平成15年3月11日
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  3月3日に春一番が吹きましたが、今年は4年連続で花粉症が大流行といいます。前年が猛暑の程、翌年の花粉が増えるそうですから、温暖化では花粉が減ることはなくなるようで心配です・・・。
  春の繁忙期が迫りました。ここ数年、黒っぽいウレタン系のコートやジャンバーが流行っています。ウレタン製品のトラブルは多く、「ウレタンは、使い捨ての衣類です・」というメーカーもあるほど製品の寿命が短いことを、お客さんがご存じないのが私たちの業界の悩みの元になっています。
劣  化
  クリーニングの品物をお預かりして、運悪く事故が発生したとします。例えば、表地がポリウレタンのコートにひび割れが出来て、それが目立つために弁償問題が発生したとしましょう。
  お客さんは、「買ってから2年しか経っていないし、初めてのクリーニングで着用できなくなったのだから全額の弁償をして欲しい!」となどと要求をされる事があります。
  この場合、お客さんが「買ってから2年しか・・・」とおっしゃっても、販売店で確かめれば、「品物を仕入れたのは3年前・・」だったりしますからややこしい。
  そして、もっと大きな問題は、『製造してから何年経っているか?』なのですが、この『製造』とは、縫製業者が、コートの製品として作った時ではなくウレタンの生地を製造した時期の問題なのです。
  お客さんが「コートを買った」のは2年前で、お店が「仕入れた・・」のは3年前で、アパレルがコートを作ったのは「4年前」で、原材料のポリウレタンを作ったのは「7年前」ということも有りうるのです。
  ポリウレタンの場合、原材料を加工して生地として作ったときから『劣化』は始まりますから、『耐用年数が3年程度』のポリウレタンが、7年も経過していては駄目になるのは当たり前なのです。
  劣化したポリウレタンは光沢がなくなり、弾力も弱くなる、接着剤がはがれ、ひび割れがしてシワやぶくつきが出るために、洗濯などのときに色が抜けたり破れが大きくなるのは避けられません。
  弁償が発生すると、「この様なトラブルは、今回が初めてです」というのがメーカーの定番ですが、ウレタン系の商品は、『全部』といって良いほどメーカーに苦情が殺到しているのが実際でしょう。
  特に、素材が派手な外国製品はトラブルが多く、メーカーも無責任です。勝手に作ったメーカーと、耐用年数が短いと知らずに買ったお客さんの間で、苦情を持ち込まれる私たちが一番の被害者なのです。
  ウレタン系統は、保温力はありますが通気性が悪いために、洗っても芯まで乾くのに時間がかかり、接着剤が溶けて臭いが残ったりする場合もありますから、『特急仕上げ』は出来ません。  写真はポリウレタン製品の劣化の状態です。@接着剤が劣化してシワ状態になった物。A薄い表面の加工にベタつきが発生している状態。B剥離しているもので、これらのトラブルはウレタン系の品物の宿命です。「ポリウレタンは『寿命が短い商品』とご承知の上でお買い求め下さい」とお客さんに教えてあげて下さい。

「★三枚の写真は、クリーニング事故防止研究所より提供していただきました★」

@ A B
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