の広さの道路率でいうと、ヨーロッパの各都市、ニューヨークも含めて、それと日本の東京、二二%程度で、ほとんど並んでいます。 ですから、センター・コア・エリアを設定して、その中で渋滞解消だと、そのために中央環状線だというのなら、そのもとになるデータとして、もう少し正確なものを使う必要がある。その上で、きちんと科学的な議論をする必要があると思うんですよ。恣意的なデータの使い方はよくないということを、この際指摘したいと思います。 それで、先ほど臨海開発の話もありましたが、臨海開発も含めてこの十数年、東京都が進めてきた事業のあり方というのは、私はやはりバブルのやり方が残っていると。二十一世紀にふさわしく、根本的に見直して、この充てている投資の財源を、都民が最も求めている高齢者福祉や医療、保健などに振り向けるべきだと思います。そうすれば、今計画されている高齢者介護基盤施設を初め福祉施設ももっと拡充できるし、それから、今年度から残念ながら切り捨てられてしまった事業についても、復活も十分にできると思うんです。 私は、三カ年事業であえていいますと、やっぱり切られた福祉をもとへ戻すと。これは都民の願いとして、切々と私たち訴えられているんですね、まちを歩けば。特に高齢者は、マル福も、それから寝たきりの手当も、これは廃止ですから、何とかしてほしいという声を聞いています。こういう声にどうしてこたえないのかなと。東京都に当然聞こえていると思うんですよ。長期計画をつくるといっても、当面の三カ年計画、ここにこうした都民の声を反映させるべきじゃないですか。
◯関谷政策報道室計画部長 経済給付的事業の見直しにつきましては、社会経済状況の変化への対応ですとか、社会保障制度や福祉サービスの充実の度合い、介護保険制度等との整合性、負担の公平性の確保などの観点から見直す一方、今回推進プラン等でお示ししていますとおり、新たなニーズに対応した福祉サービスの量的、質的な充実に向け、施策の転換を図り、真に都民が安心できる福祉施策を展開していくために行ったものでございます。 東京構想では、このことを踏まえまして、推進プランの中で、高齢者や障害者の自立生活を支援するためのサービス基盤の整備促進、心身障害者施設の緊急整備や良質な保育サービスの提供など、多様な取り組みを取り上げているところでございますので、ただいまご指摘のあったように、もとの制度に経済的給付を戻すということは考えてございません。
◯曽根委員 私は、たくさんの相談を受けているんですけれども、その中で、昨年九月からマル障の適用を除外された七十六歳の町工場の経営者の方からの相談が非常に切実なので……。 この方は、今、異議申し立てをやっているんですけれども、長くレール溶接などの工場を切り盛りして働き続けて、九七年に脳内出血で倒れました。左半身麻痺が残って、仕事もままならず、通院費がかさんできたときに、それまでのマル福から、障害者の適用を受けて、マル障の適用になったわけです。どんなに助かったかわからないと──マル福は有料ですけれども、マル障は全額無償でしたからね、そういうふうにおっしゃっていました。それが突然、昨年の八月いっぱいで打ち切りの通告が来たと。不況で仕事もなく、体もきかない状態で、所得税さえ納められないほどの低収入なのに、地方税の均等割を払っているから外されるというんです。しかも、おろされたマル福制度、これはことしの一月から一割負担になってしまった。この方は、昨年春までに、ついに工場も廃業に追い込まれて年金以外は無収入になっているんですが、そこに打ち切りの通知が来ているんですね。つまり、去年の収入でことしの税金を払うという形ですから。 今、高齢者が経済的に豊かになったとか、他の世代との不公平があるとか、先ほどのお話の中にもちょっと出ましたけれども、大多数のお年寄りは、実態はそんなものじゃありませんよ。ごく一部の方の高額所得のために平均額が上がったように見えますけれども、高齢者の過半数は、国民年金しか受けておらず、所得税が非課税であり、預金も二百万円以下なんです。そういう、いわば大半はつましい、厳しい暮らしを余儀なくされております。それに対して、マル福も老人福祉手当も、所得制限もつけないでいきなり廃止したわけですから、これはやっぱり制度を戻してほしいという声が起きるのは当然だと思います。そういう点で、私は率直にいって、財源もあるじゃないかと思うんですよ。今年度三千六百億円、来年度五千億円近く、合計すれば八千億円以上の増収があると。この財源を大いに活用すべきだ。やはりやる気の問題だと思います。 それから、経済給付云々というようなお話がありましたが、経済給付制度というのであれば、乳幼児医療費も同じなんですよ。乳幼児医療費助成は拡充をしていって、お年寄りの方は廃止だと。これはやっぱり公平性は保てないと思います。そういう点でも、切り捨てをもとに戻さない理由はないと思います。このことを強く要求して、これは第一回定例会でも引き続き議論をすることを申し上げて、質問を終わります。
