くそっ!!ここはライバルが多すぎなんだよっ!

 だが、並みの奴らなんか相手じゃねぇ。

 俺の一番の強敵は………アイツだろうな。




戦え!神田さん




 昼少し前、俺はある人物を探していた。

 そいつは女で、名前をという。

 教団の医療班に所属していて、笑顔で治療をする。

 この教団の中で人気はナンバーワンだろう。

 いつも周りに人が絶えなくて、探索部隊の奴等もに話かけている。

 現に、やっと見つけた今もに話しかけている探索部隊の奴等がいた。




「神田じゃない。どうかしたの?」

「メシに誘いに来た」

「もうそんな時間?うん、ご飯に行こうか」




 が嬉しそうに、今まで話していた探索部隊の奴等にも声をかけていた。

 何で俺がそいつ等と一緒にメシを食わなきゃいけねーんだ。

 ギロリと睨むと、あいつ等は冷や汗を浮かべて去っていった。

 お前等がを誘おうなんざ、10年早ぇよ。



 

「あの人達どうしたんだろうね?」

「用事でもあったんだろ。さっさとメシに行こうぜ」




 適当な言い訳をし、を連れていく。

 明らかに俺が睨んで去らせたのに、




「そっか〜。用事なら仕方ないよね」




 と残念そうに言っていた。

 …………鈍い奴だな(汗)

 まぁ、その方が好都合と言うか……

 いや鈍すぎても困るな。

 だったら、を振り向かせるには………

 色々と頭の中で画策しているうちに、俺達は食堂へ着いた。




「良かった。まだあまり人がいないね。神田は何を食べるの?」

「蕎麦だ」

「えー?またお蕎麦ぁ?栄養が偏っちゃうよ」

「メシなんて腹に入れば同じだろ」

「む。医療班の私の前でそんな事言うー?」




 頬を膨らませて怒るも可愛いと思いつつ、俺はジェリーから蕎麦を受け取った。

 は和食セットにしたようだ

 最近は和食が多いな。

 トレイを持ち、空いてる席に座った。




「「いただきます」」




 会話をしながら食事を進める。

 と言っても、喋るのは殆どだ。

 俺は聞くだけ。

 そして時折周りを睨む。

 そうすれば誰も俺達の周りにやって来ない。




「あ、。ここ良いですか?」




 例外もいるけどな(怒)

 モヤシはトレイに山盛り乗っている食事を置きながら、の反対隣に座った。




「邪魔するな」

「えー?何の事ですか?僕には判りませんね。ねぇ?」

「うーん……何が邪魔なの?」

「チッ」




 小さく舌打ちして蕎麦を食べる。

 まさかモヤシが邪魔だと言えるはずがない。

 言ったら、のどんな制裁が来るか……

 不機嫌さに拍車をかけながら蕎麦を食べていると、横から楽しそうな声が聞こえた。




「相変わらずたくさん食べるねー。お腹壊さないようにネ」

「大丈夫ですよ。それに、何かあったらの所に行きますから」

「私は暇なのが一番なのよ。
 でもアレンはちゃんと栄養のバランスが取れてるから偉いわ。神田も見習わなきゃ」

「あぁ?別に俺が何食おうが勝手だろ」

「栄養不足で倒れられたら困るもの。だから『あーん』してv」




 が肉じゃがの皿にあった人参を箸で掴み、俺の口元に持ってきた。

 そ…それを俺に食えというのか?

 しかもここで!?

