ガイア幻想紀

エニックス SFC アクションRPG


クインテットが、エニックスを通じて世に送り出した作品。

この「ガイア幻想紀」は、
「ソウルブレイダー」・「天地創造」と共に
クインテット三部作と言われている。

他の二作に比べて知名度は若干劣るが、雰囲気の良さはトップレベルだと思う。

まあ、他二作以上に生々しさ溢れる暗いストーリーもセットだがね。



ストーリー 主人公のテムは、サウスケープという港町に住む少年。

両親がいないことと、物を動かす事の出来る不思議な力を持っていること(十分普通じゃねえけどな)を除けば、ごく普通の毎日を仲間達と送っている。
ところがある日、近くの城に住むお嬢様のカレンが、城を抜け出してサウスケープに逃げ込んできたことから話が動き出す・・・


プロローグとしては、こんな感じ。

その後、いろいろ悶着を経て、仲間らと父親を探す旅に出ることになる。

これだけだと、よくありそなストーリーなのだが、冒険の過程で遺跡を周る内に解き明かされていく自分の出生とこの星の危機、父親の辿った軌跡などを知ることになり、話が壮大になっていく。
壮大なんだけど、冗長になりすぎず、飽きさせずにじわじわストーリーを広げていく手法の上手さは特筆物。


人間ドラマの見せ方も、変に臭い台詞を連発したりせず、主人公らが協力し合って少しずつ人間的に成長していく過程をリアルな感じに見せてくれて、とても面白い。

まあ、一部に生々しすぎて、抵抗を覚えそうな表現もあるのだが(「奴隷や原住民の心情の描き方」、「一部キャラの死に方」等)、これらも含めて非常に細やかに丁寧に世界観が描かれており、プレイする側も感情移入して冒険したような気分にさせてくれる。


最後の展開は、少々飛躍しすぎな気もするが、総合的に非常に優れたストーリーだと私は思う。



個人的には、ロブとリリィのラブ成立までの展開が特に好き。

俺もこんな青春送ってみたかったよ・・・(何


あとは、イシタルのアトリエでのラスト、ピラミッド終盤のイベントが特に印象深い。

グラフィック とにかく、海と空の表現力が凄い!


始めて見た時、SFCでここまで心地よさを覚える自然を表現できるのかと、鳥肌が立った。

もちろん、PS3とかに比べりゃ普通にゲームのグラフィックなのだが、演出が妙に上手いおかげで、強烈なまでに自然を感じられる。


特に、ラライの崖で黄金船に乗って船出するシーンは当時衝撃的だった。


風で服がなびいたりといった小技や、SFCで流行った3D的演出もふんだんに盛り込まれており、16メガとは思えないレベルの高いグラフィックだ。
ただ、ボス戦がラスボスとラライの崖以外、迫力不足なのが残念か。

テンポ・操作性 慣れない内は、ステップ攻撃が暴発したりして戸惑う事もあるが、全体的に操作性は良好。
一部攻撃の操作が若干難しいが、ほとんど使用しない攻撃だし、それ以外の操作は至極簡単な為、初心者でも安心。


テンポに関しては、基本的には問題ないのだが、一部イベントがスキップ出来ない上にやたらと時間のかかるものがあり、時間が無い時にプレイすると焦るかもしれない。(そもそも、時間無いならゲームすんなって感じか)

