「しようがない」
備考:リクエストいただたものです。


ある感情が芽生えた時期を、はっきりそれと示すことは難しいが、その思いを意識の上に見出すに至った画期の出来事というのは、
思い返してみれば、やはりあれであったのだろうと何となく見当のつくものがある。
何度か訪れたことのある町で、睡骨は、夜に賑わうその界隈を、いわゆる物色しながら歩いていた。すでに幾つか知った顔を見つけ、
声もかけられたが、ただ冷やかしにきただけの体(てい)をして、通り過ぎてきた。彼女らのことを、それぞれに魅力あるものと
認めたからこそ以前には関係を結んだには違いないが、今あらためて見ると、そう大した惹かれ方もしない。相手の容色がそこはか
となく衰えたか、こちらの好みが一方的に変わったのかは分からないが、ともかくまったく惹かれないので、惹かれる女を探す。
「やあ旦那、旦那、どうです。いい娘(こ)がいますよ。」
矮小な体つきの男が、睡骨の行く手にひょいと現れた。高い声で、口先滑らかに話しかけてくる。
「元気のいいのが好みですか?それともしっとりおしとやかに、聞き上手なのがお好み?色はやっぱり白いほうがいいでしょうな。
乳房は片手に収まる程度?旦那の手の平はでかいでしょうが。」
「抱けりゃあいいんだ。先立つもんはある。ただ多少の好みってもんがあらあな。」
「そりゃ、そうでしょうな。」
立ち止まらない睡骨の歩幅に合わせて、小男は飛び跳ねるようにしてついてくる。
「さっきからどうも物足りねえ。女に愛嬌は大事だが、も少しこう、つんと澄ましたような美人ってないねえのかね。」
「なるほど、女を知るにつれて求めるものも変容していく。知的で意地っ張りで、品のある美人をお求めというわけですな?」
「察しがいいじゃねえか。」
睡骨の声音が柔らかになり、その歩く速度が目に見えて落ちる。
「歩き続けんのもめんどくせえ。今日のところは、てめえの店で手ぇ打ってやるよ。」
「や、ありがたい。」
「そうだな、色白の……贅沢は言わねえや。鼻筋は通って目元は涼やか、笑った顔に品があると……。」
つらつらと、浮かんでくるまま口に上せてはみるものの、まさかそれらすべての条件を満たす女が存在するとは思いもせず、最後に
は少しく空しい気分になってはあと息を吐いた。
「まあ、そういうこったがつまり、贅沢は言わねえからよ。さ、行くか。」
小男の肩を押して、それまで歩いてきた道を引き返してゆく。お望みどおりの女をお側に侍らせてみせますとも、と男は背中に首を
捻りつつ言ったけれども、無論、期待などはしていなかった。
宛がわれた女の容姿には、理想のすべてが具現化されていたわけではなかった。ただ、小さく声を上げてしまったくらいには、似て
いた。誰に似ていたかというのは、それまで睡骨は認識していなかったのだが、目の前に現れた女は、色の白いところと、全体に肉
付きの薄いことと、目じりが切れ上がり、さらに鼻筋の通り具合にさして難点のないところなどから、どことなく、彼の兄貴分である
男に、似ていた。
あれ……、と睡骨は思った。
(何でだ?)
女は非常に静かな動きで睡骨に近づいてくると、互いの膝頭の間に拳ひとつ分の間隔を残して、座った。彼らの脇には寝具が延べら
れている。今から彼らはそうしたことをするのであって、決して他の、お喋りなどに時間を費やそうというのではない。女は伏し目
がちに、男の方から行為でもって、何かしら命じられるのを待っている。
おい、と睡骨は低く言った。
「ちょっとこう、も少し顔あげてくんねえかな。」
女は素直に顔を上げ、睡骨を見た。小さな灯火と、格子窓から差し込む淡い月の光に左右から照らしだされて、表情のない細い面(お
もて)が、作り物のように浮かんでいる。
「やっぱり目つきは違うよな……。幾つだ?」
「十八。」
「ふうん。」
腰を上げ、女の体を両手でもって、軽く床の上に倒した。女の目がまた、おそらくは無意識に伏せられるのを見て、その眉間(まゆ
あい)の冷冷たる様が、殊にあの男に似ていると睡骨は思った。
好みの女の特徴を、思い浮かぶまま挙げていったところが、こうして出てきた女がよく見知った男にどこか似ている、というのは少々
驚きであり、何となく可笑しいようでもあり、しかし圧倒的な強さで抱く心情としては、困る。脳裏に男の影が張り付いて動かな
いままの状態で、目の前の女を抱こうというふうにはなかなか思いがたい。一方で、こうした事態に至ったそもそもの理由としては、
健全な雄としての器官が至極真っ当な働きをした結果であるのだから、その本能の高ぶりを、急になかったことにしようとしても
