2000年11月21日厚生委員会
児童虐待対策、ケアマネージャー養成、公明議員の反共演説への反論
◯曽根委員 私からは、まず初めに、児童虐待の問題と、それと関連して児童養護施設の問題について何点か質問します。 先ほど来何人かの委員さんも取り上げておられましたので、現状の認識についてのところは多少省略しますが、全国的にも昨年度初めて一万件を超えるという虐待の相談があったそうで、東京都の傾向としてはどういう傾向にあるのか、簡潔にお願いします。
◯福永子ども家庭部長 児童虐待は全国的にも急増しておりますが、都におきましては、平成十一年度、相談処理件数が千百七十九件で、十年前に比較いたしますと八・八倍、対前年比では一・七倍と増加しております。
◯曽根委員 先ほど、急増している要因について、マスコミ等で最近取り上げられるようになり、問題が表面化してきたというふうな指摘もありましたが、もちろん、そういうこともあると思うんですけれども、同時に、この相談の十年間でのふえ方は、単に眠っていた問題が今起きてきたというだけではなく、この十年間の社会の変化も反映しているというふうに先ほどもご答弁がありましたので、ここは別にしつこくやるつもりはないですが、今後、これは減るということはちょっと考えにくく、逆に、急増かどうかはともかくとしても、ふえていくだろうというふうに予想せざるを得ないと思うんですが、いかがでしょうか。
◯福永子ども家庭部長 最近、通告が大幅に増加している背景には、マスコミ報道等により、児童虐待への関心が高まっている面もあると考えております。児童虐待防止法施行後の取り扱いにつきましては、こうした点も踏まえまして、長期的な傾向を十分見きわめながら対応していきたいと考えております。
◯曽根委員 何かはっきりした認識はないんですけれども、ちょうどきのうが施行日なので、主な新聞などで、社説その他で児童虐待防止法の施行に当たっての主張が載っておりましたが、いずれも、今後この相談がふえるというふうに考えざるを得ない、それに対応して行政の責任がかなり厳しく問われるぞということを指摘しているわけですね。 私は毎日新聞をとっているんですけれども、昨日付の子どもの虐待ということでの社説が、「児童相談所を充実させよ」というのがタイトルなんです。 この児童虐待並びに児童相談の分野というのは、今、福祉全体では措置から契約へというふうにいわれていますが、私たちは、それに対して、分野ごとにいろいろ違うんだということを申し上げているし、単純な契約への移行というのは当たっていないと思っていますが、とりわけ、虐待問題など子育て支援の深刻な実態にどう対応するかという問題は、契約への時代の流れなどということとは最も事態が縁遠い分野だと思うんです。つまり、措置制度という形で当然残していかなければならないし、行政の責任が重く問われているということだと思います。 そこでお聞きしたいんですけれども、まず、虐待の相談があったときに、児相が発見、掘り起こしをやる、相談に当たるという中で、どうしても親の了解を得られなくても緊急に子どもさんを保護しなければならない事態がある。先ほど和田委員からも、こういう深刻な事態だという話がありましたけれども、そういうケースというのはどれぐらいあって、今どういう傾向になっているんでしょうか。
◯福永子ども家庭部長 児童虐待の中で、特に身体的な虐待は、親がしつけを主張する事例がほとんどでございますが、統計は特にとってございません。
◯曽根委員 私、こういう問題は、傾向を見るためにはきちんと統計としてとらなければならないし、児童相談所がきちんと把握すれば、親の了解を得られなくても、保護しなければならないケースというのははっきりしているわけですから、区別して統計をとるべきだと思うんですが、今後はそういう実態についてきちんと押さえていくということでよろしいでしょうか。 〔「そんな数字合わせだけやっても意味ないよ。統計マニアみたいなことをやっても意味ないよ」と呼ぶ者あり〕
◯福永子ども家庭部長 虐待が著しいものにつきましては、児童福祉法三十三条による児童相談所長の権限で、親子分離をし、一時保護を行っているわけでございます。また、診断の結果、施設入所が適当な事例につきましては、保護者の承諾を得まして、施設への入所措置をしております。保護者の承諾が得られないケースにつきましては、家庭裁判所の申し立ての審判によりまして、承認を得た上で、施設入所の措置を行っているところでございます。 統計につきましては、今後検討してまいりたいと思います。
◯曽根委員 これは実態を押さえなければ……。今、統計マニアだという話がありましたけれども、実態を押さえないで行政の手だては打てませんからね。虐待防止、対策課をつくったわけですから、そういう点でも、体制を整備したのにふさわしい、行政としての責任ある実態把握をしてもらいたいと思います。これは要望しておきます。 それで、子どもさんを保護したときに、児童相談センターも含めた一時保護所に入ることがあるわけですが、これが最近、満杯状態じゃないかというふうにいわれているんですが、実態はどうなっているでしょうか。
