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2001.12・14 文教委員会(養護学校本校化・主幹制度問題)議事録

●都立足立養護・花畑分校の本校化と移転に当たって

○曽根委員 さてそれでは、都立学校の条例に関して質問させていただきたいと思います。
 今回、都立の養護学校の中で、足立ろう学校と綾瀬ろう学校が合併移転して葛飾ろう学校になると。それに伴って足立ろう学校の場所があくわけで、足立養護学校の本校が足立ろう学校の跡に入り、花畑分校が足立養護学校に入る、玉突きといいますか、そういう形になるわけで、なかなか複雑な移転が今年度から来年度にかけて行われるわけです。
 ろう学枚については、かつては統廃合問題ということで、父母、関係者の皆さんの中にいろいろ不安もあったけれども、新しく設備もいいものにという要望が取り入れられてきたので、これについては促進ということで、合意はされていると聞いています。これは、そのために足立ろう学校の場所に分校が本校化して移る条件が生まれてきたわけですから、そういう点では大変よい話だなというふうに受けとめております。
 その上でなんですけれども、現地の方々の今までのさまざまな運動、分校を一日も早く本校にしてほしいという取り組みが行われ、要請もされてきたと。その中では、足立ろう学校が現在あるすぐ隣に分校が校舎を持っているので、足立ろう学校の場所があけば、自然に考えると、向かい側にある花畑分校がそのままろう学校に入れば、それだけで移転は完結するといいますか、そういうのが割と自然な受けとめだったように聞いているんです。
 しかし、今度はそうではなくて、足立養護学校をろう学校の方に持ってくると。足立養護学校の跡地に花畑分校を持っていくということで、玉突き移転になる。場所としては、分校が本校化するに当たって足立養護の方に行き、足立養護はろう学校の方に行きですから、クロスをするということになりますね。移転のさまざまな手間暇を考えると、同じ条件であれば、近くの足立ろう学校に入ればいいじゃないかというふうに思うのは自然なことだと思うんですが、今回こういう移転の仕方をした理由をお聞かせいただきたい思います。

○比留間学務部長 移転の理由についてでございますが、何点かございますけれども、第一点目は、養護学校の小中学部の児童生徒の通学条件ということでございまして、これを考えますと、小中学部につきましては、学校の位置はできる限り通学区域の中心にあることが望ましいというふうに考えてございます。現足立ろう学校と現足立養護学校を比較いたしますと、足立養護学校が通学区域の中心に近いと、こういう状況が一点ございます。
 次に、二点目に運動場の広さについてでございますが、足立養護学校は約二千平米の面積でございます。それに村しまして、足立ろう学校は約三千九百平米ということで、知的障害養護学校高等部のグラウンドという観点で考えますと、足立ろう学校が適しているというふうに考えてございます。
 また、知的障害養護学校高等部におきましては、生徒の卒業後の社会的な自立に向けまして、職業教育が極めて重要でございますけれども、足立ろう学絞は、今お話しにございました隣接する花畑分校の校地、校舎、これを利用いたしまして実習棟と作業地を整備することができると、こういうようなことを考えまして、現足立ろう学校に高等部単独校でございます足立養護学校を移転いたしまして、現足立養護学校に小中学部の花畑分校を移転して本校化することによりまして、それぞれの学校の教育環境の整備を図ってまいりたいということでございます。

○曽根委員 現在の足立ろう学校及び分校が持っている敷地を考えると、そちらがキャパシティーが大きいと。小中年齢が分校の方ですから、高等部が今だんだん大きくなって、一般の小中学校からも来るんですか、養護学校に上がってくるということで、どうしても手狭になっていくだろうということで、足立ろう学杖の方に高等部を持ってくると、これはこれで一つの、物理的な条件からいうと、やむを得ない面もあるかなと思うんですが、やはりわざわざ足立養護まで動かすことによって、いってみれば、今ある四つの学校の教育環境にかなり大きな変化をもたらすことになるわけです。
 したがって、これは、まずもって通っている生徒さんへの影響、それから、学校の現場で働いている教職員の方への影響や、それに伴うさまざまな負担について配慮が必要だろうと思うんです。一つには、生徒さんの方は、大多数は多分、通学のバスを使っていると思うんですが、バス路線の変更が当然あるわけで、その点での条件はどういうふうに変わり、それに対する手だてをとる必要があるのかどうか。それから、もし歩いて通学している方がいれば、それが変化することについては手だてがあるのかどうか、お聞きしたいと思います。

