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2001年10月11日文教委員会の質疑
大学改革は都民にオープンに。B類は存続を

◯曽根委員 私からも、大学の改革の取り組み、これからの方向の問題について、何点か質問させていただきたいと思います。
 今まで、昨年八月ですか、今お話のあったように、教育庁の中に大学のあり方を検討する組織がつくられたと。私たち、そのときは、大学自身が改革の方向を検討した中である程度やっていって、いろんな意見も聞くというのとは違って、教育庁の中につくるということは、極めて変則的なお話じゃないかということで、物もいわせてもらったんですね。
 今度、大学管理本部ができたと。それで四大学について全体像を考えていくと。私は、この組織がつくられた、まあできたばかりですけれども、利点としては、やっぱり大学のあり方を大学の方々自身が検討する、またそれを管理運営するといいますか、都の組織として、やはり本来のあり方としての大学の改革をまさに当事者が考え、また都民に対して問題提起をし意見を聞く、そういうオープンな議論の場として、大いに頑張っていただかなければならないなということをまず申し上げておきたい。
 その上で、再三私たちもいってきましたが、大学のあり方について、中の関係者の方々も大いに議論をしなければなりませんが、同時に、都立の大学であり、都民の税金で成り立っているということから、都民の幅広い意見を聞く、それも中での議論をインターネットで公開していますよという程度じゃなくて、むしろ積極的に意見を聞く場をつくる、提供するというふうな取り組みが必要じゃないかと思うんですが、その点での基本的な考え方はどうでしょうか。


◯佐藤改革推進担当部長 本年二月に大学改革の基本方針を策定したわけでございますが、その基本方針の内容につきまして、本都議会でのご議論を初め都のホームページですとか「広報東京都」に、その内容を掲載をいたしまして、都民の意見もあわせて募集をいたしました。それとともに、都政モニターですとか教育モニターに対するアンケート調査等も実施してきたところでございます。
 これらに寄せられました多数の意見も参考にしながら、現在、大学改革大綱、仮称でありますけれども、この検討を進めているところでございます。
 また、外部の有識者から成ります運営諮問会議を設置をいたしまして、現在、大学改革についての議論をいただいているところでございますが、ここでの議論の内容につきましても、ホームページに掲載しているところでございます。
 私どもの基本的な考え方といたしましては、今後とも大学改革の取り組みにつきましては積極的に公開をし、多方面からの意見をいただいていくという考えでおります。


◯曽根委員 最後におっしゃった、積極的に意見を伺っていくという姿勢を、例えばホームページでいうならば、いろんな公開の仕方がありますよね。ただ議事録を出しているというだけなら最小限ですよ。それからいろんな意見を取り入れる場をつくっている、そこまでやっているんですよね。しかし、それは、やっぱりそれぞれの都民の意見というのは一方通行であって、積極的にもっと意見を闘わせようじゃないかという議論の場があってもいいだろうと。
 そういう意味で、宮城大学などの改革の際には、いろんな意見を持った方を呼んで公開シンポジウムをやったり、それから皆さんから、その会場から意見を出し合って大いにフリーに議論するという場もあったように聞いているんですが、それぐらいのことは、この都立大学の大きな改革を進めようというからには、やっていいと思うんですが、今までそういうふうなことを計画したことがあるのか、今後はどうなんでしょうか。


◯佐藤改革推進担当部長 都民、多方面からの意見の聴取、議論の公開につきましては、先ほど申し上げましたとおり、我々も積極的に進めてきたところであるというふうに考えております。
 今後につきましては、改めまして多方面からのご意見をいただけるような形で、積極的に対応していきたいというふうに考えております。