◯福永子ども家庭部長 平成十一年度の一時保護所全体の入所でございますが、新規の入所児童数が千三百九十名で、延べの処遇児童数が三万五千三百四人で、入所率は七五・四%となっております。
◯曽根委員 延べの入所が七五・四%だというふうに今おっしゃいましたが、これが、本年度に入ってから、現状で見ると、ほとんどあきがない状態になっているというふうにお聞きしているんですが、そういう実態ではありませんか。
◯福永子ども家庭部長 平成十二年九月の状況でございますが、九一・六%でございます。
◯曽根委員 私、九一・六%、まだ一〇〇%まで八・四%あるじゃないかと、素人的考えで思っていたんですけれども、先日、七月末に、前の厚生委員会のメンバーで相談センターを視察しまして、それから石神井学園にも行ったんですけれども、そこの職員の方にお聞きしたら、児童相談センターは一時保護ですから、やっぱり不安定な状態で入ってくる。ですから、二人部屋でも二人入れられない場合がある。つまり、子どもさんが心理的に不安定で、一緒に一つの部屋で暮らさせることができない場合があると。そういうケースがあるので、運用上、九一・六%という事態は、もう満杯、これ以上もう無理だという状態、もしくは若干定数オーバーぐらいのかげんで入っているというふうに見ざるを得ない事態だと思うのです。 これは私だけがそういっているんじゃなくて、十一月八日付の読売新聞で、虐待の相談が非常にふえているという中で、都の児童相談センターの田城課長さんが、児童虐待防止法が今月施行されると、駆け込む子どもがさらに増えるのではと頭を悩ませていると。本来施設に入るはずの子どもが、十数人も一時保護所に三か月以上滞留する異常事態が起こっているというふうに取材記事を載せているので、これは恐らく田城課長さんに聞いたんでしょうね。だから、現場は大変だなというふうに思いました。 それで、一時保護所、今、センターを入れて五カ所ですか、これはやっぱり拡充する必要があるんじゃないですか。幾つか施設もまだあると思うんですね、活用すれば。これについてはいかがでしょうか。
◯福永子ども家庭部長 一時保護所につきましては、児童虐待防止法施行後の今後の状況を踏まえまして、長期的な傾向も十分踏まえた上で、適切に対応していきたいというふうに考えております。
◯曽根委員 動向を踏まえて、緊急に必要ならば手を打っていただきたいということを申し上げておきます。 それから、さらに一時保護所から児童養護施設に入る場合がかなり多いわけですが、そこがいっぱいなために一時保護所で滞留しているというふうにこの読売の記事にも書いてあるし、実態もかなりそういう傾向が強いというふうにお聞きしているんですが、都内の児童養護施設の定員の充足状況は、一番新しい最新のデータでいうと、どれぐらいまで入っているんでしょうか。
◯福永子ども家庭部長 児童養護施設の入所状況でございますが、入所のピークである三月一日現在で比較いたしますと、平成九年度が二千八百人、入所率九二・四%、平成十年度が二千七百九十九人、九四・三%、平成十一年度が二千八百九人、九五・七%と、おおむね二千八百人前後で推移しております。
◯曽根委員 九〇%台ですから、一時保護所と同様に、運用上はほとんど一〇〇%状態というふうにいっていいんじゃないかと思うんですね。 しかも、その定数というのが、たしかこの春でしたよね、都外施設宇佐美など二カ所廃止していますので、定数も下がっている、そして充足率は上がっているということでいうと、こういう事態のときに、何で定数を減らし、施設を減らすのかという疑問は当然起こってくると思うんです。 それと、三月段階でいっぱいになって、四月からまた卒業があるので減りますよというお話を現場の方から聞いたんですが、こういう施設の場合は、リアルタイムであき状況をつかんでいないと、子どもさんを一たん一時保護して、それから施設はどこがあいているだろうかと──絶えずその月の入所状況をつかんでおく必要があると思うんですが、そういう形できちっとつかまれるようになっているんでしょうか。
◯福永子ども家庭部長 一応、毎月の状況については、把握できるものについては把握してございます。
◯曽根委員 今月一日についてはどういう状況になっておりますか。
◯福永子ども家庭部長 済みません。平成十二年九月一日現在の数字が手元にございますので、十二年九月一日現在では、二千七百四十五人でございます。
◯曽根委員 リアルタイムでつかまなければならないのに、最新のというと九月になってしまうというのは、ちょっとあれだと思うんですよ。そこも含めて、やっぱりリアルタイムで、今の月はどうなのかというのをつかむ必要があると思うんです。 それから、今の数字、もしもっと新しいのがあれば、その充足状況が何%なのか、あきはどれぐらいなのか。
