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2001.10.26 : 平成12年度_公営企業会計決算特別委員会第1分科会 本文


◯曽根委員 この会計は、港湾事業もありますが、臨海開発事業にとって十二年度は大きな節目、いろんな意味で曲がり角がはっきりしたという年でもありますので、幾つか重要な問題に絞って聞かせていただきたいと思います。
 最初に、個別の問題になりますが、土地処分の資料の中で、埋立事業会計で平成十二年度、等価交換二件というのがありますが、これは、どういう相手と、どういう経過で、どういう場所を交換したのかを教えてください。


◯三枝臨海開発部長 二件とも有明北地区の地権者との交換でございます。具体的な相手方ですけれども、一件は株式会社大東運輸、もう一件は、有明興業株式会社、株式会社富士商会、相互運輸株式会社の三社でございます。これらの地権者は、水面を利用して廃棄物あるいは産廃を扱っておりますことから、有明北地区の開発に伴いまして事業計画が困難になったと。そのために代替地を提示し、それぞれ平成十二年六月に土地交換を行ったものでございます。


◯曽根委員 このうち、有明興業の有明北での土地の面積、そして、これは、移ったのはたしか若洲ですよね、若洲ではどれぐらいの面積を取得したのか。あと、その等価交換に伴う清算はあったのかどうか。


◯三枝臨海開発部長 有明興業等三社につきましては、一万一千六十八平米の所有地のうち、八千四百六十九平方メートルの土地と、若洲にございます都有地一万六千六百平方メートルとを交換したところでございます。有明興業の残地は二千五百九十九平米ということになっております。


◯曽根委員 この有明興業というのは、たしか、社長さんは大川さんという方でしたか、九五年から九六年にかけて青島知事のもとで開かれた、臨海開発の見直しを行う懇談会の地元の地権者代表のメンバーではなかったでしょうか。


◯三枝臨海開発部長 ご指摘のとおりでございます。
 なお、先ほどの答弁で、清算があったかのかどうかという点について答弁漏れがございました。等価交換でございますので、金銭的な清算はございません。


◯曽根委員 私、当時、青島知事が当選のときに、臨海開発は、いわば自然を生かした都民本位の開発に見直すという公約を実現できるかどうか大きな争点になって、懇談会がつくられた。臨海開発は大変広いですけれども、民有地というのはほとんどないわけで、ほとんど都有地ですよね。有明北の部分にだけ若干の民間企業がいたと。ですから民間地権者といえば、もう限られている。この社長さんは、その代表として懇談会に出られて、自分たちはとにかく苦労して、このバブル崩壊のもとでも開発に協力してきたんだ、それを今になって見直すとか、ストップだとか困るんだと、必ず推進してくれということで、さんざん地元の声として発言されたのを、私も何度も傍聴に行きましたので、よく記憶しているわけです。これは、地元といったって、ほとんどそこぐらいしかないわけですから、非常にいわば力を持った発言になってしまうわけです。
 ところが、そういって、開発を推進して有明北側は埋め立てられる、埋め立てられると、水面がなくなって自分のところは商売できないと。それでも、その開発に協力するのかと思ったら、さっさと等価交換を要求して若洲の方へ行くと。若洲では岸壁をもらって、しかも、地価が違うから仕方がないにしても、限度いっぱいの一・五倍の面積をもらって、有明北には二千六百平方メートルのおつりが出ている、地権者としてもまだ残っている。こんなありがたい話は私はないと思うんですね、産廃業者にとって。
 しかも、若洲は、これから臨海道路がそっちに向かって通ると。まさに一等地になるわけです。たしか、これは有明北の区画整理に本来なら入るはずの地権者ですから、区画整理の減歩の対象にこれはなっていませんよね、減歩する前ですものね。ですから、この開発そのものに何にも傷を受けてないわけですよ、この業者は。
 あれだけ臨海開発を何としても推し進めろと、自分たちは協力してきたんだといっておいて推進をさせて、その結果が、先ほど話のあった長期的にも財政が厳しいという状態をつくる、いわば懇談会のメンバーの一人であったその人が、今やその開発地域からさっさと外に出て、最大の負担である減歩の負担も受けないという、こういう何ですかね──制度上は何も問題ないんでしょうね。問題ないんでしょうけど、何とまあモラルに反することかということですよね。
 こういう人たちに、いわば強力な意見として推進ということを推し進めてきた開発の結果に、今、都財政と、ひいては東京都民全体が財政負担を負わなきゃならないという事態だと。このちょうど十二年の六月に契約が行われたので、この点は事実として指摘しておかなければならないと思うんです。
 そういう結果、ここまできたわけですけれども、先ほど来いろんな方が質問していて、お答えも聞き、どうも当時の見直しの問題の懇談会以来、一貫しておかしいなと私が思っているのは、開発の向かう方向性の問題として、開発が順調に進んでいるいわばバロメーターとしていわれるのは、都民の訪問が多いと。年間三千万人を超えているという話なんですね。つまり、事実上レジャーランド化している。そういう意味では、今後もお客さんはふえるかもしれない、暫定利用で、今度温泉も出てくるそうですから。
 そういうレジャーランド化していく開発の方向ならば、それとしての今後の開発の基盤整備の進め方というものを考えなきゃならないはずだと。ところが東京都は、基本的に副都心であり、業務ビルを中心とした副都心開発としての基本目標を変える必要はない、したがって、これから何本もの広域幹線道路をつくっていく、この計画に変更する余地はないと。向かう方向が、実態、そしてその実態について、やっぱり都民が多く訪問できるように、もっとにぎやかなまちにと、いろんな話が出ていますけれども、そういう現状から予想される臨海部のこの地域の方向と、東京都が相変わらず目指しているものとが、ずれているなと。それで、またまたこれから一兆円近くのお金を、ほとんどこれは道路ですよね、使っていくのかなと。ここが、やっぱり今問われているんだと思うんです。
 それで、何点かお聞きしたいんですが、先ほどもいろいろご質問が出たので、ダブるのを若干省いてお聞きします。
 まず、この十二年度に予定していた土地処分が進まなかったその原因が、先ほどあったようにテーオーシーと森ビル開発ですか、それと三和が組んでやる予定が、二社がおりた、そのことが直接の原因だということで、そうだと思うんです。
 ところで、この開発、この区画はLM二とLM三があって、今回契約予定はLM二ですよね。ここは当時、進出が決定したときに、私、文書をもらったのをとってあったので見たんですけれども、LM二の方はテーオーシーの本社機能なんかを入れるというふうに書いてあるんです。それで、LM三の方は準テナントビルを考えていると。LM三は、当面契約は見合わせて、LM二の、いわばビルの開発状況を見ながら、今後、十四年度以降に具体化をしていきたいという話だった。
 今回は、そのLM二がおくれてテーオーシーだけになったわけですけれども、その後に控えているLM三の方ですね、これは二次公募で一応進出が決まっているわけです。こっちはテナントビルですよね。この見通しというのは、一体どうなっているんでしょうか。


