「ところで、大佐とってどっちが強いんだ?」
事の始まりは、ハボック少尉が何気に呟いたこの一言。
この一言の所為で、とんでもない日になってしまいました…
調べ物をする為、神田と共にセントラルに来ました。
例によって例の如く、神田が一緒じゃないとコムイさんの許可が降りなかった。
ここは大丈夫なのにねぇ(苦笑)
神田は渋々だけど一緒に来てくれたわ。そんなに大佐が嫌なのね。
それは兎も角、調べ物も終り休憩室でゆっくりしてた時の事。
ハボック少尉も休憩にやってきて、少しお話したの。
主な話は向こうの事。
そこでエクソシストをやってるって言ったら、驚いてたわ。
そして冒頭の発言に戻る。
「あ、それ気になりますね。また大佐とエドワード君みたいな対戦を見たいです」
いや、フュリー曹長まで、何を仰ってるんですか?
ちょっと、他の人達もそれに乗らないで下さい!
が、私の叫びも虚しく、あっ!言う間に対戦カードが組まれました。
神田が席を外して10分の出来事です。
† † † † †
「レッディース&ジェントルメン!!中央の練兵場にようこそっ!
今日はめでてェ祭りだ。何てったって!ウチのかみさんの母親の誕生日だ!イエア☆」
「「「「「関係ねええぇぇぇぇ!!」」」」」
「ヒューズ…お前は死んだのではなかったのか…?」
大佐が驚いた顔で言う。
そう。マイクを持って喋っているのはヒューズさん!
ヒューズさんは確か殉職したと………
「ん?おぉ!。久しぶりだな。たまには俺の墓参りもしてくれよv」
「はい…じゃなくて、ヒューズさん生きて……?」
「俺は死んでるぜ。ほら、体透けてるし、頭の上にはワッカ(?)があるだろ。
ま、深い事は気にするな」
マイクを握りながら楽しそうに笑うヒューズさん。
良いの?こんなんで本当に良いの?
「…」
「神田……何かしら…?」
「事情は知らねぇが気にするな。気にしたら負けだ。きっと」
………そうよね。この話に深く考えたら駄目ね。
さ、話を進めましょう。
「問題解決したところで、今日のメインだ!『焔VSエクソシスト』世界を越えた対決!!
赤コーナー!焔の錬金術師、だが雨の日は無能!ロイ・マスタング!」
パッっと大佐の所にスポットライトが当たる。
その瞬間、「無能」やら「彼女を返せー!」やら叫び声が聞こえた。
ハボック少尉…貴方まで…
大佐………相変わらずなのですね(汗)
それにしても、外にいるのに何故スポットライトが…?
「続いて青コーナー!異世界に行ってしまった我らが美女!・カーティス!」
今度は私の所にスポットライトが当たる。
すると「大佐を倒してくれ」やら「帰らないでくれ」という叫び声が聞こえた。
うわ………神田の機嫌が悪くなっていってるわ(汗)
ものっそ周りを睨んでる。
睨まれた人は可哀想に、石化していた…
「、ホントにやるのか?」
「ここまできたらやらざるをえないでしょ。気乗りしないけど…」
本当は大佐相手に戦いたくない。勝てる気がしないもの。
それに、知り合いに武器を向けたくないわ。
ちらっと大佐を見やると、大佐は笑顔を向けてくれた。
大佐、何を考えてるのかしら?嫌な予感がするのは気の所為…?
こうなったら、さっさと敗北宣言をして…
「お!そうだ。特別ルールを忘れてた。勝者は敗者に何か一つ命令ができるぜ」
えっ!?そんな話聞いてないわよ(汗)
負けてしまったら、大佐からどんな命令が………!
怖い!考えるのが怖い!!
そうやって考えている内に、始まりの合図が鳴ってしまった。
「、悪いが全力でいかせてもらう」
パキン
大佐が発火布をはめたまま指を鳴らす。
最初の炎は避けたけど、大佐は次から次へと練成した。
それらを避けながら大佐に近付く。避け切れない焔は、壁を練成して防いだ。
「、降参した方が身の為だぞ」
「〜〜〜〜〜っ絶対に降参しません!」
負けたら大佐は何を命令するか判らないもの。
そんな怖い事はできません!