◯福永子ども家庭部長 失礼いたしました。十一月一日現在でございますが、二千七百九十名でございます。入所率は、今計算します。
◯曽根委員 じゃ、入所率は後でお答えいただきたいんですが、ほとんど一〇〇%近いと思うんですよ。定数は二千八百人ぐらいですね。 実際に、運用上、どうしても定数を入れられない場合もあり得ますから、この先、新しく一時保護所なりセンターから養護施設に送ろうと思っても、もう十一月の段階で送れない。子どもさんは、来年の三月までは、よほどのことがない限り、大体卒業までは出ないわけですから。したがって、これは膠着状態になっているわけですよ。 私、年度途中ではありますけれども、相談が急増している、この年度の後半にどれぐらい相談が伸びてくるかわからない、一時保護所も満杯、養護施設も今運用上いっぱいというときには、緊急に使える施設は使って、やっぱり受け入れる体制をつくるしかないと思うんですよ。そういう緊急措置というのは、私はあっていいと思うんです。 例えば、石神井学園をこの間見に行きましたけれども、今、実際に寮には使っていないけれども、前に使っていた部屋が、学習室だったかな、たしか一部屋あったんですよ。前は寮として子どもさんが入っていたんだけれども、今はふだんは余り使わないような形になっていたんです。こういう施設は探せばあると思うんですよ。特に都立の場合は余裕がありますから、まだ民間に比べて。こういうものをあけて少し手を入れれば、受け入れ体制が広げられるわけですから、緊急な手当ても必要なんじゃないでしょうか。いかがですか。
◯福永子ども家庭部長 済みません。十一月の入所率ですが、九六・四%でございます。ただ、七月から十一月まで、ずっと二千七百人台で推移をしてございます。 今後の児童養護施設の定員の確保ということでございますけれども、必要に応じて適切な対応をとりながら、今後の入所動向を見守ってまいりたいというふうに考えておりますが、なおどうしても一時的、緊急的な対応の措置が必要ということになれば、他県への割愛でありますとか、施設規模に余裕のある施設への超過定員の導入等も考えております。
◯曽根委員 私、これは公平を保つために民間の福祉法人の方から聞いたので、都立の施設の方の意見もあると思いますが、超過定員という場合に、民間にしわ寄せがいくということがままあるということを聞いたので、そういうことのないようにお願いしたいんですよ。
私、石神井学園に行ったけれども、民間じゃこうはいきませんよと、その施設の職員の方がいっているんだから。緑はあるし、子どもさんは虫かごを持って虫とりに走り回っているし、施設的にも余裕があるし、広さもあるんですね。こういうところで、東京都が責任を持ってちゃんと受け入れ体制をつくってほしいということをいっておきます。
それから、対症療法的に、とにかく子どもさんを保護するだけで済むかというと、そういうことにはならないんで、相談に来る段階でのケアといいますか、そういうことを考えていく必要があります。
そのことに行く前に、これは基本問題になりますけれども、この春、私、厚生委員長をやっていて、宇佐美とどこだったかな、二カ所、条例廃止を可決したわけです。それから、今、衛生局の所管ですが、成東の児童保健院、これも法律的には児童養護施設ということで、平成十四年度末に廃止すると。こちらは今、六十人近く子供が入っているわけです。
成東の廃止については、先日、衛生局の質疑のときにも私いいましたが、検討委員会の中で、これは福祉局の所管の養護施設の方にお願いせざるを得ないということになっているわけですが、養護施設の側からは、いや、今はもう満杯状態なんで、簡単に一遍に受け入れはできませんよ、分割してしか受け入れられませんよというのが、検討委員会の中でも発言で載っているんですよ。
ですから、こういう状態のときに、今まで二施設を廃止したこれ自体が、やっぱり私はミスリードだと思うんですよ。今日のような、虐待問題を中心に急速に相談がふえてくるという事態を予測できなかった甘さがあったわけで、これは厳しく反省をして、これは衛生局所管なんですけれども、成東については、廃止を見合わせて、一たん凍結して再検討ということで、福祉局からもお願いする、要望するということはすべきじゃないでしょうか。
◯福永子ども家庭部長 旧虚弱児施設は、病院部門を併設し、評価を受けてきたところですが、一定の役割を既に果たされたものといたしまして、児童福祉法の一部改正がなされたところでございます。これを踏まえまして、衛生局では、総合的に見て廃止が妥当と判断したと聞いております。
