韓国民衆労総が「2009全国労働者大会」を開催
50000人がイ政権との対決決意を固める

2009年11月8日
韓国・ソウル・ヨイド公園


 韓国労働運動のナショナルセンターである民衆労総は11月8日、「チョン・テイル烈士精神継承 2009 全国労働者大会」を開催しました。会場となったソウル市のヨイド公園文化の広場には、傘下の労働組合や民衆運動団体・市民運動団体の関係者など、約5万人が集まりました。韓国では、イ・ミョンバク政権によって、労働法制の改悪や公務員労組の非合法化などの労働組合潰しが進んでいます。こうした状況の中で5万人の労働者と民衆は、イ・ミョンバク大統領の退陣を強く訴えました。
 以下は、09年全国労働者大会の写真レポートです。


全国労働者大会の前日には、「前夜祭」が行われました。「前夜祭」は労働者グループによる歌や踊りが披露され、その合間にさまざまな組合からの決意表明が行われます。
船舶のイカリを前に演説しているのは、民主労総に最近加盟した港湾労働者組合の代表です。「これまでは労働者の連帯活動には係わってこなかったが、これからは労働者らしく闘う」という演説だったようです。

「前夜祭」のトリは、73日間に及ぶ籠城を闘い抜いた双龍自動車労働組合のみなさん。会社側との闘いをミュージカル風にアレンジ。
最後は舞台から会場に降りて踊りを披露し、参加者から大きな喝さいを受けました。


深夜から降り出した大雨は午前中も続き、「こりゃ見物も大変だ」と思っていましたが、労働者大会が始まる頃にはウソのように雨が上がりました。
会場になったヨイド公園には、次から次に労働者や市民が集まってきます。

さまざまなコスチュームで自分たちの活動を紹介する労働組合や市民団体の皆さん。

パネル展なども行われていました。こちらは、ソウル市内龍山地区での居住民追い出し問題の展示です。

午後3時、全国労働者大会が始まりました。

集会の最初は、単産・単組の組合旗の入場です。

最前列に並んでいるのは、民衆労総・民主労働党・韓国進歩連帯などの代表者です。真ん中にいるおばあさんは、チョン・テイルさんのお母さん。

イム・ソンギュ民主労総委員長の基調報告。舞台の上で、組合員から受け取った赤い鉢巻を頭に絞めたイム委員長は、公務員組合の非合法化や双龍自動車労組問題など、イ・ミョンバク政権のによる民主労総弾圧を強く非難。12月に80万ゼネストに突入することを宣言しました。


演壇で続く発言に、労働者たちは真剣に聞き入っています。





司会者の発するシュプレヒコールに合わせて、参加者たちは色とりどりのプラカードが掲げました。







途中で歌が入り、集会をさらに盛り上げました。

演説しているのは、統合公務員労組のジョン・ホンジュ委員長。3単産が合併し、14万組織になった統合公務員労組に対して、イ・ミョンバク政権は組合の非合法化を含むさまざまな攻撃を加えています。

発言の最後はチョン・テイルのお母さん。イム・ソンギュ委員長に支えられて登壇したお母さんは、「労働者よ一つになれ!一つになれば勝てる!」と訴えました。


いつのまにか演壇の横に、ロケットが用意されていました。
「イ・ミョンバクよ、地球から去れ!」という掛け声とともにカウントダウン。

そうしてイ・ミョンバクロケットは宇宙へ向けて発射され、労働者大会は終わったのでした。

ハングル語ですが、以下のサイトで労働者大会の記事を見ることができます。
●民衆労総のサイト  http://nodong.org/183214

●チャムセサンのサイト http://www.newscham.net/news/view.php?board=news&nid=54946


社会進歩連帯へ表明訪問
 「全国労働者大会」への参加に先立ち、社会進歩連帯の事務所にお邪魔して意見交換をしてきました。社会進歩連帯側からは、パク・ハスン共同運営委員長、イム・ピルス政策委員長をはじめ5人の皆さんが私たちを迎えてくれました。

 最初にパク共同運営委員長は、現在の政治・社会情勢のポイントとして、@双龍自動車に見られる雇用悪化と労働運動、Aイ・ミョンバク大統領による民衆労総弾圧、Bムゴンリ訓練場拡張問題、C韓国軍のアフガニスタン派兵、D国家保安法弾圧――の5点をあげました。
 金融危機以降、経済状態が悪化する中で、民間企業では賃下げなどの雇用条件の悪化が続いているそうです。双龍自動車では会社側から整理解雇が提案され、労組は77日間にわたって職場を占拠し、ストを続けましたが、解雇を粉砕することはできませんでした。闘争が長期化する中で指導部が次々と逮捕され、その間に労使協調派が労組の執行部を握り、闘争は終結。その後、労使協調派によって民衆労総からの脱退を求める組合員投票が提起され、脱退支持票が多数を占めてしまったそうです。しかし民衆労総への残留を求めるグループは、投票提起に手続き上の瑕疵があったとして、無効を主張しているとのことです。
 民間労組では危機意識が高まり、労働運動の再建が叫ばれているようです。

 公務員を巡っては、全国公務員労組・民主公務員労組・法院労組の3単産が合併して、統合公務員労組が結成されました。合併によって組合員14万人になった統合公務員労総は民主労総に加盟し、民主労総内では金属労組に次ぐ第2単産になりました。
 こうした事態に危機感を募らせたイ・ミョンバク政権は、公務員が民衆労総に加盟すれば民主労働党を支持することになる、それは公務員の政治的中立を犯すことになる――という理由で、統合公務員労組に加盟した組合員に対する解雇や脱退強要などを行っているそうです。ま統合公務員労組そのものの非合法化を進めようとしているとのことです。
 公務員以外でも、とりわけ公共部門に対するイ・ミョンバク政権の弾圧が続いているようです。労組弾圧が続く中で、通信部門の労働者を組織するKT労組が、民主労総から脱退しました。また地下鉄関連労組の中からも、インチョン地下鉄労組が民衆労総から脱退しました。他の地下鉄労組にも波及する動きがありましたが、ソウル地下鉄労組では代議員の多数派が脱退反対になり、またソウル都市鉄道労組では脱退反対派から新しい委員長選出されたそうです。

 ムゴンリの米軍訓練場拡張問題では、情勢は深刻化していますが、運動がなかなか広がらないそうです。また韓国軍のアフガニスタン派兵については、イ・ミョンバク政権が来月中にも国会での立法化をめざしているとのことで、多くの民衆団体・市民団体が反対運動を行っているそうです。

 国家保安法については、この間にいくつかの団体に適用されており、社会進歩連帯も対象団体としてリスト化されたそうです。

そうした事態の中で、韓国の諸団体は「反イ共同闘争本部」を結成して、イ・ミョンバク政権との対決色を高めているとのことでした。


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