鹿島と沖縄の関係について |
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〜沖縄県の初代県令(知事)は、鹿島藩の13代藩主・鍋島直彬公だった〜 | |||||||||||||||||
■新時代に向けて文武を振興した直彬公。 1840年代の天保年間には、鹿島地方は数度にわたる大暴風雨に見舞われ藩財政は窮迫し 藩政も振るわなくなっていた。そこに登場したのが第13代藩主・直彬公である。 直彬公が鹿島藩主になったのは嘉永元年(1848年)である。嘉永6年(1853年)出府後6年間 の在府の間、昌平黌舎長・中村敬宇や碩儒・塩谷宕陰などに学んだ。時は開国・尊皇攘夷・倒 幕の運動が渦巻く風雲急を告げる時代である。直彬公は新時代を迎えようとするこの時期、文武 こそ急務中の急であり、「武事あるものは必ず分備あり」として、鹿島に帰った安政6年(1859年) 学制改革を断行し、文武を奮い起こし、人材育成につとめた。「徳譲館」を「弘文館」と改称し、星野 源兵衛を学頭に、昌平黌より帰国した原忠順を侍講とし、さらに小城の西鼓岳を招き、学問を盛ん に奨励したのである。 |
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■鍋島直彬公伝より。 昭和29年9月21日に、鍋島直彬公40年祭記念会から発行された「鍋島直彬公伝」より抜粋 して、直彬公と沖縄の関係を掲載致します。 1.公の渡米。 9月北米桑港に着き、西行してソートレーキを観、ナイヤガラに遊び、紐育に着かれた。 |
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2.公の沖縄県令。 帰朝後、公は34歳の時侍従に任ぜられ、35歳3等侍補に昇進し、宮内省文学御用係内務 省、司法省御用係を兼任し、更始一新の大政にその手腕を発揮しようとされた時、岩倉右府 柳原前光伯の切なる愆慂によって、12年4月琉球に廃藩置県の大令が発せられると同時 に、公は沖縄県令兼判事を拝命された。時に37歳であった。 古来琉球は支那を父とし、日本を母とする立国主義であった。だから当時沖縄は日本領と いっても支那に通ずるものが多く、その難治は言語に絶するものがあった。廃藩置県の話を 聞いて 本州人を仇敵として清国福県辺に逃亡するもの頻々として相次いだ。 こんな状態であったため政府においても、県令を得るのに非常な苦心をして一、二の有力華 当時沖縄は琉球王の東京移住に対する旧藩士の激昂、公の新県令として赴任の反抗は秘 |
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沖縄県立図書館 東恩納寛惇文庫所蔵 唐船図 |
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然も褥熱酷暑コレラ病発生し、公も遂に感染されるような不幸をみたのである。しかるに 公はこの内憂外患に屈せず民心の利導をはかり、徳化を及ぼし、百万経倫し、恩威並び 行ふの政治を布かれたので諸民悦服し。旧沖縄藩吏で県吏に任命されたものは心機一 転 し欣々として登庁し執務するようになった。 そこでひとまず公は県治の状況を政府に報告するため10月始め上京され、その月末に は帰任された。11月3日には南島最初の天長節の佳辰を迎え、一大祝典を挙げられた。 さしも難治の沖縄も公の努力によって見事に治った。 かくて14年5月には正五位に叙し、元老院議官に転ぜられ、後任に旧米沢藩主上杉義 憲公が任命せられた。 公は離任されたが、鹿島人として田中馨治・永田佐次郎・秋永梅軒・谷口復四郎・平尾 主一・古川儀八・島内寧治・北御門卓爾・上野太一・山口一・愛野趙一・副島兵一など 12名は留任した。 又15年9月には谷口藍田も那覇に行って30有3日留まり、天皇の仁政、皇統の尊厳、 万世一系の国体等について講説し、勤王精神を鼓吹し公の点ぜられた南島の政治、教 育に画竜点晴の効をいたした。 その後30余年後に至り、沖縄に始めて青年団が組織されると、公に総裁就任を懇請した り。或は東京における県人会を開くときは、必ず公の臨席を請うたという様なことは、公の 至誠遺徳が如何に島民に追慕せられたことの深いかを証明する証拠である。 |
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新春の宴(1月1日〜3日に首里城で) | |||||||||||||||||
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直彬公には沖縄県令着任時に30数名の随員が従った。その中に鹿島藩の家老(1886年)だった原忠順がいた。彼は1879年4月、沖縄県少書記官に任命され、1882年(明治14年)9月に辞任するまでの2年半、鍋島県令の片腕として置県直後の困難な情況のもとでの県政運営にあたった。その2年半の貴重な資料が沖縄県の琉球大学付属図書館に多数保存されている。 | ![]() |
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