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2001年9月26日3定代表・吉田信夫議員の質問
石原知事の福祉切り捨て・憲法否定の政治姿勢批判

 日本共産党都議団を代表して質問します。  米 国でおきた同時多発テロは、多数の市民の生命を奪う憎むべき蛮行であり、きびしく糾弾するとともに、テロの犠牲となった方々、そのご家族、関係者のみなさんに、心から哀悼の意を表し、お見舞いをもうしあげます。  日本共産党は、このテロ事件は、米国への攻撃にとどまらず、国際社会全体と世界の法と秩序にたいする攻撃であり、野蛮なテロを根絶することは、二十一世紀に、人類が地球上で平和に生きていく根本条件の一つとなるものと考え、法と道理にかなった解決を提案しているところです。  テロ犯罪にたいする解決の方法は、容疑者を被害を受けた国に引き渡して裁判にかけることが、国際的な諸協定にも明記され、世界で確立してきた基本ルールとなっています。  実際に、二百七十人の犠牲者をだしたパンアメリカン機爆破・墜落事件では、国連による経済制裁をふくむねばりづよい対応の結果、九九年にリビア政府が容疑者とされた二人の人物のひきわたしに応じ、裁判が開始されました。  また、軍事的報復については、国連が「武力行使をともなう復仇行為」、すなわち軍事的報復を明確に禁止する宣言を採択するなど、国際法上も法的根拠は認められていません。 今回の事件についても、国際連合は「法の裁きを受けさせるための共同の緊急行動」を呼びかける決議を採択し、二四日に開催された国連総会ではアナン事務総長が、テロ事件の対応として、「暴力の道を拒否する」こと、「政治的経済的な問題は平和的に解決でき、人の生命が犠牲になることを避ける」ことを訴えました。  武力によらない平和的解決をもとめる国際世論も広がっています。  にもかかわらず、アメリカは、軍事的報復の準備を世界的規模ですすめています。テロ犯罪にたいして、軍事力で報復することは、テロ根絶に有効でないばかりか、あらたな戦争による惨害をもたらし、いっそうのテロ行為と武力報復の悪循環をうみだす危険にあふれたものです。  知事、テロ犯罪の容疑者、犯罪行為を組織、支援した者を逮捕し、裁判にかけ、法にてらして厳正に処罰するという〃法にもとづく裁き〃こそが、この問題の根本解決の道と考えますが、所見を伺います。  日本政府の対応も問われています。小泉首相は、アメリカの軍事報復を容認するだけでなく、自衛隊による米軍支援の軍事行動を地球規模に広げる新規立法などの支援策を打ち出しました。これは憲法の平和原則はもちろん政府のこれまでの憲法解釈さえ踏みにじるものです。  知事、「対米軍事支援先にありき」でつきすすむ小泉内閣の対応は、テロ根絶に有効でないばかりか、日本の進路を決定的に誤らせるものと考えますが、所見を伺います。  日本共産党は、世界各国に〃軍事行動によるのではなく法にもとづく裁き〃の立場に立つことを要請する書簡をおくり、小泉首相に対してもアメリカの軍事報復追随でなく、法と理性にもとづいて対応するよう申し入れをおこないました。ひきつづき問題の平和的解決のため力をつくすものです。  先の都議選で、わが党の議席は十五議席にとどまりましたが、福祉復活、介護減免などの切実な都民要望を高くかかげ、七五万票という自民党につぐ得票を獲得しました。この都民の負託にこたえ、公約と都民要求実現のためにひきつづき全力をつくすものです。  その立場からはじめに、いま、都政がこころをくだかなければならない雇用の問題について伺います。  不況の深刻化にともなって、雇用情勢は悪化の一途をたどり、完全失業率は記録史上最悪の五%をこえました。〃仕事に就きたいがとても無理〃と求職活動をあきらめている潜在失業者をくわえると、実に一〇人に一人以上の人が、職に就けず、収入の道を閉ざされていることになります。  「もう二年も失業状態です。最近では精神的にも追いつめられて、病院に通っています」「セーフティネットというが、再就職できてももらえる給与は半分」というのが現実です。  