● 用語解説 ●
 
●用語名:
共有結合(covalent bond)
 
●関連用語:
点電子構造式 → ルイス構造式
不対電子
非共有電子対
共有電子対
単共有結合(単結合)
二原子元素
二重共有結合(二重結合)
三重共有結合(三重結合)
配位共有結合
 
●説 明:
周期表の[A族である「希ガス」と言われている元素は、殆ど反応性がなく、非常に安定している事が昔から知られていました。自分一人だけでいようとする傾向を持つ事から、これらの元素は「貴ガス」とも呼ばれています(「独身貴族」という感じですね)。
 
[A族に属している元素の共通点として「最外殻エネルギー準位に8個の電子を持っている」という事実があり、この事が[A族の安定性に関係していると考えられています(ヘリウム元素は例外的に電子が2個しかありませんが、この2個の電子はヘリウム原子の最外殻エネルギー順位を満たしている為に安定していると考えられます)。
 
では、この他の元素ではどうなのでしょうか?
実は、他の元素の原子では、最外殻エネルギー準位に8個の電子を何らかの方法によって獲得する事により、[A族と同じような安定性を得る事ができ、その方法の1つとして「2つ以上の原子が電子を共有する化学結合」である共有結合(covalent bond)があります。
 
共有結合のような「電子の共有」については、以下のように考えると分かりやすいと思います。
 
 
 
 
図に記してある言葉について補足をしますと、
 
不対電子・・・最外殻の電子(価電子)が対になっていない電子
非共有電子対・・・共有(結合)していない電子
共有電子対・・・共有(結合)している電子
 
となります。
 
このように、フッ素原子がもう1つのフッ素原子と電子を1個共有する事で、フッ素分子(F2)を作り安定します。「安定している」証拠として、フッ素はフッ素分子(F2)として見いだされるという事実があります。
 
さらに、このような「各原子が他の原子と電子を1個共有して結合を作っている」事を単共有結合(single covalent bond)と言います。また、このように「2つの原子が1つになった分子として天然に見いだされる元素」の事を二原子元素(diatomic element)と呼ばれています。基本的に、フッ素と同じZA族の元素と水素は、他の原子が周りに無ければ全て二原子元素となり、その全てが単共有結合を作っています。
 
追加として「単共有結合ではないけれど二原子元素ではある」という物には、この他に「酸素」と「窒素」が該当します。こちらは共有する電子が1つ以上であり、酸素の場合では「各原子の間に2対の電子が共有されている結合」である二重共有結合(double covalent bond)、窒素の場合なら「各原子が他の原子と電子3個を共有する結合」である三重共有結合(triple covalent bond)という結合方法になります。
 
以上の内容をまとめますと、
 
単共有結合(単結合)・・・各原子が他の原子と共有する電子対を1つ作って結合している
二重共有結合(二重結合)・・・各原子が他の原子と共有する電子対を2つ作って結合している
三重共有結合(三重結合)・・・各原子が他の原子と共有する電子対を3つ作って結合している
 
という風になります。
 
さて、ここまでは「二原子元素」を基準として共有結合を考えてきましたが、ご存じのように分子は複数の原子が1つになったものして存在する事の方が圧倒的に多いです。例えば、最も身近な水(H2O)を考えてみますと、
 
 
 
 
という風に、2個の水素が酸素と1個ずつ電子を共有(つまり「単共有結合」)します。これにより、酸素は最外殻エネルギー準位に8個の電子を、水素は2個の電子を持つ事ができています。
 
・・・ところで、先程から点電子構造式を用いて共有結合のお話しをしていますが、実際に書いてみると凄く面倒だと思いませんか?「面倒だから、別の表記方法を用いても良いのでは?」と考えるのは誰でも同じようで、普通はこの点電子表記法の代わりに「線」を用いるのが一般的です。例えば、先程の「水の単共有結合」をこの表記法で書いてみますと、
 
 
 
 
という風に、より簡単に表す事ができます(一般的には右側の「線」のみの表記法を用います)。
この表記法を用いる事で、二重共有結合や三重共有結合をもつ化合物を表そうとする場合、非常に楽になります。
例えば、先程文章で挙げました「酸素」の「二重共有結合」の場合、
 
 
 
 
という風に非常に簡略化、且つ見やすい形にする事ができます。
 
 
さて、今までご紹介してきた共有結合の例は、全て「両方の原子がそれぞれ電子を供給する」という、いわゆる「割り勘」のようなタイプのものでした。
ところが、共有結合にはもう一つ「一方の原子だけが電子を供給する」という、こちらは「奢り」のようなタイプのものが存在します。このような共有結合の事を配位共有結合(coordinate covalent bond)と言い、リン酸(H3PO4)のような化合物に見る事ができます。
 
 
 
 
この例では、リン(P)が、リンの上にある酸素(O)に電子を2つとも貸しているような感じになっています。ただし、現実的に言えば、配位共有結合にしても共有結合にしても、一度作られてしまえば、外から見て区別する事は困難です。
 
また、当然こちらも「線」を用いた表記法で書く事ができますが、このような配位共有結合の結合図式を書く場合には、配位共有結合の部分に「電子の元の持ち主側から提供してもらっている側に矢印を引く」事となっています。
よって、先程のリン酸を「線」による表記法で書いた場合、
 
 
 
 
という風に書く事となります。
 
 
←ルイス構造式
イオン結合→
 
 
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