新桃太郎伝説

ハドソン SFC RPG


ファミコンで大ヒットした桃太郎伝説の正式な続編。
残念ながら、販売本数はファミコン版の前作に大きく差をつけられたが、
このゲームの完成度の高さは、ゲームファンの間で伝説となっている。
私の周囲では、アイアンリーガーというマイナーアニメとこのゲームが、
当時大ブームになっており、お互いの進行度合いや攻略法、裏技とかを
延々と語り合ってたものです・・(しみじみ・・)



ストーリー ストーリーは前作FC版からの続きで、桃太郎が閻魔大王を懲らしめた後から始まる。
開始してすぐに、ダイダ王子に敗北して力を奪われてしまうことで、続編なのに一段(いわゆるレベル1)から始まることにも納得のいく設定になっており、好印象。
その後は、月のかけらという重要アイテムを探しながら、敵の幹部であるカルラの繰り出す鬼達を懲らしめ、改心させる勧善懲悪もののストーリーが続く。

その辺は普通のRPGと大差無いのだが、訪れる場所ごとに様々な御伽噺の話が絡んできて、全体的にほのぼのとしているように見える。
だが、前述したカルラが、とんでもないクズ野郎で、権力があるのをいいことにやりたい放題。
桃太郎を倒す為に連れてきた部下が敗北すると、容赦なく極刑に処したり、改心しようものなら躊躇い無く処刑までするわ、自分のボスの息子を懐柔したり、ボス自身を言い包めて大権を手に入れたり、挙句の果てに村人や人魚を大虐殺、更に人類のヒロインであるかぐや姫も殺して、世界の大半を海の底に沈めるなど、暴虐はとどまる所を知らない。

あるレビューサイトで、カルラはゲーム史上トップクラスの極悪キャラだと言ってましたが、たしかに共感w
まあ、だからこそ印象には残るし、そこまで徹底した少しも同情できないキャラを作り出したハドソンの発想力も大したもんです。

そのあたりのほのぼのと残酷さのギャップがストーリーにいいアクセントを与えており、ゲームを先へ先へ進めたくなる。
しかし、虐殺はまだしも、御伽噺ベースなのに世界崩壊までいくと、話が飛躍し過ぎな気もする・・

グラフィック 斜め見下ろしのクォータービューは、今見てもなかなか良いです。
特に月面は、歩いてる時に丸みを帯びてて、球体の星を歩いている臨場感があって良い。

逆に、洞窟や村はちょっとオーソドックス過ぎて寂しい感じ。
戦闘画面も背景はまあまあだが殺風景な印象があり、術のエフェクトなどもややインパクトに欠ける。

テンポ・操作性 様々なレビューサイトで、このゲームの欠点として挙げている部分であるが、確かに辛い。
妙に画面の切り替わりは遅いし、メニューカーソルも動きが重々しく、アイテムの種類が多いのに整理整頓しづらかったり、お供に連続してエサをあげたくても、操作性の悪さが足かせになってしまう。
村や洞窟を調べる時も、ボタンを押す度に「桃太郎は目の前を調べた(略)」と出てくるのは煩わしい。

エンカウント率も妙に高めで、特になぜかフィールドの橋の上はほぼ100%の出現率を誇る。
エンカウントに関しては、途中で覚えれる「オニよけ」の術があれば、かなり軽減できるのでまあいいが、ひたすらオニよけを使い続けないと、快適に旅できないというのは、根本的に間違ってるような・・やり込みじゃあるまいしw

なんか悪いことばっかり書いてるが、まともな操作すら受け付けないゲームなどもあるので、それに比べれば、普通に動かすことは出来る分、何倍もマシなんだけどw

音楽 やや単調な印象もあるが、全般的に御伽噺の世界観を際立たせる雰囲気は出せてると思う。
「浦島の村」の曲とか、聞けば聞くほど、味が出るし、ザコボス戦の曲も戦闘意欲を掻き立てるカッコ良さがある。