◯曽根委員 それでは、具体的に私も提案をしましたので、ぜひこれも検討の俎上に上せていただきたいと申し上げておきます。
 それから、検討が開始されてから一年ちょっとですが、もともとの計画では八月ごろ大綱を出すと。それで基本方針は二月に。私も今回、文教委員になったときにいただきました。
 国が数年かけて、最近、中間まとめですか、出したというのに比べて、一年である意味では大綱というところまで持っていくというのは、非常に、早いといえば早いんですが、この種の問題をごく短期の間に結論めいたものを出していくというのは、これは非常に、いわばさまざまな意見を取りこぼす危険性も一方であるということは見なきゃならないと思います。
 特に私は、大学で働いている教員や職員の方、また学生の人たちの意見を、一体この短期間の間にどれぐらい聞いているのかなと、疑問でしようがないわけですよ。私が知っている限り、また聞いている限りでは、教職員にしても、それから学生の方にしても、今の大学のあり方を根本から崩して、例えば今、基本方針が出されている法人化の方向とか、それから二部をなくすとか、外部から人を入れて、いわゆる理事会を全部外部からの運営にするとか、設置者を知事にしちゃうとかいうことを、いわば教育のあり方にかかわる問題ですよね。公立学校でいえば、教育委員会が今運営の責任を持っている公立学校を、いわば知事の側に運営を移すのと同じぐらいの大きな問題ですよ、教育の独立性の問題としては。それを一気に結論を出していこうということについては、非常に反対の声が強いというふうに聞いているんです、国立大学も同じだというように。
 特に大学の場合は、学問研究という分野が非常に重いわけですから、そしてその大学の管理運営というのは学問研究抜きには考えられないわけですから、そういう点では、管理運営を外からやるということが、学問研究の分野に大きな弊害をもたらさないとはいえないということを危惧されている。
 そこで、やっぱり大学の関係者、例えば教員や職員の方に意見を聞く場や、それからその職場である大学での仕事や、また教鞭をとるあり方についてまで、根本的な変更を検討するようなことについて、十分な意見を聞くというのは当然だと思うんですが、やられてきたんでしょうか、それとも、これからやろうとしているんでしょうか。


◯佐藤改革推進担当部長 大学改革に当たりましては、先ほど申し上げました、本年二月に策定をいたしました大学改革の基本方針策定に当たりましても、各大学の学長をメンバーとする検討組織を設けまして、各大学の意見を十分に聞きながら進めてきたところでございます。
 また、大学改革基本方針を発表した後、その具体化を図るための検討におきましても、同様に学長をメンバーといたします大学改革推進会議という検討組織を設けまして、これも大学側の意見を十分に聞きながら進めてきたところでございます。
 また、教職員や学生の意見を聞くことも必要であるというふうに考えております。そのため、改革の状況を周知するための説明会の開催、意見聴取につきまして、大学が行っているところでございます。


