22 つい最近の話
つい最近、僕のオペレーターである光熱斗くんがラブレターをもらいました。
とはいっても『某令嬢の罠』だったのですが。
それを本気にしたIPC副社長の伊集院炎山くんは今も落ち込んでいるらしい。
「で?ブルースは何しにきたの?」
目の前に立つ紅いネットナビに問うと神妙な表情をした。
何となくだけど彼がここに来た理由は分かる…たぶん、あの封筒の事だ。
熱斗くん自身に聞けないのなら僕に聞くわけだ。
ほら、ブルースもどう切り出せばいいのか分からず困ってる。
助け船を出した方がいいのか…でも真相を知った後の反応が怖い。
やいとちゃんにではなく、僕達にだ。
もちろん、僕も共犯という事になっているので更に怖い。
…よし、隠し通そう。
「何?黙り込んじゃって」
「…実はだな…」
そう言うが、そこから話が続かない。
さっきからこれの繰り返しなのだ。
全く進む気配のない会話にロックマンはどうするべきか悩む。
事情が事情なだけにへたな事を口走ってしまうと大変だし、あまり余計な事もいえず、結局ロックマンも黙り込むしかないのだ。
「(う〜…ブルース困ってるよ、どうしよう…)」
やはり心が痛むロックマンは取りあえず、あの手紙はラブレターではない事だけでも教えようと決めた、その時。
『ロックマ〜ン、やいとちゃんがさぁ、今度はハートのシール付で試してみろって…ブルース!?』
例の桃色の封筒をヒラヒラさせながら熱斗は自分のナビに話しかけたのだが、何故か紅いナビまでいるではないか。
「(熱斗くん…(号泣))」
ロックマンはフリーズしたかのように固まった、それはもちろん熱斗も同じ事。
「ロックマン…光…どういう事か納得する答えを聞こうか…?」
普段から聞き慣れているはずの低い声がさらに低く聞こえるのは気のせいだろうか、この場合では気のせいであって欲しいのだが。
「ブ…ブルース…落ち着いて、ね?」
上目遣いで何とか彼の怒りを静めようと試みるが今は効果がなさそうだ。
「炎山様にもちゃんと納得のいく説明をしてもらうぞ…光?」
やはり悪い事は出来ないものだと、ロックマンは改めて思ったとか。
熱斗も諦めて1階にいる母のもとへと出掛ける旨を伝えに言った。
今日は無事に帰宅する事が出来るだろうか、溜息と一緒に熱斗とロックマンは同時に呟いた。
何気に4の続き。
大丈夫、今日は土曜日って設定だから(笑)