『閃の七技』・・・
   七夜一族は本来暗殺を生業とした為、真っ向から立ち向かう戦闘法よりも、不意打ち・奇襲戦法に重きを置いた。
   そうして先祖から子孫に脈々と受け継がれ完成したのが、『閃鞘』の名を冠した七つの高速奇襲技、『一風』・『八穿』・『七夜』・『八点衝』・『伏竜』・『双狼』・『十星』である。
  『極死・七夜』が、七夜の暗殺技法最高傑作とすれば、『閃の七技』は暗殺の芸術品と言っても過言で無いほど、一つ一つの技の完成度は高い。




  『八穿』・・・
   上空より姿を現し頭上から敵を斬り付ける技。

  『伏竜』・・・
   『八穿』とは対の技に位置する。
音も気配すらも断ち切り、敵の足元に忍び寄り下から上に切り上げる。

  『七夜』・・・
   一族と同じ名を与えられたこの技は奇襲技であると同時に、高速突撃技として、また高速連続技として汎用性が極めて高く、その為『七技』の中ではもっとも多くの使い手が好んで使用した。
   一直線に突き進み、敵をすれ違いざまに斬り付ける。

  『双狼』・・・
   『七夜』の補佐をする為に生み出された『七技』。
   こちらは横・・・正確には左右同時に相手を斬り付ける。

  『八点衝』・・・
   七夜一族が苦手とする近接戦闘を補うべく生み出された『七技』。
   前方に斬撃を乱れ打ち、敵を切り刻むと同時に接近及び反撃を防ぐ。

  『十星』・・・
   『八点衝』が乱の技と位置付けるなら、この『十星』は正確無比。
   瞬時に両肘・両肩・両膝・両股関節を破壊し行動の自由を奪い取り、最後に眉間と心臓を貫く事で敵を完殺する。

『一風』・・・
   『閃の七技』の中で唯一の投げ技。
   首を捕まえ、全体重を掛けて脳天から叩きつけ、脳髄を潰す。
   その威力は『七技』でも『十星』と肩を並べ最強と言われる。


『閃走・六兎』・・・
『閃の七技』に隠れがちになるが、奇襲用の高速蹴技として七夜の中では汎用性は高い。
瞬時に同じ箇所目掛けて蹴りを六発叩き込む。


『七夜死奥義』・・・
七夜一族で秘奥義に数えられる4つの奥義。
元々は『極死・七夜』の事を指していたが、先人達は創意工夫を凝らし、そこより派生した三つの技『弐式』・『参式』・『膝式』も『死奥義』として数えられ『四』と『死』を準えて今の形となった。




  『極死・七夜』・・・
『七夜死奥義』の原型にして、古くより七夜に伝わる秘奥義。
自らの武器を相手に投擲し、間髪入れず自らも上空より襲い掛かり首の骨を粉砕、時には首をももぎ取る。

  『極死・七夜弐式』(極死・雷鳴)・『極死・七夜惨式』(極死・落鳳破)・『極死・七夜死式』(極死・屠殺竜)・・・
魔の中には生命力の強い者もおり、首をもぎ取るだけでは死なぬ者もいた。
その為七夜の先人は先にも申した様に死奥義『極死・七夜』の改良を施し、まず生み出されたのが弐式=『極死・雷鳴』である。
敵を捕らえ、空中に浮かせる事で重力すらも己が武器とし急所の一つ背骨を粉砕する。
その後、先人は二派にわかれ『極死・七夜』に更なる改良を進め、一派より生み出されたのが参式=『極死・落鳳破』である。
首の骨を撃砕するのは『極死・七夜』と同じであるが、この後弐式と同じく敵を宙に舞い上がらせ敵の体を捕らえた上で頭部自体を押し潰す。
その残虐性・破壊力故に当初『参式』と呼ばれたこの技は『参』が訛り『惨』と呼ばれる様になった。
余談であるが、『落鳳破』とは中国三国時代、蜀漢に仕えたとされる『鳳趨』の異名を取った軍師庖統が戦死した場所として知られている。
更に『惨式』完成直後、もう一派が『極死・七夜』・『弐式』・『惨式』を全て纏め上げたかのように完成させた技が『七夜死奥義』最凶と呼ばれ、『極死・七夜』の最終形態とまで知らしめさせる、死式=『極死・屠殺竜』である。
一度に背骨・首・頭部・心臓と四つの急所を破壊し『竜すらも殺すであろう』と、驚嘆の声を受けた事よりこの名がついた。
こちらも当初『膝式』と呼ばれたがその絶対的なる完殺力に『膝』が『死』へと変貌を遂げた。


『極の四禁』・・・
志貴が根源の地『アカシックレコード』に到達した時、そこにいた人物『お師匠様』より継承された七夜伝説の極技法。
中国に伝わる東西南北を守護する聖獣『玄武・白虎・朱雀・青竜』を呼び出す。
それぞれ能力は異なり、玄武は水、白虎は風、朱雀は炎、青竜は大地を司る。
しかし、『極の四禁』の正確な使用法は召喚ではなく、聖獣の力を具現化した武具『神具』を生み出す事にある。
その力は莫大であり、数多くの恩恵を所有者に授け、秘技と真技と呼ばれる二つの奥義を授ける。
しかし、その力による災いも大きくそれ故に先人は『極の四禁』を封印、更には抹消したとも言われている。




