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2000年2月4日公営企業決算委員会
中央市場の経営問題「値上げなしで運営できるはず」

◯曽根委員 九八年度、平成十年度の決算を幾つか質問したいと思っているんですが、何といっても、この年は予算で使用料の改定が提案された年度であります。このときは、私も経済・港湾委員会におりましたので、大変異例の事態が起こりまして、これは議事録にはっきり残っておりますから申し上げますが、市場長の答弁の中で、値上げ幅はまだまだ検討の余地があるかのような趣旨の発言があったために、委員会が紛糾して、理事会が行われ、結局、市場長は発言取り消しということがあったわけですが、最終的に結論としては、議会側はこの値上げ提案は否決をするということになりました。
 この年度は、ほかにも公共料金値上げが幾つか否決をされておりますので、当時も不況で厳しい、特に市場関係の中小業者を中心とする使用料ですから、なおのこと経営の厳しさを配慮してということは、当然委員会としては意見が述べられたわけですが、そういう一般的な公共料金値上げに対する反対の問題と、それから市場の特殊性も考慮した否決だったと思うんです。  で、二年たちまして、ちょうど今、前回否決をされた使用料改定が再び提案されようとしているという段階に来て、私たちとしては、この二年間の中央市場としての財政運営の、議会での否決を受けての取り組みはどうだったのか、このことは検証せざるを得ない。ちょうど十年の決算がいわばその中心でありますので、その点に関連して幾つか聞いていきたいと思うんです。
 まず、前提となる今回の値上げ幅については、これは予算の審議になりますから、余り立ち入って申し上げることはいたしませんが、一六%の値上げということがいわれております。その根拠となる財源不足額は、どれぐらいが見込まれているのか。二年前はたしか一四%ぐらいの値上げ提案だと思いますが、そのときに、向こう三年で財源不足がこれだけ生じるんだというその根拠は幾らだったのか。それぞれお答えいただきたい。

◯碇山経営管理部長 使用料改定のお尋ねでございますが、使用料改定の所要額をどういうふうにとらえるかということにまずなるわけですが、私どもでは、収益的収支の向こう三カ年間、改定をお願いする場合の当該年度から向こう三カ年間の財源不足額、これをベースにしてございます。  お尋ねのように、十年度の改定のご提案を申し上げたときは、向こう三カ年間のこの数字が、百十四億の収支不足が見込まれたわけでございます。今回の十二年度分でございますが、これは予算に係る事項ではありますが、お尋ねでございますので、向こう三カ年が三十四億という数字でございます。したがいまして、十二年度の方が八十億円程度、前回に比べて改定所要額が下回っている、こういう状況でございます。

◯曽根委員 これ、よく考えると、大変奇異なことになるわけですよね。前回は、向こう三年で百十四億の財源不足が出る、値上げ提案は一四%だった。今回は、その間に何があったのかについては後でお尋ねしますけれども、向こう三年は三十四億の財源不足に圧縮された、しかし値上げ提案は一六%、前回より二%多く出ている。赤字は圧縮される見通しが出たのに、なぜ値上げ幅が大きく提案されるのか、これはやっぱりだれが考えても、素直な気持ちでは納得できないということが当然あるだろうと思います。これから先は、予算審議の中で大いに議論したいと思います。
 そこで、前回百十四億の財源不足が出るといわれたのは、平成十から十二年度、つまり九八、九九、二〇〇〇年度までの三カ年分ですよね。今回は、来年度からですから、二〇〇〇、二〇〇一、二〇〇二年、平成でいうと十四年度までですか、三カ年ですよね。十二年度については、前回と今回とダブっているわけです。八十億円程度の圧縮があった、これは、一体この二年間でどういう点がこれだけ圧縮できる要素となったんでしょうか。

◯碇山経営管理部長 収入支出それぞれにおきまして、私ども改善、努力を重ねたつもりでございます。まず、収益におきましては、預金受取利息収入など四十八億円の増をもたらしたものでございます。一方、支出におきましては、施設整備費の見直しによりまして、三条会計予算で減価償却費が減ります。あるいは企業債利息、こういうものが減ってまいります。さらには、事業の見直し等によりまして管理費も圧縮させていただいております。これらで三十二億円でございます。そのような意味で、収入支出で四十八億円、三十二億円ということで、先ほどご答弁申し上げました八十億円程度下回ったということに至ったものでございます。

