今よりも少し未来のお話。
私を生み出してくれた世界の事を全て終わらせた私は、空間を越える錬金術を得ました。
そして神田と共に生きています。
トラブル☆トラベル
私達は今、ベルギーに来ています。
そこでアクマと遭遇し、破壊するために戦っているわ。
だけどあのアクマの能力は厄介ね。
空間を操り私達の死角から攻撃してくる。
でもね、それだけじゃ私達に勝てないわよ。
私も神田もイノセンスを発動し、アクマに向けて攻撃した。
その攻撃はアクマを完全に破壊できなかったけど、もう虫の息。
最後のとどめをさすべく、私達はアクマに近寄った。
「これで終りだ」
神田が六幻を構えた時、アクマは嫌な笑みを浮かべる。
「一人では死なない。お前らも道連れだっ!!」
アクマは最期の力を振り絞り、今までよりも大きな空間の穴を開けた。
ヤバイ!あの穴に飲み込まれたら、私達も無事ではすまないわ!
私は急いで神田の腕を掴み、空間を越える錬金術を発動させた。
まだ私のこの術は不安定な上、目的地を決めずに発動してしまった。
確かにあのアクマの作り出した空間から逃げられれば良いと思ったけど…
まさかココに来るなんて………(汗)
蒼紫の光の後、私達が見た光景は………
いきなり現れた私達に驚いている大佐とリザさんでした。
あのー…リザさん、書類を落としてますよー(苦笑)
「……まさか本当になのか?」
「……お久しぶりです、ロイ大佐」
「写真で見た事あるな…って事は、ここはのいた世界か?」
神田が訝しげに聞いてくる。
大佐がいるという事は、ここはセントラル…かしら?
はは…ははは……まぁ知らない所よりはマシよね。
「何故ここにいる?鋼のの報告書では、は異世界に帰ったとあったが」
「ちょっとしたアクシデントがありまして」
「それはの使う錬金術に関してか?」
「え?えぇ、そうですが…」
「そうか…中尉、悪いが席を外してくれたまえ」
「了解しました」
リザさんが一礼をして部屋を出て行く。
大佐が『あの事』を知っているという事は、話はつけやすいわね。
何も知らない人の所に着いていたら大変な事になってたもの。
着いた先が大佐の執務室で本当に良かったわ。
「で、そのアクシデントとは」
「実は任務中に空間を越える錬金術を発動させたんです」
「ならば彼もこの世界の住人ではないのだね?」
「はい。彼の名は神田です。神田、知ってるだろうけど、この人がロイ大佐よ」
「『知っている』?」
「一度写真を見せた事があるんです」
「なるほど。では、その錬金術について研究した所まで聞かせてくれたまえ」
私は大佐にここに来る経緯と空間を越える錬金術に関しての研究過程を話した。
大佐もこの錬金術に興味を持っていたらしく、真剣に話を聞いている。
時折質問してくる大佐に、私も判る範囲で答えた。
こういう大佐を見ていると、ホントに有能だと思うんだけどな。
アレさえなければ……ね(汗)
大佐は何故か何時も私を見ると口説いてくるのですよ…
話が一通り終わると、大佐はおもむろに立ち上がり、私の元へ歩いてきた。
「何よりに会えて嬉しいよ。私は君に会いたかった」
うえぇぇぇぇ!?ロ…ロイ大佐が私を抱きしめていますよ!!
今回は態度で示していますよっ!
え?えぇ?ちょっと困りますーー(汗)
だって私には……
大佐の腕の中でもがくけど、大佐は離してくれない。
どうしようか本気で悩んでいた時、神田がぐっと私の腕を引っ張った。
大佐も神田の行動を予測してなかったらしく、私は簡単に腕の中から抜け出せた。
うん。大佐の腕の中からは抜け出せたわ…
でもね、今度は神田の腕の中に収まってます///
「人の女に手ぇ出してんじゃねぇよ」
「………今何て言ったのかね?」
「人の女に手を出すな。は俺の恋人だ」
「寝言は寝てから言いたまえ」
神田と大佐の間に、険悪な空気が流れる。
って……大佐!何で発火布をはめてるんですか!?
神田も!六幻を抜かないでよっ!!
二人ともこの部屋で何する気ですかーーー!?