無理がある。
(どうするんだ、これ、抱くのか?もちろん女だからな。脱がしちまえば女の体なんだが、しかしな……いや、しかし……。)
あれこれと思いながら、ほとんど無意識に体は動いて、女の着物を脱がし、小振りな白い乳房を前にすれば、次いでは自身の下帯を
くつろげざるを得ないような状況と相成る。女のほうでもだんだん積極的に動き出して、睡骨の背やら腰やら急かすように撫でさす
り、下半身をもどかしげに揺らしたりするので、肉体的にはもうまったく唯一の選択肢しかなくなる。
(しようがねえ、どうしようもねえ。)
脳裏には、いまだ断続的に男の影がちらつくのだったが、それを問題と感ずることは次第になくなっていった。男でも構わないと思
うわけではなく、目の前の体は実際のところ女なのだからそれが第一義、と思うわけだ。目を閉じ、小さな呼吸を繰り返している女
の顔が視界に映り込むたび、表裏をなして意識の上に現れてくる男の影。それで少しでも獣としての本能が立ち止まる、ということ
が最後にはまったくなくなった。その男の存在も、目の前の女の体も一緒くたにして抱え込み、睡骨はただ己の快楽を極めんがため
だけに、使った。

非常に明るい日差しが、黄ばんだ障子を通して、部屋の中ほどに横たわった睡骨の右半身を殊に熱く照らしている。目を瞑り、静か
な呼吸を繰り返し、彼は眠っているかに見える。
「おい睡骨、この部屋は、ってやっぱ片付いてねえ……おい、寝てんのか?」
ずかずかと踏み込んできた男の声が、誰のものかなど、その声を聞く前から分かっている。ここ十日足らずの間に、睡骨はずいぶん
とその男の足音やら纏っている空気やら、彼が声を発する前に一瞬どんなふうに大気が震えるのかなどといったことに対して、熟知
するようになった。
「寝てんのかよ、おい。」
男は、寝ている睡骨の爪先近くをかすめて、部屋の奥に入り込んだ。そこに多くの雑多なもの、たとえば葛籠(つづら)や文机といっ
た大きなものから、鍋や扇や着物といった細々としたものまで、何の脈絡もなくただ積み重ねられていることを、睡骨は知ってい
た。
「片づけなくていいのか。」
「そんなに長く泊まるのか。」
即座に返ってきた声に、男はわずかながら驚かされたようである。短い沈黙の後に、ふっ、と小さく息をつくのが聞こえた。
「分からんが、お前、これだと少し寝ぼけてぶつかったら、埋まるぞ。つまらん怪我をして汚名をあげたいとでもいうんなら、別に
止めねえけど。」
「うまいこと角が当たれば、死ぬこともあるな。」
「そうだな。」
がさごそと音を立てて、男は積み上げられたものを取り崩し始めている。埃が立つのではないか、と思うとゆっくり横になっている
気にもなれなくなって、とりあえず、睡骨は身を起こした。左の方角に目をやれば、見慣れた背中が、どことなくのんびりとくつろ
いだ風情で動いている。片手で鍋を持って床に置き、その下から出てきた草鞋を、使えないことを確認してからポンと放る。
「ここも似たようなもんだなあ……。」
「何か値打ちのありそうなもんでも探してんだろうが、そもそも人の上に立つ連中ってのは、そういうとこきっちりして隙を見せね
えから成り上がってこれるんじゃねえのか。」
「何かひとつくらいねえかと思ってよ。……駄目だな、なんにもねえや。」
つまらなそうな声を出しつつも、積み上がった物を取り崩していく作業を止めないのは、結局は彼が単純にこの部屋を掃除しようと
思っているからだ。睡骨は立って、部屋と廊下をほとんど遮ったままの障子を開きに行った。あまり埃は立っていなかったが、何か、
ひどく息苦しいような感覚を持っていた。その理由を考えると、睡骨は思わず自分自身の頬を張り飛ばしたくなってくる。
「あーあ……。」
ひやりと吹いてきた風に、最初から眠気などほとんどなかった目がますます冴えて、見たくないようなものまで鮮明に見えてくるよ
うになる。秋の気配の色濃い空を眺めつつ、ぼんやりとしていると、後ろから、居住まい正したような声が掛けられた。
「お前、ここのところ何かあったのか?」
「……いや、何もねえよ。」
「この前から、変に気の抜けたような声ばっかり出しやがるじゃねえか。」
「…………。」
障子をすべて開け終えて、敷居のところに睡骨は胡坐(あぐら)をかいた。「別に、何でもねえよ。」
本来なら、部屋の片付けなどは、その部屋を使おうとするところの者がするべきものであるし、これが常と変らぬ場合であれば、男
は少々乱暴な言動をもってしても睡骨に手伝わせただろう。だが彼が、睡骨の様子をどのように捉え、解釈していたかは知らないが、