○比留間学務部長 足立養護学校及び花畑分校のスクールバスでございますけれども、現在、両校で共同運行を行ってございます。移転後も現在と同じ形で共同運行を行うということで、運行コースも基本的に変更はいたしません。
 したがいまして、乗車時間について、児童生徒数の増減による若干の変更はございますけれども、おおむね変わらないものというふうに考えてございます。
 なお、学校の位置が変わりますので、移転後のコース設定において、小中学部の児童生徒の年齢や体力面ということに配慮いたしまして、まず小中学部の南花畑養護学校を経由してから高等部の足立養護学校に運行する、こういう形で運行したいというふうに考えてございます。

○曽根委員 歩いて通学の生徒さんはいらっしやいますか。その点はどうかということで、ありましたらお聞かせください。

○比留間学務部長 現在、スクールバスに乗っている児童生徒でございますけれども、平成十三年度で申し上げますと、小学部については九八・五%、それから、中学部については九一・一%という児童生徒がこのスクールバスに乗ってございます。それにたいしまして、高等部は一七・四%ということでございまして、基本的に、小中学部につきましては、スクールバスを利用なさりたいというお子さんにつきましてはスクールバスで対応していく。高等部の生徒につきましては、社会的な自立に向けて、自力で学校に通学ができるようにと、こういう指導をしてまいりたい。その時間等の変更については、学校で十分配慮してまいりたいというふうに考えております。

○曽根委員 要望にしておきますけれども、今、足立養護に通っている高等部の大半のお子さんは歩いて通っていると。それが少し北に奥まったところに、現在のろう学校の位置に移るわけで、距離にしますと結構な距離があると思うんです。したがって、年度当初は、別の学校に移るわけですから、その点では、障害の子どもさんたちが混乱のないように、必要な手だてをぜひとっていただきたいということを要望しておきたいと思います。
 それからもう一つ、職員の方々の準備の関係なんですが、聞くところによると、今、都立の養護学校の事務職のところで、病欠が出れば、前は、アルバイトといいますか、賃金職というんですか、補充ができたんだけれども、本年度の予算をもう使い切ってしまって、最近では病欠が出ても補充できないと。もともと事務職は数が少ないですから、そういうところに病気が一人二人出たら相当な戦力ダウンになる。それで、今まではアルバイトで埋めていたんだけど、それができなくなったというお話を聞いています。
 足立養護学校や分絞がどうかということではないんですけれども、そういう中で学校が丸ごと移転をすると。制度的には準備室を立ち上げるようなものではないというふうになるかもしれませんが、実態からして、やっぱり丸ごと移転ですから、準備室ができないにしても、それにかわる体制を何かとる必要があるんじゃないかと思うんですよね。子どもたちを連れて全部移転して、教室の配置から何から何まで全部やり直しになると思うんで、その点での現在考えている手だてがありましたらお願いします。

○比留間学務部長 まず、準備室について考え方を申し上げますと、東京都教育委員会といたしましては、全く新しい学校を設置する場合、また、統合により既設校とは異なる教育内容の学校を設置すると、こういう場合には、開校に向けて開設準備室を設けるということにしてございます。
 今回のろう学校二校の統合は、既設の幼小中学部のろう学校と高等部のろう学校を統合して一校にいたすものでございます。また、足立養護学枚花畑分校につきましては、既設の小中学部を移転いたしまして本校化するものでございます。
 以上のことから、開設準備室は設置をしないで、既設校の両校の教職員の対応によりまして準備を進めていきますけれども、この点につきましては、移転が円滑に進むように万全を期してまいりたいというふうに考えております。

○曽根委員 私は、分校が本校になるわけですから、花畑分校については、今度は事務長さんか何か、新しい事務職がふえることになると思うんです。新しい学校がスタートしてからふえるというよりも、大変なのは移転までですよね。準備と、それから新しい学校づくり、今からだと思うんです。今、まさに大変なときだと思うんですね。
 ですから、もし配慮がされる、万全の体制でいきたいというのであれば、前倒しで事務職をつけて、準備のところから新しいスタッフとして加わっていただくとか何か、形式論ではない対応ができないだろうかというふうに思いますので、これは強く要望しておきたいと思います。
 以上です。