◯金子参事 有明南LM三についてでございますが、先ほどお話がありましたように、当初から、これは段階的な開発が考えられていたものでございます。現在、LM二の開発が進んだ段階で、進出事業者等で協議しながら時期については決定しようと思っておりますが、早期にLM三の予約契約までたどり着きたいと思っておりますので、協議を進めてまいりたいと思っております。


◯曽根委員 はっきりいって、非常に厳しいといわざるを得ない。
 先ほど新聞記事がちょっと紹介になりましたが、やはり厳しさの最大の原因は、森ビル開発がおりてしまうことにあらわれているように、テナントビルが非常に難しいということは、もうはっきりしていると思うんですね。
 九八年三月に、民間の準テナントビルとしては唯一具体化するはずだった三井がおりてしまったと。契約はほかの方に譲ってもいいですよという文書を東京都に出してきて、事実上おりたと。今度はLM三が、森ビル開発などが入って準テナントビルとして計画されたが、これも今、早期にという話があったが、私は難しいと思うんですよ。この開発の中心中の中心は、やっぱりテナントビルをどれだけ規模を多くつくって、それでいろんな企業がそこのビルにテナントとして入っていくことが、いわば東京都の中心的なコンセプトだったんです。今でも変わっていないんです。
 それが、三井がおり、LMの三の方もこの先わからない。残っているテナントビルというのは全部三セクで、赤字のものばっかりという状況ですよね。民間のテナントビルというのは、今後見通しがあるというふうにいえるんでしょうか。


◯金子参事 民間のテナントビルとして、LM三ができるかどうかというご質問かと思いますが、進出事業者であるテーオーシーとのお話では、十分その可能性はあると、こういうふうに聞いております。


◯曽根委員 私は、はっきりいって、根拠はないと思うんですよ。それで、今まで長期貸付を中心にやってきましたけれども、それがなかなか進まないということで、昨年来、売却も含めた土地処分の多様化を進めるという話になってきた。こうした長期貸付が行かないと、結局その会計の収支全体に影響を与えるわけですよね。
 先ほどご答弁が一度あったんですが、改めて聞きますけれども、これだけ莫大な例年の赤字、三百億ずつ出てきた、それを解消するために三会計の統合もやったと。さっき資料でもらったように、これによって三千数百億円の埋立及び羽田会計からの借金は消滅しました、したがって、毎年恐らく百億円以上の利払いが必要なくなった、三百億の毎年の赤字が百億円台になったんでしょう。しかし赤字は残っているという中で、長期収支の見通しを出す、何か基盤安定化の方針を出すといいましたけれども、それによって打開できるという見通しが立つんだとすれば、それは何が根拠になるんでしょうか。


◯三枝臨海開発部長 先ほどもご答弁申し上げましたけれども、現在、庁内に財政基盤強化策検討委員会を設置しておりまして、ここで収支改善の具体策を検討しているところでございます。
 三会計統合後の新たな収支の見通しにつきましては、この検討結果を踏まえてお示ししていきたいというように考えております。


