28 仲間の大切さ 

 

「瞬迅剣!!」

ルークの声が辺りに響く。
周囲にいた敵はこの一撃で消し飛んだ。

「次こいよ…!?」

しかし背後からの気配には気付けず、衝撃に絶えようとしたが。



「アニスちゃん!突撃〜!!」

アニスの大声がした途端、トクナガの一撃がルークの背後にいた魔物を跡形も無く消し去ってしまう。

「ルーク〜?油断しちゃダメだよ〜」

可愛いらしく笑ってみせるが、その破砕力は見事なものだ。

「あ、ありがと…」
「ルーク!?血が出てるわ…“ファーストエイド”」

ルークの怪我にいち早く気付いたティアは癒しの呪文でルークの腕にあった怪我を治していく。

「ありがとう、ティア」
「ルーク、大丈夫ですの?」
「あぁ、ティアのおかげだ」

すっかり完治し、傷跡が見当たらない腕をナタリアに見せ、にっと笑って見せた。
その後ろからは戦闘を終えたガイ、アニス、ジェイドらが歩いてくる。

「ルーク、大丈夫か?」
「ルークってばアニスちゃんがいなかったら、かーなーり!危なかったよ〜」
「そうですね〜アニスがいなければ危なかったですねぇ」

それぞれに話しだすのでルークは誰に返事をすればいいのか分からず黙り込んでしまう。
すると下から視線と声がする。

「ご主人様!!大丈夫ですの!?」

ぴょんぴょん跳ねながらミュウが心配そうに聞いてきた。

「…大丈夫だよ、ミュウ」

小さく笑うとルークは屈み、ミュウとの距離を少しでも縮めようとした。

「…どうかした?ルーク」

屈んだルークに続き、ティアも屈む。

「いや…なんかさ〜…いいなぁ、と思って」
「はぁ〜?」

真っ先に口を開いたのはアニスだ。

「ナニナニ〜!?ルークってば突然何を言い出すのぉ?いいなって何がぁ〜?」
「野暮な事を聞いてはいけませんよ、アニス。…きっと彼は痛みが快感に変わって…」

「ちげーっての!!!」
「もう二人とも、冗談はおよしになって」

見兼ねたナタリアが仲裁にはいるが、こんな時のジェイドとアニスの相性は抜群だ。
しかし、このままでは変な誤解を招いてしまうので取りあえず訂正をしなければ。

「いいな、って思ったのは…その、みんなが心配してくれるってのが…」


嬉しさや安心を感じたり。


「何だルーク?今更そんな事を思ってるのか?」

ガイはルークの言いたい事が分かったのか、呆れたように笑って言った。

「?」


「俺達は仲間だろ?仲間を心配するのは当たり前だろうが」


ガイの手がルークの肩を軽く叩いた。

「はぅあ!ルークもガイも熱血青春物語状態だよ〜」
「あら?私は素敵だと思いますけど?」
「そうね、私達は仲間だわ。今までも、そしてこれからも、ずっと…」


ティアは立ち上がり、ルークに手を差し出した。


「行きましょう、ルーク」


自分の真実を知るまでは仲間とか友達とか、知らなかった。
そして、自分にこんなにも大切だと思える仲間が出来る事も。


「あぁ…!!」

ルークはしっかりとティアの手を握り締めた。

 

 


ルークが変われば周りの見方も変わる。
もちろんティア達に対しても。