◯曽根委員 学長さんを集めてのいろんな意見は聞くと。それで、学生、職員の方は説明会と。私は、大学というのは学長さんだけでつくっているものじゃないんで、一つ一つの分野の研究をやっている教員の方、それからそれを支えている職員、またそこで学んでいる学生、それぞれきちんと適切に話を聞く場を設けるべきだし、説明だけじゃなくて、一方通行じゃなく、やっぱりその大学をつくっている主体者としてのそれぞれの方々からの意見を聞くというのは、当然だと思います。これはぜひやっていただきたい。
 もし、これをきちんとやれば、やはりこの基本方針に出されている内容は、安易に出されるはずはないと私たちは思っております。それは、例えば大学の教員の任免制とかも、これは国の方でさんざん議論をしている問題ですよね。これをもう簡単にこの方向を出してしまったりということは、これは本当に一人一人の身分にかかわる問題ですよね。やっぱりこれは、その先生方一人一人にとっては重大な条件の変更であり、職場の変更になるわけで、こういうことを恐らく大学の教鞭をとっている方のだれもが、このことについては十分に意見を聞かれたとは思っていないと思うんですよ。
 私、たまたま都立大学に、大学時代の同期の人が──今助教授になったのかな──いまして、その人は、たまたまやっていた研究が今脚光を浴びているんですよ。ことしの二月の決算のときにもちょっと、まだ都立大学でしたけど、申し上げたんですが、その人が、私たちが学生のときには生物学、なかんずく植物学なんで、本当に窓際の学科といわれたわけです。ほとんど学問的には古臭いといわれた代表ですよ。
 ところが、今その植物学が非常に脚光を浴びていて、その人は乾燥に強い植物の研究で、知事も見に行ったというぐらい、相当国際的な最高水準の研究をやっているわけです。しかし、それはどこから生み出されたかというと、企業からの委託研究でもないし、どこかスポンサーからお金をもらってやっているのでもない。基礎研究のところから出てきた成果なんですね。私は、大学というのはそういうものだと思っているんですよ。企業のお金をもらってやれば、その企業の意向にやっぱり縛られてしまう。それから、いろんな形のスポンサーがつけば、それはやっぱりその形で縛られる。しかし、フリーで研究できる中から、やっぱり新しいものが出てくると。それは一つの個々の企業だけじゃなくて、ある意味では世界全体に貢献するような、先ほどもノーベル賞の話がありましたけれど、そういうものも出てくるというのが、大学というものの奥深さだと思うんですね。
 そういうものをどうやって全体として守って発展させていくのか。これは、やはり学長さんだけの、代表者の意見だけでは酌み尽くせないものが、個々の研究者の中にはあるはずなんですね。そういう人たちに、これから大学の改革について、もし本当にだれもが納得できる結論を出そうと思うんだったらですよ、やっぱりきちんと意見を聞く場をもっと制度的にも保障すべきじゃないでしょうか。
 これはいっても、何か先ほどからお話が、あんまりいい答弁がないんで、強く要望をしておきますので、このことは申し上げておきます。
 最後に、都立大学というのは、特に学生さんから聞くと、ほかの大学にない非常にすばらしい特徴があると。それは、夜間があることはもちろんなんですが、二部制で、その夜間の学生が昼間の講座もとることができると、昼夜開講制で。これは、今私立大学がいろいろ改革している中での一つの傾向として、働いている実態が多様化してきているんで、夜間の学生でも昼間のものをとれるようにするということが、学費問題その他を置いておいても、出てきているわけですね。
 ですから、私は安易に夜間を廃止と、二部の方を廃止という結論を出す前に──夜間に今いる学生を含めて、この年代の学生さんたちが、やはり生活の一部または学費の一部をアルバイトしなければ支えられない傾向というのは、今強まっていると思うんですよ。家庭の方の経済状態が必ずしもよくないわけですから。そういうものにこたえる大学の講義のあり方、カリキュラムのあり方、これをやはり実態に即して検討すべきだと思うんですが、この点いかがでしょうか。


◯佐藤改革推進担当部長 昼夜開講のお話がございましたけれども、都立大学の昼夜開講は、夜間において勤労学生に教育の機会を提供することなどを目的として実施してきたものでございます。
 しかし、この間、就労形態の多様化など社会経済状況の変化に伴いまして、いわゆる定職を持って働き、夜間でないと学べないという学生は、減少をしてきております。このため、夜間課程について見直すということを基本方針でうたっておりますが、同時に現在の昼夜開講のあり方についても、見直す必要があるというふうに考えております。
 ただ、今回の改革におきましては、希望する講義だけを受講するような形での科目等履修生制度、そういうものの活用ですとか、在学年限を限定をしない、いわゆるパートタイム学生制度の導入ですとか、また大学におきます昼夜開講の拡大ですとか、今、委員がおっしゃいましたような就労形態の多様化に対応して、新たな形で対応なり知る機会を提供する方策についても検討していく所存でございます。


◯曽根委員 学生の方から最近、会いたいという話があって、これは請願を何か出されたようなので、近く審議を私たちもすることになると思うんですが、その最大の要望が、昼夜開講制度に基づく学部教育を維持してほしいということですよね。これはもうそちらで受け取られていると思うんですが、やはり単純にA類、B類を今のまま残せということだけじゃなくて、昼夜開講という都立大学のよさを、むしろ今の時代にヒットしているからこそ、ほかの大学ではそういう夜間の学生も昼間もとれるという形をとってきているんだろうと思うんで、それはぜひ酌み取っていただきたい。
 今のお話の中で、夜間でないと学べない学生が減ったというふうにおっしゃいましたが、私は、都立大学が目黒から八王子に移って、目黒だったら都内二十三区内で働いている勤労学生が通うのにそんなに時間がかからなかったけれども、少なくとも一時間はタイムラグが、大学側の事情で移って、事実上、定時五時で終わる学生でさえ夜の講義に間に合わないところに行っちゃったわけですから、それは学生の責任に帰すことはできないわけで、それに伴って、それはいろんなことを考えなけりゃならないわけですよね。しかし同時に、学生の人たちの働いている状況を私たちも聞きますと、やっぱり夜のバイトや昼のバイト、いろいろな形で、生活費を親からなかなか工面できなくなって、大変な状況も生まれてきているんですよね。それにどうこたえるかということだと思うんですよ。まさに時代に即して考えなけりゃならないし、学生さんの実態に即して考えてほしいということを申し上げておきたいと思います。
 最後に、学生の人たちや、それを送り出している父母の方々、家族の人から、強く声が出ているのが夜間学生の学費半額制度ですね。これは実際上、これがあるから大学に通えると。これが、例えば私立大学の一部でやられているように、夜間も昼間も全部同じというふうにやられてしまうと、実際上、大学に通わすことができないという人たちも、やっぱり生まれてきているわけで、これは不況の影響も大いにあると思うんですが、そういう声が強くあると。ですから、この制度は、安易に時代が求めている云々の理屈だけで片づけられる問題ではないんだということは、今学んでいる学生はもちろんですが、これから学ぼうとしている意欲ある若者を幅広く受け入れて、勉強したいという学生には、たとえ家庭がいろいろ所得状態が悪くても学べるという場をつくっていくという公立大学の役割を、やはり堅持することを強く求めておきたいと思います。
 以上です。