何かしら漠然と察してやるべき状況として受け取ったのであろうか。黙って手際よく、積み上げられていた雑多な品々を一通り整
理すると、一部、まるきり役に立たない、底の抜けた桶や折れた筆、真っ二つに裂けた着物など、持てるだけ両手に抱え込むと、立
ち上がった。
「後はてめえでやれ。」
平素、一味においては頭が切れるがゆえに手厳しい発言の目立つ男が、原因の掴めないままに自分に気を遣っているという事実は、
睡骨を、単純な快不快ではない微妙な心境に至らせる。そこから、何となくこれはよい兆候ではないかと訳もなく信じて、男の善意
にもたれかかるような態度を取ることを選ぶと、何かとても重大な、二度と引き返せないような境地に至ってしまう気がする。かと
いって、不安や恐れの方が勝(まさ)っていると思って、立ち止まり、まして引き返したり別の方角へ進んだりしてみると、何かを
置き忘れてしまったように感じて、結局は元の場所へふらふらと戻らざるを得ないことになるような気もする。
「あの女を抱きさえしなけりゃ……。」
ぼそりと呟いたことの中身が、相手の耳に届くことはなかった。それはもちろんよかったはずだが、何か言ったかと問われた時に、
覚えず心に湧いたのは、頭がいいならさっさとすべてを理解しろ、という無理無体。言葉を知らない子供が、その未熟の責任を大人
になすりつけるが如き、苛立ちであった。
「兄貴、兄貴ー。」
縁側を越えて、全体に荒れた印象のある庭を、左手の方から、女物の着物を纏い、しかし同時に武具も身につけるという、まことに
奇異な出で立ちをした少年が駆けてきた。
「片付けたぜ、ちゃんと。いらねえものは捨てたし、そのへんに。」
「……具体的にどこに捨てたのかは知らねえが、まあ、きれいになったんなら結構なこった。」
「麓に行ってきていいか?」
「ああ。」
「何かあんのか?」と睡骨は尋ねた。それに対し、少年はまるで異様なものでも見るような目つきで顔を近づけてきた。
「何だよ。」
「てめえ、睡骨、ここに来るまでに何見てたんだよ。いっぱい店が出てたろーが。見世物もやっててよお、目隠しした男が綱渡りと
かしてたの、知らねえとは言わせねえぞ。」
ああ、と睡骨は間の抜けた声を上げた。
「そういや、そうだ。」
「……おい、睡骨。」
少年の目つきは、ほとんど胡散臭いものを見るかのようだ。
「おめえ、こないだ女買いに行ってから何か変だぞ。まさかとは思うがよお……女なんぞに、惚れたなんて言うんじゃねえだろうな。」
「……男が女に惚れるなあ、お前、それが理ってやつじゃねえか。」
「かっ、馬鹿!」
唾を吐きかける勢いで、少年は言った。
「生れついたもんがすべてなんだよ!」
「俺は生れついて女が好きだが……。」
睡骨の言葉など聞く耳もたぬ、とでも言いたげに、少年はぷいと背を向けた。そのまま歩きだした背中に、
「おい、蛇骨。」
と縁側に来て膝をつき、話を聞いていた男が、声をかけた。
「ひとりで行くのか?」
「大兄貴と。銀骨はまだ残って他の部屋片付けるってさ。霧骨はもう何か、陰気臭くごりごりやり始めちまったし、凶骨はあそこ
で……。兄貴も一緒に行くか?」
「俺はいいや、まあ、あんま遅くならねえようにな。」
「うん……。」
蛇骨と呼ばれた少年は、素直に頷いて、すんなりと細い脚が、その場を離れて行こうとしかけた。が、何か気になることがあるよう
に、進むことも退くこともせず、しばらくためらいを見せた。
「何だよ、行かねえのか。」
睡骨が声をかけると、ぱっとその顔色(がんしょく)を変える。
「うるせえよ、ばーか、ばーか。」
それまで分別を持った大人らしく見えていたのが、急に実際の年齢よりも幼い子供のようになる。睡骨の一言が、とても彼の気に障っ
たようだが、睡骨はといえば、何を幼稚な罵倒をするのかと、少々驚かされた格好だ。
「何だよ……。」
「ばーか。」
地面を蹴り上げ去っていく蛇骨の背中を、二人の男は、どちらも言うべき言葉の見つからない表情で見送る。彼らの耳には当然、相
当な勢いで走り去っていく少年が、ぽつりと口にした言葉など届かない。やがて、どちらからともなく顔を見合わせ、首を傾げる。
何だろうな、さあ、と単純な言葉のやり取りをした後、またお互いにしばらく口を噤む。
「行かねえのか。」
使い物にならない物品を両手に抱え、縁側に膝をついたままぼんやりとして見える男の背に、睡骨は声をかけた。ああ、とそれに応
えた男はいったんは立ち上がりかけたが、またすぐに腰を落とした。
「なあ、睡骨……。」

