10 慰めて欲しい

 

科学省のある一室で話し声が聞こえる。


「ブルースは慰めてくんねーの?」
『なんで俺が慰めなくてはいけないんだ?』

画面越しからでも分かるブルースのめんどくさそうな声。

「だってロックマンも炎山も慰めてくれたのに、ブルースだけ慰めてくれないから」

しゅんと頭が垂れる、落ち込んでいるのは確かで。
いつもくるくると変わる熱斗の表情は暗い。
そもそも熱斗が落ち込んでいる理由は父親である祐一郎の事、アメロッパへ二週間ほどの出張へ行っており帰国寸前でトラブルが発生したため、帰国が延期になったのだ。

「ママ…パパが帰って来るの、すげ―楽しみにしてたんだぜ?俺だって…」

言葉がだんだんと小声になって、最後には机に突っ伏し何かぶつぶつと呟いている。


『…光博士だってお前に会いたかったはずだ、それにきっとお前と同じ気持ちでいると思うぞ』
「そうかな…?」
『そうだ』

ブルースにしては自信たっぷりで小さな笑顔付きの表情。

予想以上に元気が出そうで、暗くなっていた気分もいつも通りになってくるのが分かる。
熱斗の顔にもつられて笑顔が零れた。

「ありがと、ブルース」
『大したことではない。しかし、熱斗は本当に光博士が好きなんだな』

「う―…まぁね、でも」

『でも?』

熱斗は勢いよく椅子から立ち上がり、凄い速さで扉へと走った。
熱斗を感知した扉は自動で開き、入口の手前でこう、一言。


「ブルースの方が好き…!」


さっきまで落ち込んでいた様子が嘘のように、きらきらした笑顔で走りさっていく少年の残した爆弾発言。
それを受け取った紅いナビは赤い顔で困り果てて、数日間は仕事で変なミスを繰り返した。





ちなみに少年の爆弾発言を聞きたくないのに、運悪く聞いてしまった紅いナビのオペレーターと少年の青いナビも数日間は元気がなかったらしい。

 

  


ブル熱←炎山?
兄さんは保護者的にショック。