隙をついて棘を練成しても、大佐に難なく避けられてしまう。
こうなったら接近戦で発火布を切るしかないわね。
大佐は遠距離攻撃型だもの。接近戦には弱いはずよ!
爆煙で視界が悪くなっている中、大佐を探す。
落ち着け。アクマと戦っている時を思い出せ。気配を感じ取るのよ。
予め練成しておいたダガーを構える。
「そこね!!」
大佐の気配を右前方に感じ、踏み込んだ。
けれども大佐はそれをかわし、再び煙幕の中に隠れる。
今度は……後ろ!
振り向き、ダガーを振上げたけど、大佐の鼻先を掠めただけ。
だけど、逃がさないわ。
大佐を追撃する。
………大佐、何で接近戦も強いの!?
攻撃が当たらない所か、私が追い詰められる。
そして大佐は、一瞬の隙をついて私の背後を取った。
背後で発火布をはめた手を構えるのが判る。
「私の勝ち……のようだね、」
ここから反撃のチャンスはないかしら?それを必死で考えていた時。
え…?えぇ!?
大佐の腕が前に回ってきて…大佐に抱きしめられています!!
どどどどうして!?
「さあ、。降参したまえ」
「っ///」
耳元で囁かないで下さい!
って、何処を触ってるんですか!!
「何処?さあ…何処かな?」
さ…囁いた大佐の唇が耳に…///
さんピンチですよ(汗)
何とかしようと顔を上げた瞬間…
うわぁ…見てはいけないものを見てしまったわ。
ぶち切れモードで笑顔を浮かべている神田さんですよ。
先生…私は実家に帰りたいです(切実)
「おい、そこの審判」
「ん?何だ?」
「これは『焔VSエクソシスト』なんだよな?」
「おぉ!その通りだ」
「!交代しろ。ここからは俺が殺る」
神田は安全を考えて張られていた仕切り線を越えて歩いてくる。
今『殺る』と書いた『やる』でしたね、神田さん…
六幻を構えちゃってますよ。大佐を殺す気ですか!?
「きみと戦うはずではないのだが?」
「『焔VSエクソシスト』だろ。なら俺にも戦う権利はあるはずだ」
「………まぁ良い。きみに勝てばは私のものだ」
「ハッ!寝言は寝て言うもんだぜ」
一触即発ですよ……
これは私と大佐の戦いじゃなかったんですか?
それをふよふよ浮いてきたヒューズさんに尋ねた。
「いや、俺も『焔VSエクソシスト』って言ったからなぁ。良いんじゃないのか?
それに、ロイとカンダだっけ?二人の戦いの方が面白いだろ」
「面白いって……かなりの被害が出ますよ?」
「俺は何が起きても無事だから大丈夫だ☆」
親指グ☆じゃないですよ〜〜。
だけど私の説得も虚しく、二人とも構える。
先に動いたのは神田だった。
「イノセンス発動。災厄招来 界蟲『一幻』!」
かかか神田さん!早速イノセンス発動ですか…?
神田の放った技が真っ直ぐ大佐の所へ向かう。
大佐はそれを何とかかわし、すぐさま指を鳴らした。
練成された炎が神田へ向かうけど、それ神田に当たる事はない。
………って、かわした相手の技は全て客席に向かってる〜〜(慌)
あんなのが当たったら死んじゃうわ!
急いで高強度の壁を練成し、相殺させた。
うそ…かなりの強度のはずなのに、壁が壊れたわ…
「ちょっと二人とも止めて下さい!!このままでは死者が…」
「逃げてばかりでは私を倒せないが?」
「チッ。厄介な炎を出しやがって。災厄招来…」
聞く耳を持ってなさそうですね……
ヒューズさん、自分に被害がないからって楽しんでるし。
どうしよう………って、あ!!
「危ない!!リザさん!!」
大佐の放った炎がリザさんに向かっている。
急いで練成した壁は、炎を防いでくれた。
「リザさん、大丈夫ですか?」
「えぇ。ありがとう。助かったわ」
「無事で良かったです。でも何とかして二人を止めないと…」
「そうね…いい方法があるわ」
いい方法?ふむふむ。そんな事で二人の戦いは止まるのかしら?