◯曽根委員 収入の方でふえたものの中には、いろいろいただいた資料、決算資料などを読ませていただきますと、今年度予算で、たしか二千億円の一般会計への貸し付けを決定されている、これはまだこれから執行らしいですけれども。したがって、市中金利で預金されていたものから一般会計に貸し出し、これはかなり大きな金額が振りかえられるわけですから、当然のごとく、一般会計に貸すんだったら、市中金利よりは少し多目に要望されるだろうし、それが見込まれている分があるでしょうから、それは二年前には決まっていなかったし、見えていなかった問題だということはわかります。  しかし、管理費とか、それから施設整備を見直すことによる減価償却費や企業債利息の改善といいますか、圧縮は、二年前でも、本当に値上げ提案がぎりぎりであれば、当然ぎりぎりまで検討された上で出ていなければならなかった問題だと思うんです、これは絶えずある問題ですから。  そういう点で、あのとき市場長も何か非常にけれんみを残す発言があったのは、やっぱり二年前の提案、つまり十年度予算にかかわる提案が、十分にぎりぎりまで見直した上でも、なおかつ、中小企業を初めとする市場利用者に値上げの負担を押しつけなければならなかったのかという点で、まだまだ不十分さを残したものだったんじゃないかという気がしてならないんですが、この点はいかがですか。

◯碇山経営管理部長 二年前に私どものお願いしました使用料改定が先送りになったということにつきまして、私ども市場内部としまして、市場会計の健全化を図るということで、歳入歳出にわたりましてかなり努力を重ねたものでございます。それによりましてといいますか、先送りになりましたことによって、累積赤字がこれまで以上にふえたというようなことがございます。したがいまして、先ほどご答弁申し上げましたとおり、歳入歳出全般にわたりまして収支改善を図ったということでございます。  お話にもございました貸付金につきましても、これまで以上の金利運用ということを図りまして努めているものでございます。

◯曽根委員 管理費などについては、今、都庁全体としても、圧縮、削減をしてきているという流れです。この中には、私たちから見ても、ちょっとこれで大丈夫かと思われるようなものもありますが、かなり努力をしている。しかし、二年前の管理費の提案は、向こう三年伸び率なしということで提案をされていると思うんですね。そういう点でいうと、東京都全体としての、管理費のかなりぎりぎりに見直しながらやっているものに対しては、若干まだやりようがあったんじゃないかということ、これは指摘だけしておきます。  私、特にさらに注目したいのは、減価償却費と企業債利息についても、これは施設整備の後に発生してくるものですよね。そういうものが、この二年間でかなり圧縮されて支出を抑える役割を果たしたという点でいうと、これは二年前に本当に十分だったのかなという疑問がどうしても残りますし、さらに、今年度の提案についても、これはまだまだこの二年間にやり残したものが、いかに減価償却費や企業債利息を圧縮するかという点での、十年度、十一年度、やり残した部分は本当にないんでしょうか。その点はいかがでしょう。

◯碇山経営管理部長 使用料の改定の対象の会計と申しますのは、私どもの市場会計のうちの、俗に三条会計と申し上げています経常的な収入支出のバランスの兼ね合いでございます。したがいまして、投資的な経費として市場整備をする場合に、四条会計の資本的収入支出の会計で区分、整理いたしますが、その整備の後、三条会計で減価償却費というものが当然の支出としてなってくるわけでございます。  したがいまして、三条会計のうちの費用面で申し上げますと、今先生お話しございましたように、減価償却費というものの負担のウエートが相当高くなっておりますので、私ども、執行におきましても、施設整備を重点的に行うとか、効率的な執行をするということについて二年前も努めたところでございますし、前回のこともございますので、今回は、さらにこれらについて鋭意努力したというつもりでございます。

