平成11年6月1日
ワイシャツ
  英語のホワイトシャツ(white shirt)の『ホ』と『ト』の発音が小さいため、日本人が『ワイシャツ』と聞き違えてできた言葉ですから、カラーシャツはワイシャツではなく『Yシャツ』と書くのも間違いのようです。一般に背広の下に着て背広の汚れを防ぐのが目的。フランスでは、『シュミーズ(chemise)』というそうです。
エリ・カフス
  クリーニング代を節約する人が増えて、衣類を着つづけるために、衿(エリ)や袖口などに汚れの酷いワイシャツが増えています。これも不況で収入が大幅に減少した影響でしょうか。悲しいですねぇ。
  ワイシャツの衿の場合、黄ばんだり黒く残っている汚れをブラシでこすっても落ちない事が多く、同業者に相談しても同じ状態で解決にならず長い間悩んでおります。
  先日、私が直営店に居た時、仕上げてあるワイシャツを持ったお客さんがお店に入ってきました。そして「このエリの汚れは何とかならないのかしら!!」と言葉は丁寧ですがご不満は大きいようです。
  店長は「そうですねぇ。すみません、洗い直してみますから・・」。と言い訳しているのを見て、私も責任を感じて脇から「こういう、硬いエリの場合には、なかなか綺麗になりにくくて・・・でも、もう一度洗ってみましょうか・・」と話し始めました。
  そして、畳んであるワイシャツを裏返してみたら、上から5番目のボタンホールにクリーニング用のタッグが付いていて、そこには、近所の同業者の名前が入っているではありませんか。
  ですから、「お客さん。これ、駅の向こうのクリーニング店で洗ったシャツですけど・・・」と急に「俺の責任じゃ〜ねぇぞ!」と強気になるのを押さえながら説明します。
  お客さんは、「あらッ!。あそこのお店にはずぅーっと昔に利用したきりなのに!」。と動揺しますが、あのお店は最近開店したばかりですから言い訳は苦しい。
  「ポプラで直してみましょうか・・」とお聞きしましたが、お客さんは気まずそうにシャツを持ち帰りました。ですから「ライバルも、衿の汚れ問題では悩んでいるなッ!」。と判断できるのです。
  実際問題として、ワイシャツのエリの汚れは、エリの芯に使用する織物の中に汚れが染み込んでしまい、表面をいくらブラシでこすっても汚れの部分まで届かず『布地と芯地と汚し過ぎが原因』なのです。
  落とす方法としては、ドライクリーニングでエリの脂汚れを出来るだけ落としてから、水洗いすることですが、それだけの手間をかけても汚れ落ちは少し違うだけですし、料金を倍額頂くわけにもいかず・・・。
カフスボタン
  最近のお客さんはご要望が様々で、次は、ワイシャツの袖口のボタンの悩みです。
  右の図の赤い線≠フところの両方にボタンホールの切り込みの有るシャツが多いのですが、
あのボタンホールはカフスボタン≠通して使うための穴なのです。
  私は、新年会や結婚式のような特別な場でないかぎりカフスボタン≠ヘ使いませんから、通常は、穴の脇についているボタンを掛けて着用しています。ですから、ボタンホールの脇のボタンは必要です。
  過日、ワイシャツの工場で全員を集め「カフスボタンを使わない場合が多いから、ボタンが取れていたら縫い付けてください」。と説明しました。
  そして数ヶ月経ち、工場長が「お客さんからの苦情で、『カフスボタンで止める所にボタンは不要、ボタンがあればセンスを疑われるから取り付けるな』と言われたがどうしましょうか」と話し掛けてきました。
  かといって「ボタンが付いていない!!」のお叱りもあるわけですし、実に対応の難しい問題です。この件は、いまもって釈然とせず、残念ながら解決は先送りになっております。どう致しましょうか?。
汚れの原因は『節約』にあるのですから、  綺麗にならないのは『政府の景気対策の  不手際が原因!』なので、政治家らに    「責任をとれ!」と厳しく追及したい。


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