すきです。

 何回言えば、あなたに伝わりますか?






いちばんすき






!」

「ん?なあに?アレン」




 呼べば何時だって振り向いてくれる、僕の大切な人。

 は僕より強くて、エクソシストとしての経験も長くて。

 最初は尊敬してたけど、何時の間にかそれ以上の人になっていた。

 でも…を好きなのは僕だけじゃない。

 教団にいるほとんどの人は、を好きなんだ。

 それに僕じゃなくても…他の人が呼んでもは振り向く。

 僕だけのにしたくて、何度も何度も想いを伝えた。




「僕はが好きだよ」

「いきなりどうしたの?私だってアレンが好きよ」

「違うよ!僕が言ってるのはそうじゃなくて…」




 の好きは『みんな好き』の『好き』

 僕が欲しいのは、それじゃないんだ。

 何度も何度も言ってるのに、ちっとも伝わってない。

 どう言えば伝わるのだろう…

 ジレンマに悩んでいると、が僕の額を押した。




「アレン。あんまり眉間にしわを寄せてると、神田みたいになっちゃうよ?




 「ほらスマイル、スマイル」と微笑みながら言うの後ろには………

 うわぁ…見ちゃいけないモノを見ちゃったよ(汗)

 思いっきり眉間にしわを寄せたカンダが、の頭を叩いた。




「いたっ!!誰!?」

「誰が何になるんだって?」

「あら神田サンv今日も不機嫌そうにご機嫌麗しゅう☆」

「何だその挨拶は…つーか人を勝手に話題に出してんじゃねぇよ」

「良いじゃない。減るもんじゃないんだから」

「減る。お前の場合だと確実に減る」

「何がよっ!!」




 カンダと楽しそうに話す

 それだけでもムカツクのに、カンダは僕を横目で見ると鼻で笑った。

 カンダの方がとの時間が長いって言いたげだけど、それが何?

 はまだ誰も選んでない。

 カンダになんか負けない!!負けるもんか。




「大丈夫。僕は誰かほど怖くならないから」

「だよねぇ。アレンは優しくて紳士だもん。誰かさんと違って

「ほぅ…それは誰だ?」

「さぁ…あえて言わないけど、黒髪のポニーテールの人?」

、六幻の錆びになりたいか?」




 カンダは睨みながら六幻を抜く。

 もちろんカンダは本気じゃないし、もそれが判ってる。

 二人は何時もこんな感じでコミュニケーションをとっているから。

 カンダにこういう態度がとれる唯一の人物がだから、任務も二人一緒が多い。

 僕よりずっと長くと一緒にいられるカンダが羨ましい。

 ただがカンダの想いに気付いていないのが救いかな。




「ぎゃー。神田がいじめる!!たっけてアレン!」




 が笑いながら僕の後ろに隠れた。

 そしてそのまま僕の背中に抱きつくから、カンダが殺気を放ってるよ。

 カンダも判りやすいね。

 やっぱりは気付いてないけど(苦笑)




「モヤシから離れろ、

「いやでーす。神田が殺気を放ってるもん。それに私モヤシ好きだし」

「お前が離れれば殺気なんか放たねぇよ!」

「神田の殺気がおさまったら離れます」




 ベーっとが舌を出してカンダに反抗する。

 だからカンダの抑えるどころか、ますます殺気を放ってる。

 はぁ。僕を挟んで止めてほしいなぁ。

 ますます二人の仲を見せつけられるだけだよ。

 最初に僕が話しかけたのにな…




「アレン。アレンってば」




 が耳元で小さく囁く。




「え?何?」

「逃げよう」

OK。しっかり掴まっててね」




 は持っていた爆竹に火をつけ、カンダに向かって投げる。

 カンダがそれに驚いた一瞬の隙を狙って、僕はを抱き上げ走った。

 


 走って 走って 走って。

 目指した先は、僕が密かにトレーニング場所として使っている大きな木の下。

 ここならカンダも追って来れないだろう。

 うん。大丈夫。カンダは追ってきてないね。

念の為カンダの気配がないか確認した後に、僕はを降ろした。




「吃驚したー。まさかお姫様抱っこされるとは思わなかったよ〜」

「嫌だった?」

「まさか。貴重な体験をありがとうございました☆
 あれって以外とやって貰えないんだよね。
 憧れではあるけどさ、使い時がないっていうか」




 あははーと笑いながら話す

 どうやらはお姫様抱っこが気に入ったみたい。




「してほしかったら何時でも言って。お姫様抱っこをしてあげるから」

「えぇ!?ホント?ありがとう!でも結構恥ずかしいんだよね〜」




 頬を少し染めて、恥ずかしそうに笑うは凄く可愛い。

 その顔も、笑顔も怒った顔も泣き顔も全部僕のモノにしたくて―

 僕だけを見ていてほしくて。

 ありったけの気持ちを込めて伝えた。




が好き。一番好きだよ」




 は何て言う?

 何時もみたいに軽く受け流されるだけかな?

 を見ると、何かを考えているような難しい顔をしていた。




「………ずっと思ってたんだけど、アレンは私の事勘違いしてるよ」

「へ?勘違い…?って何を?」

「私のアレンに対する『好き』をね。勘違いしてるの」




 それって……僕は期待しても良いって事?




「確かにみんな好きよ。
 リナリーもコムイさんもリーバーさんもヘブラスカも好き。
 神田も好きよ。大事な仲間だもん。でもね…」




 は一旦言葉を区切ると、僕の背中に腕を回した。

 温かい。

 服を通しての体温が伝わってくる。

 その温かさに、今まで不安に感じてきた全てが払拭されるようだった。




「私はアレンが好き。アレンが一番好きだよ」

「ほん…とう?」

「本当。今まで『好き』って言ったのに信じてくれないんだもん」




 だってあれは、みんなにも言ってると思ってたから。

 実際リナリーに言ってるのを聞いたんだ。

 『特別』な好きだなんて思いもしなかった。




「女の子同士だもん。リナリーには軽い感じで言ったけど、男の人には言ったことないよ」




 「アレンが初めてv」とにっこり笑いながら言うが愛しくて。

 僕もをぎゅっと抱きしめた。



 後書き
初アレン夢(笑)
綺麗な感じの話を目指したのに、見事玉砕。
ところで、お姫様抱っこは乙女の憧れですよね?


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