●学校に主任制度見直して主幹制度導入の計画に対して

○曽根委員 それでは、主任制度の見直しに関する中間のまとめについて幾つか質問したいと思います。幾つかダブっているものについては省略してできるだけ簡潔にやりたいと思います。よろしくお願いします。
 今度、主任制度では限界があるということで、新しい職としての中間管理職制度を設けるということですが、この検討の過程も含めて、いろいろ手間暇かけてここまで、中間のまとめまで持ってきたんだと思うんですが、どうしてもう少し幅広い議論をしてくれなかったのか、もっと学校関係・・ここには校長先生なんかは入っていたというふうに聞いていますが、現場の先生方の意見や、場合によっては子どもたちや父母の意見や、我々議会も含めて、もうちょっといろんな意見を聞いて検討すれば、こういう制度の導入という結論にはならなかったんじゃないかという思いがして残念でならないわけなんです。
 それで、その疑問をある程度皆さんにもきちっとただしておきたいなと思って、幾つか質問したいと思うんですが、主幹制度というものを設けて、学校の先生がそれを担うと。先ほど定数の話がありましたが、まとめの中には書いてありませんが、今お聞きするところ、定数は基本的にはふやさない、現定数の中で主幹制度を設けるというふうな方向だと聞いているんです。
 また、では主幹という職になつた方はクラス担任を外してもらうような、やっぱりその仕事に専念できる体制になるのかというと、そうもならないようだと。特に小学校なんかは子どもの数が減っていますから、学校にいる先生方のほとんどがクラス担任を持っているわけで、専科の先生は少ないですよね。そうすると多くの場合、やっぱりクラス担任を持っている先生がならざるを得ないんだと思います。自分のクラスを持ちながら、ほかの先生方の指導監督、指導というよりは監督、校長、教頭の補佐と。先ほどの話ではないんですけど、なった人は本当に大変だろうなと。
 私が一番心配なのは、そのことによって、子どもたちに対する教育、学習内容に、いささかでも影響があるようだったら、これは全くの逆効果になる。教師の本分はやっぱり子どもたちを教えることにあるわけなんで、そういう懸念がないのかどうかについて、まずお聞きしておきたいと思います。

○中村人事部長 今回、学校に主幹を置くことによりまして、学校全体の仕事量がふえるわけではございません。仕事のやり方、仕組みを変えようというものでございます。各校務分掌におきます企画立案等は、これまでどおり各絞の校務分掌の教員が行うということになります。このことから、主幹に仕事が集中することはなく、授業への影響はないというふうに考えております。

○曽根委員 学校全体の仕事はふえないと、それはちょつと疑問がありますけど、つまり学校全体で何か新たに生み出すというものではない、学校の中の職員関係といいますか、教職員関係の中での調整の中身なんだという意味では、そうだと思います。しかし、学校の中で教員同士がお互いに監督管理される、また、する関係が新たに生まれるわけですから、それに伴う事務は明らかにふえるわけで、減ることは絶対ないと思うんです。
 例えば、ほかの先生方の、先ほど、授業がうまくいかなかったり、いろんな問題が起きる、そのことに対して、ある程度中身も含めて、力を持った先生が主幹になつた場合に援助するというようなことが考えられるというふうな話がありましたが、教員一人一人がクラス担任を持っていれば、小学校なんかほとんど、朝から晩までクラスの子どもたちに全責任を持っているわけなので、ほかの先生の授業を見るとか、先生の仕事の仕方、指導の仕方をかいま見るというチャンスは、はっきりいって非常に少ないわけなんです。それから、先生方の悩みを聞く時間というのも、休憩時間のごく短時間以外には持たされていないんですね。主幹になった先生方は一体どこで、そういうことをできる条件があるのか。教頭先生は担任がないから別ですよ。その点はどういうふうに保証されると思っていらっしやいますか。

○中村人事部長 先生は特に小学杖を例に出されましたけれども、小学校は確かにほとんどの先生がクラス担任を持っております。ただ、当然休憩時間だけしかあいていないということではなくて、子どもが帰った後も時間がございますし、それから、専科教員が配置されているところでは専科の時間も、事実上は授業がないということになっております。
 いずれにしても、学校の実情に応じまして、この主幹が導入になりましたらば、校長がそれぞれの判断をして設置していきたいというふうに考えております。

