平成11年12月01日
  辰 年
  干支の 辰≠ヘ、方角で、東南東、午前8時頃を表します。二十世紀最後を飾るのは、十二支のうちたった一つの架空の動物『竜』。架空で人気があるとは面白いですねぇ。西暦2000年は竜でお馴染みの辰年です。
  竜の字は、ヘビの胴と尾に角をつけた象形文字です。竜は中国から日本に伝わり、日本書紀にも、竜を「タツ」と書いているそうです。神社や寺院に行けば、竜の彫刻や置物、画などを見る事がありますが、竜は、神教、仏教だけでなく、キリスト教、ヒンドゥ教など世界各地の様々な宗教の信仰の対象とされています。
  お寺の柱や欄間の彫刻と天井の画、神輿の飾り、刀剣や武具、船首を飾る彫刻、全体を竜の形にした船、刺青の図柄にも竜の人気が高く、強い勢いのある竜に加護を求め、諸葛孔明や劉邦など王者や偉人にも例えられます。
  竜とドラゴンの解釈は、姿形や超能力の力量など様々に違い、竜を神と崇める中国にも『仮泊(カハク)』という洪水を起こす悪い竜もいます。普段は池や泉などの水辺に棲んでいるとされ、頭と尾の数を多くして強さを強調したのは世界共通で、中には100の頭を持つ竜も描かれているそうです。(ドラゴンには眼の意味もあるそうです)
  竜の起源は、紀元前1300〜1500年頃の中国とメソポタミアにあるらしく、元は蛇で、印度の信仰の対象のコブラを神聖化した『ナーガ』らしいのですが、諸説ありはっきりしません。
竜  中国語で「ロン」中国の雨水の精とされる変化自在の霊獣で、角は鹿、頭は蛇又は駱駝、髭は鯉、目は鬼、
耳は牛、胴はヘビ又は蜃(シン、空想の動物)、腹はワニ、鱗は鯉、爪は鷹、掌は虎、四足で翼の無い想像上の動物です。  
  中国には、洪水に遭遇した釈迦を竜が救ったという言い伝えがあり、日本と中国の民話や伝説に登場する竜は、池や淵に棲み雷や竜巻の形が竜に似ているからでしょうか、天空に昇り、雲を起こし雨を振らせる神通力をもつとされています。特に、娑羯羅(トクシャカ)という竜は、農耕生活者を助ける神で威厳と力と雨乞いの本尊です。 
ドラゴン
組み合わせて作られた空想上の動物で、太っていて足は2本、翼があり火炎と毒気を吐くとされています。
  ドラゴンは、悪と暗黒の力の象徴であり嫌われもので、主に大洪水や河川の氾濫は竜の成すわざであり、英雄が退治する悪獣として扱われますので、水の神とされ神秘的な聖獣とされる中国とはかなり異なります。
  ギリシャ神話では、英雄ヘラクレスが竜(ラドン)の喉を弓で射抜いて黄金のリンゴを持ちかえり、ゼウスも竜にエトナ火山を投げつけて退治しますし、ゼウスの子のアポロンも竜退治をしています。ヨハネの黙示録に10本の角と7つの頭を持つ赤い竜が、キリスト教に立ち向かって退治されたと示されているそうです
竜 ミニ知識
 中国の四霊獣とは、竜、麒麟、鳳凰、亀であり、神秘的な動物とされています。
 四神とは、青竜、朱雀、白虎、玄武(蛇と亀の混成動物)です。四霊獣と共に、東西南北を表しています。
 竜の色は、赤、青、黄、白、黒、又はそれらの混合。青い竜は、年を経ると黄色に変り神通力が増し竜の長で神の精。
 竜の爪  中国の竜は、皇帝と王朝を守護する聖獣で、民間の竜の指と爪は3本か4本だが皇帝は5本ある。
 画竜点睛 中国の画伯「張僧」が竜を描いて瞳を入れると、竜は生気を帯びて天空に上ったと言う。
 登竜門  黄河が山西省で三段の滝になる所を竜門といい、ここを鯉が上れば竜になるといわれ、人間が立身出       世をすることを登竜門といいます。
 竜頭蛇尾 頭は竜で尾は蛇、はじめは威勢が良くても、終わりが衰え弱いことをいいます。 
 竜 宮  竜宮の伝説は、浦島太郎、竜宮童子、竜宮と花売り、金の斧、等と全国各地に沢山あります。
 青竜刀  三国志の英雄「関羽」も使用したなぎなた状の刀。
 竜の骨  特効薬として珍重されていますが、実際には、鹿や象、鍾乳石などを竜の骨として売っている。
 食べ物  竜はツバメの肉を好み、ムカデと笹の葉と鉄と五色の糸を嫌うとされます。
逆鱗     竜の鱗は81枚あるとされるが、その内、竜のあごの下に1尺4寸(42a)ぐらいの1枚だけある逆さに生えた鱗で、人が触れると竜が大いに怒るとされる。(げきりん)
驪竜の珠        驪竜とは、黒い竜で、そのあごの下にある珠。容易に確保できない意味。(りりょうのたま)
 竜宮の使い       深海魚、体長は10bに達する。背びれが頭部から尾部に続き鱗が無い。
 タツノオトシゴ     鏡箱の中に置くと諸願が叶う。その肉を食べたり門口に吊るして安産祈願をする。
  天馬→天空を駈ける竜。竜馬と天馬は同じ。竜神→竜の姿で水中に棲む水の神で、農民や漁師にも信仰された。竜笛→横笛の一種。竜吐水→手押しポンプで消火器具の一種。盤竜→うずくまった竜。竜の髭→ユリ科の常緑多年草。竜の髭を撫で虎の尾を踏む→極めて危ない状況。竜(ジャ)踊り→降雨を祈願したり収穫祭の踊り。
隆 盛 を
 呼び 不況絶つ
    昇 り 竜  


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