【大陸記】 この世界は「大陸」の二文字で呼ばれている。 大陸は大陸であり、別の名前で呼ばれる事は無い。 歴史に残されている限りではこの大陸は大きく3つの時代に別けられる。 まずは最古の記録に残る聖魔戦争時代。 次に魔法文明時代。 そして近代である。 それぞれの時代について簡単に説明をしてみよう。 - 聖魔戦争時代 - 聖魔戦争はこの「大陸」を光の神と闇の神が発見し、その所有権を巡り争ったのがその発端だ。 光の神は人間を生み出し、闇の神は異界より魔族を呼び出して、 元々この世界に住む精霊族(ここでは精霊族と共に戦ったエルフや獣人もまとめる事にする)を加えた三つ巴の戦争を始めた。 戦争は長い期間を経て徐々に人間が勢力を拡大し精霊族を僻地に追いやり、魔族をこの大陸から追い出す事で終結したとされる。 この戦争で生まれたあるエピソードは今でも民衆の間に語り継がれているようだ。 その1つをここで少しだけ紹介しよう。 ・魔剣使いの少女 戦争末期に人間同士の間で内乱が発生した。 その内乱に巻き込まれ、家族を失った一人の少女は一振りの魔剣と出会う。 黒く輝く魔剣は少女を主として認め、少女もその魔剣の力を欲した。 少女は魔剣を手に家族の仇を探し歩き、その過程で何人もの人間の血にその手を染めてしまう。 黒き魔剣は持ち主の悲しみ、怒り、憎しみといった負の感情を糧とする為に、 少女の心をつねに蝕み続けた。 そして少女はやがて聖剣を手にした一人の剣士と巡り合う。 剣士は少女を救おうとし、少女もやがて剣士に惹かれて行った。 しかし、魔剣に魅入られた少女はその呪縛の支配から逃れる事が出来ず二人は戦う事となる。 - 魔法文明時代 - 聖魔戦争に勝利した人間は魔法による文明を築き上げ、栄華を極めて行く。 文明は発達し、人々の暮らしは豊かになるが発達しすぎた文明は同時に諸刃の剣となった。 人間同士で争いが始まった時、魔法文明は戦争の力として利用されやがて人々は最強の兵器を生み出してしまった。 それは魔神と呼ばれ、その力は聖魔戦争で伝えられる混沌竜や光翼姫をも凌駕する力を有していた。 魔神はある日突然人間の手を離れ、大陸中を炎の海に変え、魔法文明を灰にするまでに至った。 人間の滅亡も間近となった時、魔神を打ち倒す存在が現れた。 その存在については文献には「神竜」とだけ残されており、その詳細は明らかにされていない。 ・魔法文明時代の記録は聖魔戦争時代以上に曖昧なものが多く、解読には非常に困難を極めている。 一説には魔神とは魔導兵器の一種、神竜とは精霊族に力を与えられた人間が操る魔導兵器とされているようだ。 ・創られた神竜伝説 神竜の伝説は大陸の間で人々の想像により創り上げられたとされる一説がある。 それは困難を極める復興の中で光の神を信仰する権力者が人々に希望を持たせるため、 そして光の神への信仰を衰えさせないために創り上げられたと考えられる。 神竜伝説は次のように伝えられている。 『魔法文明の崩壊の時に、人間達が滅びるの憂いた光の神は一人の巫女を選びだした。  光の神はその者に「神器」と「神衣」を与え光の巫女とした。  光の巫女は希望を失った人々の心を「平穏の願い」の力によって救い、  人々を襲う魔神を天界より呼び出した神竜の力によって打ち滅ぼした』 - 近代 - 魔法文明の滅亡以降、少しづつではあるが人間とエルフ、獣人の共存が始まった。 また、非常に希少ではあるが魔族の血を引くものも人間と隔て無く生活するようになった。 国家は今までのように種族による1つの国という概念は薄れ、地域ごとに国のようなものが形成されるようになった。 発展した国では魔法文明時代の遺産を元に技術の研究も進められている。 そしてまた、歴史が繰り返されようとする兆しが見え初めていた…。 以上、簡単にこの世界の歴史をまとめてみたがいかがであっただろうか。 このレポートでこの世界に対する理解が少しでも深めて頂けたなら幸いである。