ほとんど全速力で走りながら、蛇骨の意識は半ば以上、考え事に没頭している。彼には珍しいことと言わねばならないが、さほど難
しいことを考えているのではなくて、正確には、自分以外に関することで少々心配している。睡骨の様子がここのところおかしいと
いうことに、彼はいち早く気がついていた。非常に鋭い観察眼の持ち主であった。もちろん、すべての物事を目で見るだけで察し切
る、というわけにはいかないが、睡骨の様子がおかしいことと、それを何となく気遣っているらしい男がいることと、そのふたりの
中に自分は入らないほうがいいのであろうということくらいは、分かっていた。
「煉骨の兄貴は、あれで結構優しいとこがあるからなあ……。」
ふたりの男と自身との間に横たわる年齢という壁は、どれほど同じ時を過ごしたとて取り払われることはないのだと、それゆえに、
時としてその壁が大きく立ちはだかっていることを意識せざるを得ないのだと、そんなことを思いつつ、蛇骨はそう、ぽつりと呟い
た。

「……何だよ。」
背中を丸めて、睡骨は低い位置から相手を見上げる格好を取っている。人間を目の前にして、警戒心を剥き出しにする猫のように見
えなくもない。が、実際には、彼が警戒しているのは誰でもなく、自分自身。何やら心が動き出すような気配を見せていて、しかし
ながらどこに行こうとしているのかが分らない、もしくは分かりたくないような感じがするのが、非常に不安だ。
「女を買いに行ったって?」
「そーだよ。」
「……あの日、だろ?お前が夜にいなかったのはここ最近ではあの日だけだし、確かにそれ以降だ。挙動不審っつーかよ。らしくも
ねえ。」
「…………。」
「何かあったか?」
「あのなあ。」
床に手をつき支えた体を、重たげに動かして、睡骨はいかにもつまらない話に付き合わされているとでも言いたげに、億劫げな顔を
揺らした。
「俺はな、煉骨、お前もだが、大人じゃねえか、お互い。こういう話をよ、しねえ気遣いっつーか、俺としちゃ、そう願いたいとこ
ろなんだが。」
「大人だってえのは分かってるさ。ただあんまり様子がおかしいとよ……。あの町離れて何日も経つだろう?どういうことがあった
らそんなにもいつまでも引きずっちまうのか、さっぱり見当がつかねえもんでよ。」
「そりゃいろいろ……あるさ。しかし俺ぁ、ひとりで、様子がおかしいっつーのも俺ひとりの話じゃねえか。別にお前らに迷惑かけ
てねえ。」
「……ほっといたら、元に戻るのか?」
「戻る……。」
煉骨はため息をついた。どことなく、信用ならないという様子が窺えた。抱えた荷物を少々重たげに、いったん膝の上に下ろして手
の位置など変え、持ち直してからゆっくりと立ち上がる。
「迷惑かけてないっつっても、女かなんか知らねえが、いつまでもぼんやり虚ろな顔なんかされたら気味がわりい。」
「…………。」
「さっさと元に戻れ。」
抑揚の変化に乏しい口調は、いつも通り、理詰めに考えるあまりにもうひとつ、ふたつほど人情の足らない男らしく響いた。煉骨と
いう男の持ち味として、七人隊の中ではもはや当たり前であって、今更その口振りにけちな指摘を加えるものなどいないのだが、こ
の時、睡骨は口にこそ出さなかったものの、思わずむっとした感情を抱いた。それが通常だと、事情を知らない人間が示すことので
きる気遣いはすでに十分に示してもらったと、そう思う気持ちの方が無論強くあったから声には出さなかったが、大人にならずにひ
ねくれた部分は誰にもあるのであって、そこの部分で少しだけ、自分を擁護し相手を非難したい衝動、こうした事態が起こった要因
のいくつかは相手にあるのであって、そのいくつかの要因が存在さえしなければ今の事態はありえなかったのだという発想が、頭を
もたげてくるのであった。
秋の空は変わりやすく、白い雲が一面に広がって陽光を遮り、先ほどまでよりも肌寒さを厳しいものにしている。荒れた印象の庭か
らはまったく色彩が消え失せ、それを見る人の心も単調で味気ないものとなる。ひとつの考えが睡骨の頭に浮かび、あっさりと彼の
意識を染め抜いた。その考えを正当化する考えが、まるで別の人格から提供されたようにぽっと浮かんだ。
(まあ間違っても、あの野郎が思いつく手じゃねえが。)
笑みとも呼べない歪んだ顔で、目の前の風景を見るともなしに見ている。一歩二歩と、背を向け遠ざかっていく男の動きがひどく遅
く感じられる。どうやら自分は緊張しているらしい、と睡骨は己を分析した。あまりに不慣れなことで戸惑いさえ感じながら、自分
は緊張している。外界を強く意識しすぎた神経が、時の流れを常より細かに調べ上げているのだ。
