ミステリー |
ブルーのワイシャツをポリ袋から出して着ようとしたら、肩と袖口に薄茶色のシミが付いています。 |
カラーのワイシャツは、温水で洗ったり漂白をすることが出来ない為に、汚れやシミは取れ難いので、前もってシミの存在を伝えれば良かったのですが、シミに気付かなかったのですから仕方ありません。 |
さて、問題は『このシミが何処でついたのか?』ですが、歳で物忘れが激しくなったのか猛暑に疲れた影響か分かりませんが、私は思い出すことができないのです。 |
数日後、ガソリンスタンドで洗車を頼みましたら、店員が「取れ難いんですが、このシミは何を付けたのですか?」と助手席の後部座席のドアーの上の屋根に数ヶ所付いている薄茶色の汚れを指差した時、私は大事なことを思い出したのです。 |
百 合 |
昨年の夏に、直営店の店先に飾っておいた百合の花の見頃が終わったので、私が家に持ち帰って球根を植え替え飼料を施して、今年の春から勢い良く成長した百合が7月の始めに10個ほどの蕾をつけました。 |
その百合を直営店に持って行き、昨年同様に飾った後で、今年も植え替えるべく家に持って帰るときに、鉢を抱えて車の後部座席の足元に置く際、百合は背が高いので車の屋根の上に花粉が付いたのですが、雨で濡れていた為に花粉がベットリと張り付いたようです。 |
その後、真夏の強い陽射しで花粉の色が車の屋根に焼き付いた状態になったのでしょう。ワイシャツの肩と袖口に付いたのも、車の汚れとシミの色がそっくりですから、あの時の花粉に間違いありません。 |
花粉の色に水分を与えた後で、車の屋根で卵焼きができるほど強い陽射しが加わったのですから『染色』と同じ行程になります。車の洗車で気付いたから良いのですが、もし私が、クリーニング店のお客さんだったら、『シミは付いていなかったはず、工場で付けた!!』と言い張ったかも知れないのです。 |
誤 解 |
時折、店先に頑固なお客さんが来られて、『クリーニングに出す前は、このシミは無かったはず!』とか『こんなキズは覚えが無い!』とおっしゃることがあります。 |
通勤中や会社内、狭い商店街等にもシミや汚れの付く条件は何処にでもあるのですし、食事中のカレーやジュース、珈琲などのシミが付く事も多いはずです。 |
人込みの中を平気でくわえタバコの非常識な人から『衣類が焦げる』貰い火もあるはずですが、本人は気付かないために、『俺はタバコを吸わない!』とトラブルが発生することもあるのです。 |
お腹に栄養たっぷりな方は、普通の人が真っ直ぐ歩ける通路をカニのように横歩きをしますが、あの体型の方は縦も横も巾が同じですから、横歩きをするとお腹と背中にシミが付くようです。 |
人間、記憶力が抜群と言える人でも、総て記憶できるものではありません。ですから、『百合の教訓』もあり、お客さんに『自分で気付かぬシミを付けることもある』と知っていただきたいと思うのです・・・が。 |
草木染め |
『百合でワイシャツが染まった事件』で、『そうだッ!。草の汁のシミは落ち難いし、昔から草や木の色を使って染める草木染めという方法があるんだから・・・』と好奇心が全開して図書館に直行です。 |
大辞林には、『植物の根、皮、葉、実などから採った色素を利用して染める』と簡単に書いてありましたが、図書館の本には、『布が織られるとともに染色は始まり、古代から受け継がれた植物染料による染色を、合成染料との区別の為に、山崎斌氏が草木染め≠ニ昭和5年に命名した』と書いてありました。 |
昭和4年に、長野県松本市で信濃手工芸伝習所を開き、昭和5年に銀座資生堂にて、第一回草木染め織紬復興展覧会を開き、昭和7年に名称を商標登録し以後も更新されているそうです。 |
『藍(あい)』は、蓼藍(たであい)、印度藍、菘藍(しょうらん)、琉球藍、などと青色を代表する色で、たで科一年草・・と説明されながら、色は5百種類もありますので、情緒有る名前を少しだけ下に並べてみます。 |