●狂牛病対策、私学助成充実を
◯曽根委員 最初に、狂牛病に関する消費者対策についてお伺いしたいと思います。
 九月十二日でしたか、日本で初めての狂牛病が発見されて以来、きょうでちょうど一カ月ですね。この間、相次ぐ新しい事態の発生、その原因が、九六年には既にWHOが畜産の牛に対して肉骨粉など使ってはならない、禁止すべきという勧告が出ていたのに、実際は使われる事態が放置されていたという五年間の問題があり、そして、今回発見された後の牛が、焼却処分されていたという発表にもかかわらず、実は肉骨粉になっていた、このダブルの失態があり、さらに、その後も次々と、新しい肉牛に関するさまざまな食品が出回っていた分野が明らかになるなど、この間、農水省を初めとした政府の対応が非常におくれたために、一カ月間、いまだに事態が流動的で、不安は広がり続けている。
 消費者としては、牛肉に関すること、牛に由来したものはなかなか手が出せないという状況が、これはもうやむを得ないと思うんですよね、広がっていて、買い控えが起こり、生産者にまで物すごい被害が及んでいる。これは、私たち、手をこまねいて見ているわけにいかないと思うんですよね。東京のいわば食品の安全だけじゃなくて、産業にも物すごい影響があるだろうと思うんです。
 関係局としては、中心は衛生局であったり、市場であったり、それから生産農家対策その他は産労局だと思うんですが、私は、どちらかというと、最終的にそれを消費する消費者に対して正確な情報が十分伝わっているだろうかという点では、非常にまだこれからだと思うんですよ。
 東京都も頑張っていらっしゃると思うんですが、その点で、まず一つは、この問題については、消費者はとにかく買わないのが一番安全という状況だと思うんですけれども、買ってしまったものや保管してあるものについてはどうだろうとか、そろそろ問い合わせなどが東京都の消費者窓口に来るころかなと思うんです。その経過がわかりましたらお願いしたいのと、今後、これがどういうふうになっていくのかについても、ある程度見通しを持っておられましたら、お願いします。


◯中澤消費生活部長 いわゆる狂牛病に関する消費生活総合センターへの問い合わせや相談の件数でございますけれども、十月四日現在で二十六件でございます。
 内容は、購入した商品の原材料に狂牛病の牛が使われていないか心配であるとか、あるいは、どんな商品が安全なのか教えてほしいとか、そうしたいわば漠然とした不安に基づくものが多うございます。
 今後ふえるかどうかということについては、現在のところではこの程度のものでございますので、今後の状況によろうかと思っております。