◯曽根委員 私、成東も見てきたんですが、繰り返しませんが、あそこも立派な施設があるんです。ちょっと手を入れなければならないところもありますが、活用すれば、今、非常に緊急事態の中で、これも有効な施設で、使えるはずです。このことは指摘をしておきたいと思うのです。 それで、相談のときに、今まで私もずっと事態がどうなっているのかよくわからなかったんで、最近わかってきたんですが、親の了解を得ないで子供さんを保護しなければならないという事態の場合、その親御さん方のケアはだれがやるのか。子どもさんは、一定の年齢が来れば、もしくは落ちつけば、家庭に戻すというのが建前になっているわけでしょう。戻す家庭が、親が虐待をもうやらないという状態にだれが導いていくのか、この権限や責任というのはどこにあるんですか。
◯福永子ども家庭部長 親に対するケアのことでございますが、児童相談所における保護者指導はもとよりでございますが、地域においても、児童相談所の児童虐待ケースマネジメント事業を通して培ってきた関係機関と連携し、保護者を支援しているところでございます。 しかし、強制分離等により、児童相談所に対して拒否的な保護者に対しましては、児童虐待防止センター等の民間団体と連携をして、保護者の支援を行ってまいりたいと考えております。
◯曽根委員 私は、今の制度に大きな矛盾があると思うのは、深刻なケースほど親の了解を得ていたのでは間に合わないんで、やむを得ず子どもさんを保護することがある。そうすると、親との関係では、行政は敵対関係になっちゃうわけですね、心理的にも。その親に対して、幾ら行政側が手を差し伸べても、当分の間は理解は得られないという関係が、こういう深刻なケースの場合、圧倒的に多いわけです。 そこで、今お話のあったように、民間団体の協力を得るというようなことが行われているわけですが、私は、本来だったら、行政が保護をする段階で、親との関係でもっと綿密な対応をする必要があるし、それから、民間団体の協力を得ながらも、東京都として、行政として、全体に責任を持てるシステムをどうつくるかということについて、やっぱり研究していく必要があると思うんです。 その点で、今度、親に対する、保護者に対するケアの問題で、児童虐待防止センターと協定を結んで、協力を一層強めようというふうになったようなんですが、その内容について教えてください。
◯福永子ども家庭部長 児童相談所と児童虐待防止センターの協定書の締結でございますけれども、児童相談所と防止センターが、個別具体的な児童虐待のケースの解決のために、相互の密接な協力関係が不可欠であるとの認識に立ちまして、お互いの立場や役割を尊重した上で積極的に連携を進めていくために、協定を結んだものでございます。
◯曽根委員 児童虐待防止センターというのは、実は私たちは、民主党さんや生活者ネットワークさんと一緒に要望をお聞きする機会があったわけです。そのときに、秋山さんという代表の方がおっしゃっていたんですが、とにかく全部自前で、電話代だけでもばかにならないし、ほとんどみんなボランティアで、大変な思いでやっている、家賃だってなかなか払えないというお話でした。 私は、東京都が、今、行政ではなかなか手の届かない保護者に対するケアをやっていく上で、経験やノウハウで、そういう虐待防止センターと連携して協力を得なければならないとするならば、当然ながら、このセンターに対する一定の援助はあってしかるべきじゃないかと思うんですが、そういうことは検討しているんでしょうか。
◯福永子ども家庭部長 児童虐待に対しましては、児童相談所のみならず、保健所、福祉事務所、子ども家庭支援センター、民間団体などさまざまな機関が連携しながら、かかわりを持っていくことが必要だと考えております。引き続き連携の強化に努めてまいりたいというふうに考えております。
◯曽根委員 この協定についての資料をいただいたんですが、民間団体ですけれども、防止センターに年間四千件の相談があるそうですね。都内でここしかないわけです、こういうノウハウを積み上げているところは。ですから、ほかにもいろいろな協力関係はあるでしょうが、少なくとも、東京都の虐待防止対策のかなめの一つの事業として、協力関係を結び、協定も結んだんですから、せめて、例えば事務所や電話代などの、一定の委託なり補助なりの考え方を検討すべきじゃないでしょうか。そういう可能性はありますか。
◯福永子ども家庭部長 繰り返しになりますけれども、民間団体である子どもの虐待防止センターとの連携につきましては、強化を図る形で努めてまいりたいというふうに考えております。
◯曽根委員 具体的に、連携の強化の中で、運営も大変厳しいというふうに私たちも要望を聞いておりますし、東京都も恐らく聞いているでしょうから、虐待防止センターに対する都として可能な支援をお願いしておきたいと思うのです。