◯曽根委員 先ほど三枝さんは答弁の中で、長期的に見れば、まだ厳しい状況が続いているというお話でした。それを先ほど年度内とおっしゃいましたね、答弁の中で。年度内にも基盤の安定化の対策を立てて、長期収支も出していきたいというお話でした。
 それでは、今まで長期貸付が曲がりなりにもやられてきたが、去年はなかった、ついにゼロになった。ことしも、どうも暫定利用以外なさそうだと。来年ある見通しだけれども、これはまだ仮契約。それで、ここまでいわば長期貸付が行き詰まっているときに、どうやって基盤の安定化を見通しとして出すのかという、そのポイントはどこに置いているんですか。


◯三枝臨海開発部長 収支につきましては、基本的な考え方は非常に簡単でございまして、一つは収入を確保する、もう一つは支出を削減をするということでございます。


◯曽根委員 なかなか私には具体的なお答えが出てこないんだけれども、では、収入確保の具体策というのは、どういうことですか。


◯三枝臨海開発部長 収入確保の具体策でございますけれども、これもまた非常に単純でございまして、一つは、これまでどおり長期貸付についてと、それから新しく導入いたしました売却方式により、徹底的に企業に対する働きかけを行って成約を得ていくということでございます。


◯曽根委員 これは、この間、経済・港湾委員会で我が党の丸茂議員が既に質問をしているので、質問を繰り返すことはしませんが、二千社訪問、今、たしか途中ですよね。いまだに具体的な話は出てこないと。
 売却に切りかえた場合、去年とことしと、長期貸付が全く進んでいないんですから、いわば売却に頼るという方向にシフトしていくのは、もう見え見えですけれども、その売却で、もしきれいに全部売り払ったとしても、これから出る予定の例の一兆円近く、私たちの試算でも九千六百億円、少なくとも臨海会計から支出が出る。それに対して、土地の売却で得られる収入は七千九百億円しかないと、どんなに高く見積もっても。すると、千七百億円は間違いなく欠損になっちゃう、売っ払ったらもう何も残らないわけですから。
 そのことは、これは第一回定例会の予算特別委員会で、我が党の渡辺議員が知事に直接質問して、だからもう困っているんだ、進むも地獄、引くも地獄だとまで知事も答えたわけですよ、そのときに。それがわかっていて、なお売却に頼って、長期貸付もやるけれども売却で何とかということで、単年度、単年度の問題ももちろんありますよ、しかし長い目で見て、ちゃんと臨海会計が黒字になっておさまりがつくのかという見通しが、本当に立っているんでしょうかね。その点いかがですか。


◯三枝臨海開発部長 先ほど来ご答弁いたしましたとおり、三会計の統合により、事業の採算性が確保されたというふうに申し上げております。
 この三会計統合、それから先ほどの収支両面での努力、こういったものを合わせて、どのようにその長期収支を出していくか、これは今、精緻な検討を行っている最中でございますので、結果を示すことはできませんけれども、私どもとしては大幅に改善をされるというふうに考えております。


◯曽根委員 これ以上は、その長期収支の見通しを出していただいた上で議論するしか、もちろんないわけですが、では、売却に今後頼って、貸し付けもあるかもしれないけれども、売却を新しく出して、それで売れなかったらもう終わりですよね、はっきりいって。まあ、出るかもしれませんよ。
 しかし、売却がもし行われたとすると、結局、元も子も失うということになるんじゃないでしょうか。都民の財産である都有地を、結局どんどん切り売りをしていく。今、都心に比べればはるかに安い土地の価格、平米百万円ちょっとでしかないと。結局、時々の収入が足りないために売り急いで、それで貴重な財産を失ってしまうと。しかも、売った後は民間の開発になりますから、開発のコントロールができなくなっちゃう。こういう問題に私は直面すると思うんです。
 我が党は、こういうことが今までの積み重ねではっきりしてきた以上は、特に私が最初に申し上げた開発の基本的に向かっている方向が、現実の実態の方向と東京都の基本的に目指している方向とが、ずれていることが実態から見てはっきりしているんですから、今後の基盤整備の開発のやり方を(「じゃどうするんだ。批判するだけでなくてはっきりいえよ」と呼ぶ者あり)現状を、都民本位に本当に利用できるレジャーランド的なものも、私たちは否定はしていませんよ。それから、病院だってできてくることになる、それから学術的なものも入る、中小企業の支援的なものも恐らくできてくるかもしれない。
 実態はそういう方向に進んでいるんですから、それに合わせて今後の基盤整備を、一兆円を丸々使うようなものから大きく転換をしていく、今最大のチャンスではないか。そうすれば、全体としての支出を抑えることはできるんですから、収入についても、いわば急いで切り売りしなくてもいい方向というのは出てくるはずだと。
 その点は、私たちも意見がありますけれども、少なくとも、青島知事が多くの専門家や都民も参加させての懇談会をやった。あれにもいろいろ問題がありますが、今大きな曲がり角ですから、都民参加で徹底的な見直しをする、いわば枠をはめない見直しの議論というのを大いにやるべきだということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

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