男の後ろ姿を、なぞるように見る。考えは決まっているのだから、後はそれを実際に行うだけである。
「煉骨。」
「何だ。」
男はすぐに振り返った。それを意外なことだと睡骨は感じた。
「実はな、買った女がお前に似ていたんだ。」
「あん?」
「買った女がどことなくてめえの面影を背負(しょ)っててよ、びっくりしたんだ。俺ぁ、好みの女を言っただけで、まさか身近な
男の面(つら)が出てくるとは思わねえ。分かるだろ?」
口を噤むと、途端に心臓の音が大音を響かせる。
「……てめえがよ、好みの女を言ったところが、まあ俺とは言わねえ、蛮骨の大兄貴や蛇骨の野郎に似たような女が出てきたらどう
する。」
「嫌としか……言いようがないが。」
「だろ?」
自分が声を発すると、まるで大絶叫したかのようにその音ばかりが聞こえるが、いったい何を喋っているのかということは、さっぱ
り分からない。相手が口を開くと、その発する音は雪解けの水のように冷たく、肌を驚かして睡骨の耳に流れ込んできた。その言葉
のひとつひとつは、墨で黒々と目の前に書き記されていくが如く、明確に汲み取ることができた。
「目の前の女の上に、どうしても見知った男の影を重ねちまうとすりゃ、そりゃ普通は抱けねえよ。当然のことさ。……後から考え
れば考えるほど、そう思ったんだがなあ。」
「……抱いたのか?」
「ああ。」
睡骨が頷くと、煉骨は少し嫌そうな顔をした。
「それでよ、分かるだろう?てめえの顔を見ていると、どうも、のらねえ。」
「……つまらん。」
「…………。」
「その女に心底惚れたってんなら、まだ納得もいくってもんだが。俺に似てただ?知るか、馬鹿野郎。てめえがいつになく腑抜けみ
てえな面してやがるから、そこそこでかい問題でも持ち上がったのかと思ったのに、仮にも俺より年上の野郎のことだと、深く考え
ちまったのが馬鹿みてえじゃねえか。見込み外れもいいとこだぜ……!」
ほとんど怒鳴る寸前の声で、煉骨は言った。
「……それがよ、煉骨、この問題が面倒なのは、今説明した上にもう一つ事情が重なるからさ。」
敷居の上に、ふらりと上体を揺らしながら睡骨は立ち上がった。
「事情?何だ。」
「いろいろ考えすぎちまったからこうなったのか、もともと芽のあることだったのか、今となっちゃ分からねえんだなあ、こういう
のはよ。ただきっかけはあれだったなと、思うだけだ。」
「はっきり言え。重いんだよ。」
煉骨は、赤子を抱きなおすように、抱えた荷物を軽く上方に向けて揺(ゆ)する。
「いやあ、お前に直接、言うべきだと思うんだが、びっくりするぜ?いくらお前でも。」
「……何だよ。」
「実はよ、その女を抱いて以来、お前を見てるとその女を思い出す、ってんじゃなくて、どうも、お前を抱きたいような気になって
くるんだよ。」
いったんは平静さを取り戻したかのようになっていた身体(しんたい)の各機関が、再び不調和な躍動を始め、もはや自分が何を言っ
ているのか、睡骨は分からなくなった。ただ確信していたのは、表情や動きのひとつひとつは、ひどく落ち着いて見えていただろ
うということだ。口を動かしながら、大股にゆっくり歩を運び、核心というべき最後の一言を言ったところで、ぴたりと煉骨の前に
止まった。煉骨の表情も、こちらも、一見したところは冷静であった。瞬きをする以外に、これといった動きを見せない。理解して
いないのではないか、と睡骨は思った。
(無理もねえ。何たって、俺も分からねえ。)
相手の双眸を覗き込むように、ひたすらに、彼らは互いを見ていた。少しだけ、煉骨の眉間に皺が寄った。相俟(あいま)って険し
くなった双眸に、睡骨はずいと顔を近づけた。息がかかるほどの距離など、男同士で好む理由もないことから、当然、煉骨は後ろに
身を引いた。その口が開いて、何か言おうとしかけたが、彼らしくもないためらいを見せて、結局はまた閉じてしまった。むしろ引
き結んだ唇に、歪な暗い陰が落ちている。
強い風が、北寄りの方角から吹いてきた。繁茂する草木のざわめきが、しばし彼らの耳を閉ざした。
「そういうことだ。」
風が止むのを待たず、低い声で睡骨は言った。視線を当てもなく外して、ふらりと、風に流されたかのように上体を揺らしながら煉
骨のそばを通り過ぎる。左手を、少し迷いのあるかのようにゆっくりと持ち上げて、煉骨の肩に置く。
「分かれよ。」
ぐいと強く押した肩の感触は、煉骨らしく、少し凝っていた。

どこに行こうと考えつく前に、足が坂道を下ってゆく。ひどい空腹感だったが、まるで止まる気はしなかった。このまま麓まで行っ