◯曽根委員 今までだったら、それで済んでいたかもしれないんですよ。全体的に経済は成長しているし、物価もそれなりに上がってくるわけだから、市場の使用料も、その都度三年ごとの基本見直しが原則になっているわけだから、少しずつでも物価上昇分ぐらいは少なくとも上げてもいいじゃないかということが、今までだったら通用したかもしれません。しかし、今日、経済成長は実質的にはまだとまっているという分析さえある。さらにいえば、市場利用者の経営状況や景気動向は、一般の大手の企業などを中心とした経済見通しよりもはるかに悪いということは、私がいうまでもなく、皆さんご存じだと思うんです。そういうときに、市場料値上げをどうしてもやらなきゃならないという事情をいかに少なくしていくのか、小さくしていくのかという問題ですね。  私は、赤字体質といいますか、経常収支で絶えず赤が出る、向こう三年赤字が見込まれて、その分を値上げで乗せるというふうなことを繰り返す時代じゃなくなっただろう。むしろ、赤字が出そうだったら、それを抑えるために、いかにもろもろの経費を落としていくのか、節約できるなら節約していくのかということを、絶えず先を見越して工夫しなければならない時代だというふうに思っております。  確かに、前回もそうですが、今回も値上げ提案は、累積の赤字額は置いておいて──累積赤字が今年度末で百五十億ぐらいになるんでしょうか、三年後には百八十億を超えていくというふうに見られているようですが、それはおいておいて、つまり、経常の中での単年度ごとの赤が三年後に出ないようにしていくための値上げだといわれていますよね。私も、その考えはとらざるを得ないと思うんです。今までの分の累積の欠損額を全部乗せたら、本当に二倍も値上げしなきゃならない。それは、考え方としてそうとらざるを得ないし、また累積の赤字があるからといって、これが即市場経営を直ちに危うくするものでないことは、減価償却費などから見ても明らかです。  これは後で資料をもらったんですが、例えば、平成六年度から平成十年度までの五年間だけでも、減価償却費は、三年後の赤字見込み額である百八十八億とほぼ同額が積まれているわけですよね。ですから、そういう意味では、本当の意味での資金ショートを起こすとかいうことでないことは明らかです。したがって、これから先の毎年、今までだったら当たり前といわれていた差引不足額、経常の赤を極力ゼロに近づけて、使用料値上げしなくてもいいような経営状態をいかにつくっていくかということに全力を傾けていただきたい。  そういう立場から、この減価償却費、企業債利息をさらに圧縮する方向として、施設整備が本当にむだなく効率的にやられているかどうかについて、若干追加してお聞きしたいと思います。  決算を行っております十年度、九八年度に着手された工事、これは大きなものではどういうものがあるでしょうか。それで、全体の工事費はそれぞれについてどれぐらいなんでしょうか。

◯碇山経営管理部長 十年度の工事でございますが、食肉市場北側棟建設工事と世田谷市場青果部、花き部建設工事でございます。最初の食肉市場は約二百四十三億円、世田谷市場、約二百六億円でございます。

◯曽根委員 合計すれば四百五十億近い。全体の事業費ですから、十年度単年度ではありませんが、そういう工事がもう既に始まってきている。この年度、食肉市場の北側棟の建設工事契約案件が議会にかかりました。今回決算ですから、このときに私たちは反対いたしましたので、そのことについては申し上げておかなきゃなりません。  つまり、北側棟建設工事の契約の中に、かつて特命随契で極めて異例な優遇措置を受けていた同和系企業といわれている企業が、入札という形でありますが入り込んできているということから、また北側棟も、本来機能部分以外の事務機能部分の建設費も極めてかさんでいるということも指摘して、反対をしたところです。  同様に、この世田谷市場青果部、花き部ですね。この工事がこの年度から始まっているわけですけれども、それまでも五カ所ぐらいですか、花き部の施設がどんどんと今ふえてきているという状況ですが、本当にこれが必要不可欠な施設として、また、その規模としても、中身としてもつくられてきているのかという問題です。大規模工事でありました世田谷市場、その花き部の計画取扱量は幾らになっているのか。それから、既にもうつくり終わってスタートしております大田、板橋、葛西市場の花き部の当初計画の取扱量と実績との比較ではどうなのか、いかがでしょうか。

◯浅倉参事 お尋ねの世田谷市場の花き部の計画取扱数量でございますが、切り花換算で、平成十七年度目標、一日当たり約百五十万本としてございます。  また、お尋ねの三市場の花き部の一日当たりの当初計画取扱数量と実績でございますけれども、大田市場は、当初の計画取扱数量が平成七年度目標で、切り花換算約百二十五万本であるのに対しまして、平成十年の実績でございますが、二百六十三万本となってございます。また、板橋市場は、当初の計画取扱数量、平成十二年度目標で約百四十四万本、平成十年の実績ですが、約八十二万本、また葛西市場でございますが、当初の計画取扱数量、平成十二年度目標で九十八万本であるのに対しまして、平成十年の実績は七十八万本となってございます。