○曽根委員 私は、それぞれのクラスに責任を持っている先生方に、ある意味で本格的に、今までの主任では無理だというんだから、本格的にほかの先生方の援助ができる力も持ち、権限も持たせようというんだったら、それのよしあしは別にしても、もうちょっときちんとした保証をしなければ、本当に主幹になる先生に無理がかかってしまうというふうに思うんです。それでなくたって過労死はふえているし、公務員の中で先生が一番過労死が多いんですから、そのことをまず申し上げておきたい。
 それから、当然、制度を設けることによる都の行政の負担もあるわけですよね。これはきちっとお聞きしておきたいんですが、人件費は、主幹になった分の昇給があるでしょうから、その分はふえるわけで、今検討されているところでは、小中高合わせて六千三百人ぐらいですか、その主幹の方がふえたときに、昇給される分の給与費の増額分といいますか、大体どれぐらいになると思っておられますか。
○中村人事部長 これは先ほど和田委員のご質問にもございましたけれども、給与を決めますのは、人事委員会勧告に基づきまして決まってまいりますので、私どもは、積算するすべが今のところはないというのが実情でございます。

○曽根委員 私は、ある程度の試算は大ざっぱにできると思うんです。それはまた必要だと思います。検討の上でも、やっぱり都の財政を使って一つの制度を設けるんですから、費用対効果という言葉は教育の面では使いたくないですけど、どれぐらいの財政をかけてつくる意義があるのかないのかというのは、ある意味では我々はてんびんにかけなきゃならないわけです。
 それで、私は勝手に試算したんですが、今、教頭職になった場合、実態として大体平均して三万円ぐらい給与が上がるというふうに聞いているので、その半分の一万五千円上がったとすると、六千三百人ですから、一時金といいますか、賞与の関係も含めると十五億円ぐらいですよね。二万円上がったとすると二十億円、これぐらいの費用がかかることになると思うんです。これは大ざっぱにいって違っていないですよね。

○中村人事部長 先ほど申し上げましたように、人事委員会の勧告をもって我々はやりますので、人件費を積算できる段階にはございませんけれども、結果的には、先生のご試算もそんなにはかけ離れてはいないのかなという感じはしておりますけれども、これは勧告が出ないと何とも申し上げられません。

○曽根委員 いろいろ言葉に尾ひれがつきましたが、そんなに外れてはいないようなので、私は、今、学校の先生方が、お金をかけるとすれば何を一番求めているのかなと考えると、先ほども、まくら言葉のように必ずいわれるいじめ、不登校、学級崩壊、こういう問題を解決するためにもというふうに繰り返し出てくるわけですけど、こういう問題に直面している先生方が今一番求めているのは、全力でそのことに真っ正面から向かうだけの自分自身の時間が欲しいと。たくさんの子どもがそういう状態に陥っているとすれば、できるだけ一人一人の子どもにかける時間が欲しいということだと思うんです。別に、だからといって少人数学級だとか何とかということに引っ張るつもりはありませんが、そういう先生方の求めているものと、この主幹制度をつくるということがかみ合っているのかなというところで最初の疑問ですね。本当に皆さん、実情を知って、声を聞いてやっ
ているのかなという疑問があるわけです。 例えば十五億円なり二十億円のお金があれば、新規の教員採用でいえば、二百人から三百人ぐらいの先生が採れるわけですよね。単純にそういうふうになるかどうかはともかくとしても、私は、そういう形で、とにかく子どもたちのことを考えて教育をやろうとする人を学校にふやすべきじやないかなということをまずもって申し上げたいんです。
 管理職を、これだけの財政をかけてつくる、どうしてもつくらなきゃならぬという必要性というのは、今までの主任制度に比べて、主幹というのはどういうところにあるのか、お聞きします。

○中村人事部長 何遍も申し上げるようで恐縮なんですけれども、現在、主任の方々がすべてだめだといっているわけではございません。一生懸命やっている主任の方も非常に多いわけです。
 ただ残念ながら、これもたびたび出して申しわけないんですけれども、現在、学校の抱える課題に対して学校が組織として機能できていない、こういうことを踏まえまして、現在の主任も、新たな主幹制度を導入することによって主任も動きやすくなり、普通の先生方も動きやすくなる。現場の先生方の声が校長、教頭にきちんと届き、地域とも連携できると、こういうことをしないと、まさに子どもが今、この状況の中でも、あした学校へ行こうかどうしようかという不登校の子どもが悩んでいるわけですから、我々はそれをぜひ救いたいと、こういうふうに考えております。

