鑑 定 団 |
八百屋さんの店先の果物には、『優』や『秀』などと区別した文字が段ボール箱に書いてありますが、人間の場合のランク付けもできるのでしょうか?。ま、ノーベル賞を貰う人も居るわけですからねぇ。 |
知人の会社を訪問したら、休憩時間中だったので数人の社員が楽しそうに話しをしていました。それとなく聞こえてくる彼らの話題は、道を通る人たちに点数をつけているのです。 |
たとえば、「足が短いから○○点」とか、「化粧が濃いから○○点」、「洋服のセンスは○○点」などと採点をしているのですが、道路を歩いていて採点されては迷惑ですよねぇ。 |
ですから、「他人に点数を付けている君達は、自分には何点付けるだろうか?」と聞いたら、とても嫌な雰囲気になってしまいました。そこで今回は、品のあるような無いような話題を書いて見ましょう。 |
上 品 |
『何となく上品な人!』って居られますよねぇ。世の中には、言葉遣いや物腰が穏やかで、取り繕わなくても雰囲気をかもしだすような品の良い人がいるものです。 |
『見るからに下品な人!』ってのも居られますよねぇ。私の存じ上げている皆様の中にはお1人も居られませんが、町を歩いていると時折「どうして、これほどまで・・」というほど下品な人を見かけるのです。 |
同じ人間として生まれて、上品と見られるか下品とさげすまされるかは重大であり、なるべくならば私も「中島さんは、ハンサムな上に何となく上品ですねぇ!」と言って欲しい気持ちもあるわけです。 |
おそらく、「私は下町育ちだから、上品ぶったことは大嫌い!」とおっしゃるお母さん方も、美容院に行き口紅を塗って外出するのは、「少しでも上品に見てもらいたい!」という心理があるからでしょう。 |
救 済 |
ところで、直営店の店先に居たら、何となく上品なお客様が来られました。そして、カウンターに背広の替上着を置きながら、「この上着をお願いします」といったわけです。 |
20年以上は着用していると思われる黄ばんだ上着を見た瞬間に、『数箇所の虫食い状態!』を見つけた私が、「この虫食いのこと、お気づきでしょうか?」と質問しました。 |
すると、「この上着は、主人が着なくなったので何処かの施設にでも寄付をしようかと考えているんですが・・・」とおっしゃるので、上着を点検したら、肩と脇と袖などに沢山の虫食いが広がっています。 |
「品物は古いですが、外国製の良い物だから、差し上げれば喜んでいただけるかと考えたんですが、虫の穴があるから止めたほうが良いでしょうか?」といわれて私は困った。 |
「世界中には、貧しい国も沢山あるわけで、着る物も買えない人達のために、外国製の高級な上着を差し上げたい!」とお考えのご婦人の善意を思うとうっかりした事は言えません。 |
例えば、「難民の人たちは背広を着るチャンスが無いでしょうから、虫食いだらけの年代物の上着より、ユニクロのTシャツのほうが喜ばれますよ!」とは言えず、「しっかりした仕立ての上着ですから、頂いた方から喜ばれると思いますよッ・・・」と心にもないことを言うことになるわけです。 |
それで、上品な方の心情を重く受けとめて、私が工場に直接持っていって工場長にいきさつを話し、「この際、Wクリーニングで汗シミも取って難民の救済のお手伝いを!」となった次第です。 |
そして、思った。「上品な人は、世間のことが分かっていないのかも・・・」と。加えて、世情にうとい私も、もしかすると「上品の仲間入りが出来るかも・・・」と。 |