まあ、某超大作RPGや、終盤の話の長さが少し叩かれた某潜入アクション程長くはないけどね。

音楽 自分がガイア幻想紀厨なんじゃないかと思うくらい、名曲揃い。

遺跡を周って行く事がメインになるためか、オリエンタルな雰囲気を持った曲が多いのが特徴。


自然を感じさせてくれるグラフィックと、絶妙な名曲の数々が相俟って、このゲームは凄く味のある雰囲気を作り出すことに成功している。
特にイトリー族の村の曲は、絶品。

高地にあるイトリー族の村の絶景を眺めながらこの曲を聴くと、思わずうっとりしてきます。


ちなみに、前述した黄金船の船出時も同じ曲が流れて痺れますね。

システム 基本は、ゼルダの伝説に代表される上から見下ろしフィールドで360度動き回るアクションゲーム。

そこにプラスして、テムは3つの変身形態を駆使することが出来る。


・小回りが利き、探索向きの技を多く持つテム。

・戦闘力が高く、飛び道具を使いこなすフリーダン。

・攻撃パターンに乏しいが、能力が最強のシャドウ。


その内、シャドウは終盤にならないと変身出来ないので、実質2つではあるが、その変身を上手に使い分けてゲームを進めなければならない。
この手のゲームにありがちなのが、全く使用されない死に形態というのが必ず生まれてしまうものなのだが、ガイア幻想紀に関してはどの形態も得手不得手がはっきりしており、それぞれの形態が活躍するシチュエーションがあちこちにちりばめられており、死に形態が全く無い。(とはいえ、一部にフリーダンで行く事を想定しているのに、テムで行けてしまうバグがあり、そこから生じる不具合もあるので注意)

ただし、あまりに変身を意識した謎解き(フリーダンでないと絶対通れない等)を増やしすぎた為か、「テムメインで攻略する」といった独自の楽しみ方がやりづらい弊害もある。


とまあ、アクションとしては比較的オーソドックスなのだが、このゲームのメインは謎解きにある。

壁から風が出てきている場所を調べたり、広大なフィールドでパズルの配置を計算したり、純粋にアクション能力を駆使して謎解きの鍵を掴んだりと、多種多様な謎解きが用意されており、これが一筋縄ではいかない。
謎解きがやばく難しい「アランドラ」とかに比べれば、まだ簡単なほうだが、それでも投げ出す人がいるかもしれないのが難点か。

もう少し、初心者救済用のヒントがあっても良かった気がする。


まあ、今ならインターネットで速攻解決なんだけどな。


それ以外の特徴としては、経験値やお金の概念がないことが挙げられる。
キャラの成長は、様々な場所にいる敵を全滅させる事で得られるフォースを手に入れることで、強くなっていく。

なので、一度フォースを取得したフロアの敵は倒す意味が薄く(一応死んだ時にリトライ場所が近くなるアイテムは落とすが)、コツコツ育てる楽しみは無いが、その分サクサク進めることは出来ることから人好き好きか。
一応、フォースをとらないでも、ボスを倒す毎に、それまで取り逃がした分のステータスが補完されるので、ぶっちゃけザコは無視でもOKだけどね。(その分、ボスを倒すまで辛い戦いを強いられることになる。やり込み派向けか?)


本筋から外れたオマケ要素等は少なく、赤い宝石集めやダオでの蛇叩き、イシタルのアトリエでの間違い探し程度。

少し寂しい感もあるが、本編が面白いので、あまり気にならないか。


ちなみに、赤い宝石集めは、「隠しダンジョン」の条件になってるので、集める価値はある。

難易度 謎解き・アクション共に、難易度は高い。


・・・とか書いておくと、試しにプレイした人が「騙された」とか言いそうなので、先に言っておくと・・

ダイヤモンド鉱山(たしかそんな名前・・奴隷を沢山助けるダンジョン)までは、難易度低い。


本格的に苦しさを感じ始めるのは、バビロンの空中庭園辺りからだろう。
慣れてしまえば、そこまでの難易度と感じないのかもしれないが、初プレイの人は何度も死にながら攻略法を覚えていく事になるだろう。

ただ、謎解きとアクションが難しいのに反して、ボス戦はそこまで難しくない。

「攻撃避けれNEEEE!だけど、ゴリ押しで倒せてしまうボス」
「冷静に対処すれば実はしょぼい動きしかしないボス」
のどちらかしかいない。


とはいえ、ラスボスはコツを掴むまでは鬼神の如き強さなので、お覚悟を。(薬草溜め込んでればゴリ押しでもいけそだが)


実に難しいゲームだけど、理不尽ではない。

だからこそ、謎を解いて難所を突破した時の達成感は大きい。

総合 決して明るい話ではないけれど冒険している気分にさせてくれるストーリー、活き活きとした?キャラクター達、自然を感じさせる美しいグラフィック、そのグラフィックと見事にマッチしたサウンド、難解だけど達成感も大きい謎解きとアクション・・・と、ほとんど欠点の見当たらない傑作。

プレイ時間もそれほどかからないし(平均15〜20時間程度か)、現在でもさほど色褪せた感はないので、今プレイしても十分楽しめると思う。


まあ、このゲームをプレイ出来る環境を整えること自体が、困難を極めるとは思うがw


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