「待って!!神田も大佐も…」
「部屋を破壊する気ですか!?」と言いかけた私の言葉を、微妙に聞きなれた音が遮った。
『ガウン ガウン』と。
そう。リザさん愛用の銃の音です。
銃弾は神田と大佐の顔の丁度真ん中を抜け、壁に埋まっている。
流石の神田もそれには驚いたらしく、大佐との口論を中断させた。
「大佐、部屋を破壊するのは止めてください。机の上には重要書類もあります」
「ちゅ…中尉。何故この部屋に?」
「書類をここに置き忘れました。取りに戻った所、危険な展開になりそうでしたので」
流石リザさんv何時見てもカッコいいです!
やっぱり大佐のお守りはリザさんしかいませんね!
「ところで。あなた達はすぐに帰るの?」
リザさんは銃をしまい、私に聞いてきた。
そう。問題はソコなのよ。
空間を越える錬金術は、凄く体に負担がかかるわ。
一度使ったら、どんなに短くても24時間以降でないと再び発動できないの。
それは今までの研究で実証済み。
だから教団に帰れるのは、明日以降になってしまうのよ。
唯一の救いと言えば、あのアクマを破壊できた事かしら?
あんな大きな空間の穴を作ったら、アクマと言えどもひとたまりもないわ。
「ちっ。戻るのは明日以降だな」
「そうよね。なるべくなら早く戻りたいんだけど、こればっかりは…」
「それなら、あなた達の部屋は私が手配しておくわ」
「え?どうしてですか?」
「アクシデントでこの世界に来たのならこっちのお金、持ってないでしょ?」
あ…そう言われればそうよね(汗)
まさかセントラルに来るとは思っていなかったもの。
『センズ』は今持ってないわ。
「お願いします…神田もそれで良いよね?」
「あぁ、そうだな。世話になる」
そう言うと、リザさんは「少し待っててね」と言い執務室を退室した。
さて…と。私達はどうしようかしら?
ここにいると大佐のお仕事の邪魔になりそうよね。
「じゃあ大佐。私達もこれで失礼します」
「何故だ?折角の再会だ。もっと喜び合おうではないか」
「へっ?喜び合う?」
「そう。これから私とデートに行かないか?」
大佐は私の手を取り、ちゅっと甲に口付けた。
って…えええぇぇぇぇ!?
たたた大佐!!いきなり何をするんですか!?
「…よほど六幻の錆びになりたいようだな」
「君こそ、国家錬金術師を甘く見ないで欲しいものだな」
「はっ!そっちこそエクソシストを舐めんじゃねぇ!」
「そんなナマクラ刀で私を倒せると思っているのか?」
「てめぇこそ、そんな布で俺を倒すつもりか!?」
いやいやいや。神田も大佐も何険悪ムードを出してるんですか!?
またまた一触即発な雰囲気ですよ!!
いやー!今度はリザさんもいないのに(汗)
こうなったら私が…!
「神田も大佐も止めて下さい!!執務室が壊れてしまいます!
大佐はお仕事して下さい。神田、私達も出よう。大佐の邪魔になっちゃうから」
神田の腕を掴み、半ば強引に連れていく。
しかし、大佐が「待ちたまえ」と私達を呼びとめた。
ううん、正確には神田を。
「 」
大佐が神田に耳打ちをした後、神田は物凄い目つきで大佐を睨んだ。
そして私の手を取り、足早に執務室を出る。
大佐は一体何を神田に言ったの?
† † † † †
あの野郎のいた部屋を出て、と共に廊下を歩く。
つーか何なんだ!アイツは!!
明らかにに気があるじゃねーかっ!
しかも抱きしめやがって(怒)
そういえば…前にエド達も俺を睨んできやがった。
この世界でもは人気ありすぎなんだよっ!
現に今も廊下を歩いてると、すれ違う男が全員を見ていく。
それにしても、見すぎじゃねぇか?
その理由を探すべくを見た。
あぁ…そうか。そうだな。確かにこれじゃ見るよな(怒)
「。お前コレを着てろ」
「え?何で?ここはそんなに寒くないよ」
「いいから着てろっ!」
着てたコートを脱ぎ、無理やりに着させる。
当然俺のコートはには大きくて、その体をほとんど隠した。
ったく。教団の制服のスカートは短すぎるんだよ。
その所為で、ここにいる男共がを見ていくじゃねぇか!!
誰の趣味だっ!コムイか!?