◯大山(と)委員 私は、都庁改革アクションプランについて質問いたします。 二十一世紀を迎えた今日ですけれども、どういう行政改革が求められているのかということですけれども、それは、大型公共事業に偏った税金の使い方を改めるとか、それから不効率で不明朗な第三セクターにメスを入れるなどとともに、少子対策、それから高齢化対策や教育などの必要な分野には重点的に予算を配分するという、これが自治体本来の姿ですから、この自治体本来の姿を取り戻すこと、そのための行政改革が求められているんだと思います。 しかし、東京都が発表したビジョン、これを見ますと、中間まとめ以来、本委員会を初めとした論戦の中で明らかにされてきたように、第一に、東京構想二〇〇〇が示す方向に合った行政をつくっていく、それから第二は、そのために都の仕事をできる限り民間に任せていく、残った仕事も、区市町村だとかボランティアが引き受けないものだけを東京都が仕方なくやろうと、そういう方向が露骨に示されているといえます。 そのことは、今回つけ加えられた実施計画を見るとよくわかります。一番改革のメスが必要な大型開発の仕組みや第三セクターについては現状追認というふうになっている一方で、女性財団の廃止、それから、これまでは手がつけられずにいました労働研究所や商工指導所などの直営施設の統廃合、障害者福祉会館や勤労福祉会館などについて、運営だとか存立そのものについても見直しを迫るものとなっています。 私は、時間の関係もありますので、きょうは、実施計画の3、事業のあり方で打ち出された成東児童保健院の廃止について、まずお聞きします。 この成東児童保健院というところは、児童養護施設であると同時に、病院が併設された施設で、医療も福祉も同時に必要な子どもたちが入所します。全国でも、この成東児童保健院と、岩手県にありますみちのくみどり学園の二カ所しかないという施設です。この成東児童保健院を廃止する理由をまず述べてください。
◯山内総務局行政改革推進室長組織担当部長兼務 成東児童保健院の廃止の理由でございますが、まず一つとして、結核の減少など、疾病構造の変化や医療技術の進歩によりまして転地療養が必要な児童が減少し、全体の入所児童数が減少してきていること、二番目として、都内から遠隔地にあり、保護者と児童との関係を疎遠にする一因となること、三番目として、家庭の事情により入所を必要とする児童の割合が多く、虚弱児施設としての割合が減っていることという状況がございまして、現在入所している児童につきましては、児童養護施設等への入所や都立病院等で対応できることから、平成十四年度末を目途に廃止することといたしました。 なお、既に平成十二年度から新規入所の受け付けを停止しているところでございます。
◯大山(と)委員 このアクションプランの中にも記述があるんですけれども、その中にも児童福祉法の改正というふうにありますけれども、この児童福祉法の改正というのは廃止の理由にはなりません。というのは、厚生省は、実態のある施設は優先的に残すということで、措置費も虚弱児施設のときと同様に出しているからです。そのほかいろいろと廃止の理由を今答弁されたわけですけれども、全然実態がわかっていません。 私は、成東児童保健院に昨年の十一月に伺いました。児童福祉法を改正する前にも私伺っていますから、二度目の訪問です。我が党の曽根委員だとか、それから池田議員も伺って、いろいろと話を聞いてまいりました。 未熟児で生まれた中学生の女の子は、一歳十カ月で膠原病と診断されて、入退院を繰り返し、薬の副作用で身長が伸びず、学業のおくれも加わって、いじめに遭って不登校となりました。足も、内反足のために手術をしています。お母さんが亡くなったために、成東児童保健院に入所しました。最初は頭痛や倦怠感などで、学校へ行っても保健室で休むことが多かったんですけれども、だんだん落ちついてきて、元気に小学校は卒業して、そして養護学校の中等部に進みました。この子は、お母さんと同じ膠原病です。お母さんがそうであったように、自分も歩けなくなったら死ぬんだというふうに思っています。ですから、精神的な負担もとても大きいんです。 この病気は、よくなったり悪くなったりを繰り返して進行していく病気です。ですから、お父さんは、現在は一番安定している時期、だからいろいろなことを体験させてやりたい、この子はいずれ病気が進行して、目も見えなくなり、腎臓も悪くなっていくのだから、この子に今の日々、今の時間を大切にして、できるだけのことを体験させてやりたいと思うと話されています。