○曽根委員 今、子どもの問題の解決が何よりなんだというお話の趣旨だと思いますが、それにしては、中間まとめの七ページに、新たな職の設置について説明があるんですが、現行の主任制度の限界ということで、四つの項目で挙げていますよね。監督権限を持っていないから校長の方針の徹底がしにくいんだと。第二は、主任が職として設置されていないので、校長が求める人材を主任に充てることに支障がある。第三は、主任としての能力の育成が難しい、研修なんかがやりにくいと。第四は、給料がきちっとしていないと。いずれも枚長先生の、先ほどリーダーシップといいましたが、そういう方針や何かを徹底するのにどうしても支障があるという角度から、主任制度では限界があって、主幹制度が必要だという角度ばかりなんですよ。どうして、子どもたちの問題が主たる問題であれば、子どもに対する授業の問題とか、不登校の対策とか、それから、荒れている子どもに対する対応とか、そういうことを解決する上で、主任制度では限界があって、そして主幹制度が必要だという、説得力が僕はないと思うんです、この文章を読んでも。子どもが出てこないんですよ。だって書いてないものね。
 例えば一人の子どもが問題を起こしたと。いろんな問題があるでしょう。そうすると、今だったら学年主任、教務主任、生活指導主任が、そのクラス担当の先生と一緒になって、だれが指導とか監督とか関係なく全力で当たらなければならないという事態だと思うんです。そういうときに、主幹制度を設けると解決が早いんだとか何か、そのことがもうちょっと説明されないと、やっぱり現場の先生は、先ほどもお話があったけど、ちょっと納得できないんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

○中村人事部長 先生ご指摘の点につきましては、中間のまとめの第一章といいますか、学校見直しの必要性、それから現在の学校運営組織の問題点、特に四ページの上段あたりに書き込んであるつもりでございます。
 先ほど申し上げましたように、こういう学校のいろんな課題を解決するために、では何が問題があるんだというと、現在の主任制度があるんだけれども機能できていない、ではどうやって子どもたちを救っていくんだという観点で、この中間のまとめは、全体をお読みいただくとそういう流れがご理解いただけると思うんですけど、よろしくお願いいたします。

○曽根委員 ちょっと立ち入った話になりますけど、主任制度で限界があり主幹が必要だというこの四つの柱は、すべて教育委員会もしくは校長先生のリーダーシップもしくは方針の徹底に関することなんですよ。もしくは校長先生が選びたい人を指導監督の位置に選びたい、研修もしたいという意思が通らないという問題なんです。そのことが、いじめや不登校や学級崩壊問題の解決の最大のネックなんだと、校長先生、教育委員会の方針が、先生方がいうことを聞かないからその問題が解決しないんだというお考えなんですか。

○中村人手部長 学校が抱える問題を組織論だけでもって解決するということは、これは実は不可能でございます。先生おっしゃるように、個々の教員の資質による部分が非常に大きいわけです。ただ、我々は、現在の子どもをめぐる状況を改善するためには、少なくとも組織で最低限の制度をつくってあげないと、これは現場の先生も動きにくい、教頭先生、校長先生ももちろん動きにくい。
 それから、現在の主任制度の欠陥をいっておりますけれども、現在、一生懸命やろうとする主任の先生方も、現在の主任制度の中では、自分が持っているカを発揮しようと思ってもなかなか、横並び意識があったりして十分な機能がでさないということで、我々は、子どもの幸せを願うための一つの方策として、組織論で今回の問題を取り上げているということでございます。

○曽根委員 これはつくってみなきやわからないという話に最後はなっちゃうので、そうなる前に、現場の先生の動きやすさとかいう話が出たので、一つだけ、いつも卑近な例で申しわけないんですけど、私のかみさんは小学校の一年の担任なんですが、職場で最近始まったのは朝八時十五分からの朝礼なんです。子どもの朝礼ではない、職員朝礼です。子どもたちが登校してくる時間、校門やクラスで担任の先生が子どもたちを迎えてあげたい時間に、職員室の校長先生のところに集められて、校長先生の訓示を聞くわけです、短時間ですけどね。そういうのを徹底ということでやられているわけです。
 それで、かみさんが私にちょっと聞いてよというわけですよ。子どもが朝登校してくる一番大事な時間に余りひどいじゃないかと、ほかにもいろいろひどいことがあるけどね。それで、クラスに帰ったら、やっぱりもう一年生は大げんかしている、朝けんかが始まっちゃうと、その日一日、子どもの気持ちがすさんでしまう、朝が大事なんだというわけです。この主幹制度を設けたら、こういう朝の子どもが登校してくる一番大事な時間に教職員を全部集めて、校長の訓示をたれるようなばかなことはやめられるんですか。やめる保証があるんですか。