帰ったらシメる!と責任転嫁をしていると、再びあの女に会った。
「あ、丁度良かったわ。今呼びに行こうと思ってたのよ」
「リザさん!もしかして…」
「えぇ、部屋の準備が出来たのよ。案内するわね」
そう言われて案内して貰ったのは近くのホテルみたいな建物だ。
あの女―リザだったな―曰く、軍関係者の施設らしい。
軍関係か…まぁあの野郎の執務室にいるよりマシだな。
「リザさん、案内はここまで大丈夫です。リザさんもお仕事ありますから」
「そう?じゃあ私は仕事に戻るわね」
「いろいろと有難うございました」
「何かあったら連絡してね」
そう言うと、リザは仕事に戻って行った。
はぁ。やっとこれで落ち着ける。
精神的に疲れた俺は、部屋に入るなりベッドに寝転んだ。
「大丈夫?神田…」
が心配そうに俺の顔を覗く。
大丈夫じゃねぇよ。誰の所為で疲れたと思ってるんだ。
そして蘇るあの野郎が言った言葉
『私は必ず君からを取り戻してみせる』
はっ!冗談じゃねぇ。を手放すかよ!
俺はの腕を引っ張り、バランスを崩させる。
腕の支えを失ったは、そのままベッドに沈んだ。
それと同時に、俺は体を反転させた。。
驚いているの頬に手を沿え、親指で唇をなぞる。
紅くふっくらした唇に吸い寄せられるかのように、自分のソレを重ねた。
初めは重ねるだけの口付けも、だんだん深いものに変わっていく。
その合間に、の着ている制服のボタンを外した。
今度は露になった白い首筋に口付け、赤い印を残す。
まるでは俺のモノだと主張するように―
† † † † †
翌朝、日の光で目を覚ました俺の横にはがいた。
あぁそうか。昨日は一緒に寝たんだったな。
ベッドから降り身支度をしていると、も起きた。
「おはよう神田」
「あぁ。おはよう」
何時ものように『挨拶』を済ませ、も身支度を始める。
そして遅めの朝食を取りながら、今日のスケジュールを話し合った。
はどうやら見たい研究書があるらしく、再び司令部とやらへ戻る事になった。
空間を越える錬金術が発動出来るまで、あと5時間か。
その間、あの野郎とだけは絶対に会いたくねぇな。
5時間後、俺達はアイツの執務室に向かっている。
が最後にお別れを言いたいと言ったからだ。
チッ。この5時間アイツに会わずに喜んでいたのにな。
会いたくねぇが、まさかを一人で行かせるわけには行かない。
しぶしぶ俺も行く事にした。
「失礼します」
ドアをノックし入ると、中にはアイツとリザがいた。
どうやら仕事中らしい。
はサボってばかりと言っていたが、珍しい事もあるもんだ。
「君達か。どうしたんだ?」
「そろそろ帰ろうと思って、挨拶に来たんです」
「…もうそんな時間か。がいなくなると淋しくなるね」
「すみません…でも私はあの世界で生きていく事を決めたんです」
「無茶はしちゃ駄目よ。カンダさん。をどうかお願いね」
リザの言葉に俺は無言でうなずいた。
必ずは守る。もう二度とあんな目に合わせねぇ。
が安心できるよう、帰る場所であるように強くなる。
「神田、そろそろ」
「あぁ」
「大佐、リザさん。本当にお世話になりました。皆さんにもよろしくお伝え下さい」
そう言い、は両の手を合わせた。
蒼紫色の光が俺達を包む。
空間転移の錬金術が発動したため、俺達の体はだんだんと透けていった。
もう少しで転移すると言う時、アイツがの頬に手を添えた。
「今度来る時は必ず君を私に振り向かせてみせるよ。楽しみにしたまえ」
なっ!!!んの野郎!
人の女に手を出すなと言ったのに、にキスしやがってっ!!
しかもキスした次の瞬間には、俺達は教団の前にいたから殴れねぇ。
絶対確信犯だっ!!
次あった時は六幻の錆びにしてやるぜ…
だがその前に。
「」
アイツにキスされて驚いているを振り向かせ、そのまま唇を奪った。
「神田っ!?門の前で何やってるの!」
「消毒だっ!消毒!!」
深く浅く、角度を変えて何度もキスするが、気持ちは収まらねぇ。
俺はを抱きかかえ、部屋へと向かった。
任務の報告だぁ!?
そんなもん後回しだっ!!(怒)
後書き
出来ましたー!
キリリクの「連載ヒロインで、ハガレン世界の男性陣の話を聞いてやきもちを妬く神田」です!
時間的には、「Those of fate 〜」の連載終了後だと思ってください(笑)
美鈴様が大佐好きと言う事でしたので、大佐を出しちゃいましたv
そしたら、ハボック少尉達が出せなくなってしまいました……
だって、出そうと思ったら終わんなくなっちゃったんだもんっ(爆)
こんなんで済みません(謝)
美鈴様のみ転載可でございます。
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