てしまうのだろう、と他人事のように思っていた。
(今度はあいつが悩むんだろうな。)
自分の役割を放棄したことになるのかどうか、よくは分からなかった、というよりも、突き詰めるつもりがなかった。たとえ一時的
であっても、胸のつかえが雲散霧消したことが、嬉しかった。
「ふふっ……。」
笑いが込み上げる。
「あとはあいつから、何か言ってくる。俺は、どちらでもいいように、構えてるだけだ。」
睡骨には、二つの考えしかなかった。先のことを考えれば考えるほど、ひとり重苦しくなるだけだったので、差し当たり何をすれば
軽やかな心地を手に入れることができるかということを、おそらくは本能が率先して考えたものと思われる。雄という性にとっては、
まさに危機と呼ぶべき事態であったのだから。
考えた一つは、今しがたこなしてきた通り、すべてを打ち明けてみるということであった。それにより、煩悶する役割を、まずは相
手に転嫁する。その結果、相手は何らかの判断を下すであろう。この場合、言い表し方はどのようになるにせよ、詰まるところは受
容か、拒絶、この二通りのどちらかとなるのは間違いない。
受容、と答えをもらった際に、どうしようかというのは睡骨は考えていない。彼の頭に、唯一残っている考えは、拒絶という二文字
を突き付けられた時に、このように答えようということだ。
「ありゃ冗談だぜ。まさか本気で考えてたのか?そりゃあ……すまなかった。」
真っ赤になって怒る煉骨の顔が見えるようだが、数日の間は話をすることもままならなくなるような気がするが、最終的には煉骨の
態度は元のように戻るだろう、と睡骨は踏んでいる。受け入れられないと判断した事象が、実は元から存在していなかったのだと知
らされて、最初に大きく沸き起こる感情が何であるにせよ、いつかは必ずや心からの安堵を覚えてむしろ歓迎するに違いない、と思
うからだ。
(女に情がいっちまってた、とでも言えばいいさ。)
睡骨の足取りは軽い。下り坂であるので、あまり浮かれた歩き方をしていると不測の事態ともなりかねないが、そうした状況を幾度
かすっかり忘れてしまうくらいには、心も体も軽かった。しかし、彼は常に本能に助けを求めてしまうような、理性の発達していな
い子供ではなかったので、本能で導き出してきた二つの考えの他にも様々な可能性があり得ることに気づいたのは、そう遅いことで
はなかった。彼はまず、拒絶という答えを貰った場合に、うまい言い訳をして元の通りに二人の関係を戻したとして、それで自分の
内部は収まりがつくのだろうかという疑念を抱いた。また受容という答えを貰った場合には、どのような返事をするのか。いったい
どうしたいのか。すぐにもそうした行為に直接に及んでしまいたいのかどうか。思えば、自分が何をしたいのかということの欲求の
具体化さえ、満足には行えていないことに気づいて、彼は突として、漠然とした感覚ではあったが何となく、不安になった。
(まあ、万が一だ。そんな返事があの男の口から飛び出してくるなんざ、とても思えねえが、しかし万が一ってなあ、万が一ならあ
り得るんだから。万が一……そりゃあ、俺ぁガキじゃねえんだから、そりゃあ、まあ……。)
ないに等しい可能性とは思いつつ、何か強烈に引きつけられるものがあって、睡骨はしばらくその考えに没頭した。筋道立てて思考
を積み重ねていくというのではなくて、あきらかにひとつの段階に集中して想像を巡らしていたのだったが、思っていたよりはすん
なりと、その想像が独り歩きでも始めたようにどんどんと未知の領域へも踏み込んでいこうとするので、目の前を行く人を引き留め
るためにするように、睡骨は、実際にも両手を伸ばして急いでその想像を無くさせた。
(ま、まあ、長い付き合いだからな。それなりにいろいろと、見たこたあるし。)
すでに山道は抜けていたが、まるで気づかず、立ち並ぶ家々の間を睡骨はずんずん進んでいた。
(こんなこと考えてたって、どうせ返事は……。俺は、まだ、本気で男に懸想したなんて、まだ、決まったわけじゃねえんだから。
あいつに返事もらって、その後、冗談だってことにしちまってその後だ、本当に冗談にしちまえるように。……俺は、まだ、本気で
あいつに、芯の芯から、惚れちまってるわけじゃねえ。そうだ、俺だってまだ人生半分も生きてるわけじゃねえんだから、そうさ、
こういうこともあるさ。)
雇い主の家臣たちが居を構える一帯を抜けると、雰囲気がまるで別の世界に来たように変わって、盛んに飛び交う人声にはっとさせ
られ、睡骨は、ここで初めてすでに麓に到着していることに気づいた。
