事務所では、業務に関連して、年間、100通を超える契約書に目を通しています。サービスとしてチェックすることもあれば、有料相談の際に拝見するようなこともあります。目を通す、というような簡単なチェックから、それこそ穴が空くほど精査して検討することもあります。
こうしてチェックしたもの中には、欠陥を抱えたダメなものもずいぶんあります。というより、残念ながら、大半のものが、何らかしらの欠陥を抱えている、というのが、日本の契約書の実態です。つまり、それだけ、リスクがあるということです。
これには、さまざまな理由があります。
そもそも、英米人とは違って、日本人にとっては、契約書は馴染みが薄く、また、日本には、専門家が圧倒的に少ないという現実があります。しかも、契約書の文章では、日本人にとっては苦手な、論理的な文章を多用されている、という特徴もあります。このような現状では、欠陥がある契約書が世の中に出回っていたとしても、やむをえないものと思われます。
このコーナーでは、こうした欠陥の中でも、典型的なパターンを選んで、解説していきます。実際の弊事務所の経験によるパターンを紹介していますので、現実的なパターンが紹介されています。
特に、弊事務所の人気サービスのひとつである、
「セカンドオピニオンサービス」において拝見したような欠陥もかなり含まれています。また、有料相談等で拝見したような欠陥も紹介しています。
そういう意味では、このコーナーは、実務において、かなり活用できるものと思われます。
このコーナーのうちのひとつにでも該当するようでは、その契約書は使用しないほうが賢明です。
すぐわかるダメな契約書―概略
1.協議条項が多い
契約書には、必ず立場の優劣があります。ですから、自社が不利な立場で契約を結ばないように、実務能力がある者がその内容をチェックする必要があります。
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2.文章が非論理的
契約書は、日本語で書かれているからといって、簡単なものではありません。契約書で使われている日本語は特殊なものですから、それ相応の実務能力がなければ、理解することができません。
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3.抽象的な修飾語が多い
サインされた契約書が「形だけ」となることは、通常の商慣習では、まずありえません。ですから、「形だけ」の契約書を作成することは、やってはならないことです。
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4.目的が不明
契約書を充実させるためのコストは、継続的に発生するランニングコストではなく、1回で済むイニシャルコストです。ですから、せめて本業の契約書くらいはコストをかけて整備するべきです。
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5.業務プロセスが自動化していない
いかに優秀な弁護士といえども、事前にビジネスモデルを伝えられていないのであれば、良い契約書を作ることはできません。ですから、優秀な弁護士が作った雛形であったとしても、必ずしもすべての取引に使用できるものとは限りません。
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