病院に入院していたら、友達と一緒に学校で過ごすことはできません。この子は普通の養護施設には行けません。 私は、衛生局から話を聞いているときには、ぜんそくの子が多いのかというふうに思っていましたが、行ってみて、実態は大きく違っていました。超未熟児で生まれたり、それから心疾患があったり、それから重いアトピーであったり、ネフローゼであったり、さまざまな難しい病気、慢性の疾患があって、その上、虐待だとか、家庭のさまざまな問題を持つ子が多いわけです。そうした子どもたちが、施設の皆さんや関係者の皆さんの懸命な努力で、入院している子も、寮に住んでいる子も、一人残らず成東町の普通の学校に通っているわけです。 そこで伺いますけれども、成東のこの児童保健院を廃止した場合、全員が一人残らず、今と同じように、医療と福祉のケアを受けながら普通に学校に通うことが保障できるのでしょうか。
◯山内総務局行政改革推進室長組織担当部長兼務 細かいお話なんで、私の方は、局の方から聞いているということでお答えさせていただきます。 今のご質問に対しては、入所がえに当たっては、入所児童の処遇を低下させないよう、一人一人の児童の家庭の状況に応じて最大限の配慮を払うことに留意するというふうに局からは聞いております。
◯大山(と)委員 衛生局と福祉局で、この成東保健院を廃止するというふうに財務局からいわれて、そのことで、どうやったら今の子どもたちをどこに措置がえができるだろうかということで検討して、一〇%の子どもたちは、児童養護施設にも措置がえできない、受け入れられない。その人たちは、一〇%は病院に行かざるを得ないというふうな検討の結果だったんですね。例えば、病院に行かざるを得ないという子どもたちに教育の保障はどうするわけですか。
◯山内総務局行政改革推進室長組織担当部長兼務 長期の入院が必要となる児童につきましては、通常は、病院内での訪問教育や分教室などを利用するということになっております。
◯大山(と)委員 今は、入院している子どももきちんと町の学校に通えているわけですね。院内教育にしても、町の学校に通えるわけではありません。成東児童保健院では重大な病気を持ちながらも町の学校に通えている、普通の生活ができているという子どもたちを、このアクションプランを出して、総務局がきちんと責任を持って──今アクションプランの話をしているわけですから、病院に押し込めると、そういうつもりなんでしょうか。 例えば、人工肛門をつけて、B型肝炎もあって、この子は虐待を受けていました。その男の子が入所してきたわけです。気に入らないことがあると乱暴なことをいったり、無視したり、さらには、人工肛門からうんちをばらまいていた子です。心理セラピーやスタッフの働きかけなどで、徐々に学校にも行けるようになりました。学校の友達ができて、毎日楽しく登校できるようになって、高校生になったら、好きな女の子もできたんです。下着も自分でちゃんと洗って、学校に毎日楽しく行けているわけなんですね。この子たちにとって、学校に行くこと、友達がいること、勉強すること、これが大きな喜びであって、病気を持っていても町の学校に通うことができる、それが生きる力になっているわけです。この子たちの生きる喜びを奪おうというわけなんでしょうか。
◯山内総務局行政改革推進室長組織担当部長兼務 成東児童保健院の廃止に当たりましては、ほとんどの児童は児童養護施設等で対応が可能だというふうに考えております。今後、退所時点での児童の身体状況や、保護者及び児童の意向等を踏まえて対応していくというふうに考えております。 なお、退所時に入院を必要とする場合には、都立小児病院等との連絡を図りながら、適切な対応を図っていくというふうに考えております。
◯大山(と)委員 今、病院に入院せざるを得ない子どもたち、この子どもたちの喜びを奪うことになるんです、生きる力を奪うことになるんですという話をしているんです。 そして、今、児童養護施設で受け入れるというふうにご答弁されましたけれども、児童養護施設、今どういう状況になっているか、ご存じでしょうか。今、どこもいっぱいなんです。一月三十一日付の入所率をいただきましたけれども、民間は九七・六%、都立は、何と一〇三・四%です。定員以上に押し込められているんです。福祉局は、来年度も今年度並みに推移すると、今年度よりもさらに来年度は入所児は多くなると予測して、受け入れ枠拡大の対策を一生懸命考えているらしいんです。 最近、どうしてこのように児童養護施設が込んでいるのかといえば、それは被虐待児がふえているからです。児童虐待防止法ができて、通告義務があるということになりましたけれども、この通告義務があるということがもっともっと広く知られましたら、さらに多くの、児童養護施設に入所するべき子どもたちはふえるであろうということは、もう想像にかたくないといえます。