30 また明日
「おーいノイシュ!行くぞ〜親父、行ってきまーす」
一日が始まった、昨日とは違う新しい朝。
でも学校に行って、友達と遊んで、普段と何も変わらない一日。
「やっべ〜宿題忘れてた、またリフィル先生に怒られちまうぜ」
ぶつぶつと言いながら頭の中にはジーニアスに見せてもらおう、と考えているロイドには今後もジーニアスのお世話になるだろう。
ノイシュは小さく鳴くとロイドはノイシュの言いたい事が分かったのかニヤリと笑った。
「いや〜俺も宿題をしたいのはやまやまなんだけど、剣の修行があるからな〜仕方ないんだよ、ノイシュくん?」
背中を撫でてやりながらロイドは歩く、村はもう目の前だ。
昼になって学校はお昼休み。
ロイドは授業中あれだけ寝ていたのに休み時間になると元気になる。
そのせいで姉さんは怒るというよりも呆れている。
「お〜い!ジーニアス、コレットー!早く来いよー!!」
「待ってよ、も〜ロイドは速過ぎなんだってば。ねぇコレット」
「ふふ、でもそこがロイドらしくていいけどな〜」
先を走るロイドを見つめながらコレットは目を細めた。
「…そりゃ、そうだけで。あぁ!!」
「どしたの、ジーニアス?」
突然大声を出し止まってしまったジーニアスをコレットは不思議に思って声をかけた。
「ほら、今日は夜ずっと起きてて星を見ようって約束したでしょう?ロイドってばちゃんと…」
「覚えてるよ、失礼な奴だな〜」
先に行っていたはずのロイドが前から歩いてやって来る、止まってしまった二人を心配して戻ってきたようだ。
「親父がさ〜晩ご飯も食べてけってうるさくてさ…どうする?二人とも」
「大賛成!!」
「私も〜おじ様の料理大好きだもん」
太陽が真上にある、あとは沈んでしまうだけ。
待ちに待った夜、ロイドのお家でおじ様の作った晩ご飯を食べて、とても楽しい時間。
こんな日がずっと続けばいいのに。
「ほら、二人とも。熱いから気をつけろよ?」
二階のテラスで星空を眺めていたコレットとジーニアスに淹れたばかりのホットミルクを渡す。
いくら寒くないからといって長時間も外にいれば体が冷えてしまうだろう。
「ありがとう、ロイドにしては気がきくねー」
「そんな事言ってると、お前にはあげないぞ?ジーニアス」
「わわ!ごめんってばロイド〜」
二人のやりとりを聞きながらコレットは視線を空へと移した、夜なのに昼とは変わらない楽しさを感じる。
「二人とも、綺麗にだよ〜」
コレットに言われ、ようやく空を眺めた。
「本当だー…姉さんも来ればよかったのに」
「おいおい、先生まで来たら夜更かし禁止!!って言われて…あぁ!!!」
ロイドの口をジーニアスが慌てて塞ぎ、辺りを見渡した。
「ロイド!こんな夜遅くに大声なんて出さないでよ〜」
いくら村から離れた場所といっても下の部屋にはダイクがいる、迷惑になるかも知れない。
「…見たか?コレット」
ずっと空を見上げていたコレットに問い掛ける。
「うん…えへへ、何だか涙が出てきちゃった」
笑いながら零れる涙を拭い、コレットはロイドを見る。
「まだ感動するのは早いだろ〜もう少し探してみようぜ!」
「うん…!」
二人で話をすすめるので、乗り遅れたジーニアスには話がまっ全く見えない。
「何だよ〜二人とも〜僕にも教えてよ〜!?」
騒ぎ出すジーニアスにロイドとコレットは顔を見合わせ笑い、空を指差した。
「流れ星」
こんなにも楽しい時間が明日も明後日も続きますように。
また明日、みんな一緒に。
当たり前が一番。
シンフォニア三人組はほのぼのが好きです。