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はじめ通信・夏のこだま0705
利用者が減るほど事業者が儲かる仕組みは重大欠陥・PFIによる多摩ユースプラザ契約に厳しく批判
●青年の家の廃止と差し替えに、割高料金のユースプラザを計画。今回第2号
 障害児教育問題を審議した、7月3日の文教委員会では、同時に、多摩地域に整備する予定の「ユースプラザ」をPFI方式で契約する案件が審議されました。
 このユースプラザは、江東区の夢の島体育館を取り込んで建設中の「区部ユースプラザ」(来年4月オープン予定)につづくもの。いずれも、7箇所の青年の家を次々廃止したあとの代替施設として位置づけるため、来年の区部ユースのオープンと引き換えに、水元青年の家が、再来年の多摩ユースがオープンすると、府中青年の家が、それぞれ廃止されて青年の家が全廃される計画で、これ自体、宿泊料が安くて人気がある青年の家より料金が高いことに(青年の家の、約10倍で、2000円前後)批判があります。

●都立高校を11年で廃校にする跡地に
 私は審議の前、30日に、ユースプラザ予定地の八王子高陵高校を訪ねました。来春で廃校予定ですが、まだ最後の3年生が4クラス通学していました。バブル時代に立てられたせいか、エントランスが円形で豪華な設計です。用地費が28億円、建設で25億円、合計53億円もかけて新設しながら、「コース制」という鳴り物入りの高校制度が失敗してわずか11年で廃校が決められました。

●せめてもの地元要望にも、まったく冷たく
 校長先生と教頭先生が出迎え、京王電鉄が中心の落札業者は、高校の中庭をレストランに、図書室を浴場に、屋上のプールを機械室にしてしまうとのことでした。とくに、プールは、地元住民からぜひとも残して、利用できるようにしてほしいと要望が強かったのに、「採算が取れないから」とつぶしてしまうのだそうです。しかも、学校のグランドも、植栽をして「原っぱ」という形で、グランドのスポーツはできなくしておいて、利用者がグランドが必要な場合は、すぐ近所の市営のグランドを借りて使うというのですから、メンテナンスに手間のかかる施設は公共におんぶしたりつぶしたりする、民間らしいずるいやり方だと思いました。

●民間大手企業優遇のPFI
 PFI(建設から管理まで、ユースプラザの場合は、事業運営まで資金から何からすべて民間に任せ、公共は、10年間でサービスを買い取る形)方式による契約にも、大きな問題がありました。
 本来、PFIにするかどうかを公共と民間とで比較すべきなのに、入札予定価格を高めに設定して公表し、最初から公共より少しでも安ければいいという入札のやり方。とにかく民間事業者が入札に参加するよう至れり尽くせりの実態です。

●社会教育の施設といえるのか・・
 神奈川など近県では、美術館や図書館などは公共施設なので、PFIで建設や管理は任せても、さすがに職員は自前で配置しています。ところが都のユースプラザは職員も事業もすべて民間任せ。トラブルや事故も民間責任です。
 このため、区部も多摩部も、ユースプラザがとりくむはずだった「ひきこもり」の相談事業などはできず、社会教育事業も年間わずかな予算のみ。事実上、200人定員のホテル型の施設になってしまいそうです。

●利用者が減るほど儲かる仕組みとは!
 そして何より重大なのは、事業者が、宿泊料金を下げるにもかかわらず、都の想定した宿泊利用率6割をはるかに下回る4割弱しか計画してこなかったこと。また、最初の施設改修費を都の見積もり31億円より9億円も安く22億円で計画。全体の10年間契約額64億円のうち41億円を運営のための費用に当てようとしていること。
 つまり、宿泊者本人が払うのが2000円前後のこの施設では、客が払う料金では経費がまかなえないことから、事業者の予測でも年間24800人の宿泊者一人当たり、何と1万5千円の都の金をつけてやる計算。利用者が減った場合のペナルティーがないので、事業者予測よりさらに利用者が減れば減るほど、事業者には利益が残る仕組みになることです。
 「これではPFI事業者が、利用者を増やそうとか、サービスを良くしようと意欲を持つわけがない」と厳しく指摘し、「最初に契約額を決めたら、あとは閑古鳥が鳴いても何もいえない、PFIの仕組みでは、多くの都民に利用されるべき、ユースプラザは任せられない」と強く主張しました。
●左上の写真:校門の前の、ユースプラザ工事のお知らせ看板。来年夏ごろからの工事を生徒がいる今から掲示。

●中央上の写真:展望浴場にするという図書室。書籍は、各都立高にちりじりに。

●右上の写真:遠くの山並みと、屋上のプール。まだ使えるが、儲からなければつぶすという。

●左下の写真:バブルの設計のエントランス。欠点は雨漏りがひどく、どこからなのか分からないこと。

●校舎の前で、一緒に訪ねた地元の清水ひで子都議。


 

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