職を奪われるということは、経済的打撃はいうにおよばず、健康がむしばまれ、子どもたちの生活にくらい影をおとし、ときには家庭の崩壊までもたらしかねないのです。  ところが、小泉首相は、こうした国民の痛みをかえりみることなく、大企業のリストラを応援したり、不良債権の早期最終処理で中小企業をつぶそうとする「構造改革」をおしすすめています。こんなことが実行されれば、一〇〇万人をこえる失業者と二〇万社ともいわれる企業倒産にみまわれ、景気が上向くどころか、さらなる不況の悪循環におちいることになるではありませんか。  実際に、小泉首相の「骨太方針」にそってだされた大企業のリストラ計画は、主な三十社で十六万人におよんでいます。しかも、日本の主要大企業がためこんだ資金、いわゆる内部留保は百二兆円にもおよんでおり、経営破綻によるものでも、「やむにやまれず」というものでもありません。  こうしたもとで東京都は「緊急雇用・経済 東京プロジェクト」 を実施し、明日から、国会が開催され、政府は失業保険給付の延長などを内容とした補正予算を提案すると報道されています。  しかし、いくらセーフティネット対策を講じても、失業者をどんどんつくる政策とワンセットでは、失業問題は解決しません。知事、大量失業を促進する政策そのものをあらためるべきと考えますが、どうか。  また、大企業の本社が集中している東京で、解雇規制のルールがつくられれば、全国に波及する効果ははかりしれません。大企業の身勝手なリストラを規制するための条例や企業との協定など、ルールづくりを提案するものですが、あわせて所見を伺います。  雇用の確保では、学校の先生や介護保険でおおきな役割を果たしている常勤ヘルパーなどは、都民要望を実現することにもつながります。悲惨な被害を出した新宿の雑居ビル火災でその必要性が明らかになった消防署員の増員、とりわけ、ビルの査察をおこなうための予防要員の増員などは、いますぐにでも実施する必要があると思いますが、見解を伺います。  生活支援では、わが党がかねてから提案している雇用保険期間を過ぎたり、長期に職を失っている人などのために、生活つなぎ資金の創設こそ、時宜にかなったものと考えますが、どうか。  また、現行予算の枠組みのなかでは、思い切った対策はできません。予備費の活用や補正予算を組むなどして、都民の願いにこたえることが都の責務ではありませんか。それぞれ知事の答弁を求めます。  以上、いくつかの提案をおこないましたが、日本共産党は、この深刻な雇用問題を解決するために、「リストラを規制するルールをつくり、あらたな失業者をつくらない政策に転換する」「仕事を分かち合うワークシェアリングや自治体が独自にできる公的雇用を増やすなど本腰を入れて雇用を増やす」「失業者の生活保障の抜本的拡充」という、三つの角度からの抜本的対策を提案し、その国民的運動を呼びかけているところです。ひきつづき、不況打開と雇用問題解決のために全力をつくす決意です。  つぎに知事の都政運営の基本姿勢に関連して伺います。  今日ほど、深刻な不況とあいつぐ社会保障の改悪のもとで、自治体としてのあり方が鋭く問われている時はありません。  ところが知事は所信表明では、都民のおかれた過酷な現実への思いや、痛みを和らげる提案はきかれず、都民の切実な願いである福祉復活や介護保険について一言も触れませんでした。  その一方、知事は「日本の再生につながる東京からの再生の実現」を都政運営の基本として、外環道路などの幹線道路、都心部の再開発などの巨大プロジェクトを新たな決意で推進していくことを強調しました。しかし、知事のいう「東京再生」という巨大プロジェクトは、住民追い出しや環境破壊など一極集中の弊害を拡大するだけでなく、いまでも八兆円近い借金に苦しむ都財政をさらなる破たんにみちびく危険の高いものです。  知事、都民が必要としているのは、大型開発計画中心ではなく、介護基盤や都営住宅、生活道路などの生活に密着した公共事業です。また、浪費とムダの典型である臨海副都心開発の抜本的見直しなど、税金の使い方を切りかえることで、借金依存型の都財政運営からの脱却も可能となるではありませんか。見解を伺います。  