平成13年4月17日
ペ ッ ト
  知人A氏の経営するお店を訪れたら、彼が家族同様に育てている猫の『ミー』と店先で遊んでいました。ミーは毛並みのつやもよく、何となく愛くるしい仕種に動物好きの私は思わず微笑んでしまうのです。
  ミーは、とても穏かな性格の猫で、私が手を出しても歓迎してくれますし、「今までに一度も嫌われた事がない!」と知人が誰にでも自慢するほどの人気者です。
  ですからミーは、一日中A氏の周りを離れず、頭を擦り付け甘えた声を出して遊んでくれとせがむのを、「しょ〜がねぇなぁ」と言いながらも、知人は嬉しさを隠し切れません。
  たまにお店に来るお客さんも猫好きが多いようで、「ミーちゃん、元気?」と声を掛け、ご機嫌をとると、ミーも『ごろごろ』と喉を鳴らしながら擦り寄っていきます。
  まずは、のどかなお店とお客さんの憩いの場であり、猫が取り持つ縁で和気藹々の雰囲気をかもし出し、知人もミーも幸せな関係を続けていられるのが羨ましい限りです。
匂  い
  古い話しですが、6年前まで我が家にはセキセイインコのペット『ピー介』がいました。
  ピー介は我が家の自慢の家族であり、何物にも変えがたい宝物のように育てていましたから、我が家にお客さんが来ると一番先にピー介を見せ、おしゃべりなピー介の話し声を聞いてもらったものです。
  そのピー介の面倒を見るのは私の役目でしたから、毎日帰宅すると、まず、針金で出来ているピー介のカゴの中に手を入れて、中に落ちている羽根やフンをチリ紙で落とします。
  次に、カゴの下の引き出しになっている所に敷いてある新聞紙を取り替え、そして、水を替え、粟玉などの餌のカラを吹き飛ばして足りない分の追加をするのです。それだけでなく、夏は三日に一度、冬でも一週間に一回はカゴを玄関の外に出して水で洗ってあげました。
  何故、そんなにこまめに掃除をしたのかというと、たった30か50グラムほどのインコ一羽でも、部屋や洋服などが『臭くなってくる』と考えていたからです。
  小鳥一羽でも、餌があり、フンや尿が有ればゴキブリや目に見えないほどの虫も棲み付くはずですし、自分は毎日一緒にいるから慢性となって感じない匂いも、他の人から見れば敏感に判るものなのです。
気 遣 い
  セキセイインコ一羽で匂うのに、目方が5キロにも達する知人のミーが匂わないはずがありません。動物には抜け毛の心配もあり、商品に抜け毛がついたらお洒落のお客さんは絶対に来なくなります。
  「商売が暇でッ!」と愚痴るA氏は、『猫のお蔭で話題が増えて、お客も増えている!』と思っているようですが、『猫のお蔭で来なくなったお客さん』の数のほうが圧倒的に多いことに気付かないのです。
  お客さんは「ミーちゃん、可愛いわねぇ!」と口先でいっても、余程の猫好きでない限り、内心では『猫をなでた手で商品を扱っている!』と不安になり、『不潔な店!』と判断して自然に遠のいていきます。
  何が怖いといって、『黙ってよその店に行ってしまうお客さん』ほど怖いものはありません。ですから商人は、嫌われる原因は自分で対処し、さわやかな印象でお客様に好かれるようにしたいものです。
  『看板娘』にはお客さんが来てくれても、『看板猫』には、熱狂的な猫好きしか来ないお店になる事を自覚したいと思うのです。ま、『瀬戸物で出来た招き猫』の方が匂わないだけましでしょう。
  世間には『動物嫌い』の人も多いのですし、匂いだけでなく抜け毛や鳴き声の問題もあります。まして、クリーニングのお客さんは清潔なお洒落を楽しむ人達なので、動物に限らず、タバコや焼き魚等の匂いの元は断ち切り、さわやかなイメージでお迎えするのが繁盛の大切な条件なのですから。
    のめり込み
     周りが見えぬ
        愛 の 罠


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