◯曽根委員 思ったほどは多くないなという印象はあるんですが、この後十八日には、一応全国一斉にということで肉牛の検査が始まるわけですね。検査したものは一応安全という一応のお墨つきが出るだろうと。そうすると、その肉が市場に出たときに、これは本当に大丈夫なのかというのが殺到する可能性が私はあると思うんですよ、その段階から。本当に買って大丈夫なのかと。一〇〇%絶対大丈夫ということは、今、日本の、この五年間のタイムラグがあったために、絶対安全な食品というのは、牛由来のものでは、いい切れるものというのは少ないだろうと思うんです。
 そういう点では、これから消費者に対して、狂牛病とは何かということも含めて、現段階で東京都がつかみ得る最も正確で、安全と危険の間のグレーゾーンも含めて、到達点をちゃんと伝えていくというのが、これはまさに生活文化局の消費者行政の今非常に重要な課題の一つじゃないかと思うんですが、この点で、今まで取り組まれたことももちろんあると思うので、その点がありましたらお聞きしたいのと、私、これは、例えばポスター一枚張り出せば済むという問題じゃないと思うんですよね。丁寧に現状での東京都としての情報をきちんと消費者に伝えるためには、今までの媒体も含めてですが、もっときちっとした手間暇をかけたものが必要だと思うんですが、その点での計画などがおありでしたら、お聞きします。


◯中澤消費生活部長 いわゆる狂牛病に関する都民への情報提供につきましては、都のホームページに狂牛病の項目を設けまして、病気の概要あるいは国、東京都の取り組みの内容について紹介をしております。また、定期刊行物であります「東京くらしねっと」や「くらしの安全情報」で適切な情報提供をしてまいります。
 さらに、消費生活総合センターでは、消費者の不安を解消し、消費者と事業者、生産者、行政が相互理解を促進する場として、狂牛病をテーマとした講座の開催を企画しているところでございます。
 なお、ただいまお話しございました、近々すべての牛の解体時検査が開始をされて、狂牛病に対する抜本的な安全対策が講じられるというふうに聞いております。その内容については、迅速に消費者に情報を提供をしていくつもりでございます。


◯曽根委員 わかりました。私、そういう講座のような形のものもこれから必要になってくるだろうと思うんです。そして、お話のあったように、確かに生産者のところで大変な被害が出ている。しかし、消費者には不安が残っているから(「業界は全部だ」と呼ぶ者あり)業界全体がね。牛乳屋さんを含めて大変な被害なんですよね。牛乳はどうかというと、これはまた一〇〇%安全とはメーカーもいい切れないということで、だれも安全宣言を出さないということですから、そういうことに対して、しかし、最後の判断は消費者なんですね。
 ですから、消費者に絶対安全ですとか絶対危険ですということが、今だれもいえない状況ですが、少なくとも、どの程度の安全が確保されているか、どの程度の危険性があるのか、イギリスなどでも、そういうことをきちんと消費者に伝えることによって、昨年ひどいパニックが起こったのが大分落ちついてきているということですから、そういった取り組みをぜひお願いしたい。
 それから、十八日以降、私は、東京のと場の水準からいえば、東京で検査されるものというのはかなりの安全性が確保されると思うんです。しかし、地方では必ずしもそこまでいっていないという話も聞きます。したがって、何らかの東京都としての安全に対するある程度の目安を出さなければならないかもしれない。
 そのときには、これは当然、衛生局なり産業労働局なり、また市場の方で何らかの判断なりがされると思いますが、そうした会議も今開かれているようですが、そこで出されたものについて、一刻も早く適切な方法で消費者に伝えていく。今、適時行っていくというお話がありましたので、ぜひその点を取り組んでいただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 それから、もう一つ、私学助成について何点かお聞きしたいと思います。
 これは、昨年も私たち取り上げましたが、今も不況が続いて、特に私学に通わせている家庭が経済的な困難に急速に陥るということが起きている。そうすると、学校に通っている途中でやめなければならない、もしくは、兄弟が通っている学校に下の子どもさんは入学試験を受けることができない、都立に行かざるを得ないとか、そういった非常に残念な傾向が現に出ているわけで、私は、そういう中にあって、私学を支えている方々に対する私学助成の役割というのは、ますます重要なんじゃないかなというふうに思います。
 ところが、私学助成の予算が年々減っている。この推移をちょっとお聞きしたいんですが、私学助成、特に経常費補助ですね、これを、総額の推移、三年間ぐらいで、どうなっているか。それから、都立に流れる傾向が出ているといわれますが、私立高校に通う生徒さんの数はどうなっているか、よろしくお願いします。