一方で、虐待問題が深刻化する前に解決を図るためには、都内の各地域で、そういう深刻化する可能性がある家庭をいかに早く発見して、いろいろなつながりの中で対策が打てるようになれるかどうかということが大事だと思うのです。これはプライバシー問題がありますから、それから、親は親権を持っていると先ほど和田委員がおっしゃったとおりで、なかなか大きなバリアもあって、難しい課題ですけれども、そこに踏み込んでいかないと、深刻化したら対症療法しかないということになってしまったのではまずいということで、全国を見れば、いろいろな取り組みが今されているわけですね。
東京都として、親に対するケア、子どもさんに対する保護、それぞれは今体制を一生懸命とりつつある、またとってきたと思うんですが、今後、そうした地域での、虐待まで至らなくても、子育てで悩んでいるお母さんや、そういう方々の悩みの相談に早いうちに乗れるような体制、それから、早いうちに行政の方で把握して一定の援助のできる体制、そういうものをつくっていく必要があると思うんですが、そういう点で、東京都としては今後どういうふうな方向を目指していくんでしょうか。
◯福永子ども家庭部長 子育てに対する不安などに対しましては、身近なところで気軽に相談できる子育て支援体制といたしまして、保育所や児童館などでの子育ての相談や啓発を行う子育て広場事業がございます。それに、子ども家庭支援センターでの、地域の中核としての総合的な相談機能がございます。
◯曽根委員 私、児童福祉審議会に委員として昨年から出させていただいていまして、非常にそこで認識が深まったんですが、こういった相談を受けて、東京じゅうを走り回っている方が、一人一人は大変な思いをして仕事をしているんですが、人数が少ないんですね。やっぱり、こういう専門の知識を持ち、経験を持っている方を育てていかなければならない。どういうところで育てていくのか、それから、どういうところを拠点にしてそういう方が仕事をしやすいようにしていくのかということで、今、仕事としてファミリーソーシャルワーカーというものを育てていこうじゃないか、こういう話が出ておりまして、私はそういう努力が今こそ必要だというふうに思うのです。 孤立しているお母さんやお父さんの、今の核家族化の中での悩みにこたえていけるような体制、児童福祉審議会の中では、子ども家庭支援センターをベースにしてモデル的にでも立ち上げてみようと、そういう事業を提案されていたんですが、東京都としては、来年度どういうふうに考えているんでしょうか。
◯福永子ども家庭部長 現在、東京都の児童福祉審議会で審議をしていただいているわけでございますけれども、地域の中で自立可能になるような家族全体を支援するファミリーソーシャルワークにつきまして、モデル事業として、三鷹市と新宿区をモデルにモデル事業を展開しているところでございまして、十三年度には答申がいただけるものというふうに考えております。
◯曽根委員 まだ二つの区市ですけれども、ここでどれだけの深刻な事態が本当にあるのか、単なるマスコミで今盛んにいわれているだけなのか、この実態をきちっとつかみながら、そういう問題の解決に当たり、その成果を東京全体に返していくという努力をぜひやっていただきたいということを申し上げておきたいと思います。 あわせて、これは要望にしておきますが、子ども家庭支援センターに対する東京都の補助が、専従者を一人置けばもう目いっぱいという極めて少ない補助でやってきているわけで、力を入れているところは、区が上乗せし、市が上乗せしていますが、区や市によってばらばらだということもありますので、子ども家庭支援センター事業に対する都の支援を抜本的に強化するようお願いしたいと思います。 二つ目の問題として、これは福祉局の仕事だということでお聞きするんですが、介護保険がスタートした中で、いわばお年寄りと介護サービスをつなげるかなめの仕事であるケアマネジャーの仕事について、その養成についてお聞きしたいと思うのです。 資格試験も何回か行われまして、かなりの人数が資格を取得したわけですけれども、実際に仕事が始まってみると、実働割合が低いというふうにいわれており、ケアプランの作成など立ち上がりの時期は大変だ、しかし、後、プランができて介護サービスがスタートすれば、少し楽になるかというふうな話もあったんですが、実際は、毎月、毎月のサービス給付管理で、これも大変ということで、現場からは悲鳴に近い声が上がっております。 そこで、東京でのケアマネジャーの仕事の実態、それから必要な都の支援は何か、この点について幾つか簡潔に聞きたいと思うんですが、まず、今、都内で、ケアマネジャーの有資格者、そして都がつかんでいる範囲での実働数はどれぐらいでしょうか。
