警察・右翼一体となった暴力行為に抗議する
八木隆次
私は7月4日から6日に3日間、G8サミット反対の諸行動に参加するために、北海道札幌市に滞在していました。7月5日に実施された「チャレンジ・ザG8・市民ピースウォーク」の終了後、大通公園で他の参加者と話し合いをしていたところ、右翼との間でトラブルが発生し、その過程で、警察官と思われる人物と右翼の構成員から、暴行を受けました。G8反対勢力に対する、警察・右翼の一体となった暴力行為に、強く抗議します。
警察官と右翼による暴行を受けた経緯は、以下の通りです。
5日のデモ行進では、参加者3名・取材記者1名の計4名が警察によって逮捕されました。デモ終了後に参加者のうち有志の数十人が、逮捕された人々への面会を求め、札幌方面中央警察署を訪れました。しかし警察側が面会を拒否したために、一行は警察署そばの大通公園に向かい、今後のことなどについて相談をしていました。
しばらくすると、大日本愛国党の街頭宣伝車が現れて、大通公園沿いの路上に駐車し、拡声器を使用して「G8に反対するものは射殺しろ」などの、殺意を表す叫び声をあげ始めました。大通公園にいた人々は街頭宣伝車の方向へ移動し、右翼に対して抗議を始めました。そうした中で、抗議者の一人が路上に飛び出し、街頭宣伝車の前面に付けられた垂れ幕をはがそうとしました。私は、その人の前に立って行為を止め、公園内に押しやりました。
そのとき、何者かに突然に背中を強打され、引き倒されるように体を引っ張られました。振り向きざまに相手の手を払うと、そこには、年齢は50代後半から60代前半・白髪・めがね・ワイシャツ姿の男性がおり、「このやろう」と怒鳴って威嚇してきました。その後も、私たちと右翼の対峙がしばらく続きました。その中で今度は、私の背後にいた右翼の構成員が腕を使って、私の首を絞めてきました。このときも自分の力で振りほどきました。やがて、機動隊部隊が到着し、右翼の街頭宣伝車は、その場所から立ち去りました。
私は2つの暴行について被害届を出すために、札幌方面中央警察署を訪れました。警察署内に通され、しばらくの間、上記のような状況を説明しました。調べにあたっていた警察官はよく話を聞いてくれたのですが、何度か部屋を出入りした後に、「現場にいた警察官に確認したところ、右翼の身体は警察官が抑えており、暴行事件は無かったと言っている」、「目撃者がいたら連れてきて欲しい」と言われました。しかし私が2つの暴行を受けたとき、周辺に知人はいませんでした。警察官は、「目撃者がいなけれれば被害届を受理することはできない」と言い、私はやむなく警察署を後にしました。
翌6日、諸行動を終えて神奈川県の自宅に帰り、パソコンを使って、G8関連のサイトや記事を見ていました。すると、英語の写真サイト「flickr」の中に、私が暴行を受けた瞬間の写真が掲載されていました。その写真を見ると、最初の暴行を行った男は警察官らしいことが判明しました。また中央警察署で「現場にいた警察官に確認したところ、右翼の身体は警察官が抑えており、暴行事件は無かったと言っている」と話しがあったことを前述しましたが、私の首を絞めた右翼の前に立っていたのも同じ男でした。
札幌方面中央警察署が、暴行の被害届を受け付けなかったのは、目撃者がいないからではなく、暴行の当事者が警察官だったからなのです。
6日と7日、札幌方面中央警察署に電話し、被害届の受理を再要請したところ、「写真があるのであれば、被害届を受理します。札幌まで来てください」とのことでした。数日中に、再び札幌を訪れることになるでしょう。
警察は、5日のデモ行進に参加した私たちの仲間4人を不当逮捕しました。また政府は、韓国を始めとした諸外国からの抗議行動参加者の入国を認めず、強制退去させています。しかしその一方で、警察は右翼と一体となって、G8抗議者への襲撃を行ったのです。襲撃を企画し、暴行を働いた警察官の処罰を勝ち取るまで、私は追及を続けます。
●flickrのアドレス
http://www.flickr.com/photos/powless/
●写真の解説(写真は全て、powlessさんが撮影し、flickrにアップしたものです)
01 「G8反対者は射殺しろ」と叫びながら、愛国党の街頭宣伝車がやってきた。
02 右翼に怒り、垂れ幕を剥がそうとする抗議者と、押しとどめる私。
03 「このやろう」と罵声を飛ばしながら、私を引き倒そうとする男。
04 私の首をしめた愛国党の男。私を引き倒そうとした男は、警察官だったようだ。
05 抗議者にむかって、何度も突進してこようとする愛国党。警察も本気で止めてはいない。