知事はまた、「財政再建は道半ば」として、これまで以上に都民施策のきりすてと負担の増大をせまることを明らかにしました。この点では、七月末に出された来年度予算編成に関する副知事依命通達は、都民施策については一律一〇%カットを求める一方、大型開発が中心に位置づけられた「東京構想二〇〇〇」や都市再生を柱とする「重要施策」については聖域扱いという態度をとっています。こうした方向は、都民や都民団体の願いとはおおきくかけはなれたものといわざるを得ません。  いま都政に求められていることは、都民のくらしと痛みに心をよせ、都民のくらしと福祉を守るために全力を尽くすことではありませんか。その方向にこそ、地方自治法が定めた「住民の福祉の増進を図ることを基本」とする自治体本来の姿があるのではありませんか。  知事、自治体がおこなうべき重要施策は、なによりも都民の暮らしと福祉を守る施策を柱とすべきと考えますが。見解を伺います。  あわせて、重要施策を考えるうえで欠かせないいくつかの課題について提案します。  その第一が、切り捨てられた福祉施策の復活です。 小泉内閣がすすめる「改革」の痛みは、またしても高齢者の方々に集中的におしよせようとしています。七十歳からの老人医療費は、ことしから一割負担となり受診抑制が深刻な問題となっていますが、来年度以降さらに、七十四歳まで二割負担としていく方針が示されました。負担倍増であり、こんな高齢者いじめは絶対に許せません。 そのときだけに、いまあらためて、知事、あなたが国の社会保障が充実したなどと言って、「福祉改革」の名で切り捨てた福祉施策をもとに戻すことが、緊急の課題となっているのです。 知事は、国の医療保険制度見直しにたいして、「必要な医療サービスを国民の誰もが受けられるよう、低所得者に十分配慮する」よう政府に提案しています。ところが都独自の老人医療費助成・マル福は、低所得者になんら配慮なく、段階的廃止を推進しているのです。すでに七万人が対象からはずされ、白内障の手術をしないでがまんしている、医療費を節約するために薬の回数をへらしている、などの事態が現実におきています。  シルバーパスは、有料化にともない、昨年だけで十万六千人も利用者が減りました。杉並区の今年のいっせい更新では、一万円パスの利用者は、昨年の五千円パス利用者の六割に激減しています。明らかに五千円から一万円の値上げの影響です。 東京新聞には、このシルバーパス値上げにたいし、デフレで物価が下がっている時に、高齢者には超インフレ、「目玉が飛び出すような負担増に、福祉とは名ばかり」との高齢者の怒りの投書が掲載されました。まさに、福祉をまもるべき自治体としての役割を東京都がなげだしたことへの告発であります。  知事、シルバーパス、マル福などの福祉切り捨てはただちにやめて、もとに戻すことを要求するものであります。  また、いま高齢者のみなさんから苦情が殺到しているシルバーパスの磁気カード問題は、シルバーパス条例が、「提示」することでバスに乗車できると規定している原則どおり、機械をとおすことを強制しないよう徹底すべきと考えますが、お答えください。  十月からの介護保険料の全額徴収すなわち二倍化への引き上げを目前にして、保険料の減免は切実な問題となっています。新しい保険料通知に対する苦情や問い合わせは、私が調べた十七の区だけで一万三千件におよび、多くの高齢者の方々から悲鳴ともいえる声があがっています。  それだけに、住民の切実な実態にこたえて、保険料減免にふみきる自治体が、全国的にひろがっています。東京二十三区ではこの半年間に倍増し、都内全体で三分の一の二十一自治体、全国の政令指定都市では、大阪、京都、神戸をはじめ半数におよびます。  都として区市町村を支援する保険料減免制度を実施すること、国にたいし、保険料全額徴収を再検討し負担軽減を図るよう求めること、この二点を強く求めるものであります。  同時に重大な問題は、知事が第一回定例会で検討を約束した都としての利用料減免制度が、半年以上も経過しながら、いまだに実現していないばかりか、見通しすら明らかにされていないことであります。