◯小山地域福祉推進部長 介護支援専門員、いわゆるケアマネジャーについてでございますが、この資格は、保健、医療、福祉等の分野での実務経験等、一定の要件を備えた者が試験を受験いたしまして、合格した後、実務研修を修了することによって資格を取得いたします。 この実務研修修了者は、平成十二年八月三十一日現在、都内に一万一千七百六十六人となっております。 これらの介護支援専門員の実働状況についてでございますが、平成十二年九月から十月にかけまして、福祉局におきまして、この介護支援専門員実務研修修了者の中から、無作為抽出により千人について調査を行いました。この調査で、介護支援専門員として実務についているかどうかということを調査したわけでございますが、既についている、あるいはこれからつくことが内定しているということで、約四割の方がそのように回答されております。 したがいまして、先ほどの有資格者から、現在、都内では、おおむね四千八百名程度のケアマネジャーが実務についていると推計しております。
◯曽根委員 四千八百人の実働のケアマネジャーの方が、厚生省の出した基準によると、大体、一人五十人のお年寄り、サービス利用者をケアマネジメントすると、一人七千円ぐらいの収入ということで、三十万円台の収入もマネジャーは得られるし、それぐらいなら何とか見られるんじゃないかというのが、厚生省の当初の見通しだったようなんですが、実際に実働している方々は、平均何人ぐらいのお年寄りのケアプランを立てて、管理をしているんでしょうか。
◯小山地域福祉推進部長 都内の介護支援専門員一人当たりの担当件数の実態につきましては、現在、高齢者施策推進室において調査を行っておりますが、集計中と聞いております。 先ほど申し上げました福祉局が実施した調査から推計いたしますと、介護支援専門員一人当たりの一カ月平均の居宅サービス計画等の作成件数は、二十七・八件でございました。
◯曽根委員 単純にいいますと、厚生省の出した基準から見ておおよそ半分ですから、これはケアマネジャーとしての仕事による月の収入が二十万円いかないわけですよ、平均すれば。つまり、大体、スーパーマーケットなどでのパート労働、週に二、三十時間ぐらい、三十時間以上働くと、パートじゃなくて常勤扱いになるわけですが、三十時間労働のパートさんぐらいの収入なんです。したがって、仕事の中身は極めて専門性の高い、しかも、お年寄りのいわば健康や命を預かっている仕事であるにもかかわらず、勤労者としては非常に低い収入に甘んじなければならないというのが東京都の現実の姿なんですね。だれも、持てるんだったら、五十ケースぐらい持って、五十人ぐらいの方のプランを立てて、収入だってたくさん入れたいわけですけれども、できないからこそ、今、二十七・八人という数字があると思うんです。 そこで、これは制度の問題があるので、制度の改善ということについては高齢者推進室にお聞きするしかないんですが、少なくとも、苦労して安い収入で頑張っているケアマネジャーを東京都として支援するために、まず情報不足を補うことや、自分が一生懸命頑張っていて、なかなかほかのケアマネジャーとの交流や仕事の経験の情報交換ができにくいということを助けてあげられるような研修をやっていく必要があると思うんですが、東京都としてのそういう計画はどうでしょうか。
◯小山地域福祉推進部長 介護支援専門員の業務に関する課題といたしましては、介護保険制度がこの四月から始まったこともありますし、また、介護支援専門員の業務範囲が多岐にわたることから、居宅サービス計画の立案あるいは給付管理業務、請求事務など実務を行う上での個別業務の習熟度が十分でない、このような問題があると認識をしております。 したがいまして、介護支援専門員が実務を行う上での個別業務の習熟度が向上するように、今年度から、介護支援専門員として実際に実務に携わっている方を対象として、現任研修を実施することとしております。
◯曽根委員 これから行うということなので、まず、実際に仕事をしている方々に希望をとって、曜日とか時間とか、どういう時間なら研修に来られるのか、それから、希望者はどれぐらいいるのか、正確に把握して、それに対応した量と質を構えてやってほしいと思うんですが、いかがでしょうか。
◯小山地域福祉推進部長 この居宅介護支援専門員の現任研修につきましては、過日、これらのケアマネジャーが所属しております指定居宅介護支援事業所並びに介護保険福祉施設等に対しまして、研修の開催と、所属する介護支援専門員への周知を依頼したところでございますが、その結果、二千七百八十名の受講希望者がございました。
現在、これらの受講希望者のすべての方が今年度じゅうに受講できるように、準備を進めているところでございます。
この現任訓練は、前期と後期に分けまして、前期のプログラムでは、介護保険制度施行後の動向や給付事務等の最新情報を集中講義の形で提供します。それから、後期のプログラムでは、実際のケアプランの作成の演習を中心に組み立てているところでございます。この前期と後期の研修を、期間を離すような対応をとっております。
前期の部分につきましては、四回、四コマと申しましょうか、それから後期の二日間の研修につきましては、十一コマを用意してございまして、受講希望者の方の希望に沿えるような配慮をしているところでございます。