ん〜…でも今はその方法しかないんだもの。
試しにやってみましょう。
まずは、両手を合わせ、地面から拡声器を練成する。
次に、大きく息を吸って……
「神田!大佐も!!やめないと嫌いになっちゃいますよ!!」
練兵場の中心で、拡声器を使って叫ぶ(笑)
しかし、こんなんでやめるのかしら…ってやめてるし!
二人とも次の攻撃を繰り出す姿勢で止まってました。
えっと………万事解決?
シン…と辺りが静まってる中、ヒューズさんがふよふよとやって来ました。
そしてマイクを握り締め………
「勝者、!!」
「「「「「うわああぁぁぁぁぁぁ!!」」」」」
「…………へ?私が勝者?」
「最後の一撃、凄かったな!」
「え?私何もしてないですよ?それに神田と交代したんじゃ…」
「いーや。見事に止めを刺してた。それに俺は交代とは言ってねぇ。カンダの参戦を認めただけだ」
はぁ…そうなんですか。
何か騙されたというか、誤魔化されたというか……
納得できない事も多いけど、きっと気にしちゃ駄目だのよね?多分…
「そんで、はロイとカンダに何命令するんだ?」
あ、そっか。勝者は敗者に命令できるんだったわね。
ん〜…そうねぇ。
「大佐は上官命令を出して下さい。みんなでここを片付けましょう♪」
「「「「「ええぇぇぇぇ〜〜〜〜〜〜〜」」」」」
不満の声は、大佐の「軍法会議」発言で静かになりました。
因みにヒューズさんは、いつの間にか消えていました。
大佐曰く「片付けをしたくなかったんだろう」との事です。
† † † † †
練兵場の片付けの後、私と神田は宿へ戻ってきた。
ん〜〜〜〜はぁ。流石に疲れたわ。
まさか大佐と戦うとは思ってもみなかった。
ましてや神田と大佐が戦うとは夢にも思わなかったわ。
ベッドに横になると、神田は押し倒すような形で見下ろしてきた。
………今までの経験から、この体勢はヤバくないですか?
「、さっき言った事は本当か?」
「へ?何の事?」
「試合中の事だ。本当に嫌いになるのか………?」
神田の表情は沈んでいる。こんな神田、見た事ない。
余程さっきの言葉、気にしてるのかしら…?
だったら申し訳ない事をしちゃった………
私が神田を嫌いになるはずないのに。
「馬鹿ね。本当に嫌いになるはずないでしょ」
「嘘だ………は俺じゃなくても、愛してくれる奴がいる」
「関係ないわ。私が愛してるのは神田だけだもの」
「それを証明できるのか……?」
神田が俯いて言う。
だから知らなかったの。この時どんな表情をしていたか……
この表情を見ていたら、あんな事言わなかったのに…!
「もちろんよ!どんな手を使ってでも、証明してみせるわ」
「ふーん…だったら体で証明して貰おうか」
えぇ!?ちょっと…待って!!
いやあぁぁ!神田さんの背後にブラックオーラが見えます!!
怖っ!逆らえる雰囲気じゃない!!
「俺は怒ってるんだ。あんな簡単に触れさせやがって」
「それって……試合の事?」
「他に何があるんだよ」
「もしかして、大佐に嫉妬?」
「普通、自分の恋人があんな風に触れられたら怒るだろ」
そうよね…私も他の女の人があんな風に神田に触れたら嫌だもの。
私の不注意だったわ。
「ごめんなさい。次からは気をつける」
「ったく。判れば良いんだよ」
ちゅっと軽いキスをして、ベッドから降りた。
私も神田に手を引張って貰い、ベッドから起き上がる。
「そう言えば、は俺に何を命令するんだ?」
神田が聞いてきたけど、いきなりは思い浮かばないわ。
うーん………神田に命令ねぇ。
………そうだ!
「『これからもずっと傍にいて下さい』じゃ駄目かしら?」
「それで良いのか?」
「うん。これが私の何よりの願いだもの」
「覚悟しろよ。その命令、一生守ってやる」
後書き
やっちまった………
軍部祭りパロ(?)です。
今回は大佐VSさんにするつもりが、何時の間にやら神田も参戦☆
でも、さんが一番強かったですね(笑)
ていうか、ヒューズ准将は無理があるだろ私。
しまった…親馬鹿トークが……!
シオン様、こんな作品で宜しいでしょうか?
シオン様のみ転載可でございます。
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