 ………つーか、それって…




「お前が人参嫌いなだけだろ」

「チャハ☆」

「笑って誤魔化すな。食え」

「大丈夫!人参以外で栄養を取ってるからvだからお願いっ!」




 ったく。しょーがねぇな。

 「次はちゃんと食え」と念を押しつつ、俺はその人参を口に入れた。

 人参を食いながら、ふと目線を上げると、モヤシが睨んでいる。

 あぁ。そんなに羨ましかったか?この間接キスが。

 勝ち誇った笑みを浮かべると、奴は何を思ったのか俺に笑い返してきた。




「ね、。このオムライス美味しいよ。食べてみない?」

「ホント!?食べたいっ!」

「はい『あーん』して」




 オムライスをスプーンに掬い、奴はの口元へ持っていく。

 は何の躊躇いなく、そのスプーンを口に入れた。




「ホントだぁ!凄く美味しいねっ」

「でしょ?他のも食べてみる?」




 に話しかけながら、チラリと俺を見てくる。

 ふーん……いー度胸だな。

 そっちがその気なら、俺にも考えがある。

 俺に喧嘩を売った事、後悔させてやるぜ。




、残りの人参も食ってやる」

「やったvありがと神田!はいあーん」

 


 が人参を俺の口の中に入れる。

 それを食べながらのトレイを見ると、人参以外にもの嫌いなピーマンもあった。

 これは…行くしかねぇだろ。




「そのピーマンも食ってやるよ。苦手だろ?」

「ありがと〜〜〜vv大好き、神田v」




 俺が一歩リードだな。

 そう思いモヤシを見ると…




「そうだ。この間任務の帰りにお菓子を買ってきたんですが、一緒に食べませんか?」

「え!?良いの!?」

「もちろんです。と一緒に食べたくて買ってきたんですから」

「嬉しい〜〜〜vアレン、大好きv」




 ふっと笑って見てくる。

 どうやら、俺ととことん張り合うらしいな。

 の頭上で火花が散る。

 あの手この手での気を引くが、お互い一向に決着がつかない。

 つーか、俺もモヤシもこれだけ好意を示しているのに、それに気付かないが一番堪える…

 鈍いにも程があるんだよっ!!

 さっさと気付け、天然女!




はこの後どうするんですか?」

「私は新薬の研究だよー」

「えっ……!新薬…ですか?」




 そう。の事でもう一つ厄介なのが、この新薬の研究だ。

 の趣味の一つで、手の空いてる時は必ずこの研究をしている。

 教団が使っている回復薬や、その他の薬はが開発したものだ。

 確かに回復薬なんかは重宝している。

 最早、教団には欠かせない物だろう。

 だが……ごく稀に変な薬を開発する。

 趣味なのか偶然なのかは判らないが、とんでもない薬を作る。

 そして…その薬の実験体になるのが俺達なんだ。




「今度は何を作ってる……」

「ん?秘密だよvあ、そうだ。神田かアレン、どっちか飲んでみない?」

「えっ!?」

「はぁっ!?」




 お前何つー事言うんだ!

 今までの作った薬を飲んで、大変な思いをした奴が何人いると思ってんだ?(汗)

 いや、待てよ…

 ここでの新薬に関わったら………

 もっととの時間をとれる!

 つまり、に俺をアピールで出来るわけだ。

 ………よし。ここは一つ男らしく!




「俺が飲む」

「ホント!?ありがと〜神田」

「ちょっ…本気ですか!?」




 喜ぶの横で、アレンが小さな声で聞いてきた。

 俺は何時だって本気だ。

 を手に入れる為なら何だってするぜ。

 お前みたいなモヤシとは違うんだ。







































 † † † † †




 昼食後、は俺を研究室に連れてきた。

 この部屋は殆どしか使わねぇ。

 奴もこの部屋へ来たがっていたが、それを何とか食い止めた。

 つまりこの部屋には俺との二人しかいない。

 しかもはここに泊まる事も多いから、簡易ベッドもある。

 これは…萌えるシチュエーションじゃねぇ?