◯曽根委員 中身なんですけれども、いろいろな悩みがあるらしいんですね。私の聞いているのでは、大きくは特に二つの問題があって、一つは、障害を持っているお年寄りの場合に、先ほど小松議員からも質問がありましたけれども、障害者としてのサービスと介護保険としてのサービスをどうやって組み合わせていくかというのは非常に難しい問題で、どうしても民間のケアマネジャーは自分の事業の中でやりたがるというような話がちょっとあったんですが、やっぱり、お年寄りにとって一番必要で適切なサービスは何かという立場に立っていかに仕事ができるようにするかということ、ここのところの内容、そういう悩みにこたえられるようなものにしてほしい。 もう一つは、サービスの量は介護認定度によって確保できるんだけれども、ご本人の経済力または家族の経済力によって、サービスが全部は受けられないと。とにかく、簡単にいえば、うちは一万円しか払えないので、その中でサービスを考えてくれというふうにいわれるケースが非常に多いというんですね。これは本当に払えない場合もあるし、介護サービスについての理解が必ずしも十分でない場合もあります。 そういう場合は、このお年寄りにとって、例えば週二回から三回来るべきリハビリのケアの人が、週一回になったのでは、寝たきりは治りませんよ。週二回、三回と来て初めて、起き上がり、表に出られるようになるんですということも含めて、本当にお年寄りにとって何が必要なのかということを話さなければならない場面もあると思うんですよ。必要な負担は、今の制度では、家族に負担をかけることになるけれども、本人に負担をかけることになるけれども、それをやらなければ、お年寄りの寝たきりは治らないというふうにあえていわなければならないときもあるでしょう。私たちは負担を減らすべきだと考えていますが……。 そういう現実にぶつかっている問題に中身としてもこたえられるものにしてもらいたいと思うんですが、いかがでしょうか。
◯小山地域福祉推進部長 先ほど申し上げました現任研修の特に後期のプログラムは、大変対象者が多いのでございますが、現場で直面している具体的問題に対応できる応用力がつくように、演習ということを重視しておりまして、一グループ十名にリーダーをつけ、四十人で一クラスでクラスリーダーをつけるというような体制にいたしまして、まず、あらかじめ用意した代表的なケースについて、受講生一人一人がケアプランを作成し、それをグループ討議にかけ、リーダーの助言を得、またクラスで討議するというようなセッションを繰り返しまして、演習で取り扱う事例数は限られますが、個人研究、グループ討議等を通じて、今お話しのあったような応用力、それからケアプラン作成能力が向上するような研修を実施する予定でおります。
◯曽根委員 非常に忙しい中で、時間を割いて参加するケアマネジャーの方々が、やっぱり行ってよかった、東京都はさすがだというふうにいっていただけるような研修になるように願っております。 終わります。
(公明党の石井議員の質問あり)
◯曽根委員 関連。簡潔に何点かお聞きします。 石井理事の先ほどの質問に関連してなんですが、最初に、先日の委員会のことをちょっとお話があったので、一つだけお聞きしておきたいんですが、先日、高齢者施策推進室のときに、石井委員が、福祉保健予算についてどうなっているんだというふうにお聞きしたら、部長さんが立って、高齢室については、ことし一・八%伸びていますというお答えがあったんです。きょうは、企画部長さんが、福祉保健合計で三・二%というお話がありました。 それで、私、お聞きしたいのは、福祉局の予算については、昨年からことしどうなっているんですか。
◯村山企画担当部長 十三−十二のことですか、十二−十一のことですか。
◯曽根委員 昨年からことし。
◯村山企画担当部長 まず申し上げたいのは、先ほど三・二%という数字を申し上げたのは、石井理事の質問の中で、赤旗を引用されて三・二%という数字をおっしゃったので、それをフォローしたまででございます。 福祉局の予算につきましては、十二年度と十一年度の対比においては、六・六%の減ということになってございます。先ほどのお話のように、高齢者施策推進室では、一・八ではなくて、〇・八%の増でございますので、合計すると、三・二%の減ということになっているということを申し上げたわけでございます。 その際、あわせて、十二年度の東京都全体の一般歳出の増減率は九・六%の減である。そういう中で、私どもとしては、厳しい財政状況の中で、かつ施策見直しをしつつ、全体から見れば、相対的には低い減少率で抑えた結果、東京都全体の予算の中に占める割合は一一・五%ということで、過去最高の水準に達したということをご説明したまででございます。