知事ご自身が、「できるだけ早く検討して積極的に進めていきたい」と、議会ではっきり答弁しているのです。  知事、いったいどうなっているのですか。いつまでに具体案を示し、実施するのか、明確な答弁を求めるものです。  知事は「福祉改革」の先進例として認証保育所をあげ、「利用者から予想以上の好評を博して」いるとのべました。  しかし、その第一号の認証保育所は、開設から二ヶ月になりますが五十四名定員で利用者は十八名にすぎません。月七万円から八万円をこえる保育料の高さにくわえ、施設は立体駐車場棟の中にあり、玄関の外は排ガスがこもる環境です。保育室の窓の位置が高く、子どもの目の高さから外の風景は見えません。  もちろん、現在六カ所の認証保育所の状況は、それぞれ違いますが、ここは知事が開所式に出席した、よくご存知の施設です。  知事、人間形成の土台をつくる大事な時期にある乳幼児が、一日の大半の時間を毎日すごす環境として、これが望ましいものだと思いますか。  あわせて、子どもの発達と生活を保障するにふさわしい環境を整えるため、都が責任をもつとともに、保育料負担を軽減するなどの改善を要望しておくものです。  私は認証保育所は、保育所待機児の緊急の受け皿や一時保育などの役割は果たしうるものと考えますが、期待をもって見学にきた父母から、「やはり安心できる認可保育所がいい」という率直な声があがっています。知事は、認証保育所は計画を前倒しで促進するといいますが、肝心の認可保育所は新増設の数値目標さえもっていません。  認可保育所の新増設で、いつまでに何人の待機児解消をするのか、具体的な目標と計画を早急に明らかにし、取り組みをつよめるよう求めるものです。  知事が設置をした都立病院改革会議はこの七月、現在十六の都立病院を八カ所へ、大幅に縮小・削減する方向を提言しました。  たとえば、八王子、清瀬の小児病院と、世田谷の梅ヶ丘病院、母子保健院の都内四カ所の小児医療専門病院をすべて統合・廃止し、一カ所に集約しようという方向が示されています。これにたいし、地元自治体や住民からいっせいに怒りの声があがっています。 八王子、清瀬の両市長とも、統合案に対し、「大きな憤りを感じている」「とうてい承服できない」と明言しています。八王子小児病院の存続を求める署名には、八王子市民の五人に一人が名を連ねています。 障害のある子どもを持ち、都立小児病院を利用している方は、次のように訴えています。「病院がなくなって、いちばん困るのは入院、通院している子どもたちです。子どもたちに痛みを強いるのが改革でしょうか」。 知事、こうした住民と地元自治体の声を、どう受け止めますか。  小児救急、小児医療は、相次ぐ医療機関の撤退、小児科医の不足など危機的状況です。小児救急の患者数はふえつづけており、症状が急変しやすい乳幼児は、とりわけ対応の早さが命であります。どう考えても、小児病院の統合・廃止案は道理がありません。  小児病院の統合・廃止はきっぱりやめるべきであります。見解を伺います。 このほかにも、老人医療センターと豊島病院の統合・民営化をはじめ、都立病院改革会議の報告書は、「改革」の名で、都立病院が大きな役割を果たしてきた小児医療や高齢者医療、地域医療の切り捨てをおしすすめるものとなっています。  知事は年内に、都としての「都立病院改革マスタープラン」を策定するとしていますが、都立病院のあり方は都民のいのちと健康にふかくかかわる問題であり、改革会議の報告書に多くの疑問や批判がよせられているのですから、都としての方針は、あらためて関係自治体と住民、患者、医療関係者の参加で、時間をかけて検討することが必要であると考えますが、いかがでしょうか。  東京の病院ベッド数はこの五年間に五千床も減り、都民一人あたりのベッド数は全国平均以下です。民間病院では、一日一万円、二万円という差額ベッド料が当たり前になり、患者は重い負担に苦しんでいます。だれでも、どのような病気にかかった場合でも、良質な医療を公平に受けられるようにするという都立病院の役割は、いっそう大きくなっているのであり、縮小・削減や民営化ではなく、充実のための改革こそ求められています。