また、通常フィールドと海上で戦闘曲が変わるゲームというのは、珍しいのではなかろうか?
プレイ当時、始めて海に出てエンカウントして、音楽が違うことに感激し、しかも海戦の曲がかっこ良くて鳥肌が立ったものです。
音楽単体ぞれぞれを深く突き詰めると、あっさりした印象を受けてしまうが、ゲームの世界観にマッチしてるし、何と言っても曲数が豊富なのは、歓迎すべき点だろう。
生粋のゲーム音楽という意味では、かなりのクオリティだと思う。

システム とにかくボリューム満点!
戦闘だけでも、4本の包丁から任意に選んで変化に富んだ攻撃が出来る銀次や、攻撃する時に鍵盤が出てきて音階の組み合わせで攻撃の変わるましらなど、仲間キャラは個性が強い。
更に敵も、数学や歴史の問題を出してきたり、こちらの体力を回復してくれたり、同じ敵でも地形によって強さが相当変わったりと、個性の塊である。
その上に、戦闘にはタクティカルウェザーバトルという天気の概念を採用しており、天気によって敵も味方も有利不利が生じるというもの。

これに関しては、面白いシステムなのだが、ボス戦は全て天気に影響されない戦闘なのが、ちょっと残念かな。
風神雷神戦などは屋外だし、イベントがイベントだけに、天気が雷雨とかのほうが良かった気がする。
まあ、難易度のところで触れるが、天気が影響することでの問題もあるにはあるが・・
ってか、こんなに個性だらけのゲームにもかかわらず、結構バランスがとれてるのは、天才的だと思う。

戦闘以外でも、金太郎の村や希望の都で、的当てや漢字クイズなどを遊べる豊富なミニゲーム、大江山のパズル要素の合わさった謎解き、自分の城を持って改造したり、つりざおで様々な魚を釣り上げて料亭で引き取ってもらったりと、やれることは非常に多い。
せっかくいいシステムなのに、操作性が足を引っ張ってるのが、悔しくてならない。

難易度 一見すると、ほのぼのしていて、子供でもとっつきやすそうな印象があるが、それに反して、難易度は高め。
基本的に敵がやや強めで、序盤はまだしも、中盤以降は常に戦略を立てていかないと、エンカウント率の高さも手伝って、ダンジョンなどではパワー切れに陥る可能性が高い。
まあ、術の「オニよけ」を使えば、ほとんど戦闘すること無く、ダンジョンの最深部などには辿り着けるので、あらかじめ、村の周りなどでガッツリレベルを上げてから、オニよけでダンジョン深くに行くのが常套手段か・・外道かどうかはともかくとしてだがw。

しかし、それでも難易度の高い箇所はある・・
大まかに挙げるとすれば、松葉山の下り〜音無しの洞窟、金太郎の村、養老の滝、大江山、雪国全般、希望の都でのあしゅらの問い掛け、オニのつめあと、さるかにの村での風神雷神戦、ラストダンジョン、そしてラスボス辺りがきつい・・・ってゆうか、難しい場所多いなオイw
特に私が苦戦したのは、風神雷神戦。
後々に攻略サイトを見て、簡単な倒し方を知ったが、何も知らずにこいつらに立ち向かうと、泣きを見ますw
何回も全滅して、一度挫折しかけました・・

さっき、天気の話でも触れたのですが、もし風神雷神戦が雷雨だったら、雷雨だと威力が倍増する雷の術が得意な雷神はもはや化け物以外の何者でもありませんw
そういう意味で、バランス取りが難しいから、ボス戦では天気を取っ払ったのかもしれませんね。
ライトゲーマーには敷居が高いかもしれませんが、努力すればクリア出来る難易度にはギリギリ収まっているんじゃないでしょうか?

総合 はっきり言って難しいですし、操作性とテンポの悪さにイライラさせられるかもしれません。
しかし、たっぷり過ぎるボリュームと、インパクトの強いストーリー、そして様々な斬新な試みは評価できます。
今日でも、このゲームを名作と呼ぶ人が多いのは、そういった所以なのではないでしょうか?

少なくとも私も名作だと思ってますし、生涯面白かったゲームを挙げろと問われれば、このゲームは私の中で5本の指に入ると思います。
近年のゲームには、こういうパワーを持ったものが少ないし、PS2とかでリメイクされたら嬉しいなあ・・w


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