そんなときに、虐待で困っている子を含めて、重要な受け皿の成東保健院をつぶして、どうするんですか。 しかも、先ほどの答弁では、成東児童保健院、入所児童数が減ってきているということですけれども、それも誤った認識です。これは、成東児童保健院の一日の平均在所児数です。昭和五十五年から平成十年までありますけれども、これを見ていただいても、ほとんど平均的になっています。さらに、平成十年などは、九年から、もうがくっと上がっているわけですね。ぐんと上がっているわけです。このように、入所児数も、成東も減っていないということです。 成東保健院に私たちも行きまして、それで、子どもたちが手紙を後でくれました。それは、行ったときすぐ、初対面の人に自分の背負っている重荷、なかなか口には出せませんけれども、手紙で書きますということで、お手紙をもらっています。 これは五年生の子です。保健院はいいとこだ、つぶすなというふうに書いてあります。絵つきです。で、理由というふうに書いてあって、助け合う仲間がいるから、病気になっても心配ないから、違う施設が嫌だから、保健院は僕たちには大切な場所、東京に行ったらいじめに遭うかもしれない、だからここがいいと、こういうふうに理由をきちんと書いてあります。成東保健院の大切なあり方の理由の、これは象徴的な話じゃないでしょうか。 それから、これは六年生の女の子です。先日は来てくださってどうもありがとうございました。私たちの意見を聞いてくれる人が少しでもいて、うれしかったです。──本当に聞いてもらえてないということですよね。ここの保健院は確かにお金をいっぱい使っているかもしれないけれど、もうみんなほかのところには行きたくないので、お願いします、どうか保健院をつぶさないでください。私はここに来てまだ日は浅いけれど、まだここにいてやりたいことがあるし、ここに来てできた友達とも離れたくないから、私たちもなるべくやれることはやるので、お願いします、保健院をつぶさないでください。 こういう子どもたちが、本当に重荷を背負って、やっと安心できる居場所が見つかったわけですよね。この子たちの願いに、皆さん、どうやってこたえるんですか。総務局の皆さんの中で、現地に調査に行った方、いるんですか。子どもたちの話を聞いた方がいるんですか。答えてください。
◯山内総務局行政改革推進室長組織担当部長兼務 今回の都庁改革アクションプランを発表するに当たりまして、これらの施設の廃止方針を打ち出すに当たっては、総務局行政改革推進室としては現地調査には行っておりません。しかし、事業の内容や各施設の状況などを詳細に把握している原局における検討内容を踏まえまして、判断したものでございます。
◯大山(と)委員 これは、東京都として責任を持って、総務局が責任を持って出したものですよね。そして、この中に何て書いてあるかと。二〇九ページ、ちゃんと書いてあります。行政としての現場主義ということで、都政の現場に出て、都民と接し語らい、都民の思いを肌で感じていくことが求められています。二一二ページには、政策形成力ということで、企画部門の職員は現場の実情把握が弱い傾向にあり、事業実施部門の職員は事業に追われ世の中の大きな流れを見失いがち、こういうふうに書いてあるんですよね。 事業を廃止する。そして、子どもたちが現に生活している、そういうところを廃止するときに、都民がどうなっているのか、子どもたちがどうなっているのか、現地にも行かないで、それで、声も聞かないで、つぶしてしまう。とんでもないことです。 先ほども述べましたけれども、成東と同様の、唯一の施設であるみちのくみどり学園がある岩手県、みちのくみどり学園の機能をきちんと継続できるようにということで、国に対して、児童養護施設に移行した旧虚弱児施設に係る虚弱児加算の創設を行うこと、このように予算要望を出しています。これが地方自治体としての姿勢ではないでしょうか。 法改正を契機に、全国にただ二つしかない施設を持つ自治体の対応が、正反対の方向を向いたんです。岩手県はこれを存続させようということで追求をし、東京は、それを口実につぶしてしまうわけです。周産期医療が東京都の重点事業であること、こういうことも含めますと、今後、成東児童保健院の役割はますます重要になってきます。ですから、成東保健院は、廃止どころか、むしろ拡充する、それこそが時代の先端だというふうにいえるのではないでしょうか。 もう一つ伺います。伊豆山の老人ホーム、これも廃止の対象になっています。ここは養護老人ホームですから、体が弱いとか経済的な理由で、居宅では福祉サービスを受けることが困難な高齢者が入所するところです。 