◯曽根委員 世田谷市場は、もう工事も進んでおりますし、二百六億円の事業費をかけて百五十万本の目標で今進んでいると。既にスタートしたところを見ますと、大田は確かに百二十五万本の計画に対し、二倍以上の二百六十三万本と、これは見込みを上回ってきているので、そういう意味では、世田谷ができれば、そちらに一部移行していくのかなというふうにも思います。しかし、板橋、葛西は、目標に対してそれを下回っているわけですよね。こちらもやっぱり百億円オーダーの予算をかけて施設をつくっている。必ずしも目標どおりいっていない。花き全体としては今伸びていることは事実ですから、これは私も需要にこたえなきゃならないと思いますが、じゃ、本当にこれどんどんつくっていける状況なのかというと、決してそういう状況ではないだろうと思うわけです。  そういう点で、花き一つを例にとりましたけれども、つくれば、その際に債券を発行する、企業債利息が発生してくる、さらに、建設費全体を四十年で割って、毎年その後ずっと減価償却で積まなきゃならない、これはいわば支出要因としてふえていくわけですね。これからも相当な支出要因になってきます。  したがって、今後、施設建設に関しては、施設をどんどん整備するという、これまでは事実上そういう方向で来ましたが、機能をより効率的に重視しながら高めていく中で、施設整備費をいかに必要最小限にしていくか、そういう意味での大きな方向転換が求められているんじゃないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

◯浅倉参事 効率的な施設のつくり方ということだと思いますが、世田谷市場について申し上げますと、この花き部を設置するということにつきましては、花きの都民需要が非常に伸びる中で、施設の狭隘な地方卸売市場を整理統合して、花き流通の合理化、近代化を図るために必要なものとして、第五次整備計画で決定されたものでございます。特に、今回の世田谷市場の工事は、青果部の既存棟をそのまま活用するなど、経費削減を図るとともに、花き部と青果部の併設のメリットと、買い出し人の利便性の高い施設を目指して整備を進めているところでございます。
 また、今後の卸売市場の運営についてでございますけれども、現行の第六次整備計画で、市場を取り巻く流通環境の変化を踏まえ、これまでの施設整備重視の方向から、いわゆるソフト面の施策に視点を置いた取り組みをすべきだというふうにしたところでございます。今後とも財政状況を十分踏まえ、適切な施設整備を行うとともに、なお一層ソフト面の施策に取り組んでまいりたい、こういうふうに思っております。

◯曽根委員 ソフト面重視ということは大いにやっていただきたい。ただ、今、世田谷市場も必要なものだからつくっているんだというお話があったので、ちょっと過去のことになりますが、あえて申し上げます。  大田市場をつくるときに、私、まだ議員ではなかったんでいろいろ資料も当たりましたけれども、コストが非常に高いですよ。私も見学に行きましたし、視察に行きましたけれども、本来機能以外の、見学者のための展示棟だから、それ自体は必要なことでしょうけれども、非常に豪華なつくりや、そこから市場の競り場に行く中空の廊下があって、それが何か宇宙船の中みたいに、きれいなガラス張りでできているんですよ。ちょうどバブルのころですけれども、そういうつくりは、明らかにコスト意識に欠けていたといわざるを得ない状況ですね。ああいうもののつくり方は、もう皆さんのところでかなり克服されているでしょうけれども、今、本当にコスト縮減の公共施設のつくり方を考えなきゃならないということが一つあります。  同時に、これからの施設整備で、減価償却費を規定どおり積まなきゃならないという会計上の原則がありますから、私はそれ自体は否定しませんが、今後、十年度に四百五十億もの規模の事業が立ち上がってどんどん進んでいくというようなやり方を抑えていけば、今までのような、経常収支で毎年赤字が出て、それを埋めるために絶えず値上げが出てくるということは、克服して解決していくことができるだろうと思います。
 つまり、施設整備が抑えられれば、その分、減価償却や企業債利息が減っていくわけですから、場合によっては黒字にもなるというような会計収支上の方向は出てくるだろう。そうすれば、累積欠損の解決の道も、値上げではない道があるだろうということから、これから先は予算の話になってしまうのでやめますが、今年度出されている一六%の値上げ、これも提案しなくてもやっていけるだけのまだまだ余力があるはずだ。
 この二年間の努力、八十億は多としますよ。しかし、さらに施設整備の方向を見直していくという努力が必要ではないかと思うし、またそれは可能だというふうに思うんで、施設整備の今までのやり方について適切に見直していくという点でのお答えを、もう一度いただきたい。

◯浅倉参事 施設整備を効率的にいかに進めていくかということは、我々常に努力しているところでございます。これまでもそのような努力を重ねてきたつもりでございますが、今後なお一層そのような方向で検討していきたいというふうに思います。

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