皆さんはクリスマスという日をご存知ですよね。
そう、イエス・キリストの誕生日と呼ばれています。
今は、単にイベントみたいな日に変わっています。恋人たちの一時。
でも、楽しい一時を過ごすのは恋人達ばかりではありません。
夜空に瞬く星たち……………実はあの一つ一つには星を管理する妖精さん達がいます。
聖夜というのは星の妖精さん達が舞い降りる。そんなお休みを過ごすパ−ティの日でもあるのです。
ほら、見て御覧なさい。夜空からから沢山の流星たちが降って来ました。
あの一つ一つの流星達はどうやら妖精さんたちの乗り物のようです。楽しいパーティの始まりです。
しばし、妖精さんの話に耳を傾けて見ましょう。




妖精達の宴〜人間達の裏側で〜



誰もいない大聖堂の中……………突然空中に小さな灯りがポツリ、ポツリと浮かび上がっていきます。
よく見ると、その一つ一つが手に手に、星をかたどった杖を持った長い耳を持った人たちです。
女の子の服装はエプロンドレスを普段着にした感じで胸の上辺りにはとてもきれいな音をしそうな鈴がついています。
男の子は、色違いの帽子に袖の広がった上着に下は長ズボンですね。それぞれ色の違うヒモを袖口に巻きつけて縛っています。
あたりはすでに人で一杯です。
そんな中、一人の妖精さんが言葉を発しました。

「皆の者、よく聞け。今宵は神から戴いた一日のみの休日。ここには神の結界が引いてある。気にせず、思う存分楽しむがよい!」

途端にあたりが大騒ぎとなりました。用意されていた机の上にはいつの間にか、たくさんの果実、食事が豪勢に並んでいます。きっと神からの贈り物でしょう。
それにかぶりつく者、置いてあったワインを音を鳴らして飲む者などすでにドンちゃん騒ぎです。

「おいしい。おいしい。やっぱりこの日の食べ物が一番おいしいよぉ……………ん?」

目の前の料理に舌鼓を打ちながら一緒になって騒いでいた男の子がふと隅で大人しくしている女の子を発見しました。なにやら落ち着かない様です。
楽しい夜に一人でいる不思議な光景に興味を引かれて近づいていきました。

「はい」

男の子は持っていた料理の乗ったお皿を女の子に差し出して言いました。

「え?」

「美味しいよ?食べない?」

「ありがとう」

女の子がお皿を受け取ったのを見て更に尋ねました。

「ねぇ、そんな所で何をしてるの?今日は楽しい日だからそんな顔してたら駄目だよ?」

「えっと、その、あの……………」

その様子に何を思ったのか突然、

「あ、ごめんね。自己紹介がまだだったね。僕はボルックス。君は?」

「スピカ……………」

「へぇ、スピカちゃんて言うんだ?所で、なんでそんな落ち着かない表情してるの?」

「えっと、私、今日が始めての『降臨祭り』だから……………」

なるほど妖精達はこの日のことを『降臨祭り』と呼んでいるみたいですね。
しかし、ボルックス君に赤くなりながらも答えるスピカちゃんってきっと根が素直なんでしょうね。


その言葉に少し考え込むと

「ふむ……………今、僕はすごくヒマなんだ。付き合ってくれる?」

というや否や、答えも聞かずに彼女の腕をつかんで広くなっている場所に連れ出しました。

「わわっ、あのボルックス君?」

「ボルックス」

「え?」

「ボルックスでいいよ。僕も、スピカって呼ぶから」

(ボルックス君って強引だよぉ〜。でも、いやじゃない……………)

彼女が連れて行かれたそこは結構な広さがあり、どこからか聞こえてくる音楽に合わせてみんな楽しそうに踊っています。

彼は、不思議がる彼女の手を取ると一礼して


「僕と踊っていただけますか?かわいいお嬢様」


といいました。

その姿にさすがに緊張が解けたのか、スピカちゃん。

優雅に礼を返して


「リード、お願いしますね。紳士様」


手を取って言葉を返した。

二人は流れてくる音楽に合わせて踊りだした。曲はワルツに似た音楽に代わっています。おやおや、初めてにも関わらず息がピッタリですね。

いつの間にかギャラリーも出来ているようです。気付いていないのは彼らだけです。完全に二人の世界に入っています。

このときの二人の心中は

(スピカちゃん…………かわいいよなぁ)

(ボルックス君っていいなぁ……………)

……………ご馳走様という感じですね。



最後の余韻を残して音楽が途切れるととたんに周りから歓声が上がります。それに気付いた彼らもさすがに恥ずかしかったみたいです。


「へへっ」

「あはっ」


お互いに顔を見合わせて笑っています。

不意にスピカちゃんが言いました。

「えっとね。これからも宜しくね?ボルックス」

「う、うん……………宜しく。スピカ」

まだまだ宴は始まったばかりです。二人は手を取って人の輪に戻って行きました。



人間たちは気付かなくても妖精たちはいろんな場所でパーティをしてるかも知れませんね。


聖夜の夜のパーティを……………










〜あとがき〜

ボルックス(以下ボ)「メリークリスマス!」
スピカ(以下ス)「メリークリスマスです……………」
ボ「もうちょっと明るくいこうよ」
ス「恥ずかしいですぅ(赤)……………」
ボ「ところでさ、何で僕らここにいるわけ?」
ス「(カンペ、カンペ……っと)えっとなんでも書いた本人である管理人さんが恥ずかしくて出れないそうです」
ボ「ふーん。ま、僕はスピカちゃんがいればそれでいいけどね……………」
ス「ボルックス君……………(赤)」
ボ「(赤)………そ、それで、この文章はなんでも、田代さんの絵をみて思いついたらしいね」
ス「それでこれじゃ田代さんに失礼だよね
ボ「僕もそう思う……………
ボ「所で僕たちの名前は、違和感がない様に星の名前でつけたんだって。ちなみにボルックスはふたご座の一等星」
ス「私のスピカはおとめ座の一等星ですよね。……………安直ですね
ボ「な………なんか、い、言った?」
ス「(にっこり)何か?」
ボ「(………怒らせないようにしよう)」
ス「あ、感想は掲示板かメールmamesuro@mue.biglobe.ne.jpにお願いしますね」
ボ、ス「では、良い聖夜を!!」



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