平成11年9月21日
チェック
  クリーニングは、着用して繊維の風合いや附属品の状態が新品とはかなり変化している物を洗うわけですから、当然、新品同様に仕上るはずが無いのに、我侭なお客さんはそれを求める場合が多いようです。
  駅員さん曰く「満員電車には、沢山のボタンやコートのベルトまで落ちている」そうで、電車で落とした物でも、預かる時にチェックをおこたると『ボタンが無い!』と苦情が出て、その責任まで負わされてはたまりません。電車に乗って隣の人の鞄や傘で衣服にキズやシミが付く事も多いのです。
  他にも、ラーメンやジュースのシミ。雨に濡れたシミ。水に濡れただけでもシミになる事があります。ショルダーバッグで擦れて肩から胸にかけて風合いが変化。ブローチのキズ、裾のほつれ、煙草の焼け焦げなどと、御自分で付けたシミやキズを気付かずにお持ちになられる場合も沢山あります。
  カウンターでお預かりする時に、あまり時間を掛けてチェックをすると『値踏みをしている!』と勘違いされたり、お客さんが『急いでいる場合』もありますので気をつけなければなりません。
  お預かりする時は、品物全体の、@シミとキズの確認。A値踏みをしている様にせず。B背中や裾の点検もさりげなく。C裏地やポケットは手際良く。D嫌な感情を与えないように。E明るい会話で愛想良く作業を行い、お客さんが気分良くお帰りになれば『貴方はすでに達人!』です。
感違い
  以前、「この品物は、ポプラのお客さんが落としたんじゃ〜ないのかしら?」と知り合いの人が、ポリ袋に入ったクリーニング済みのセーターを数枚届けてくれたことがあります。
  どうやら、お客さんが家に帰る途中で落っことした様ですが、この場合も『家に帰って調べたら、セーターが入っていなかった。お宅のお店にあるはず!』と責められないとも限りません。
  洗う物をお店にお持ちになる時に、ネクタイのような小さな物は店に来る途中で落っことす事もあるのです。そして「お宅で無くされた!」と神様から濡れ衣を着せられては涙が出てくるじゃ〜ありませんか。
破  れ
  先日直営店に行った時、お客さんが品物を抱えてもって来たので私はお店の奥に引っ込みました。
  そしたら店長が「チョットお願いします」と私を呼んだのでカウンターの所に行くと、お客さんが持ってきた半袖のオープンシャツが広げてあり、袖口の後ろの所が10円玉ほどの大きさで半円に穴があいています。
  その部分だけ少し色も変わっていて、手で触るとポロポロと破れてくるのです。ですから「何か薬品でも付けましたか?」とお聞きすると「自分は全く気がつかなかった!」とおっしゃるのです。
  着用したときに腕の後ろ側になる場所であり、気がつかなかったのかも知れませんが、店長が気付かないで預かれば、「ポプラに出したら破かれた!」と言われることも充分にあり得る状況です。
  初洗いの品物ですから、買った時に薬品がついていたものか、それとも、着用中に付いたのかと考えても、半袖を着用中に布地が破れるほどの薬品がどこかで付着するとも考えらません。
  ですから、多分、御家庭の洗濯物を入れるカゴに入れてあるときに、トイレか浴用の強力な薬剤が不注意で付着したものと考えられます。
  今回の場合、店長のチェックが適切であったために、お客さんの目の前でお互いに確認できたから良かったのですが、うっかり、ひとまとめに丸めて預かってしまえばこちらの責任になります。
  破れた半袖オープンは「袖が少し短くなりますが、修理をしませんか?」とお聞きして、お客さんも「そうして下さい」と仰って円満解決です。この事件、景気が良くて当社が潤っていれば、店長に『金一封』ものですが、「気付いて良かったねぇ」の一言で終わりでした。・・・『ご免ねッ!』。
半ズボン
 Tシャツのみの
    夏過ぎぬ  


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