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2001年2月2日決算委員会・都市計画局質疑
●首都高速道路への出資の見直しを要求
◯曽根委員 簡潔に、首都高速道路公団の事業の、特に私は、高速道路王子線の問題に関連して何点か質問したいと思います。 資料で首都高に対する貸付金、それから出資など、それから事業費の資金構成などの資料をいただきました。王子線の事業費もいただきました。首都高に対する出資というのを始めたのは、たしか十年ぐらい前かと思うんですが、このとき、通常は国の外郭団体ですから、地方自治体は、地財法で国の外郭団体にお金を出してはならないという規定があるんですけれども、特別措置法で、新幹線関係とこの首都高については出すという措置法ができたというふうに記憶しているんですが、ただ、それは出資についてはそういう法定の定めがありますが、貸付金については、これは法律でも何でもなくて、東京都の政策判断で出しているお金じゃないかと思うんですが、いかがですか。
◯杉浦施設計画部長 首都公団に出しております貸付金でございますが、これは、貸付要領に基づきまして、毎年議会の議決をいただき、国と同額を支出してございます。渋滞解消という政策的な目的ではございますが、いわゆる国と協調して出すという面で、義務的な支出の性格の強いものでございます。
◯曽根委員 法律で義務づけられているんですか、改めて確認します。
◯杉浦施設計画部長 法律では義務づけられてございません。
◯曽根委員 義務づけがないにもかかわらず、政策判断で、国と同額ということで無利子貸し付けをもう相当額行ってきて、今回問題にする王子線についても、もう一千億円以上ですよね。出資と合わせて一千億円以上になると思うんです。 最近、総務庁が行政監察報告というのを出して、都市高速道路問題について、この決算年度である九九年の八月に文書を発表いたしました。その中に、この首都高や阪神なども含めた高速道路の建設が、つくった後に建設事業費を返していくというこの仕組みはなかなかもう困難ですよと。 というのは、建設費がかつての十数倍にもうはね上がっている。このいただいた資料によると、一一ページにあるように、高速道路王子線については、関連街路も含めると四千五百五十億円。一メートル当たり、もう一億円近いお金がかかっているわけですね。恐らくでき上がれば、都内で一番高コストの道路になると思うんです。 これを返済していくためには、この高速道路の首都高の料金をもう払いたくないような金額まで上げなければならないということになってしまうということから、財政のあり方について検討すべきだということで、もし計画的にちゃんと高速道路をつくっていくのであれば、資金調達については、自前できちんと公団に確保させるべきではないかと。安易に国や自治体が出資する、要するに上限額も何もなしに、その都度動くような金額で出資するやり方について物申していると思うんですが、これはご存じですか。
◯杉浦施設計画部長 ご指摘の勧告では、確かに、事業資金を財政投融資資金に依存しております特殊法人について、財投機関債の発行を自由化しまして、自力での資金調達に努めるよう勧告されていると理解しておりますが、端的にいえば、これは公団が、従来財政投融資資金などに依存しておりました資金を、みずから調達を行うべきということでございまして、決して先ほどいっております都や国が支出している公的負担分に言及しているものではないと理解しております。
◯曽根委員 そんなことはないです。その前の文章を読むと、国及び地方公共団体は、一定率に相当する額を出資しているが、その出資率は、各年度の予算措置によって定められることになっており、固定的なものではない、このような仕組みのもとで行われているけれども、事業資金を自力で調達に努めるようにする閣議決定を行っているじゃないかということを指摘しているわけです。私は、この文脈では、明らかに国や地方公共団体の出資を安易に行うことについて、警鐘乱打とまではいいませんが、厳しい指摘を行ったなというふうに受けとめました。 それで、どうなるかなと思っていましたら、同じこの年度の秋に行われた予算編成の段階で、都市計画局は、今までやっていた出資、貸し付けのやり方を変えて、貸付金ではなく、公団が借り入れをする際の利子補給だけを行う、援助するというやり方を知事査定に向けて予算見積もりで提案しているわけですね。これを行った理由は何でしょうか。
◯杉浦施設計画部長 当時の要求では、東京都の財政再建推進プランに沿った経費削減を行うことを目的としまして、都が貸し付けます金額と同額を公団がみずから資金調達を行い、その調達に係る利子相当分について都が利子補給を行う方式を前提としまして、予算要求を行ったものでございます。
◯曽根委員 東京都も財政が厳しいということで、いろいろなことを工夫されたんだと思うんですね。法的な裏づけもとられて正式に予算要望されたわけですから、そういう見込みもあってなされたと思うんです。残念ながら、査定ではもとの形に戻されたようですけれども、私は、いろいろ工夫すれば、利子補給も必ずしも必要ではないと思いますけれども、いつ戻ってくるかわからない貸付金を毎年何百億も、それも料金で返済して何十年かかるかわからないという形で、それは出資の方ですが、貸付金は期限は決まっているとはいっても、しばらく待たなければ戻ってこないというお金を貸し付けるやり方から、最小限にそれを抑えたいという努力があったものだというふうに、この点では評価したいと思う。