わが党はそのために、全力で奮闘することを表明するものであります。  障害児学校の改善の問題も切実です。  東京都は革新都政時代に、障害児の全員就学をかかげて以来、条件整備に努めめてきた歴史があります。しかし、財政再建推進プランの実施以降、露骨な切り下げがすすめられました。障害がいっそう重くなり、障害が重複する子どもたちが急増しているのに、都の予算はふえず、削られてきました。  このため障害児学校の学級数や教員の数は、国基準を大きく下回り、昨年度は百三十四学級、二百四十二人の教員が不足している状況です。  スクールバスも一時間以内のコースは、知的障害校でわずか二二%、肢体不自由校では九%にすぎません。しかも、都の方針でバスが大型化し、一つのコースが長くなったために、二時間近くも乗っていなければならないケースも生まれています。  体が不自由な子どもたちにとって長時間のバス通学がどれだけ過酷なものであるか、はかりしれません。  また、教室不足も深刻です。子どもたちの重度重複化や、生徒の増加に学校の増設や施設の改善が追いつていないのが、現状です。私も現場を見させていただきましたが、ある教室では、学習と給食とトイレを一つの教室でまかなっていて、先生はせめて食事は別の部屋でとれるようにして欲しいと訴えられていました。また、教室をカーテンで仕切って二つのクラスで使っているなどもありました。  私も直接この目で見て、あらためて事態の深刻さに気づかされました。知事、障害児学校の現場を見ていただきたいと思いますが、どうでしょうか。  また、障害児学校の改善をこそ「重要施策」に位置づけるべきと考えますが、あわせて見解を伺います。  三宅島噴火による全島民避難から、一年が過ぎ、ようやく一時帰島が一部実現しました。帰島された方の思いは万感あふれるものであったと聞きました。  その方々の話では、住宅の被害が少なくてほっとした方がいる反面、泥流でほぼ埋め尽くされ呆然とされた方も少なくありませんでした。  いまだに有毒ガスの噴出がつづき、本格帰島の目途はたちにくい状況ですが、それだけに、一年を経た今日の時点での、東京都の物心両面からの支援があらためて重要となっています。  その一つは、生活の支援です。これまでもくり返して収入の道を閉ざされた島民のみなさんの生活を支える資金の必要を訴えてきましたが、あらためて生活調査をおこない実際に役立つ支援を行うこと、とりわけ生活をささえるために継続的な生活資金の支給にふみだすことが必要です。各種ローンの返済猶予と利息の棚上げなどを関係機関に働きかけることも緊急です。答弁を求めます。  また、住宅が大きな被害を受けた島民は、帰島後の生活再建ができるのか心を痛めています。住宅復興のための個人補償制度や公営住宅など帰島に備えた対策が求められています。また、まず、専門家を派遣して、住宅被害調査をおこなうこと、住宅復興のための制度的な検討をはじめることを提案するものです。それぞれ伺います。  以上、都政が優先してとり組まなければならない課題のいくつかをとりあげました。知事は、財政難を理由にこれらの都民の切実な要望をかえりみることなく、福祉、教育、中小企業予算などつぎつぎときりすててきましたが、税金の使い方をきりかえ、都市再生などの大規模開発を抑制することで、十分実現可能です。知事が、くらしと福祉を大切にする地方自治の原点にたちかええることを強く要望するものです。また、知事は所信表明で使用料・手数料の見直しを表明されましたが、不況に苦しむ都民の家計を直撃する公共料金の値上げは断じて認められないことを申し述べておきます。  最後に、石原知事の政治姿勢の問題です。  わが党は、石原知事就任以後、憲法否定の特定の政治的立場の都政への持ちこみについて、きびしく批判してきましたが、この夏、日本の侵略戦争への認識と態度について姿勢が問われるいくつかの重要な問題がおきました。  その第一が「新しい歴史教科書をつくる会」主導の歴史教科書の問題です。  石原知事が発足以来の賛同者でもある「つくる会」の歴史教科書は、日本のアジアへの侵略戦争の誤りを反省し、次の時代への教訓とする立場を「自虐史観」だと非難し、侵略戦争と植民地化を肯定する立場から、作成されたものであります。