玄武・・・属性水

『神具』・・・『聖盾・玄武』

解説
水を支配する聖獣玄武の化身と言える円形上の大型の盾。
その守りの力は絶大で最大出力であれば至近距離で核が爆発しても持ち主に傷は一つたりともつく事は無い。
真祖の猛攻すら耐え切るだろう。
しかし、守りに全てが傾いている為攻めは極端過ぎるほど、おろそかになり殆ど期待出来ない。

秘技・・・『霧壁』
『聖盾・玄武』の加護の力を含んだ霧を発生させ、それを持って結界となす、唯一の守りの秘技。
一見すると貧弱に見えるが、その霧の前ではどの様な熱・衝撃・物質も侵入する事は許されない。
これを破壊する事は他の神具を用いても不可能である。




白虎・・・属性風

『神具』・・・『双剣・白虎』

解説
風を司る聖獣白虎の力が具現化した雌雄一対の剣。
手にした者は風を一時与えられ、その風に包まれている間身が軽くなり、極限の速さを手にする。
しかし、それと引き換えに身体の守りを奪われ、軽く掠めただけの怪我でも致命傷に至る可能性すら存在する。
しかし、『白虎』を手にした者に怪我を負わせられるかについては、甚だ困難と言わざるを得ない。

秘技・・・『疾空』
『白虎』の能力を限界まで放出する事で風と一体化しての移動攻撃を繰り出す超神速奇襲技。
その移動を視認する事は常人には不可能であり、中には斬撃を受けた事すら気付かぬまま絶命する者を出るほど。




朱雀・・・属性炎

『神具』・・・『神剣・朱雀』

解説
炎の聖獣朱雀の神具として具現化した姿。刃からはおびただしい熱と炎が絶え間無く噴き出す。
(所有者の力量では暴走するし、それすら制御できる)
また『朱雀』を手にした物は無尽蔵の力を与えられ、それと引き換えに速さを失う。

秘技・・・『煉獄斬』
『朱雀』自身の炎を最大限放出しそこから斬撃を繰り出す。
『朱雀』で強化された一撃を受けきる事は困難であり、仮に受け止めたとしてもその後には高熱の炎が敵を焼き尽くす。




青竜・・・属性大地

『神具』・・・『豪槍・青竜』

解説
大地の守護神であり、四聖を束ねる長でもある青竜の『神具』である長槍。
その力は攻め、機動、守護全てを引き上げ能力は四聖最大と言える。
だがその代わり、一つに特化して引き上がった三神具に比べて上昇は低く、更にその特徴ゆえに効力を持続する時間は短く、成長した志貴ですら、三十分が限度とされている。

秘技・・・『竜脈獄』
『豪槍・青竜』を地面に突きたてその力を大地に浸透させる事で大地そのものを自らの武器とする荒業。
その力を最大限放出すれば七つの海全てが隆起した大地によって消滅するだろう。

真技・・・

これは四神具全てを発動出来うる器と技量の持ち主だけが使用する事が可能であり、こちらは秘技と対になる、蘇生の技。
朱雀の炎が傷付いた肉体・魂をを一度灰に還し、白虎の風がそれを復元、玄武は身の穢れを洗い流し、最後に青竜は生きる活力を与える。
死徒化した人間すら元に戻せるがその負担は重く、志貴はその生涯で真技の発動は一回のみしか使わなかった。

補足

聖獣とは神域にまで達した幻想種のことで幻想種の頂点に君臨する。
幻想種の種別としては妖獣、魔獣、幻獣、聖獣に分かれ、力関係としては下記の様に
妖獣<魔獣<幻獣<聖獣となる。
ちなみに真祖及び『霊長の殺人者』プライミッツ・マーダーは幻獣の最上位・・・聖獣に限りなく近い存在に位置する。


閃鞘・迷獄沙門・・・

七夜黄理が軋間紅摩との死闘において使用した『閃鞘』の名を冠しながらも七技より外された、異端の閃技。
これには理由が存在し、技の性質・・・『双狼』・『八穿』・『伏竜』を融合させ一度に放つ・・・故に半端な七技会得者では会得は不可能とされた為である。
それ故、迷獄沙門は七夜当主のみに会得と使用を許される技となった。
『閃鞘』の名でありながら、その威力は『死奥義』と肩を並べる。


『九死衝』・・・

七夜において『死奥義』以上の殺傷能力をもつ完殺連携技。
閃鞘・七夜から始まり、双狼、八穿、伏竜、閃走・六兎、八点衝、十星、一風と繋ぎ最終的には『死奥義』で葬り去る。
威力は申し分ないが隙が多大に発生する為会得及び使用は極めて難しいとされる。

戻る