平成11年9月7日
ぼてッ!
  お盆休みにテーブルの前に座り、帳面と睨めっこを始めました。私は、総ての経理は自宅でするので、夏はテーブル、冬は掘りごたつに座って処理しているのです。
  普通の会社なら、事務室があり社長室があって形を整えているのでしょうが、私の場合、形より実を重視する性質ですし『管理しないで済む管理が理想』と考えておりますから自宅のほうが落ち着くのです。
  数年前に、ペットのピー介が亡くなってからは、夜8時で終わりの制限も無くなったので、お盆も正月も関係無く、気が向けば夜遅くまでパソコンに向かって楽しんでいます。
  集中するほどにアイデアが沸き挑戦する。それでも全く疲れを感じないのは、仕事と趣味が一致している私の強みなのでしょうが、妻から見ると「宇宙人としか思えない!」そうで、尊敬されてチョー幸せです。
  ところで冒頭に書いた帳面の件。あぐらをかいた私の膝の上を虫のような物が『ふわッ』と跳んだので凝視すると、何と、ころころと太った『蚊』ではありませんか!。
  そして、畳の上に『ぼてッ!』と転げ落ちた『憎むべき吸血鬼』を『ぽんッ』と手で叩くと簡単に潰れて真っ赤な血が沢山飛び散った。飛びたてないほどに満腹に吸った血は、部屋に居るのは私だけですから気がつかない内に吸われていたようです。
  そこで考えた。私は蚊が吸っている間まったく気がつかず、痒(カユ)みも感じなかったのは『感が鈍い!』と言えばそれまでですが、チョット考えたら重大な疑問がわいてきたのです。
  その疑問とは、妻の見解によると「私は血液がA型のせいか蚊に好かれるデリケートな体質で、吸われると真っ赤に腫れ上がって痒くてしかたないのに、貴方はB型のバリケードだから蚊に嫌われて幸せねッ!」と言われ続け「そう言われれば、そういうものか・・」とB型の幸せを満喫していたのです。
  しかし『痒くないのに、満腹の蚊が居た事実』を考えると、今までも気付かない内に食べられていたのに間違いありません。何と小さな吸血鬼は、大人も子供も見境無く、美女も野獣も血液型や体質にもまったく関係無く、人類全体を糧にして華麗に飛び回っていたのです。
  『ぼてッ』と蚊が落ちて理論が確立した事件。これは、ニュートンのリンゴを超える大発見。『我が意を得たり』と満足しているところに妻が買い物から帰ってきました。早速、てん末を報告すると「買い物に出掛ける前に私の血を吸った蚊かも・・」との事。これは難問。ノーベル賞はどうなるのでしょうか?。
カ 科
  蚊は、脳炎やマラリヤなどを媒介する困った生き物です。『カ科』とは、愉快な科に属していますが、分類は、@ハマダラカ類。Aオオカ類。Bチビカ類。Cナガハシカ類。Dイエカ類で、大部分はDの種類です。
  人や動物から吸血する蚊はメスだけです。血の吸引構造は、上下のアゴの中に唇をとおし、鋭いアゴで皮膚に穴をあけ、のどの弁をポンプにして血を吸いこむ複雑で合理的な仕組みになっているそうです。カが1回に吸う血は5mg程で満腹になり、栄養元として消化吸収されて5日目ぐらいに産卵するそうです。
  友人A氏は、自分の腕や足に蚊が止まると、蚊が血を充分に吸って飛び立てなくなるのを待ち、ゆっくり退治するのが夏の一番の楽しみと言いますから、人間の趣味の広さは際限がありません。そして「蚊に、腹いっぱいの満足を与えた後だから、お互いに不満は無い!」という、チョー思い遣り溢れる理論です。
  「ハエは汚いが、蚊は憎い」と言うB氏は、血を吸って蚊が飛び立つのを待ち、少し離れた所から殺虫剤をシュッとかけると、蚊は、重い体にガスを吸って宇宙遊泳をしているようで、その様子がとても可愛いと言いますが、何とも単純で節操の無い彼らと今後も友達つき合いを続けて良いものか?。
シマダラ蚊
  見て退散の
    夕 涼 み  


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