◯谷川私学部長 経常費の過去三年の経緯でございますけれども、平成十一年度が一千百七十九億円、平成十二年度一千百二十二億円、平成十三年度一千八十七億円でございます。この二年間に、約九十二億円、率にいたしまして七・八%の減額となってございます。
 また、都内の私立高校の生徒数でございますけれども、学校基本調査によれば、平成十一年度約二十万四千人、平成十二年度は約二十万人、平成十三度は十九万四千人でございます。この二年間に約九千人、率にして約四・六%の減となってございます。


◯曽根委員 私立高校の生徒の数がマイナス約四・六%ですか、今のお話だと。これは、生徒の全体の年齢の、その年齢の子どもたちの数の減りからいうと、まあ頑張っているんじゃないかな、これだけ公私間の費用負担の格差があるときに、頑張っているんじゃないかと思うんですが、それに対しても、経常費補助のマイナスの方が二年間で八%近く下がっている。これは、経常費補助は標準運営費の二分の一という原則は一応守られてはおりますけれども、その中でも、青島知事のときに行われた財政健全化計画で、たしかあれは、教員の共済関係の費用を見直して、五年間の経過措置でずっと今下げているんですよね。
 それが、いわば生徒減以上に私学助成が下がっているという原因になっていますので、この点はやはり、財政健全化計画のこうした経過措置は、早く凍結するなり、やめるべきだということは、私たちの意見として申し上げておきたい。
 それにしても、生徒数がじわじわと減り始めているということで、これに対する対策がやはり必要だと思うんです。そういうときに、これはちょっと来年度の予算の話になって申しわけないんですが、七月二十七日に副知事の予算見積りについての依命通達が出まして、ここでは、経費を三種類に分けて、C経費というのが重要施策ということで、これはシーリングをかけないと。しかし、それ以外のAとかBとかいう経費は、つまりC経費、重要施策以外の経費は、一律、ここでいうと、原則として経常経費及び投資的経費ごとに、平成十三年度予算額に対して総額で一〇%減の範囲内で所要額を見積もることというふうにされたわけですね。
 重要施策が──もう私ども聞いてしまっているものですから、その中に私学助成の全体が入っていないということも知っているものですから、このままやられたら、これは大変だと。事実上一〇%カットとなれば、標準運営費の半分という原則は崩れるわけですよね。これはもう、間違ってもこういうことになってはならないと思うんですが、この点はぜひはっきりとした、局としてはこれはシーリングの対象には絶対させないという決意をお聞きしておかなければならないなと思うんですけれども、いかがでしょうか。


◯谷川私学部長 都の私学助成の中でも基幹的な補助でございます経常費補助、これは、既に何度もお話しさせていただいている教育条件の維持向上、保護者の負担軽減、学校経営の健全化、この三点を大きな目的としてやっているわけでございます。
 これはもちろん重要な施策でございまして、今後とも、東京都の厳しい財政の状況を踏まえながらも、私学振興の観点から適切な予算の確保に努めてまいりたい、このように考えてございます。


◯曽根委員 その三つの意義を踏まえれば、私は、一律に、重要施策に入ってないからといって、一〇%カットというふうなことがあってはならない。つまり、これはまさに経常経費ですからね。そして、私学の振興のために欠かせない経費で、そういうことがあってはならないと思うんですが、適切な予算額ということは、これはいわば、今まで守ってきた大原則は維持していくために局は努力をするということだと思っていいんですかね。局長、どうでしょうか、ここは決意を聞いておかないと。


◯高橋生活文化局長 今、私学振興の観点から、厳しいこうした財政状況あるいは不況の状況の中で、そうした振興策について基本的なスタンスを維持してというご質問だと思いますが、困難な条件の中ではございますが、今、重要事項のお話もございましたけれども、重要事項から外したから重要事項ではないということではございませんで、むしろ、特段新しい項目として出す以前の、ある意味では基本的な問題だと考えておりますので、厳しい中ですが、しっかりした対応をしていきたいというふうに考えております。