考えることをやめて、辺りを見回しながら歩いていると、なるほど一度は見た景色のような気がするが、あまり覚えがないので初め
て足を踏み入れた町における旅人といった体(てい)で歩く。まだ明るいとはいえ、もうだいぶん日は西に傾いているので、なおさ
らそのように見える。が、荷物を持っていないので、声をかけようとするそちこちの店の呼び込みたちは、みな一瞬不思議そうに首
を傾げる。
道を進むにつれ、人の数はどんどん増えていった。露店や見世物小屋などもそのうち見えてくるのだろうが、あまりそうした場所を
楽しめる気分ではなかったし、これから山道を引き返して行って、仮寓(かぐう)に到着するのがおそらくちょうど日暮れ頃となる
だろうことから、睡骨は立ち止まり、しばらく人ごみを眺めていてから、くるりと踵を返そうとした。その時、
「何でえ、お前、来たのか。」
馴染みのある少年の声が、高く響いた。
「ああ、蛇骨……。」
こちらに走ってくる少年、蛇骨は、遠くに見えた時点では、まるで少女のように見えた。
「兄貴は?」
「煉骨?いや、俺一人だ。」
首を振って睡骨が答えると、蛇骨はふうんと声を漏らして少しうつむいた。
「そっちは、大兄貴は?」
「一緒だよ。おお……あ、あれ?」
蛇骨は、後ろにその人物がいるものと思っていたらしいが。
「あ、あれ、大兄貴は?」
「何でえ、迷子か。」
「大兄貴ぃ!ああもう……。」
「そのうち来るんじゃねえか。」
「まあ、方角の分らねえ人じゃねえからなあ……。」
道の真ん中に立って、二人はしばらく黙っていた。
「なあ、睡骨。」
「うん?」
「兄貴と話したんだろ?」
「おお……。」
「ふうん。」
「…………。」
「あんまり心配かけんなよなあ。」
「ああ?」
「あんまり心配かけんなっつってんだよ、馬鹿。」
「……今日はずいぶんてめえに馬鹿にされる日だな。」
「しょうがねえだろ、てめえはよお、歳の割に何だかめんどくせえところのあるやつだし。」
「めんどくせえところ、か。なるほど。」
「納得してんじゃねえよ。」
「俺もときどき、めんどくせえなあって思うんだけどよ、まあしょうがねえよな。俺一人で片がつく問題なら、幾らでも片してやる
んだけどよ。」
賑やかな声が上がる方へ、睡骨はひどくぼんやりとした目を向けている。背筋を張って、首を伸ばして、いつもよりもさらに上背が
あるように見えるのを、蛇骨は横目に、少し睨みつけるように見上げている。
「大兄貴は蛮竜は持ってねえのかあ?」
「持ってねえよ。」
「じゃあ、本人はちっこいからなかなか見えねえな。」
「そうだな。」
「拗ねた声出すなよ。ガキだな、てめえも。」
「うるせ……。」
「お、あれかな?」
覚えのある姿が視界をかすめた。右手を髪の生え際に持ってきて光を遮り、再びその姿を見出そうとする睡骨の肩に手を置き、蛇骨
もまた同じような格好をして、次に求める人物の姿を見つけたのは、蛇骨のほうが先だった。同時だったかもしれないが、ともかく、
先に声を上げたのは蛇骨の方だった。
「兄貴!蛮骨の兄貴!」
勢いよく手を上げて、先ほどまでとは打って変わった、明るくかわいらしいくらいの声で蛇骨は叫んだ。
「何してんだ。」
「おお、睡骨も来てんのか。来てみろよ、おもしれえぞ。」
遠くから、大声出して答える頭目の姿もまた、かわいらしい、無邪気な少年と評するに何らの差し支えもない。
「何だよ。」
軽く跳躍して駆け出す蛇骨は、彼自身知ってか知らずか、しっかり睡骨の二の腕を掴んでいたので、自ずと睡骨も前のめりに、頭目、
蛮骨の下へといっさんに走り出す体となった。
(ガキじゃあるめえし。)
犬の鳴き声が聞こえた。どうやら、動物を使った見世物が行われている様子である。
「何でえ、こんなんやってたのか。」
するりと睡骨の腕を離れて、蛇骨は先へ行く。引っ張るものがいなくなったので、大して乗り気でない睡骨の足はほとんど止まった
ようになった。その周りを、賑やかに行き過ぎてはちょと止まり、また行き過ぎる老幼男女、色鮮やかな人の波。自身の内面とはま
るで対照的なその光景に、睡骨はまるで夢でも見ているような心地になった。
背の高い睡骨は、ぼんやりとした目つきで、人々の波の上っ面を撫でるように見ている。色の白い女が視界に入るたび、素早く縫い
とめられる視線は、けれども似ても似つかない目鼻にたちまちに興を殺(そ)がれて、また浪間の木の葉のように漂い始める。
何の気なしに、ふいと背後を振り向き、睡骨はそこに見慣れた男の姿を見出した。自身に劣らぬ長身に、丸めた頭、怜悧の気を纏う
横顔。
