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契約書の特約

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合意管轄裁判所

合意管轄裁判所の管轄とは、その契約について裁判を起こす場合に、どこの裁判所で裁判をおこなうのかを決定する特約です。

合意管轄裁判所はできるだけ近くに

民事訴訟法では裁判の案件に応じて、管轄する裁判所を定めています(民事訴訟法4条・同第5条・同第6条ほか)。この規定は任意規定とされていますので、契約によって、第1審の管轄裁判所を定めることができます(民事訴訟法11条)。このように、当事者の合意によって、民事訴訟法に規定する管轄とは別に規定する管轄を「合意管轄」といいます。
(任意規定については、くわしくは、「任意規定と強行規定」をご覧ください。)

ここで問題となるのはどこに管轄を定めるのか、ということです。例えば、北海道の当事者と沖縄の当事者が契約を締結する場合に、北海道の裁判所を合意管轄裁判所と決めたときは、沖縄の当事者にとっては極めて不利な状況といえます。 というのも、北海道の当事者から裁判を起こされた場合、沖縄の当事者は、わざわざ北海道にまで出向かなければなりません。 こうなると、沖縄から北海道までの交通費や、弁護士への日当などのコストがかさむことになります。これでは、仮に勝訴したとしても、費用倒れになる可能性もあります。また、逆に沖縄の当事者が裁判を起こそうとしても、上記のようにコストがかさむので、たとえ勝訴の可能性が高くても、訴訟を断念せざるを得ない、ということにもなりかねません。

このように、契約当事者間の距離が極めて離れている場合、どちらかの当事者に一方的に有利な管轄を決めてしまうと、その当事者にとって訴訟経済上、極めて有利な状況になってしまいます。上記の例のような極端な場合でなくても、例えば東京〜大阪間程度であっても、その費用はバカになりません。ですから、合意管轄裁判所の特約は、訴訟のコストを抑えるために、できるだけ自分側に近い場所の裁判所とするようににします。

ただ、合意管轄裁判所の場所は契約当事者双方にとって近いほうがいいですから、お互いの住所が離れている場合は、合意管轄裁判所は、利害が完全に対立する特約です。ですから、公平な条件で合意管轄裁判所を定めるのであれば、双方の中間点にある場所(上記の例の場合は東京など)に管轄を定めておく方法もあります。なお、実際の裁判では、裁判所は、極端にどちらかに有利となる合意管轄を認めないこともあります(判例)。ですから、この条項は、あまりアテにしてはなりません。

必ず「専属的合意管轄裁判所」と規定する

合意管轄には、2種類あります。ひとつは、「専属的合意管轄」、もうひとつは「非専属的合意管轄(付加的合意)」です。専属的合意管轄とは、そこでしか第1審の裁判が認められない管轄のことです。非専属的合意管轄とは、民事訴訟法で決まっている裁判所に加えて(付加的というのはここからきています)、合意した裁判所でも第1審の裁判ができるようにした管轄のことです。

契約実務では、ほとんどの場合、前者の専属的合意管轄を規定します。というのも、後者の非専属的合意管轄の場合は、裁判所を特定したことになりませんので、どちらにとって有利となるとは限らないからです。このような理由から、専属的合意管轄裁判所を規定する契約書の文章には、必ず、「専属的合意管轄裁判所」の文字を入れるようにします。この、「専属的」という文字が抜けていたがために、「専属的」とみなされず、「非専属的」とみなされることもあります(判例)。

なお、合意管轄の特約は、「一定の法律関係にもとづく訴え」に関してしなければ効力を生じません。ですから、合意管轄の特約には、「本契約にもとづく当事者間の紛争に関しては・・・」のように、「本契約にもとづく」という言葉を入れます(民事訴訟法第11条第2項)。また、合意管轄の特約は、「書面でしなければ」効力を生じません(同)。ですから、合意によって裁判所の管轄を決めておきたいのであれば、必ず契約書を作成します。

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