●高速道路王子線の環境対策を それで、これだけ莫大なお金をかけて高速道路をつくっているわけですが、特に私の地元で高速道路王子線が平成十五年、二年ぐらい先に開通の予定でいるわけです。ここまで工事が進んできて、基本的には私たちは、環境破壊問題が解決されない以上、工事については凍結すべきだといい続けてきましたが、ここまで進捗してきて、環境対策は万全にやれということで、改めて地元の皆さんと一緒にいい続けているところです。 この高速道路王子線について、出資、貸し付けはどれぐらいお金が入っているんでしょうか。
◯杉浦施設計画部長 王子線の供用予定は、現在のところ平成十四年度と想定してございますが、平成十二年度までの出資、貸し付け実績と、十三、十四は現在の方式を用いて推計をし、それらを合算しますと、王子線に対しては約一千二百億円、東京都のお金が出ております。
◯曽根委員 本体の建設費は、資料によると約三千億円。このうち千二百億円が都からの貸し付け、出資であり、さらに関連街路は東京都の方の責任でつくっているわけですね。合わせますと、都の事業費というのは相当な、いってみれば、全体の事業費四千五百数十億円のうち半分以上ということになるんでしょうか。これだけお金をかけてやってきたわけですが、地元の皆さんが心配している環境対策については、ほとんどナシのつぶてといってもいいような状態です。やっと最近、防音壁を若干高くつくるということが計画として提示されたところです。 今、非常に二酸化窒素並びに粉じんの除去装置として注目をされております土壌脱硝装置が実用段階に近づいているといわれていますが、私は、この高速道路王子線の飛鳥山トンネル付近、特に傾斜が厳しく、百メートル進む間に六メートルから七メートル近く上昇するという、排気ガスが最も心配される地域について、特にその土壌脱硝装置の設置を、もうこれは五年越しになりますが、求め続けてまいりました。 東京都でも、建設局では既に実用化に向けてかなり進んでいるというふうに聞いていますので、技術的にはこの王子線の中に、かかる費用や規模の問題は差しおいても、設置が可能な段階に来ていると思いますが、いかがでしょうか。
◯杉浦施設計画部長 先ほどのお答えで、都から公団に渡っている一千二百億円の中には、関連街路に関する都の分担金も入ってございますので、そのようにご認識いただきたいと思います。 ただいまお問い合わせの土壌脱硝でございますが、ご案内かと思いますが、大量の土壌を収容する広大なスペースが必要でございまして、耐久性、維持管理など、解決すべき課題がたくさんございます。殊さら王子線の飛鳥山トンネルのように、トンネル内の大量の換気を必要とするものにつきましては、土壌脱硝装置そのもののみで浄化するシステムは、現段階では実用化するまでに至ってないという認識でございます。
◯曽根委員 実用化はまだどこもできてないんですよね。しかし、最近、私聞いてびっくりしたんですが、環状二号線の建設計画を住民に示した建設局は、環状二号線の上部に土壌脱硝装置を、いわば実用化してやりますという図まで示しているわけですね。事業計画の概要の中には、わざわざ都市計画を変更して、トンネル上部に土壌脱硝装置をつけるという図も示した。これは本格実施をやるという約束を住民たちにしているわけです。 この環二の計画自体は大変大きな問題があって、住民の不安が高いためにこういう対応をせざるを得なかったんだと思いますが、それにしても、同じ東京都の建設局が既に実用化ということを打ち出している。ならば、そのちょっと二、三年前に完成する予定の高速道路王子線になぜできないのか、私は大変疑問なんです。 やる主体は首都高速道路公団になると思いますけれども、この事実、建設局が既に実用化に向けて動いており、それからきのう、私たまたま朝早く来ましたら、九時に庁内放送がありまして、何でも大和町交差点でやってきた実験装置を大規模にしてやるそうですね。七百平方メートルですか、日本最大の土壌脱硝装置になるんだと、これはしきりにアナウンスしていましたよ。実用化に向けてここまで踏み込んできているという事実は、都市計画局としても受けとめていただきたいんですが、これはご存じですね。
◯杉浦施設計画部長 確かに土壌脱硝装置がいろんな問題点を克服しながら、実用化に向けているという状況はございますが、唯一の残る問題点は、処理能力といいますか、空気の量、時間当たりの処理する量がなかなか少ないということがございまして、例えば環二では、あれは道路構造上、半分を自然換気にしまして、半分を土壌脱硝にしている。 それから大和町では、これは実験でございまして、ある一定量の空気に対してどれだけ効果があるかを測定するわけでございまして、交差点全域の空気を対象にしているわけではございません。そういう面で、王子線のトンネルのような閉塞断面の空気を浄化するというものに対しての実用性はまだ確立されてないと考えているところでございます。