「煉骨……。」
呟き、足を踏み出した睡骨の目の前に、しかし次の瞬間にはもう、その男はいなかった。驚いて、右に左に何度も視線を巡らす睡骨
の背を、軽い手つきで誰かが叩く。勢いよく振り向くと、そこには蛇骨が立っていた。睡骨の勢いに、こちらも驚かされた格好で、
目を丸くしつつ、どうしたんだよ、と少しどもりながら言う。
「いや、……何でもねえ。何だ?」
辺りを気にする様子を見せる睡骨を、蛇骨は訝り、首を傾げる。その背後から、ひょいと顔を出して蛮骨が言った。
「銀骨がいたんだ。行こうぜ。」
「銀骨?」
「そうだよ、行こうぜ。」
親指で、その銀骨を見たという方角を指し示し、蛮骨は歩き出す。それは今の今まで睡骨が向いていたのとは、まったく逆の方角だっ
た。
「大兄貴。」
「何だよ。」
「煉骨、じゃないんだな?」
「煉骨って、お前、煉骨と銀骨、見間違うか?」
「いや、その……さっき、煉骨を見たような気がしたもんでよ。」
「へえ、じゃあ来てんのかもな、あいつ、銀骨のことかわいがってっからなあ。」
笑って先頭を行く蛮骨。その後を、きょろきょろ盛んに辺りを見回しながら歩いていた蛇骨が、突然ぴょんと飛び跳ねて、はしゃい
だ声で叫んだ。
「いた、いた、銀骨、おーい。」
蛮骨からは見えたのかどうか。その目線の位置はあまりにも低いので、睡骨には分からない。だが蛇骨の指差した方角に、一番に駆
け出して行ったのは蛮骨だった。無邪気なものだと、睡骨は心底、兄貴分であるその年下の男を好ましく思った。緩む口元。一方で、
頬の辺りは攣(つ)ったように動かない。
(そうだ、俺が麓に来てるなんて知らねえもんな。掃除終わりの息抜きってことなら、あり得るかもな。)
蛮骨の背中が見えなくなり、蛇骨の背中も、間もなく人の波に呑まれて消えた。その向った先に、睡骨は確かに銀骨の目立つ赤髪を
見ていた。しかしそばに、煉骨らしき男の影は見えない。
(来てんのか、来てねえのか、来てんのかな……。)
睡骨の両足は、地面に根を張ったように動かない。心臓が、途端に大きく鳴り出すのがいまいましかった。彼は、どちらでもよかっ
たはずだった。答えを出した煉骨が声をかけてくるまでは、自由気ままに日を過ごしておればよいのだった。煉骨が悩みを深くして
ゆくであろう様を、他人事のように眺めていればよかったのだし、そうしようという心積もりもあったのだった。彼はとにかく重
苦しさから解放されたかったので、それが叶った今はただ喜ばしく日を過ごしておればよいはずであったのに、何故であろうか。誰
に会うかもしれないと、言葉を交わさねばならないかもしれないと、まったくどうでもよいはずのことに、何故にこれほども鮮やか
に、一瞬の内に身を切り刻まれるかのような苦しみを味わわねばならないか。
「俺はまだ……。」
強く唇を噛み締める彼の形相は、彼の周りから人の流れを消失させた。
(俺はまだ、それほどあいつに、惚れてるわけじゃねえはず……!)
ぶるりと拳を震わせて、睡骨は地面から己の足を引き剥がした。銀骨の赤髪に、背を向ける。襲い来た嵐は、まったく予期せぬもの
だった。穏やかな海原など、その発生源たる彼の目にはもはや映り込む一片の余地とてない。やり過ごすことができれば幸いである
が、しかし、己(おの)が内部に生じたものが、いったいどこへ自然と去ってくれるというのだろうか。分からない。ただ今は、自
然と去ってくれることを信じて、堪(た)えて、待つのみであった。




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ちょっとあとがき

まずは私信:承ったリク内容にはあまり合致してなくてすみません。まだ続く感じで考えてるので、気長にお待ちいただけたらなと
思います。とりあえずこれは発端編ですかね。

さてさて…ありがたくも許可いただいたので、この話を書いてく上で大いに参考にさせていただくつもりの絵をこちらに。まだこ
こまで発展してないんですけど、最終的にはこの関係を目指すぞ!ということで。できれば台詞も取り入れてみたいなあ、と思うの
で、続きを書くとすれば来年夏、でしょうか。もちろんそれまでにも別の七人隊話は書きたいと思っておりますが。
短い話のわりになかなか更新がすすみませんでしたが、読んでいただきありがとうございました!


↑来年夏、と書いてるところ、ものすごーくずれ込んでることをお詫びいたします…(2009.7)


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