◯曽根委員 ぜひこれは、毎年、私学の大会も開かれ、私たちもお邪魔したときには、とにかくこの大原則だけは絶対崩してもらいたくないという悲痛な叫びがあるわけで、これは最終的には生徒さんや父母のところに負担として行ってしまいますのでね、ここが削られると。ここは何としても東京都は防波堤となって守っていただきたいというふうに思います。
 その中でも、私学の中にも、有名な私立高校と、なかなかそうなっていない高校といろいろあって、経営状況も千差万別ですよね。有名な、受験で実績を上げている私立高校などと比べて、どちらかというと、いろいろな生徒を受け入れようという私立学校については、今、生徒減の厳しい荒波にもまれているというところだと思うんですが、その中で、要望としては、特に生徒やその父母の方々も含めて、四十人学級をこれを機に実現をしていくということが、生徒が減った分、逆に可能になっている。今、半分ぐらいですか、到達は、私立学校の中でも。
 四十人学級を全学で実施をすると、補助金に若干の増額がある。ここを何とか充実させていただくことによって、いわば生徒が減ったかわりに、一クラスの定員は減らすことができて、ゆとりができる、そのことに対して補助も若干ですが増額される、ここを充実してほしい。できれば三十五人学級対応をしてほしいというところもあったんですが、そこまでいかないとしても、四十人学級の補助の増額というのは、これは大いに、教育条件をよくするという点でも、あり得るのかな、また、生徒減に対する若干でも穴埋めという点でも、私立学校の中には助かるところがたくさんあるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。


◯谷川私学部長 経常費補助の中で、平成九年度から、今ご指摘のとおり、四十人学級に対する特別補助を実施してきてございます。
 その結果、四十人学級を達成した学校は、平成九年度八十七校だったのに対しまして、平成十二年度は百二十三校、このようにふえてきてございます。ただ、いまだ百十二校が未達成の状況にあるのも事実でございます。こういう事実を踏まえまして、今後とも、現行の補助の水準を維持して、四十人学級を達成したい、このように考えております。


◯曽根委員 ぜひ、すべての私立学校で四十人学級を、都立校では既に実現しているわけですから、公私間格差を是正していくという点でも実現してほしいと思うんですが、これに対する補助を、これは私学助成全体というか、中での配分の問題もあるでしょうが、それに向けて、より促進していく立場で、四十人学級を実現したところに対するインセンティブを上げていくというようなことも要望としては強いんですが、この点はいかがでしょうか。


◯谷川私学部長 ただいま申し上げましたように、四十人学級をいまだ達成していないのが百十二校ございまして、これの解消に向けて現行の補助水準を維持していきたい、それも大きなインセンティブになっている、現時点ではそういうふうに考えております。


◯曽根委員 余り直接のお答えがないので……。ぜひ検討をお願いしたいと思うんです。
 それから、公立学校と私立学校の大きな差は、やはり、初年度に入学金を含めてかなりの負担がある。これが、私立学校を選ぶか公立学校を選ぶかの上での大きな判断の材料にならざるを得ないという現状があります。
 私立学校は、高校一年生で初年度は平均で八十万円くらいですかね。そのうち二十万か三十万を超えているかもしれませんが、入学金負担。これに対して、今、二十万限度ですか、融資があるんですが、貸付金だけじゃなくて、助成制度も設けてほしいという要望が、これは特に今、経済的に厳しい状況の父母の方々から出ているわけで、これは学校に対する補助とは別ですが、生徒やその家族に対する助成という点で、今そこが大きなネックになっているようなので、この点も実現を求めておきたいと思うんですが、いかがでしょうか。


◯谷川私学部長 都内の私立高校生に対する就学援助のための助成策といたしましては、入学支度金の貸付事業、そのほかに、私立高等学校等特別奨学金補助、それと東京都育英資金貸付事業等を行っております。
 新たな補助制度を創設することは、現在では難しい、このように考えてございます。


◯曽根委員 これは新設ですから、大変難しい状況だということは私も重々わかるんですが、やはり都内の高校生の六割が私立高校に通っていまして、その多くが本当に普通の家庭のお子さんが今までは行ってきた、しかし、これからは親の所得によって行ける学校に差が出てきてしまうという実態が、今、出てきているわけで、これはやはり公教育のあり方としてはふさわしくないと思うんですね。
 そういう点で、全体に広くというわけにはいかないでしょうが、何らかの所得基準を設けて、こうした経済的な負担を若干でも軽減する制度を検討いただくように強く求めまして、質問を終わります。

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