平成14年10月15日
  清涼飲料の自動販売機は勿論、スーパーやコンビニでも『水』を扱うコーナーが増えています。
  私が子供の頃に長野の田舎を流れていた川の水は、そのまま飲み水として飲む事が出来ましたし、山が沢山有りましたから『水と空気』の有り難さは感じていなかったものです。
  それでも、大人達が「東京は水不足だから、ここに流れている綺麗な水を持っていけば、かなり高く売れるだろう」と言っていたのを東京が水不足になるたびに思い出します。
  その当時、『水を運んで売る』などということは、冗談に言う程度であって、本気にそれを実行しようなどと考えた人は居なかったことと思いますが、現在の状況は大きく変わってしまいました。
海洋深層水
  デパートの地下食料品売り場で『2gで1200円』という高価な水を売っていましたが、この値段は、宝酒造の焼酎よりも高額ですから、最近の『水』を甘く見られません。水は偉いんです。
  1200円の水の宣伝販売をしている男性に、「どうしてこんなに高い金額なの?」と聞いたら「日の当たらない、数百メートルの海の底の水だから、ミネラルが豊富で身体に良い・・・」というのです。
  ですから、「日が当たらなければ殺菌されていないから、微生物等で病気になる心配は無いの?」と聞くと、「研究された結果ですから、とても健康に良いのです」とのことです。
  何でも、『海洋深層水』といって、200b以上の深い海の底の水だそうで、微生物がいないから綺麗だそうですが、「深層水でも、会社によって値段が違いすぎるんじゃないの?」と質問は続きます。
  すると、「当社の製品は、調査の上で格別に品質の良い海域の海底から慎重に選んで汲み上げていますので・・」と額に汗しながら一生懸命に説明をしていました。
  海洋深層水となれば、深い海から吸い上げる設備や海水から塩分を抜く作業と運搬などの経費が大部分であって、原材料の水は一本分で一円もしないような気がするのは、私だけでしょうか。
値  段
  たかが水、されど水、ガソリンが1リッターで95円程度ですから、2リッターで230円の南アルプスの天然水はガソリンよりも24%も高い事になるわけです。
  そのガソリンも、95円のうち57円は税金ですから、ガソリンそのものは1リッター38円で買えるわけで、単純に計算すれば、『ガソリンの6倍の金額!』ですから驚きますよねぇ。
  「高い!」といわれる東京の水道料は、2gで30銭程度ですが、地方の安い水にラベルを貼り、宣伝をしてイメージを上げればボロ儲けですから、当然ながら、『水』を取り扱う企業が多くなって、仕入が安くて『重いだけが弱点!』の水をスーパーもデパートも競って並べるので店内は水だらけになっていきます。
  全国各地の自慢の水を並べると、@屋久島縄文水。A天海の海の深層水。B四万十川源流水。C竜泉洞の水。D六甲のおいしい水。E安曇野の水。F南アルプスの天然水。G立山連峰、水の王国。H出羽三山の水。I支笏の秘水。J摩周湖の霧水(キリミズ)。と数ある中に、K山梨県の下部町の、富士山ミネラルウオーターは、昭和4年から生産しているそうですから、おそらく、業界の草分けでしょう。
  『ミネラルが豊富!』といっても、「そんな物は飲まなくても、90歳を超しても俺は元気なんだから、同じ量の焼酎を飲んだほうが、よっぽど安くて体の役に立つ!」という大先輩のご意見もありましたし、実際に、「市販のミネラルを添加して、説明表示の無い商品もある」と公取委も認めているから困ります。
  水道の水でも、一度沸かしてから冷やして飲めば、とても口当たりが良くて美味しく感じるもので、ま、売っている水の類は、『眉にツバを付けながら飲んだほうが良い!』ように思うのです。
  玉川高島屋の中の明治屋では、イギリスのハイランドという水が1.5gで250円でした。その代金のうち、イギリスから運ぶ運賃の占める割合が気になるのですが、『野暮!』でしょうか。
  尚、メーカーは、「無菌室で濾過して加熱します」というので『元の持ち味は無くなってしまう』様に思いますし、昨年12月に公取委が「ミネラルが豊富とは言えず、基準も曖昧で、鉱泉水に海洋深層水を添加しただけの品物もあり、成分の根拠や具体的な製法も適正に表示されていない物が多い」と発表しています。
加熱して
 濾過して詰めれば
    皆 同 じ


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