「その辺テキトーに座って。はいコレ。新薬なの。飲んでみてv」




 が持ってきたのは瓶に入った錠剤。

 見た感じ、普通の錠剤と変わらねぇが………




「コレはどんな薬なんだ?」

「えっとね、ミランダさんのイノセンスを見て思いついたの。
 怪我しても、この薬を飲んだら怪我をする前の状態に戻るのよ」




 ふーん。詳しい事は判らないが、凄い薬なんだな。

 それを作ってしまうは天才というか………

 


「さ、飲んでみてよv」




 に促され、1錠だけ飲んでみる。

 流石にヤバイ薬はも作らないだろうから、その辺は安心できる…と思う。

 暫く様子を見てみるか。

 今度は二人っきりだから邪魔されねぇ。

 昼食のときみたく、俺はの話を聞いていた。

 しかし30分経っても何も変化がない。

 更に1時間。やはり変化がない。




「むむ。失敗だったかな?」




 が机の上の紙を睨みながら白紙にペンを滑らせていた時。

 微かな違和感を体に感じた。

 指の先の痺れに軽い頭痛。倦怠感。

 おかしい。

 目を閉じてそれらに耐えていると、が大きな声で叫んだ。




「どうしたんだ?大きな声を出して」

「いや…あの…その…コレを見てください」




 手渡された鏡を見てみる。

 鏡に映し出されていたのは俺じゃなかった。

 いや、正確には今の俺じゃない。

 十数年前の俺だっ…!!




「なっ………」

「神田が子どもになっちゃった!って事は新薬失敗かぁ。
 でもこの頃の神田、可愛いねv声も高ーいv眼つきだってそんなに怖くないよvv」

「はしゃぐな!!おいっ!どうするんだ!?」

「大丈夫だよ。中和剤もあるから」

「中和剤…あるのか?」

「うん。私ね、新薬を作る時は必ずその中和剤も作るの」




 中和剤があるなら大丈夫か…(汗)

 兎に角、こんな姿をあいつ等に見られたら、からかわれるのがオチだ。

 さっさと元の姿に戻らねぇと。




、中和剤をよこせ」

「もちろんあげるけど…その前に検査しても良い?何が失敗だったのか調べたいの」

「冗談じゃない。こんな姿を見られてみろ」

「神田が元に戻るまで、誰もこの部屋には入れないわ。それに医務室勤務は交代して貰うし」




 ………とこの部屋に二人きりか。

 それなら悪くねぇな。

 絶対に誰も入れない事をに約束させ、俺は検査に付き合った。




 それから数時間。

 検査を全て終えた俺は、漸くから中和剤を貰った。

 後は元の姿に戻るのを待つだけか。

 ったく、長ぇんだよ。マジで疲れた…

 隣を見れば、も疲れた様子をしている。

 明らかに眠そうだ。




、寝るならベッドに行け」

「うーん……そうする」




 はゆっくり立ち上がり、ベッドの方へ歩き出した。

 だがその途中で俺の腕を掴む。




「神田も〜…一緒に寝よ?」

「はっ!?お前何言ってんだ?」

「大丈夫〜……」




 大丈夫じゃないだろ(汗)

 の腕を解こうとするが、今の俺ではに敵わない。

 結局俺は、そのままに連れられてベッドに入った。

 


「ん〜…子供の体温って暖かい〜」

「ちょっ!!!離せって」




 ぎゅっと抱き付いてくるを離そうとする。

 しかしは完全に寝入っているから、抜け出せる事は不可能だった。

 ったく、しょーがねぇな。

 抜け出すのを諦めた俺は、寝返りを打ちの方を向く。

 ふーん。この姿も結構美味しいな。

 目の前にあるの胸の感触を味わいながら、俺も眠りについた。




 たまにはの新薬の実験に付き合うのも良いかもしれねぇな。




後書き
何なんだ…この話は…
私は一体、何を書きたかったんだろうって話ですよね(汗)
いえ、ちみっこ神田を書きたかったのですよっ!
神田の子供の頃はどんなんだったかなーって話になって(苦笑)
なんかもう、滅茶苦茶で済みません…(謝)
もっとがっつり勉強しますっ!!


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