○中村人事部長 それぞれの学校に応じて、地域に応じて、それぞれの事情があっておやりのことだと思いますけれども、それと主幹制度がどうだこうだというのは直接の関係はないと思いますので、よろしくお願いいたします。

○曽根委員 校長先生の方針を徹底したい、リーダーシップを発揮したいということが主たる目的になっているというから、そういう例として、朝、とにかく教職員を集めて訓示をたれるというやり方を今やられている。主幹制度をつくったら、そういうことはやらなくて済むようになる保証があるのかと聞いているんです。

○中村人事部長 今回の主幹制度は、別に校長、教頭の命令を聞くような主幹をつくるというのが趣旨ではございません。もちろん校長の学校運営方針が末端の先生方にまで到達する、これは非常に結構ですけれども、そのほかに一番のねらいは、学校現場のそれぞれのクラスの先生方が、先生お話しのように問題点があると、こういうふうにした方がいいんじゃないかという声が、組織としてまとまり、あるいは校長、教頭に、学校全体としてこういうふうにやった方がいいんじゃないですかというボトムアップの機能も当然あわせ持っているわけですから、十分機能していくだろうと思います。

○曽根委員 私は、いろいろおっしゃったけど、今、校長先生やそれを指導する教育委員会なんかが、学校現場に対していろんな規制というか、方針を出してきて、教員の方々はとにかくいろんな形で縛られている、それから事務もふえている、そういう話を聞いているので、少しでもそういう余計なものがあれば事務を外したりして、できるだけ子どもたちに教える時間、そのための準備の時間をとらせてやるということが、本当の意味での先生方の教育を大事にすることだと思うんです。それにいささかでも支障があるような制度は、やはりもう少しきちっと意見も聞き、検討してもらいたいということを申し上げておきたいと思うんです。
 最後に、学校の組織体制というのが、なべぶた方式、なべぶたみたいな形でよくないんだというようなお話があったけれども、やっぱり子どもたちに対して教育者として責任を持つという点では、私は、校長先生は管理者としての役割がありますけど、どの先生も同じ、平等の責任を持っていると思うし、また、それにふさわしい力を持たなきゃならないと思うんです。そういう意味では、なべぶたは結構だと思うんです。それをどうやって先生方全体の教育力を上げていくのか、そのことは、やはり一般の企業や公務員の職場に比べても、また違う特珠な性格を持っていると思うんですが、何かなべぶたが悪いような話だったので、その点はいかがお考えですか。

○中村人事部長 一般の組職論では、民間会社等においては中間管理職をどんどん外して、なべぶたまではいきませんけれども、なるべく意思が近くで通るようにというのは、片方の流れとしてはございます。
 ただ、先生おっしゃるように、各教室に入って教えている分には全く平等です、平等でないとおかしいわけですから。しかしながら、学校で生徒に教えるという仕事以外にも学校は仕事があるわけです。子どもの安全を守らなきやいけない、通学もしているわけです。それから、学校内の休み時間はクラスを離れて子どもたちは遊んでいるわけです。そういう学栓全体の中でもって解決しなければいけない問題に対しては、これはやっぱり、なべぶたでお互いに平等ですよということで、逆にいえば、平等ということは、出るくいは許さないという社会でもあるわけです。これは学校運営として、子どものことを考えれば許されないというふうに我々は考えております。ただ、教員間で話し合うことは大いに結構だというふうに考えております。

○曽根委員 最後に意見だけ申し上げておきますが、一般企業の中もいろいろあるというようなお話だったんですけど、企業に比べるのは私は好きじゃないけれども、今の職制をつくるという状況を見ると、私は、ちょっと傾きかけた企業に似ているなと。つまり、最初は社員がいうことを聞かないって社長が文句をいうわけです。社員がちゃんと仕事をやらないから悪いんだと。しかし最近は、やっぱりそうはいってもみんな一生懸命頑張っているわけで、しかし業績が上がらない。そうすると、今度は管理職が足りないんだと。それで中間管理職をつくっていくわけです。しかし最後まで、倒れる企業というのは、社長がいっている方針や経営方針が間違っているかどうかということには考えが及ばない。経営者は、社員がついてこないということは経営方針が時代に合っていないということをまず考えるべきなんです。そういう意味では、今、教育委員会や教育庁がやっている主幹制度づくりというのは、私は傾きかけた企業と似ているなというふうに思わざるを得ないんです。
 そういう点で、最終報告は近く出されるそうですが、時間の許す限り再検討をお願いしたいということを申し上げて、終わります。

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