当然、父母や学校関係者からは教科書としてふさわしくないという声が上げられ、政府の検定合格にはアジア各国から批判の声が寄せられました。  これに対して知事は、教育委員の改選にあたって、「つくる会」の理事である藤岡信勝氏を教育委員に推薦しようとしたことをはじめ、都教育委員会に対し、教科書を教師や専門家に任せず教育委員の権限と責任で選ぶよう区市町村の教育委員会に強く指導すべきだと要求することまでおこないました。また、都内自治体の教育委員を都庁に集めて、同じ内容を知事が直接迫るなど、これまでの教科書選択のあり方をかえ、教育委員会の判断だけでおこなうよう、ことあるごとに発言してきました。  教育長はこうした知事の意向をうけて、区市町村教委に採択のための資料まで配布しました。教科書採択をめぐり「知事の影がちらつく」と指摘されたのも当然です。  しかし、採択の結果は、「つくる会」教科書は東京の区市町村ではどこもえらばれませんでした。全国の市町村でも採択されたところはありません。県段階でも採択は東京都と愛媛県だけでした。この二つの都県以外の教育委員会は、この教科書の持ち込みにノーの結論を出したのです。それはまさに「つくる会」教科書が、戦前の侵略戦争を賛美する内容となっているからにほかなりません。  日本の現代史を語るうえで、日本がアジア諸国民に巨大な被害をあたえた侵略戦争と植民地支配にきっぱりと反省をし、その誤りを清算することは日本がアジアの中で生きていくうえで、不可欠のものです。  ところが「つくる会」教科書は、太平洋戦争を「大東亜戦争」とよび、その目的を「自存自衛」すなわち、日本を守る自衛戦争だったということと「アジアの解放」にあったということをくり返し書いています。しかし、これは戦前の軍部の説明のむしかえしにほかなりません。  また、「大東亜共栄圏」という考えが、世界に通用しない議論であることは、外務省の「日本外交史事典」が、「大東亜共栄圏」について「日本の侵略を合理化するためのイデオロギーとスローガン」だと指摘していることでも明らかです。  こんな教科書を選んだら、子どもたちにゆがんだ歴史を教えることになり、くわえて、二一世紀の日本とアジア諸国、世界との関係を危うくすることになるのではありませんか。  そこで知事に伺います。  知事は、都議会で戦争当時への歴史認識を問われた際に、植民地支配の事実は認め「遺憾でもある」とは述べましたが、肝心の侵略戦争の事実やアジアの人々の癒しがたい犠牲にはふれませんでした。日本の首都の代表として、侵略戦争の事実を認め、反省の立場を明らかにすることを求めるものですが、どうか。  また、侵略戦争を賛美する教科書を、各学校でつかわせるべく運動している「つくる会」の賛同者に名を連ねることは、教育行政をふくめて、都政に責任をおう知事の立場と相容れないのではありませんか。あわせて見解を求めます。  第二に、問われたのは、昨年につづき終戦記念日の八月一五日に、都知事として靖国神社に参拝した問題です。  靖国神社は「天皇のため」の戦死者を「英霊」として祀るためにつくられた戦争の精神的支柱となった神社であり、戦前は、まさしく侵略戦争と軍国主義のシンボルであったのです。一宗教法人となった戦後も、その基本的性格はかわらず、侵略戦争を指導した東条英機をはじめA級戦犯まで「昭和殉難者」として合祀されています。  このような態度は、都知事が侵略戦争を肯定する立場に立っていることを公然と内外に表明することにほかなりません。それは、アジアの一員として、二一世紀を、日本そしてその首都である東京が生きていくうえで、大きな障害ともなりかねないのであります。  また、そのような靖国神社に、知事として参拝するのは、国およびその機関に対して「宗教教育その他、いかなる宗教的活動もしてはならない」と定めた憲法二〇条三項に違反するものです。  知事、今後、靖国神社参拝はやめるべきです。答弁を求めて質問を終わります。

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