◯曽根委員 余り長々答弁する必要はありません。簡潔に答えてください。 それからもう一つ、私たちは切り下げの問題を徹底的に批判してきたわけですが、この間指摘してきましたマル福、シルバーパス、老人福祉手当、障害者の医療費助成、重度手当、障害者福祉手当、それから特養の都加算、児童育成手当等々、いわゆる十事業といわれているものですが、これの見直しは今年度開始されたんですが、何年度まで続いていて、最終的にその影響額はどれぐらいになるんですか。
◯村山企画担当部長 福祉局の施策の見直しにつきましては、十二年度において、基本的には全体として実施をする。ただ、一部、重度障害者手当については、六万円、四万円、二万円、ゼロという経過措置がございますけれども、基本的には今年一年で平年度化をしますので、先ほど申し上げた数値が、平年度化の数値ということでございます。
高齢室につきましては、大分長期間にわたって経過措置が続きますけれども、いずれにしても、私の所管ではないので、お答えは差し控えさせていただきます。
◯曽根委員 全体で一千億円規模になります。七年後です。マル福がずっと削減されていきますので。ですから、ことしは初年度であって、切り下げは今後も続くという過程の中にあるという中での予算額だということをまず申し上げておきたい。私たちが切り捨てだといっているのは、このことであります。 それから、先ほど、我が党が何でも無料にすべきだといっているというふうな話がありましたが、我が党は、福祉に関して何でも無料にすべきだというふうにいったことがありますか。
◯村山企画担当部長 存じません。
◯曽根委員 これは子どもでもわかる話ですが、保育料は、現に保育料として取っているわけで、私たちが無料にすべきだ、無料を守るべきだといっているのは、敬老乗車証として始まったシルバーパスのように、本来、お年寄りの社会参加のために、だれもが気軽に交通機関に乗っていただけるための施策のようなものは、無料として残しておくべきだといっているわけであります。 それから、先ほど、障害者の施策については切り捨てではないというようなお話がちょっとあったんですが、私は、今年度の主要事業のこれを見ていたんですが、心身障害者児福祉対策の予算が、これによれば、昨年度四百六十八億から、ことし四百三十五億何がしということで、三角の三十二億六千六百万円なんですが、これ以外に、何か障害者施策について別のとらえ方もあるんでしょうか。
◯村山企画担当部長 先ほど来のお話の中で、障害者福祉施策について切り捨てではないというふうに申し上げたのは、全体として、私どもといたしましては、まず、今回の施策の見直しについての目的がどこにあるのか、それは、新しい施策展開のための一つの財源を生み出すというためにやっているんだ。その結果、十二年度においても、先ほど障害福祉部長からもご説明申し上げましたとおり、二十四時間巡回型ホームヘルパーなどの新規施策を十二年度から行い、かつ、十三年度要求では、現在、心身障害者福祉施設の整備三カ年計画というふうなものを要求として打ち出して、これから本格的な福祉改革をスタートさせようというために今努力をしているところでございまして、その点において、切り捨てのための見直しを行っているわけではないということをお話し申し上げたわけでございます。 また、あわせて、施策の見直しそのものの中身についても、再三再四申し上げてきましたとおり、低所得者について十分な配慮をした上で行っているものでございまして、その点でも、福祉切り捨てというようなご批判は当たらないのではないか、かように申し上げたものでございます。
◯曽根委員 最後です。意見を申し上げます。 まず、予算については、昨年からことしにかけて、多分、障害者対策は、私の持っている資料では減っていると思うんです。だからといって、それだけで切り下げだというふうに私たちはいっていないのは、さっきもいったとおりなんです。中身の問題です。 障害者施策は、新しく包括補助の中にも入っているでしょうし、ホームヘルパーなども充実をさせるというふうにいってきましたので、大いにやってもらいたい。それは結構です。しかし、それを理由にして、今まで障害者の命と暮らしを支えてきた、マル障を初めとする制度をなくしたり削減したりすることは許されないというのが私たちの立場であり、そのことを切り下げだといっているわけです。 それから、財源がないじゃないか、共産党は財源については余り苦労していないじゃないかというようなお話があったので……。 来年度にかけて増収になります銀行課税を初めとして、私たちが提案をした中身であります。二年前の財政委員会で、古館議員から、外形標準課税を導入するのであれば、中小企業には絶対かけてはならないが、大銀行やゼネコンなどは支払い能力を持っているんだから、ちゃんと取れるところから取れということを申し上げているわけです。 減債基金の積み立てとか、用地会計の見直しとか、私たちの提案が今年度予算に生かされており、来年度も増収見込みも出てきているということは事実ですので、これは申し上げて、終わります。