夏羨情 双竜神
白文
柱 歌 鳶 未 得 輝 光
暗 気 包 無 会 雨 香
願 去 雲 思 陽 極 熱
見 寒 烏 墜 倒 途 朝
書き下し文
歌羨(かせん)の情
柱歌の鳶(とび)未だ輝光を得ず
暗気包めども雨の香に会ふこと無し
雲去るを願ひ陽の熱きが極まるを思ふ
寒きに見る烏の堕ちて途(みち)に倒る朝
意味
電柱で歌うように鳴いている鳶は、太陽の輝く光を受けていない
雨が降るような暗い空気が辺りを包んでいるが、雨の匂いがすることはない
雲がなくなるようにと願って、そして太陽の熱さによって暑さがもっと強くなるのを思う
私は烏が空から落ちて道に倒れ伏しているような朝を寒い中で見ているのだ
解説
この漢詩は、学校に行く時に雨の中、烏が倒れて死んでいるのを見て、学校の帰りにふと思いついた「悲しきのみ烏の死する朝」という句を元に改良を加え、翌日ふと見た漢和辞典の、漢詩の決まりを見て平仄の決まりを見ながら、押韻、平仄、対句の漢詩3要素をしっかりと入れた初の作品です。
改良の際には、漢和辞典の該当ページを開きながら、ひたすら漢字の平仄を調べ続け、適切な意味になるように、それでいて規則に当てはまるように漢字を入れていくのが大変でした。平仄の関係で、先に挙げた元の句は現在のものになり、全体を七言絶句にしました。
起・承句で暗い感じを出し、転句で日差しが照りつける夏の風景に転じ、結句で元の暗い調子に戻ります。梅雨の時期に考えたものなのでこの題名にしました。