平成14年1月15日
お炊き上げ
  穏やかな好天に恵まれた元日の夕方、近所の奥沢神社に初詣に行きました。奥沢神社は、元日でも午後6時までで参詣は終了しますので、鳥居をくぐったのは5時半ごろだったでしょうか。
  100人ほどの参詣者の行列の後ろについていくと、例年通りに行列の右側で宮司と鳶の人がお炊き上げをしていますが、今年は、その脇に高さ一間ほどの立て札が立っていました。
  立て札には、「都の条例により、平成14年度の年末からは、お札などを神社の境内で燃やす事が出来なくなりましたので、当神社以外で発行したお札や破魔矢の受付は致しません』と書いてあります。
  そこで、ふと考える。神社を参詣したときには、必ずというほど交通安全や商売繁盛のお札を買い求める私には、『よその神社仏閣のお札はお断り』の言葉はかなり辛いものがあります。
  川崎大師や浅草の観音様のような近いところならお返しも楽ですが、成田山や佐野厄除け神社などのような10年に一度程度しか行かない遠方の場合には、一年後に元の神社にお札を納めるのも大変です。
  まして、松島の『瑞厳寺』や『青森県の恐山』となれば、もう一度お札をお納めするのは無理という状態でしょう。かといって、『お札を可燃ごみの日に出す』のも気が引けます。
  思えば、遠くの神社で買い求めたものを、全部一緒に持ってこられた近くの神社は、発行数より処分する数のほうが多くなって割が合わず、つい、『よそのは禁止!』となるのでしょうかねぇ。
  例年、初詣の行列の脇で燃やしているお炊き上げの熱気を浴びながら、景気上昇、商売繁盛、無病息災などと沢山のお願いをしていた私には、一抹の寂しさが感じられるのです。
  そして思った。『都の条例となれば、ダイオキシンを言うのだろうか?』と。ならば、川崎大師の本堂で行われる『護摩の炊き上げ』や、『大文字焼きや鞍馬の火祭り』、そして、『ご焼香』はどうなるのか、と。
おっとり
  例によって、商売繁盛と交通安全などのお札を買い求めて奥沢神社を出ると、神社の入り口の両側でたこ焼きとワタ飴の屋台が営業していました。
  たこ焼き屋の前に立ち、「二つください」というと、「もう、終わりだから一つしかありませんよ!」と、髪はぼさぼさで、小汚いおばさんは横柄な口ぶりです。
  それでも、6個入りのパックに鉄板の上のたこ焼きをいれ、鰹節を振り掛けているときに、向かいのワタ飴やの親父さんが顔を出して、「残りも入れて上げなよっ」と鉄板の上を指差しました。
  見れば、鉄板の上に少し崩れかかったたこ焼きが三個乗っていて、残しても自分が食べるか捨てるかの二つでしょうから、親父さんのいう意味は良く分かります。
  すると、おばさんは、さも面倒くさそうに串で刺してパックの上に乗せようとするのですが、そのまま蓋をされたら、ぺちゃんこになってたこ焼きが美味しくなくなります。
  ですから、「上に乗せる分は、私たちがここで食べますから・・・」というと、迷惑そうな態度で串にさして出してくれましたが、その間、まったくというほどおばさんは喋りません。
  それを補助するように、ワタ飴屋の親父さんが脇から細かい指示をしているのを見ると、どうやら、ご夫婦のような気もします。ま、雰囲気が悪いとたこ焼きの味まで不味く感じるものですねぇ。
  普通、屋台のたこ焼き屋は、元気を売り物にするくらい活発なものなのに、あまりにも活気の無い応対に呆れたしだいですが、せめて、身だしなみだけでも気配りがほしいと思ったのです。思えば、新年早々、氏神様に『商売のコツを教えていただいた』ことになるのでしょうか・・・?。
 お愛想で
  2ランク上がる
    タコの味


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