◯曽根委員 もちろんまだこれからの問題は山ほどあるわけですが、それを乗り越えてここまで来たということは今もお認めになったとおりで、私は何も閉鎖型のトンネルだけに限らず、その前後にあります高架の部分についても、もし可能で、技術的に実証されれば、そこでも活用は大いにあるというふうに思います。たとえ一部ではあっても、効果があるとわかっている装置をなぜつけないのかというのが住民の感情ですよ。そこをちゃんと受けとめていただきたい。
●王子線を理由に計画された堀船印刷工場計画
それからもう一つ、王子線に関して、先日環境局にもお聞きしたんですが、この王子線のランプを利用して配送トラックを運行しようとしている堀船の新聞印刷工場計画があって、これは夜間に主に集中して、四百数十台の配送トラックが出入りするということで、環境問題が地元で大きな不安を招いていることはご存じでしょうか。
◯杉浦施設計画部長 都議会におっしゃいます計画に関する請願が提出され、都市・環境委員会で審議もされていますし、また、同印刷工場の建設事業にかかわります環境影響評価書にかかわる見解書が公表されていることから、この計画に対する地元の動向については承知してございます。
◯曽根委員 この印刷工場の計画、日量二百五十万部という大量の新聞を印刷して、関東一円に配送するという計画にとって、高速道路の出入口が近くにあるというのは決定的な意味を持っているわけです。これがなければ、せいぜい都内をめぐる範囲しか刷れないでしょう。それが関東一円に持っていけるというのは、高速道路があるおかげなんですよ、出入口ができるという。一般的にいって、高速道路の出入口をつけたり高速道路を通す場合、その周辺沿道にこうした工場が出てきたり開発が進む、車の出入りが便利になるということは、高速道路をつくる目的の一つになっているんでしょうね。
◯杉浦施設計画部長 一般に首都高速を初めとする高速道路の整備は、例えば地域道路の混雑を緩和し、通過交通を排除するなど、自動車交通公害の軽減にも資するわけでありますし、また、ランプの整備は、地域の利便性を高めるとか、あるいは活性化、あるいは地域環境の改善にも資するものと考えております。そういった観点からのランプ計画というのが一般的な計画の考え方でございます。
◯曽根委員 地域環境に資するとは限らないというのが、この王子ランプの例なんですよ。それは昼間多少出入りがふえるといっても、そんな大した影響はないかもしれない。下だって、明治通りでもうすごい交通量ですから。しかし、夜間、ほとんど車の走行がない時間帯に集中して新聞配送トラックが出入りするという環境問題を起こしてしまうことになるわけなんです。
こういう場合は、やはり都市型の──高速道路ができることによって、確かに地域住民の方もたまには高速道路を利用するかもしれません、年に数回ぐらいは。しかし、圧倒的には、そこにできる工場の配送トラックにとって極めて便利な施設として王子ランプが利用されるんですよ。圧倒的にです、これは。地域住民にとって便利なのか、工場を進出させようとする企業側にとって便利なのかというのは明らかだと思うんです、私は。
そういう点では、新たな環境問題として、これに対して一定の、道路をつくる側として、もしくは計画する側として、環境対策を考えなければならないと思いますが、いかがでしょうか。
◯杉浦施設計画部長 お尋ねのランプにおきます、例えば配送トラックにつきましては、私どもの調査によりますと、一日約四百数十台のうち、百台が王子線のランプを利用すると推計されておりまして、この限りにおいては、このランプ計画は直ちに地域の環境悪化を招くとは考えてございませんが、なお、道路の構造で環境の改善について対応すべきことについては、可能な限り努めていく考えでございます。 また、本件は、東京都の環境影響評価条例に基づき、環境影響評価条例の対象になってございますので、条例に基づき、環境問題については適切に評価、対処されるものと考えてございます。
◯曽根委員 最後に意見を申し上げますが、私は、何も四百数十台全部王子ランプを通るなんていってないですよ。しかし、このうちの百台がこの王子ランプを利用できないとすれば、ここに工場は建てられないんですよ。それははっきりしているんです。その印刷のうち、わずか四分の一でも関東近県に、時間が限られた時間帯の中で配送するためには、この場所でなければならなかった。住宅密集地のど真ん中に工場を持ってきているわけですから。 したがって、この問題は、もしアセスメントが終了し、それでも計画が強行された場合には、行く行くはこの高速道路王子線の完成に合わせてこうした環境問題が顕在化してくることになりかねない。そうならないことを私たちは願って、今この工場の計画はもとに戻してほしいというふうに繰り返し要望をしているところですけれども、もしこれが行われた場合には、今お話のあった環境対策を万全にやっていただくことをまた改めて要求しなければならないかもしれません。 そのことについては改めて、こうした高速道路をつくる際の地域に及ぼす影響というのは、プラスばかりじゃない、むしろこういう問題が続々と起きてくるということを念頭に入れて道路計画は考えていただきたいことを申し上げて、終わります。
◯杉浦施設計画部長 先ほど首都高速道路公団に対する都の負担金の一千二百億の金額に対しまして、関連街路費がすべて含まれると申しましたが、精査しますと、貸付金、出資金の中に関連街路整備にかかわる首都高の分担金がございますが、それに対する東京都の貸付金、出資金のみが含まれているということでございます。訂正させていただきます。