平成13年6月5日
頭痛の種
  最近のファッション業界は、『売れれば何でも作っちゃえ!』の無責任が多くて困ってしまいます。
  先日、ポプラのお店にお客さんがお持ちになった、ベージュ色の木綿の大きなジャンバーは、釣りの時に着るようなポケットが沢山ついている品物でした。
  木綿のジャンバーを屋外で活動的に着用すると、全体が泥や草のしみなどで汚れていますから、本来は水洗いの方が綺麗になるのですが、困った事に、そのジャンバーの襟には茶色の裏皮を使ってあるのです。
  裏皮(バックスキン)を水洗いすれば、硬くなってしまう上に縮んで、その上に色が出て他の品物を汚してしまうから始末が悪い。ドライで洗っても色が出るのは避けられないのです。
  ドライで洗うとすれば、一着だけで洗ってごく短い時間で済ませることになりますが、それでは汚れは全然取れません。なぜなら、木綿のジャンバーの泥や汗の汚れはドライでは落ちないからです。
  部分的に水洗いする事も、大きなジャンバーですから難しいし、最後の手段は、『エリを取り外して別々に洗う』方法しかありませんが、この方法の場合には料金が高額になってしまいますので、さほどの高額品とも思えない品物ではその工程も行えず何とも困ったことになったものです。
大 魔 神
  『大魔神』といっても、大活躍中の大リーグの佐々木投手の話しではありません。
  今から40年ほど前の昭和38年頃、本郷功次郎主演の『大魔神』という大映の映画シリーズがありましたが、ご存知だったでしょうか。(大魔神は数年前にも別なスタッフで3本ほど作られたそうです)
  当時、私が普通自動車の運転免許を取得するために、武蔵小金井の運転試験場に行きました。その頃は、教習場でなく試験場で直接受験するのが当たり前の時代だったのです。
  当時は、普通自動車と小型四輪は別な試験であって、小型四輪はダットサンの小さなトラックで受験し、普通自動車は、左ハンドルの外車のシボレーやフォードで受験をしていました。
  他に、自動三輪車という試験もあって、こちらは、マツダやオリエントなどという三輪の自動車で受験するのですが、自動三輪車の場合には、『バーハンドル』といって、オートバイのように手を広げてハンドルを持って、エンジンの上に跨って運転する形式のものがほとんどでした。
  私が普通自動車を受験したその日、実地試験をする同じシボレーに10人ほどの受験者が集まっているわけですが、その中に、何と『大魔神の本郷さん』がいたのです。
  芸能人と一目でわかる派手な服装は、お腹と背中が赤で袖が真っ白の皮ジャンバーですから目立ちます。今風に言えば『ロボコン』なのですから、受験者全員がロボコンに見入ってしまいました。
  その日の試験で、彼は縁石に乗り上げたり、斜めに駐車したりの下手な運転でしたが何故か合格していました。試験場にも浸透していた大魔神のなせる業だったのでしょう。
  で、問題は、ロボコンの皮ジャンバーですが、赤と白のコンビネーションで作った革製品を洗えば、必ず赤い色がにじみ出て白い部分が赤のブチになりますから、俳優の派手な服装は真似ないほうが無難です。
  クリーニングの表示が『全部×』のイタリア製のТシャツについて少し書いてみます。その素材は、柔らかな木綿を真っ赤に染めたТシャツの胸や袖口に、動物などのアップリケなどを沢山縫い付けた物でした。
  綿の他の素材は、毛皮・皮革使用、フロック加工、ボンディング加工、ポリ塩化ビニール、発泡樹皮プリント、装飾品、オイルコーティング、アップリケのウサギと犬の目にはプラスチックの光物と多彩です。
  アフリカの原住民が祭の時に着る様な物を売るほうも酷いが、買うほうの神経にも呆れます。世の中には、『世間の皆さんと違う着飾り』を楽しむ人達が居て、それを満足させるためにデザイナーが居て、それを馬鹿高い金額で売るアパレル業界があって、そして、それで苦しむ私たちが居る・・・、何ともまぁ・・。
  洗 濯 は
    『全部×よ!』の
       無 責 任


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