平成14年6月18日
大阪物語
  テレビの旅の番組を見るのは楽しいものですが、旅は楽しいだけでなくて、どんな不幸が待ち構えているか分かりません。今回は私の旅先での不幸の出来事を書いてみましょう。
  5月半ばに、ワイシャツの衿を伸ばす機械の研究をするために、機械を製作している三菱重工の名古屋工場と大阪や神戸の同業者の見学とあわせて、友人達と一緒に関西にいきました。
  一泊二日の見学会は、大阪の堺市の商店街も無いような場末のビジネスホテルに泊ったのですが、不景気で宿泊客が少ない為のリストラでホテルの管理が悪く、これが不幸の始まりでした。
  まず、寝るときに目覚ましの時間を合わせようとしたら、デジタルの数字が出てこないのでフロントに電話をすると、「故障かもしれないので、モーニングコールを致しますが・・」というのが最初の受難です。
  心配性の私は、それだけでも熟睡できないような気がしてくるのですが、それでも何とか諦めて毛布をかぶる。毛布が一枚だけなのは不満ですが、ビジネスホテルはそれが当たり前ですから仕方がありません。
  何時間経ったのか、あまりの寒さに身体が震えて真夜中に眼が覚めた。それで、「毛布が一枚では寒いから、布団を貸してください」とフロントに電話をかけようとしたら電話が通じないわけです。
  そういえば、チェックインのときに、「夜中の1時を過ぎたら担当者は不在です」と言われたのを思い出しましたが、旅先の知らない町の真夜中の2時過ぎの出来事ですからこれは一大事です。
  そこで、「寒いのは、エアコンの温度を上げれば大丈夫・・」とエアコンのスイッチをいじり始めたが、どっちに廻しても冷たい風しか出てこないところから察して、これも目覚ましと一緒で故障のようです。
  布団の代わりになるものを探しても、狭い部屋にはある筈も無く、風呂から出るときに身体を拭いたバスタオルでは、湿っているから余計に冷えるようで温まれるはずがありません。
  それで、悩んだ若者(私です)は、「この際、元から絶つかっ!」と寒い風の元であるエアコンの拭き出し口を塞ぐことにしたが、敵は、天井の下についているのでベットを引きずって踏み台を作ります。
  塞ぐといっても、挟み込む布は無いわけですから、トイレットペーパーを詰めることにしましたが、ドライバーも箸も無い工事ですからやり難く、かなり時間をかけて『写真の状態』で難工事は終了です。
  寝不足の朝になって、慰謝料と工事代を請求するわけにも行かず、癪に障ったので塞いだトイレットペーパーをそのままにしておきましたから、次の日のお客さんには感謝されることでしょう。
  一緒に行った仲間に一部始終を話したら、「俺の部屋は快適だった、寒い夜に部屋を冷やしたのは、特別室だったのかも・・・」と大笑いをされましたが、旅のハプニングは度々ありますから、皆様もご注意を!。
新 大 阪
  新大阪駅で乗る新幹線の時間までに一時間ほどあるので反省会を行おうと決まり、地下飲食街の居酒屋の『北海道・タラバフェア』の看板に引きよせられて店に入ります。
  店員に「タラバを5人前」といっタラバ、「4人前しかありません」といわれて、「それでも良いよ」と注文したわけですが、夕方5時に無くなる程度の仕入れでも、「フェア!」と言えるのでしょうか。
  タラバガニのお皿が4枚テーブルに運ばれてきましたが、引っ込み思案の私は、「俺は、皆さんから足を一本ずつもらえばいいから・・」と謙虚に、それぞれのお皿から一本ずつ集めるわけです。
  都合4本の足が私のお皿に乗ることになります。すると1人が、「1人分に、4本しか入っていないカニの足の一本を持っていかれると、俺の分は三本しかないのに、ポプラさんは、皆から集めて合計4本だから多すぎないかッ?、まして、一番でっかい足を持っていって・・!」と苦情が出るわけです。
  ですから、「細かいことは気にしない、自分があげた物で相手が喜んでくれれば、それが人生の本当の喜びなんだから、・・」となぐさめて、まずは、悲喜こもごもの大阪旅行のご報告です。
     窮地ゆえ
    ビーバー作戦
       紙 頼 み


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