アクションプランを読みますと、廃止の理由に老朽化があるということなんで、どんな老朽化なんだろうと思いまして、先日、伊豆山老人ホームを訪問しました。南側の山の斜面に建って、海を見おろして、裏山はすばらしい木が根づいているわけですね。で、伊豆山の神社に続いているわけです。しかも、温泉がついている。本当にすてきなところなんですね。しかも、その一帯、山の斜面には、有料老人ホームがあちらこちらにつくってあるわけですよ。ですから、まさに多くの方たちが老後住みたくなるというところなんです。しかも、老朽化どころか、建物は全くしっかりしていました。廃止の理由になるような老朽化ではないというふうに思いますが、どう考えていらっしゃいますか。
◯山内総務局行政改革推進室長組織担当部長兼務 養護老人ホームなどの運営につきましては、今回の都庁改革アクションプランにおきまして、より良質な福祉サービスの提供と効率的な運営の実現を図るために、民営方式の導入等を念頭に、施設のあり方を検討するとしております。 お尋ねの伊豆山老人ホームにつきましては、昭和五十年に現在の建物となっております。老朽化が進み、また、山の急傾斜地にあることから、施設の維持管理費がかさむということとともに、落石等の防災上の問題点も抱えているということでございます。また、平成十三年度には新たな、都内に潮見老人ホームが開設され、伊豆山老人ホームの利用者を移転することが可能になるということから、平成十四年度に廃止することとしたものでございます。 なお、十二年度には新規入所者はおりません。 〔「現地に行っていないから全然わからない」と呼び、その他発言する者あり〕
◯大山(と)委員 より良質なというのはいいんですけれども、本当に今おっしゃるように、行っていないからわからないんじゃないかというのは本心で、その裏山といっても、本当にうっそうとした、原生林のような山なんですよね。どこに石があるんだろうという状況なんですけれども、(笑声)地盤はかたいといって、その上に火山灰でしっかりとこうなっていますから、どこから石が落っこってくるんだろうかと思うんですけれども、まあ、そういうことですよ。 しかも、私、大きな問題だなというふうに思っているのは、これが養護老人ホームだということなんです。厚生省は、養護老人ホームは定員枠をこれ以上ふやさないということにしてしまったんですよ。この伊豆山老人ホームの百人をなくしてしまったら、もう、一度なくしてしまったら、ふやせないんですよ。 現在、養護老人ホームの定員は、全都で四千四百三十人です。ほぼいっぱいに入所している上に、待機者は、昨年末で二千三百四十六人もいます。こんなに待っている人がいるわけですよ。入所定員の半分も待っている方がいるわけですから、その上に百人もなくしてしまったら、待機者はますます展望がなくなってしまうといえるのではないでしょうか。待機者を一日も早く入所できるようにすることこそ、東京都の役割なんじゃないでしょうか。また、さっきの曽根さんの表の、がくっと矢印が下がってしまうということだと思うんですけれども、一日も早く入所できるようにすることこそ東京都の役割なんじゃないですか。
◯山内総務局行政改革推進室長組織担当部長兼務 具体的な老人ホームの建設等、あるいは定員の確保の問題につきましては、所管局である福祉局の方とやはりきちっと調整した上でないと、ちょっと具体的な話はお答えできませんので、よろしくお願いします。
◯大山(と)委員 減らすというふうに出てきているから、問題ですねというふうにいっているわけですよ。 今回は、時間の関係もありますから、成東保健院と伊豆山の老人ホームに限って質問しましたけれども、効率性だとか、スピードの重視だとか、コスト意識の徹底だとか、そういう中で、結局一番弱いところ、それから声が出せないところ、そういうところを切り捨てていくということでしかないではないですか。これが自治体のやることでないということは明らかですし、廃止は中止するべきであるということを改めていっておきます。 最後に、ビジョンの第3部に示されています中長期的視点から取り組む改革についてですが、これは、都が仕事のスリム化を進めるだけではなくて、その延長線上に、広域自治体とその具体化である道州制を打ち出したり、区市町村についても、土足で人の家の中を荒らし回るように勝手に合併を押しつけようとしていることは、重大だというふうに思っています。また、全中小企業法人への外形標準課税や住民税のフラット化、それから課税最低限の引き下げの提案など、庶民増税を打ち出した都税調への無批判な追随など、どれも都民に犠牲をしわ寄せするものばかりです。これらについては、予算議会で引き続き取り上げていくことを表明いたしまして、質問を終わります。