翡翠と一緒にデートする。

 

昨日俺は翡翠の前でそういった。

 

彼女にしてみれば外に出るのは珍しいのかもしれない。

 

人見知りの翡翠は人混みや見知らぬ人は苦手

 

外にはまだまだ楽しいことがあるから彼女にそれを知ってほしい。

 

だから今日は翡翠とデートする。

 

俺は翡翠にそうはっきりいった。

 

翡翠はそれを了承してくれた

 

そして・・・当日・・・

 

俺は翡翠の待つ公園にまで急いで向かう・・・

 

 

 

 

 

大好きだから

 

 

 

 

 

「志貴様・・・その・・・」

「ん?何、翡翠?」

「あの・・・」

 

今、私は志貴様とともにデートをしています。

昨日から志貴様は何故かやたらと強引・・・私を連れていってくれるのは嬉しい・・・でも・・・

 

「別に変じゃないよ、俺は翡翠がどんな服を着ていても似合うと思うから」

「はい・・・ありがとうございます・・・」

 

今私の着ている服は白いワンピース。

 

以前着ていたものとは違いデザインがシンプルなもの

 

「やっぱり翡翠はなに着ても似合うよ、もうちょっと自信持ちなよ。」

「はい・・・」

 

これは去年志貴様が私に買ってきてくださった物でもあり私にとっては一番大事な物でもあります。

 

「さあ、そろそろいこうか、早く行かないと電車に乗り遅れるからね。」

「はい。」

 

一体志貴様はどんなとこに連れてってくれるのでしょうか?

 

 

 

 

 

電車は以外と空いていて今私は志貴様と二人で相席している。

私は立っていますといったのだが志貴様はそれを拒否し席に着かせる。

その後は特に何もなくただ駅に着くのを待っていただけなのですが

 

「翡翠。」

「何でしょう、志貴様?」

「その、志貴様 というのを辞めてくれないかな?」

「ですが・・・」

 

私は志貴様専属のメイド

主人に対して失礼な真似をすることはできない。

それを志貴様はわかっているはずなのに・・・

 

「翡翠も今は外にいるんだしやっぱ恋人同士なんだからそういう事を気にしないと、ほら琥珀さんみたいに志貴さんとかでもいいし。」

「ですが・・・」

「俺は翡翠とはそういう普通のやりとりとかしたいし俺だって翡翠に呼び捨てにされたい。俺だけ翡翠って呼び捨てにするのもやっぱり嫌だしね。」

「志貴様・・・」

「だから・・・さ、お願い翡翠。」

 

志貴様・・・

 

「解りました・・・その・・・し、志貴・・・ちゃん・・・」

 

やはり呼び捨ては・・・できません・・・

 

「まあ翡翠がそれでいいのなら俺はそれで構わないよ、それでも俺は嬉しいしね。」

 

それでも志貴様・・・いえ、志貴ちゃんは・・・本当に嬉しそうに笑っています。

それを見た私も思わず嬉しくなってしまいそうです・・・

 

「もうそろそろ着くから降りる準備をしようか、翡翠。」

「はい、志貴・・ちゃん。」

 

やっぱり恥ずかしいです・・・

 

 

 

 

 

 

「さあ、着いたよ翡翠。」

「ここは・・・」

 

志貴ちゃんに連れてこられて来たところは・・・

 

とても綺麗な花畑でした。

 

「遊園地とかも考えていたのだけど翡翠は人混みとか苦手だから・・・ここに決めたのだけど・・・どうかな?」、

「はい・・・とても嬉しい・・・です。」

「良かった。」

 

志貴ちゃんのつれてきてくれたところは本当に綺麗・・・

見渡す限り花があって綺麗としか言い様がないくらい素敵な場所でした・・・

 

でも・・・

 

「志貴ちゃん・・・その・・・」

「どうかしたの?」

 

「私をここに連れてきてくれたのは嬉しいのですが・・・」

「ですが・・・?」

「急に私を連れてきたのですか?」

 

そう、昨日志貴ちゃんがいきなりデートすると言い出して秋葉様に無理を言ってまでして連れてきた訳がわかりません。

 

「それは・・・」

 

なぜいきなりここへ連れてきてくれたのでしょうか・・・

 

「いつも翡翠は・・・俺とかが居ない時とか・・・寂しそうにしていたし琥珀さんも翡翠が寂しそうにしているといったから・・・」

 

そうですか・・・姉さんがそんな事を・・・

でもそれだけじゃ・・・ないはずです・・・

 

「それに翡翠はいつも屋敷に篭りっぱなしだからね。外の世界も楽しいってことを知って欲しかった。」

「志貴ちゃん・・・その・・・」

「いつも翡翠にはお世話になっているし俺は翡翠に何もしてやれなかったから・・・せめてこんなことしか出来ないから・・・翡翠に外の楽しみを知ってもらおうと思ったから」

「志貴ちゃん・・・」

「それじゃ・・・だめかな?」

「いえ・・・凄く嬉しいです・・・」

 

まさか志貴ちゃんがそんな事を思って此処に連れてきてくれたなんて・・・

凄く嬉しい・・・です。

 

「それに俺は翡翠が大好きだから・・・一緒に此処に来たんだよ。」

「志貴ちゃん・・・」

 

それだけ告げると志貴ちゃんは私の方を向いて何も言わなくなります。

 

私と志貴ちゃんはしばらく花畑で見つめあった後・・・

 

「んっ・・・」

「んんっ・・・」

 

お互いにキスをしてしばらく抱き合いました・・・

 

 

 

 

 

 

その後のデートも私の事を考えてくれたのかとても綺麗な場所を手を繋いで歩いたりとかして過ごしました。

 

 

 

 

 

 

 

屋敷に帰り手を繋いで帰って来た事や志貴ちゃんと呼んでいる事をを冷やかされたりとかしましたが

 

私にとってはとても楽しい一日でした。

 

志貴ちゃんと一緒にデートしてからもそれは忘れることができない思い出となるでしょう・・・

 

私はその日の思い出としてあの花畑で摘んできた花を見ながら今日の事を思い出します。

 

 

 

 

―外の世界は楽しい―

 

―翡翠が大好きだから―

 

 

 

 

「明日も志貴ちゃんと・・・」

 

明日は志貴ちゃんも休み・・・

 

今度は自分からデートに誘うんだと決意し眠るのでした・・・

 

 

 

 

                                     Fin

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