平成12年8月1日
偽札続報
  7月18日号の愛論百科≠ナお知らせいたしました『偽札事件』。その後のお話しです。
  刑事さんと電話で約束していた午後3時に田園調布警察署を訪ねたら『ひったくり事件が発生して取り込み中!』で少し待たされ、捜査課での事情説明は3時25分からスタートしました。
  まず、「済みませんねぇ。こんな所で!」と招き入れられたのは、テレビなどでお馴染みの『取調室』と書かれた三畳間ほどの小部屋で、グレーの事務机の前の犯罪者が尋問される粗末な椅子に座らされました。
  相手の私服の刑事さんは、紺色の半袖シャツを着た手と腕がキズだらけ、殴られても蹴られても壊れないような筋骨隆々の体躯で、「ここしか話しをする所が無いんですよ!」と申し訳なさそうに言うのですが、私は部屋を見渡しながら、生まれて始めて体験する取調室の雰囲気を楽しむことにしたのです。
供 述 書
  そして、「裁判のときの証拠として提出し、裁判官が読み上げる供述書をまとめますので・・」と縦書きの原稿用紙の真中の折り畳む所に『警視庁』と書かれた用紙を前に置きました。
  お札を丁寧に見て「これは間違いなく偽札でしょう。まず、入手経路から教えてくれませんか?」とその書類に書き始め、細部にわたって確認しながら、私の話しを原稿用紙で6枚も書いたのですから驚きます。
  私も、『所有権放棄書』、『任意提出書』、『被害届』、『供述書』に住所氏名などを記入しているうちに、何か物凄く悪いことをした人のような気分になってくる。
  それでも、1時間50分の事情聴取の間に冷たい麦茶を一杯ご馳走になったので、その事を友人に話したら、「タバコやカツ丼は勧められなかったの?」と言われ、「それって、テレビの観過ぎじゃ〜ないの!」と。
  質問される合間に「偽札の鑑定は、日本銀行でするのですか?」と聞くと、「警視庁に『捜査研究所』があり、そこで鑑定するんです」と教えてくれました。
  今回の偽札事件、まだ経過は教えてもらっておりませんが、どのような調査結果にしろ、『任意提出者』にも『報告なし』が原則だそうで、偽札の行く末を確かめたかった私は少なからず残念です。
  『警察に出さず、家に飾った方が楽しめる!』とアドバイスをくれた方がおられましたので、「私が家で額に入れて飾っておいたら、罪になるんでしょうか?」とお聞きしたら、「偽札らしき物を保管していると噂が広がって、刑事が『事件』と判断すれば、『偽造通貨隠匿罪』で家宅捜査をすることもあります」と。
  そして、「自分が『偽札らしい!』と知りながら買い物などに使った場合にも、『偽造通貨行使罪』となります」というのですから、軽々しく隠したり使ったりしないほうが賢明でしょう。
  最近、雪印、そごう、沖縄サミットと派手な話題が続出のためか、偽札事件は、北海道や浅草で数人の犯人が逮捕されたと地味に新聞に載りました。予想通り最近のハイテクで作った偽札だったようです。
クイズです。
  偽札を使った相手がわかる場合には、当然、その相手に損害を弁償して貰う事になりますが、誰から受け取ったか分からない『5千円の偽札』を警察に届けたとして、下記の何番が正解でしょうか?。
 @偽札5千円分の替わりに、警察署にある準備金から『捜査協力金』として同額を渡される。
 A供述書などの作成と手間に関する協力に対し『寸志』だけ渡される。
 B国家の治安維持のために、政府から情報提供の感謝状と5千円の代替金が送られてくる。
 C政府からの代替金は貰えないが、感謝状が送られてくる。
 D犯罪防止のために協力し提出するのは、国民の義務だから何も貰えず5千円の損となる。
 E犯罪の経緯と偽札の状況により、査定委員会の判断で相当額が返る場合がある。
  難問の様ですが意外に簡単な答えです。正解を知りたい方は、取調室で実際に刑事に偽札を渡し、1時間50分に渡る状況説明の捜査協力を体験している私に質問してください。尚、答えは川柳でも・・・。 
義務故か
   代替・寸志
      状も無し


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