RoHS規制
◆RoHS(Restriction of the use of certain hazardous substances in electrical and electronic equipment)指令
  「電気電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限に関する欧州議会および理事会指令」
◆欧州委員会は、2003年2月13日にこの指令を発効し、EU加盟国に対し法制化を求めています。
 「2006年7月1日以降、上市される新しい電気電子機器が下記の6物質を含有してはならない」ことを求めています。
2006年7月1日までの加盟国の対応は2003年2月13日以前の国家法を維持してよいとされています。
2005/2/10までインターネットコンサルティング中。その後 適用に際したガイド(現実解)が提示される見込み。

 1)鉛(Pb)

 2)水銀(Hg)

 3)カドミウム(Cd)

 4) 6価クロム(Cr+6)

 5) PBB(ポリ臭化ビフェニール)

 6) PBDE(ポリ臭化ジフェニールエーテル)


◆RoHS指令の対象製品

RoHSは、WEEE指令の付属書IAに定める10のカテゴリーより8),9)を除く電気電子機器、ならびに電球および家庭用照明器具に適用するとしています。

  WEEE指令で範囲とする電気電子機器のカテゴリー

   次のカテゴリーで交流1000ボルト、直流1500ボルトを超えない定格電圧で使用する電気電子機器に適用

   1) 大型家庭用電気製品             Large household appliances

   2) 小型家庭用電気製品             Small Household appliances

   3) ITおよび遠隔通信機器            IT and telecommunications equipment

   4) 民生用機器                   Consumer equipment

   5) 照明装置                    Lighting equipment

   6) 電動工具                    Electrical and electronic tools(with the exception of
                               large-scale stational
    (据え付け型の大型産業用工具を除く)      (industrial tools)      

   7) 玩具、レジャーおよびスポーツ機器     Toys, leisure and sports equipment

   8) 医療用デバイス(すべての移植製品および感染した製品を除く)

                                Medical devices(with the exception
                                of all implanted and infected products)

   9) 監視および制御機器              Monitoring and control instruments

   10) 自動販売機類                 Automatic dispensers


RoHS指定物質の人の健康への影響

中枢神経系機能障害、 発ガン性
水銀 脳障害、精神障害、水俣病
カドミウム 腎機能障害、生殖障害、イタイタイ病
6価クロム 発ガン性
PBB 生物体内蓄積性、生体有害性
PBDE 生物体内蓄積性、生体有害性

RoHS
指定物質名
含有可能性部品例 備考
1)共晶はんだ
2)鉛蓄電池
3)快削合金
4)X線使用分析機器、イオンインプラント装置のX線シールド
5)鉛ガラス(シールガラス,CRT,ダイオード,光学レンズ)
6)圧電素子(超音波発振素子その他)
7)塩ビその他樹脂の配合材(顔料、ステアリン酸鉛等)
1)鉛フリーはんだに移行 一部にWhiskerのリスクあり
2)Ni-HM, Liイオン電池
 鉛蓄電池はEU廃電池法にて規制対象になっており
 RoHSでは規制対象外


5)CRT以外は無鉛化試行中、X線防護の代替無し
7)色変更、ステアリン酸錫など

【適用除外品】

陰極線管、電子部品及び蛍光管のガラスの中に含まれる鉛

・合金成分として、鋼材の中の0.35wt%までの鉛、アルミ材の中の0.4wt%までの鉛、及び鋼材の4wt%までの鉛

・高融点ハンダの中の鉛(すなわち鉛を85%以上含む錫/鉛ハンダ合金)

・サーバ、ストレージ及びストレージアレイシステムのハンダの中の鉛(2010年まで除外:2004/12のTACの議事録では下段のスイッチ製品と項目がまとめられ、2010までの期限の記載が無くなっている)

・スイッチ、シグナル、電送用ネットワーク・インフラストラクチャー装置用および通信管理ネットワークのハンダの中の鉛

・電子セラミック部品の中の鉛(例:ピエゾエレクトロデバイス)

水銀 1)水銀電池
2)水銀リレー
3)蛍光灯・水銀ランプ・液晶バックライト
1)Ni-HM電池他 代替え電池へ
2)??
3)原理的に代替困難。使用量削減アプローチ。

【適用除外】

・ランプ1本あたり5mgを超えない範囲の小型ランプに含まれる水銀

・一般目的用の直管蛍光灯に含まれる以下のものを超えない水銀

  -halphosphate(ハロリン酸)

  -triphosphate(三リン酸) with normal lifetime

  -triphosphate(三リン酸) with long lifetime

・特別な目的用の直管蛍光灯に含まれる水銀

・本付属書に特に定められていないその他のランプに含まれる水銀

カドミウム 1)ニッカド電池  4)樹脂安定剤
2)CdS系素子   5)リレー接点
3)塗料中顔料
1)Ni/H、Liイオン電池
2)特殊用途
3)顔料変更

【適用除外品】
・危険物質および調剤の使用と上市の制限に関する指令76/769/EECの改正指令91/338/EECに基づき禁止とされた用途を除くカドミウム表面処理
6価クロム 1)クロムメッキ
2)クロメート処理
 (亜鉛メッキ表面等)
3価クロムメッキで代替可能の場合あり。
しかし、経年により3価クロムが6価クロムに変成すると言う情報もあり、代替品への変更は注意を要する。

【適用除外品】
・吸収型冷蔵庫中のカーボン・スチール冷却システムの防錆用の6価クロム
PBB 樹脂、繊維等配合臭素系難燃剤 他の物質に代替:生産中止済み(日本のみ)
PBDE 樹脂、繊維等配合臭素系難燃剤 他の物質に代替
日本では早くから使用されていないか、使用量が少ない。ただし、欧州、アジア、米国では使用しているので輸入品には要注意

・RoHS指定物質の最大許容量(=閾値)は明確にされていません。最大許容量の決定日はまだ見えていません。
自然界濃度と人の健康許容度などが基準となると思われ、最終的にはWHOの基準値が参考になると思います。
EUでは、危険物質及び調剤の使用と上市の制限に関する指令(76/769/EEC)で制限(例 カドミウム 100ppm=0.01重量%)があります。
また、包装及び包装廃棄物に関する指令(94/62/EC)では包装材に含まれる鉛、水銀、カドミウム、及び6価クロムの最大許容量は、重量比で100ppmです。更に、廃自動車令・ELV指令(End-of Life Vehicles 2000/53/EC)は、2000年10月21日に発効し、2002年6月29日の官報で一部修正されました。このELV指令では、鉛、水銀、カドミウム、及び6価クロムが規制されており、最大許容量は鉛、水銀、6価クロムが0.1重量%、カドミウムが0.01重量%です。いずれにしてもEUでこれらの指令とも整合が採られると思います。